2020-08-25

[EU]査察報告

-ルーマニア―馬肉、トレーサビリティを含む

Romania 2019-6672―Horse meat, including traceability

27/05/2020

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4288

2019年10月14~25日にルーマニアで実施した、生きた動物とその動物由来製品のトレーサビリティを含む馬肉生産の管理システムを評価するための査察。2つの管轄機関が公的管理を担い、馬の識別と食品安全両分野で各責任が明確に定義されている。2つの機関はよく機能しているが、情報/協力の交換は満足できない。馬の識別に不適合が見つかっても執行措置が取られる保証はなく、管理システムの有効性に影響している。EUの馬のパスポート規制は2016年1月1日以降適用されているが適切に機能しておらず、状況改善は想定されていない。また最新に保たれていないため、その情報は十分に信頼できない。事業所の承認手続きは適切だが、ヒトの消費に不適格な馬は屠殺されないという保証を提供できていない。埋め込まれているマイクロチップがパスポートの記載番号と一致すれば屠殺可能だが、パスポートに薬物治療の記録がなく、屠殺肉の残留物状態を確実に確認できない。食品及び飼料に関する緊急警報システム(RASFF)の通知は、一般に適切にフォローアップされている。カドミウム検出の分析に特に重点を置いているが、カドミウムが国中どこでも見つかるため汚染原因を特定することは不可能である。

 

-カナダ―EU輸出用牛及び豚肉の動物由来食品

Canada 2019-6681―Food of animal origin-bovine and pig meat intended for export to the European Union

25/05/2020

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4287

2019年9月9~20日までカナダで実施した、EU輸出用肉の管理システムの構造と運用をレビューし、肉に成長促進製品を投与しない国家計画の実行を評価するための査察。「カナダ国民のための安全な食品に関する規則」が2019年に発効し、様々な権限が明確に指定されているが、民間獣医師の利益相反は適切に対処されていない可能性がある。査察チームが訪れた3施設のうちの1施設だけがシステムに完全に準拠しているが、別の1施設はEU輸出認証を一時停止し、EU輸出リストからの除外を要求された。2014年の査察後の是正措置は効果がなかった。豚肉部門の状況は世界的に満足できるものとして評価できる。カナダではすべての豚の95%以上がラクトパミンフリーである。対照的に牛肉部門では中央官庁(CCA)に助言されたホルモンフリープログラムの是正措置はほとんど実行されていない。

 

[FDA]よりスマートな食品安全の新時代

New Era of Smarter Food Safety

FAQ

https://www.fda.gov/food/new-era-smarter-food-safety/new-era-smarter-food-safety-frequently-asked-questions

Ⅰ.「よりスマートな食品安全の新時代」についての一般的な質問

「よりスマートな食品安全の新時代」とは?

「よりスマートな食品安全の新時代」とは、より安全で、よりデジタル化された、追跡可能な食品システムを作り出すために技術や他のツールを活用した食品安全への新しいアプローチのことである。より簡単で、より効果的で、現代的なアプローチとプロセスを追求する。最終目標は、病気の件数を減らすことによりこの国の食中毒のカーブを曲げ緩めることである。

新時代の青写真の目的は?

この青写真は、トレーサビリティを強化し、予測分析を改善し、アウトブレイクにより迅速に対応し、新しいビジネスモデルに対処し、食品汚染を削減し、より強力な食品安全文化の発展を促進するために、達成可能な目標の概要を説明している。食品安全に対する私達のアプローチをさらに近代化するための誓約に基づき、政府、企業、公衆衛生推進賛同者間のパートナーシップの概要を説明する。

この青写真は戦略計画?もしそうなら、目標に達するのにどのくらいの時間がかかる?

この青写真では、概説する目標を追求するにつれて進化する短期及び長期活動の次の10年の構想を立てている。新しい食品技術、食品生産及び配達の方法、監視用の新しいツールと歩調を合わせることを目的とした、随時更新される文書である。

青写真は食品安全のどのような側面に焦点を当てている?

この青写真は私達がこの国の食中毒を大幅に減らす力があると信じている4つのコアエレメントやテーマに焦点を当てている。それはテクノロジーに対応したトレーサビリティ、予防と集団発生に対応するためのより賢いツールと手段、新しいビジネスモデルと小売りの近代化、食品安全文化である。

FDAがこれらの中心的要素を決めた理由は?

今後10年以上の課題や機会について考える中で、FDAのリーダーは、「よりスマートな食品安全の新時代」の構成要素である技術、分析、ビジネスモデル、近代化、価値をカバーするためにこの4つの基本的な柱を特定した。それらの間には多くの相乗効果がある。1つの要素のアイデアが1つ以上の他の要素に関連している可能性がある。これらの要素は、連携して、「よりスマートな食品安全の新時代」に私達を連れて行ってくれる。

FDAは期待する結果に向けてどのようにして進捗状況を監視する?

指導者らにそれぞれコアエレメントを割り当て、彼らが望む結果に向けて進捗情報を監視していく。FDAは最近、「食品安全ダッシュボード」を設定した。これはFDAの食品安全強化法(FSMA)の7つの基本原則の影響を追跡調査するよう設計され、実行を改善し続けるのに役立つ業績管理報告ツールである。「よりスマートな食品安全の新時代」は、テクノロジーに対応し、FSMA規則の下でFDAが達成した業務上に構築することを目指しているため、私達も、このダッシュボードが進捗状況を監視できる手段の1つとなるよう期待している。

 II.COVIDと「よりスマートな食品安全の新時代」

COVID-19パンデミックと関連する新時代の重要性とは?

COVID-19パンデミックは、前例のない市場の不均衡から、消費者の習慣の変化や電子商取引の増加、FDAの従来の方法での検査実施やコンプライアンス作業への課題まで、食品制度上の固有の需要に応える最新のアプローチの必要性を浮き彫りにしている。このパンデミックは、危機の間、強く回復力のある食品システムを確保し、連邦職員、食品企業労働者、消費者かどうかに関わりなく、全てのアメリカ人の安全を保持するのに役立つよう、よりリアルタイムの、データ駆動型の、機敏なアプローチの必要性を強調している。

パンデミックはどの食品の安全やセキュリティの必要性を強調および/または加速させたか?

パンデミックは、強化されたトレーサビリティと高度な分析ツールとが相まってサプライチェーンの可視性を高め、FDAと企業がパンデミック中に経験した市場の不均衡などを予測できるようにする可能性があることを明確にした。

オンライン注文し、消費者に直配される食品の安全性を確保するのに役立つ最善の措置の必要性がCOVID-19によって加速されている。この傾向が年々着実に増加していることは分かっていたが、家に籠った家族が、大抵は初めて、レストランや食料品店からオンラインや電話で食品を注文したため急増した。これらの食品が生産され、包装され、直接消費者に安全に輸送されることをどのように確認するかという問題が今まで以上に重要になった。

さらに、公衆衛生の懸念や関連する旅行の考慮事項は、監視活動を実施するための新しい革新的な方法を見いだす必要性を強調している。最大リスクをもたらす農場や施設を特定するための、バーチャルやリモートで検査を行う方法や、強化された予測分析の使用方法を考えなければならない。

さらに、パンデミックは、農場や施設で作業する人すべてが安全な食品を生産するための責任を負い、同僚が病気の時は彼らを守るといった、強い食品安全文化を持つことの真の意味に光を当てた。食品安全文化は、パンデミック中により多くの人々が行った、家庭で調理する際の最良の食品安全対策について消費者を教育することでもある。

 

III. 他のFDA業務への新時代の影響

Q:この青写真はFSMAとどう違うのか?

FSMAは近代的で科学やリスクに基づいた条件を設定する権限をFDAに与えており、その遂行は引き続きFDAの重要な優先事項である。青写真はさらなるFDAの近代化の目標への手段を確認し、FDAが食品業界と共に食中毒を減らすための利用可能な技術を確実に考案するのに役立つだろう。

「よりスマートな食品安全の新時代」の青写真はどのようにしてFSMA 204章(「追跡調査強化及び食品と記録管理の追跡調査」)の今後の実施に取り組むのか?

「よりスマートな食品安全の新時代」は、食品システムを通したトレーサビリティの基盤として機能するFSMA 204章の現在のルール作りなど、すでに進めている作業に取り組んでいる。204章の実施は青写真の重要な要素である。規則案は9月初めに発表されると予測している。

「よりスマートな食品安全の新時代」構想はFDAの「葉物野菜STEC行動計画」とどのように関連しているのか?

FDAの「葉物野菜STEC行動計画」は、葉物野菜の安全性についての予防、対応、知見のギャップの対処の分野で作業を進めるために、FDAが2020年に行う計画の活動を概説するために開発された、商品を特定した行動計画である。この計画は、米国の葉物野菜への関連が確認された、または疑われる、非常に多くのシガトキシン産生性大腸菌(STEC)感染症の食品由来アウトブレイクに対応している。

「葉物野菜STEC行動計画」と青写真は共通の目標を共有する。食中毒の予防に役立つ政府と企業の役割分担や、アウトブレイクに対応する技術やデータの重要性を強調することに焦点を当てる。「葉物野菜STEC行動計画」に概要された主な活動は、テクノロジーや、よりデジタルな、追跡可能な、より安全な食品システムを作るための他のツールの活用で、「よりスマートな食品安全の新時代」構想の基本的な目標を反映している。

 

IV.4つのコアエレメント

この4つのコアエレメントを簡単に説明してもらえますか?

コアエレメント1:技術が可能にするトレーサビリティは、迅速なトレースバックを行い、特定の供給源を識別し、必要時にできるだけ早く市場から製品除外を支援することで、汚染された製品から消費者を守るのに役立つトレーサビリティの向上を目指す。

最終的に、目標は食品衛生システム全体で徹底したトレーサビリティを支援することである。FDAは、全ての活動分野で達成可能な成果への基礎となる、様々な技術的解決策の相互運用性を支援する、追跡調査活動を統一するための追跡調査技術や手段を進んで取り入れるために企業を奨励する方法を探っていく。

コアエレメント2:予防のためのより賢いツールとアプローチとアウトブレイク対応は、新しいデータストリームを作りだし迅速にビッグデータを分析するツールを利用した現代的な食品安全アプローチの予防的価値を模索している。FDAは根本原因解析と予測分析の向上と強化を目指している。根本原因解析の発見は、特定リスクを回避するための慣習の変更に役立つ重要なステップになる可能性があり、予想分析のためのより堅牢なデータを提供できる可能性がある。

新しい独創的な方法で他者と協力するのはFDAにとっても重要である。これには、情報源の最適利用を確保し食品安全の範囲を最大化するために、お互いのデータや分析を利用して、同等の規則や公衆衛生システムがある加盟国と連携するためにFDAが既存の取り組みに基づいて構築しようとしている、国内相互依存イニシアチブが含まれる。

従来の手段が適さない場合、食品の安全性を向上させるために信頼できる第三者の監査を活用したり、代替手段をとることも含まれる。

これらのツールやアプローチは、検査、アウトブレイク対応、リコールの近代化へのFDAや規制パートナーの取り組みに情報提供も行う。

コアエレメント3:新しいビジネスモデルと小売り食品の近代化は、新しいビジネスモデルが現れ、現代の消費者のニーズに応じて変革を行うために、汚染から食品を守る方法への対処を目的としている。電子商取引と新しいデリバリーモデルの出現により、農場から食卓まで食品を手に入れる方法は進化し続けている。新しい成分、新しい食品、新しい食品生産システムの新機軸を提案する新しいビジネスモデルの出現や、生産食品の入手方法の進化は続く。これらの新しいモデルには、COVID-19パンデミック中に急増した慣習である食事や食料品のオンラインショッピングも含まれる。FDAは、より伝統的なビジネスモデルに目を向け、レストランや他の小売り施設で販売される食品の安全性を確保し、さらに近代化する方法を模索している。 

コアエレメント4:食品安全文化は農場、食品施設、家庭における食品安全文化の育成、支援、強化を模索する。信念、態度、そして最も重要な、人々の行動と組織の活動に影響を与える行いを増やすことで、食中毒の負担は劇的に軽減される。強い食品安全文化は効果的な食品安全管理に欠かすことはできない。

 

V.青写真開発のプロセス

「よりスマートな食品安全の新時代」構想はいつ開始された?

FDAは2019年4月に「よりスマートな食品安全の新時代」構想を発表した。FDAの食品プログラムの指導者は、2019年7月に構想の開発方法に洞察を加える機関の専門家を選出し、アイデアから始めて、そのアイデアを実現可能にする構想を持ち続け、第一歩を踏み出した。

FDAの食品安全専門家はこの青写真の開発にどのように関与したのか?

100人強の専門家がこの中心的要素のブレーンストーミングセッションに参加した。ブレーンストーミングセッションの最初の協議で、参加者は職員や情報源などの実用的な検討事項に縛られずに彼らのアイデアを解放するよう求められた。第二回協議は実用化の時で、専門家は新たな視点で自身のアイデアを見、実現可能性を検討し、次の10年間の現実的な目標を助言した。

一般人はこの青写真の開発にどのように関与した?

2019年10月にFDAは外部の関係者を参加させ、国内及び国際的な規制パートナー、企業、消費者擁護団体などとの対話を促進するために公開会議を実施した。1300人以上の人々が直接、あるいはウェブキャストを通じて参加した。FDAもパブリックコメントを要請するために官報の摘要書を公開した。コメント期間は2019年12月5日に終了し、その後FDAチームは計画立案中に検討した全ての情報をまとめ、レビューした。

 

VI.青写真の目標の遂行

この青写真の目標を達成するためのFDAの計画とは?

青写真で確認されている4つのコアエレメントや、全体的な実施をそれぞれ監視するためにシニア食品計画指導者を特定した。これらの中心的要素の指導者は、関係者と協力して次の10年間の青写真に示されている目標を達成するために短期及び長期活動の特定を手助けする。

FDAは関係者からのフィードバックを受け取り食品安全の重要性について一般人に情報を提供するためのメカニズムを作り続ける?

はい。この青写真は様々な国内外の専門家が提供した貴重な情報で作成されており、FDAは関係者の意見に耳を傾け、学ぶことに専念している。私達は可能な範囲で旅行を続け、全国の人々と対話し続ける。

 

VII. FDAとの作業

新しい出来事が発生した場合、どのようにして知ることができる?

FDAは「よりスマートな食品安全の新時代」をウェブページに作り、継続して更新している。新しい出来事に遅れないようにする最善の方法は、このウェブページにアクセスし、電子メール更新の自動受信に同意することである。

「よりスマートな食品安全の新時代」に関する連絡手段は?

この青写真やこの発案に関する他の事項に関してFDAに連絡を取りたければ、smarterfoodsafety@fda.hhs.govにeメールを送付してください。このアドレスは「よりスマートな食品安全の新時代」のウェブサイトにある。ウェブサイトからeメールでアクセスすると、問い合わせに関する選択肢付きフォーム(話者要請、会合要請、一般情報など)が送られてくる。

 

[BfR]大多数が帰国者のコロナ検査義務を支持

Vast majority supports mandatory corona tests for returnees

24.08.2020

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2020/27/vast_majority_supports_mandatory_corona_tests_for_returnees-253423.html

BfRコロナモニター

(それほど変化はないような)

 

論文

-メディアの極めて重要なパンデミックパワー

Media's pivotal pandemic power

23-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/fu-mpp082320.php

公共安全のためには「非難合戦」は役に立たない:専門家

Frontiers in Public Healthに発表されたオーストラリアの全国紙を2020年初期からWHOがパンデミックを宣言した2020年3月11日以降のパンデミック関連報道について調べた研究。当初の主要紙の報道は客観的で一般的に当局発表をもとにしていた。その後健康と社会と経済への影響が大きくなるについて報道の頻度とトーンはエスカレートしていった

(何かをいうにはまだ早いんじゃ)

 

-減量に集中した強力なライフスタイル介入が肥満関連がんリスクを下げる

Intensive lifestyle intervention focused on weight loss lowers obesity-related cancer risk

24-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/tos-ili081820.php

Obesityに発表された長期アウトカムを調べた唯一のRCT

Look AHEAD (Action for Health in Diabetes)試験のデータを検討した。ライフスタイル介入は最低7%の減量を目指したもので、1日1200-1800カロリーの制限と週175分の中程度から強い運動を含む。平均フォローアップ11年

 

-ブリティッシュコロンビアでの薬物過剰使用死の大部分から違法フェンタニル、覚醒剤が発見される

Illicit fentanyl, stimulants found in majority of overdose deaths in BC

24-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/cmaj-ifs082020.php

CMAJ。2015年から2017年のBC検視サービスが同定した2872人の死亡についての解析

 

-妊娠女性と母親死亡の女性にとってカフェイン摂取の安全な量はない

No safe level of caffeine consumption for pregnant women and would-be mothers

24-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/b-nsl082020.php

妊娠中あるいは妊娠しようとしている女性はカフェインを避けることを検討すべき、と研究者が言う

BMJ Evidence Based Medicineに発表された観察研究の解析

(有害影響があったことが報告されやすいので明確なバイアスがあるのだけれどavoid caffeineとかなり強い助言をしている。)

 

-それぞれの人の腸にはウイルス「指紋」がある

Each human gut has a viral 'fingerprint'

24-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/osu-ehg082420.php

33000以上の独特の腸内ウイルス集団からなる新しいデータベースGut Virome Database

Cell Host & Microbeに発表

 

-バージニア大学技術応用科学部の主導するチームが、ネガティブエミッション技術が気候危機を解決できないだろうと警告する

UVA-led team warns negative emissions technologies may not solve climate crisis

24-AUG-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-08/uovs-utw082420.php

Nature Climate Changeの論文で、世界は試験されていない技術のコストを検討するよう求める

ネガティブエミッション技術は、大気中から二酸化炭素を除去するもので、主にバイオエネルギー、植樹、直接捕獲が広く研究されている。しかしどれも大規模での試験は行われていない。バイオ燃料と植樹は膨大な土地と水資源を使用し食糧供給に影響する。直接技術はあまりにも高価である。賭ける前に帰結を理解しよう。

 

その他

-SMC UK

カフェインと妊娠を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to a study looking at caffeine and pregnancy

AUGUST 24, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-a-study-looking-at-caffeine-and-pregnancy/

BMJ Evidence Based Medicinに発表された研究がカフェイン使用と妊娠を調べた

王立産科婦人科学会広報で産科相談医Daghni Rajasingham博士

この研究の知見は妊娠中にカフェインを制限すべきことを支持する膨大な根拠に加わるが、妊娠女性はこの論文がいうようなカフェインを完全に排除する必要は無い。

この研究に注記してあるように、妊娠中の高濃度のカフェインは流産や低体重の赤ちゃんにつながる可能性はあるが、より信頼できる研究でこれらのリスクは極めて小さいので完全に排除する必要は無いことが示されている。王立産科婦人科学会の助言は200mg/日であるがこれはまだ有効で、この論文が他の全ての根拠を取って代わることはない

Premier Researchの生物統計副部長Adam Jacobs博士

この論文の著者がコーヒーの危険性についての本を二冊書いていることに私は気がついた。それは雑誌の利益相反情報に含めるべきであろう。

この論文はメタ解析で一貫した結果が出ていることを強みだと言っているが、それらメタ解析の一次データのほとんどが同じなのだから結果が一貫しているのは驚くことではない。一次研究にバイアスや交絡があればそれはメタ解析にも含まれる。そして明確な交絡要因がいくつかある。出版バイアスもある。この説話的レビューは系統的レビューより信頼性は劣る。全体として、たまに飲むカップ一杯のコーヒーを過剰に心配する必要は無いと思う

Kings College London産科教授Andrew Shennan教授

カフェインは長い間人の食事に含まれてきた。他の多くの食事中物質同様、高用量では妊娠に悪影響がある。このレビューは文献でのカフェインの有害影響を確認した。有害の根拠の一部は他の関連要因で説明できるかもしれない。著者等はNHSなどに全てのカフェインを避けるように助言を劇的に変えることを求めているが、このデータは観察のみでバイアスがあり確実ではない。現行の助言は変わらないだろう

(著者はReykjavik 大学心理学Jack James教授、ずっとカフェインの有害影響を研究している)

 

-SMC NZ

アラートレベル更新と公共輸送機関でのマスク義務化-専門家の反応

Alert level update and mandatory masks on public transport – Expert Reaction

Published: 24 August 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/08/24/alert-level-update-and-mandatory-masks-on-public-transport-expert-reaction/

オークランドは日曜日の午後11:59にアラートレベル2に移行するが集会は10人以下に制限されるだろう。残りは9月6日までアラート2でその日に制限レベルをレビューする。

また8月31日から、アラートレベル2以上の場合公共輸送機関でのマスクは義務となる

専門家の意見多数

(ウイルス根絶およびマスク支持者しかいないようだ、心理学者はポジティブに考えるよう薦めている)

 

-Scienceニュース

FDAのCOVID-19の血漿治療青信号に、批判者は薄弱な根拠と政治を見る

In FDA’s green light for treating COVID-19 with plasma, critics see thin evidence—and politics

By Kai Kupferschmidt, Jon CohenAug. 24, 2020

https://www.sciencemag.org/news/2020/08/fda-s-green-light-treating-covid-19-plasma-critics-see-thin-evidence-and-politics

極めて異例の日曜夜の記者会見で、Donald Trump米国大統領が、「無数の命を救う極めて歴史的なブレイクスルー」と説明してFDAが重症COVID-19治療に回復患者血漿を使うことを緊急使用認可(EUA)したと発表した

(説明略)

FDAがヒドロキシクロロキンにEUAを発行(後に取り消し)したときにもおそらくFDAはTrump圧力に屈したのだろう。FDAの根拠とデータの評価が政治圧力によって覆されている。同じことがワクチンでもおこることを多くの科学者が恐れている-それは何千万人もの健康な人に投与されるので遙かに大きな帰結となる可能性がある

 

-一部の人はパンデミックウイルスに二回感染する可能性がある、研究が示唆する。パニックになる理由はない

Some people can get the pandemic virus twice, a study suggests. That is no reason to panic

By Kai KupferschmidtAug. 24, 2020

https://www.sciencemag.org/news/2020/08/some-people-can-get-pandemic-virus-twice-study-suggests-no-reason-panic

科学者はCOVID-19の原因ウイルスに再感染する可能性について初めての確固とした根拠を発見した。3月に軽症で病院で治療された33才の男性が、5ヶ月ほど経って8月15日に欧州から帰って香港空港で再びウイルスを持っていた。このとき症状はない。研究者らはウイルスの配列を決定して最初と二回目で多くの違いがあることから二回目の感染の可能性が高い。穂根大学の臨床微生物学者で著者の一人であるKelvin Toが今日Scienceに「この症例は少なくとも一部の患者は生涯にわたる免疫をもたないことを証明する」と語った。

しかしこの知見の正確な意味は明確ではない。Toと彼の同僚はScienceが見た論文の一部で「SARS-CoV-2が集団免疫で排除できることはありそうにない。ワクチンはCOVID-19から一生守ることはないだろう」と一般化した宣言をしている。しかしコロンビア大学のウイルス学者Angela Rasmussenはその結論は早すぎる、という。「ワクチンや免疫について膨大な影響のあるそのような主張には合意しない」とメールで書く。オレゴン健康科学大学のウイルス免疫学者Mark Slifkaはこの論文の知見は著者の書くことの反対だという。「最初のとは異なる系統に感染しても病気から守られている。それは良い知らせだ」と。

議論を過熱させているのはまだこの論文が公開されていないことで、科学者は全体を検討することができない。香港大学のプレスリリースはこの論文が Clinical Infectious Diseasesに受理されたという。オンラインで出回っているのはこの論文のうちの数ページのみで全文は入手できない。このようなやりかたは嫌いだとRasmussenは書く。「それはセンセーショナリズムを煽るようにデザインされたやり方だ」

(以下略。大学の宣伝のためのプレスリリースをマスメディアがそのまま報道するの、やめてほしい。)

 

-Thomas Restobarクラブ:ペルー警察がロックダウン違反のパーティーに強制捜査に入り13人が圧死

Thomas Restobar Club: Crush kills 13 as Peru police raid party violating lockdown

23 August 2020

https://www.bbc.com/news/world-latin-america-53880996

リマのLos Olivos地方のThomas Restobarクラブで逃げようとした人達が押しつぶされた。目撃者によると催涙ガスが使われた。Martín Vizcarra大統領によると逮捕された23人の騒いでいた人のうち15人がコロナウイルス陽性だった。

ペルーでは3月から夜間外出禁止で大規模集会の禁止は今月初めから。内務大臣によるとこの違法な誕生会に約120人が参加していた。死亡したのは20-30代の男性11人と女性2人。大臣は催涙ガスや武器は使っていないと言うが少なくとも一人の近隣住民が催涙ガスの容器を投げていたようだという

ペルーはラテンアメリカでは最も早く最も厳しいロックダウンを行った国の一つである。しかしいまだに患者数は急速に増加し続けている

参考 コロナウイルス:ペルーで何がおこっている?

Coronavirus: What's happening in Peru?

9 July 2020

https://www.bbc.com/news/world-latin-america-53150808

Martín Vizcarra大統領はロックダウンが期待した効果を見せなかったという。何故?

ペルーのロックダウンは3月16日に始まって世界で最も長いもののひとつである

国境は閉鎖され夜間外出は禁止され家を出られるのは必需品を入手する場合のみである。それなのに感染と死亡は増加し続けている。理由のいくつかのうち4つを調べた

市場:ペルーの家庭の40%以上が冷蔵庫がなく食品を家に保管できないのでしょっちゅう市場に行く

非公式経済:雇用の70%が非公式部門

銀行:ペルー成人で銀行口座をもっているのはわずか38%、政府の支援を受け取るには銀行に並ぶしかない

社会的距離:貧しい人の家は人が多く公共の場も混雑している