2021-01-08

[CDC] MMWR

-過去30日以内に何らかのダイエタリーサプリメントを使用した20才以上の成人の割合、性、家庭の収入別-NHANES, 米国、2017-2018

Percentage of Adults Aged ≥20 Years Who Had Taken Any Dietary Supplement in the Past 30 Days, by Sex and Family Income — National Health and Nutrition Examination Survey, United States, 2017–2018

Weekly / January 8, 2021 / 70(1);25

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7001a7.htm?s_cid=mm7001a7_w

全体平均57.6%。収入が多いほど多く連邦貧困レベルの350%以上で65.7%。全ての年収で女性の方が多く全体では女性63.8% 男性 50.8%

 

-隔離大学生アスリートの隔離開始からSARS-CoV-2検査陽性までの時間-17州、2020年6-10月

Time from Start of Quarantine to SARS-CoV-2 Positive Test Among Quarantined College and University Athletes — 17 States, June–October 2020

Weekly / January 8, 2021 / 70(1);7–11

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7001a2.htm?s_cid=mm7001a2_w

大学運動部の隔離学生のデータ。SARS-CoV-2暴露があって隔離された1830人。スポーツ活動のほうが頻繁に濃厚接触する可能性が高いにもかかわらず、暴露で最も多いのは社会的集まり(40.7%)、次いでルームメイト(31.7%)、運動は12.7%。14日間の隔離中陽性になったのは458人(25%)で平均隔離開始から3.8日後。隔離5日後まで陽性にならなかった学生では、10日後の検査陽性確率は5%未満に減少

 

-隔離からの早期解放のためのCOVID-19患者の濃厚接触屋の曝露後7日の検査の評価-バーモント、2020年5-11月

Assessment of Day-7 Postexposure Testing of Asymptomatic Contacts of COVID-19 Patients to Evaluate Early Release from Quarantine — Vermont, May–November 2020

Weekly / January 8, 2021 / 70(1);12–13

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7001a3.htm?s_cid=mm7001a3_w

隔離中無症状だった濃厚接触者で7日目の検査陰性なら隔離は終了という方針の評価

(CDCによる隔離期間短縮の根拠になったデータ)

 

論文

-消費者の健康に関連する農作物と食品のトロパンアルカロイド汚染:2019年のウガンダの食糧援助アウトブレイクからの教訓

Tropane alkaloid contamination of agricultural commodities and food products in relation to consumer health: Learnings from the 2019 Uganda food aid outbreak

Wilfred A. Abia  Holly Montgomery  Anne P. Nugent  Christopher T. Elliott

COMPREHENSIVE REVIEWS IN FOOD SCIENCE AND FOOD SAFETY  First published: 10 November 2020

https://doi.org/10.1111/1541-4337.12664

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/1541-4337.12664

世界食糧計画(WFP)が提供しているスーパーシリアルはトウモロコシ80%大豆20%に各種ビタミンやミネラルを加えたもので毎年約490万人に13万トンが届けられている。スーパーシリアルは主に欧州市場の大企業が供給してきたが、最近南アフリカやトルコの小企業が委託されるようになった

この報告は食品中のトロパンアルカロイドの存在や規制、健康ベースのガイダンス値に関する1部と、企業向けガイダンスの2部からなる。

提案されている介入として、畑でDaturaなどのTAを含む雑草が生えることを予防する、コンポストのTA汚染を防ぐなどがあるが、有機栽培が汚染を増やすので、消費者のオーガニック食品要求にも対応する必要がある。農薬は問題のある雑草を予防できることを認識すべき。

(オーガニックだから天然毒素が入っていていいということはないので教育訓練せよ、と。農薬よりよほど毒性が高いのだから。知ってしまうと高価な有機を選ぶ理由がなくなるけど。)

 

-専門家が米国のCOVID-19ワクチンを促すための行動研究を活用

Experts tap into behavioral research to promote COVID-19 vaccination in the US

7-JAN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-01/ncsu-eti010721.php

アメリカで予防接種が受け入れられるかどうかには効果的コミュニケーションが鍵であると考えられている。そして効果的コミュニケーションには行動経済学と消費者行動理論で示されている戦略を推進することが重要であろう。New England Journal of Medicine

提案した戦略には以下のものが含まれる

・アナロジーを使う

「COVIDとの戦い」、mRNAワクチンは免疫系に防御方法を教える「取扱説明書」など

・可観測性を上げる

他の人がやっているのを見るとやりたくなる

・自然の欠乏感を利用する

早くワクチンを接種するのは名誉の証

・妥協選択肢を促す

三つの選択肢があると真ん中が選ばれやすいのでワクチンを真ん中であるようにみせる-例えば今すぐワクチンを打って血漿を寄付する、単にワクチンを打つ、あるいは後でワクチンを打つ、の三つを提示する。鍵は全てにワクチンが入っていること、ワクチンを最も極端な選択肢にみせないこと。

(行動経済学の知見を利用する、というと聞こえは良いけどヒトを騙そうとすることとの線引きってどこなんだろう)

 

-シーフード戦略

Seafood strategies

7-JAN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-01/uoc--ss010721.php

研究者らがアメリカのシーフード産業の持続可能な拡大のためのアプローチを提供する

2020年5月にトランプ政権が発行した「アメリカのシーフードの競争力と経済成長を促進する大統領令」は米国のシーフード業界、特に養殖を拡大し、世界市場でのアメリカのシーフードの競争力を強化する計画を示した。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の水産養殖教授Halley E. Froehlichらはこの大統領令は複雑で不明瞭であるとしいくつかの提言をMarine Policyに発表した。

(既に資源の最大近くを漁獲しているものの規制を取り除いても漁獲量が増えることはなく、シーフード業界の不振は中国との関係が悪化したためでありそれがCOVIDでさらに悪化していて大統領令では解決できない、等。)

 

Science

-ニュースを一目で

News at a glance

Science  08 Jan 2021:Vol. 371, Issue 6525, pp. 106-107

・USDAは食事中砂糖とアルコールについての専門家の助言を却下

先月USDAが発表した新しい食事ガイドラインは、USDAの科学アドバイザーの薦めにも関わらず砂糖とアルコールの摂取量を減らすよう呼びかけなかった。昨年の夏の外部専門家委員会は食品や飲料に添加した砂糖は総カロリーの6%以下にすべきと助言していたが、新しいガイドラインではこれまで通り10%以下だった。また助言委員会では男性の一日飲酒量を現在の2杯から1杯に制限するよう勧めていた。しかしUSDAは「それには圧倒的根拠preponderance of evidenceは無い」とした。女性向けの助言も変更せず、1日1杯とした。健康推薦者はがっかりしたと言っている。

・EPAはオープンデータ規則を最終化

トランプ政権が終わりに近づいた1月5日にEPAは規制の根拠となる科学研究を制限する、透明性を増すためと称する、最終規則を発表した。その規則では汚染の規制値を決めるために使われるいわゆる用量反応研究は、外部が精査できるように公開すべきというものである。EPA長官は例外を指定できる。この規則に反対する人たちは「EPAが密室で決めることを好む」とAndrew Wheeler EPA長官はいう。しかし環境保護団体や公衆衛生研究者達は健康情報が非開示の疫学研究を考慮するのが困難になるという。この規則は今の形では長く続かないだろう、バイデン政権が書き換える、あるいは議会が取り消すことができる

 

-COVID-19検査:何にでも使えるものはない

COVID-19 testing: One size does not fit all

Michael J. Mina, Kristian G. Andersen

Science  08 Jan 2021:Vol. 371, Issue 6525, pp. 126-127

COVID-19との戦いで、「一つの方法で何にでも」アプローチが優勢になって検査と評価に関する意思決定を混乱させている。診断とスクリーニングとサーベイランスはそれぞれ異なる目的、要求、戦略をもつ。COVID-19には多くの種類の検査が提供されているがそれぞれ性質が違う。

患者の診断のための検査と公衆衛生上の感染予防のための検査とは基本的に異なるので検査を認可する規制はこの違いを適切に反映するよう修正すべき。

(目的別説明略。図がわかりやすい。検査の目的とそのために必要な条件として感度・特異度・頻度の三種類を目安に表現。例えば個人の診断が目的なら感度が重要、公衆衛生スクリーニングなら頻度が重要、といったように。

文中でスロバキアの2週間以内に国民の80%を検査して2週間で82%感染を抑制した事例が紹介されているが、11月末に減った感染者はその後増加し続け過去最高を更新している。さすがに全住民検査を何度もできるわけではない)

 

その他

-実験室から食卓へ:「培養肉」がついにメニューに

From lab to plate: ‘Cultured meat’ finally hits the menu

By Cameron Oglesby on Jan 6, 2021

https://grist.org/food/from-lab-to-plate-cultured-meat-finally-hits-the-menu/

実験室で育てた肉はもうSFではない。先月シンガポールの繁華街の1880というレストランが世界で初めて「培養肉」を提供することになった。米国の新興企業Eat Justと提携したGOOD Meatというブランドの培養鶏肉である。シンガポールは11月に世界で初めて培養肉の販売を認可した。

動物を殺さないものの動物細胞を使っているのでベジタリアンやビーガンには適さないかもしれない

 

-強力な合成オピオイドフェンタニルがホームレス集団の死亡増加の背景

The powerful synthetic opioid fentanyl is behind rising deaths in the homeless population

By DOUG SMITH JAN. 7, 2021

https://www.latimes.com/california/story/2021-01-07/the-powerful-synthetic-opioid-fentanyl-is-behind-rising-deaths-in-the-homeless-population

2020年春に始まったホームレスの死亡急増は、フェンタニルの関係する薬物過剰使用が誘導している、木曜日にロサンゼルス郡公衆衛生局が発表した報告書が結論した

2020年の最初の7ヶ月でLA郡のホームレス926人が死亡し、前年同期間から26%増加した。LA全体ではCOVID-19が二番目の死因だが、ホームレスではマイナーな要因である

 

-COVID-19ワクチンに反対する医療従事者を克服するには教育がカギ

Education said key in overcoming health-care worker opposition to COVID-19 vaccine

BY COLIN PERKEL, THE CANADIAN PRESS JANUARY 7, 2021.

https://medicinehatnews.com/news/national-news/2021/01/07/education-said-key-in-overcoming-healthcare-worker-opposition-to-covid19-vaccine/

トロント。COVID-19ワクチンを受けたくない医療従事者には強制するより教育した方が良いという合意ができつつあるようだ。

パンデミックの前線で働いている人たちの多くはワクチンを接種することを強く望んでいるものの、しかし無視できない少数派がワクチン義務に反対している。政府は強制することが可能だが、それが最も効果的だとはおもわない、とカナダ公務員組合オンタリオ病院協同組合評議会長のMichael Hurleyはいう。我々は科学と事実でワクチン忌避を克服しなければならない

調査では14-21%がワクチンを接種したくない

 

-グリホサート、「小麦と毒麦」を分ける

fondapol.org(フランスのシンクタンク)

GLYPHOSATE, SEPARATING THE “WHEAT FROM THE TARES”

by Marcel Kuntz CNRS研究部長、Grenoble-Alpes大学客員講師、2017年フランス農業アカデミーゴールドメダル受賞者

on December 23rd, 2020

http://www.fondapol.org/en/etudes-en/glyphosate-separating-the-wheat-from-the-tares/

グリホサートは長い間許容できない健康リスクはない除草剤とみなされていた。2015年にIARCが「おそらく発がん性」と分類してこの状況を変えた。2017年にはEUがグリホサートの認可更新をわずか5年にしてフランスは三年以内に「グリホサートを排除する」とすら望んだ。しかし他の公的リスク評価機関はIARCの意見には反対で、我々の研究が示そうとしたように、その矛盾は科学的には説明できない。一方でIARCは明確にイデオロギー的に中立性を欠き、一部のIARC専門家は米国でのグリホサートへの意見に関する不法行為を悪用した弁護士と経済的結びつきをもっている。欧州ではボランティアの尿の分析後この除草剤によって人々が汚染されているという主張が広がった。しかしそれらの活動家による運動が使った試験に信頼性がないことが確認されている。グリホサートの事例は信頼できる科学的当局が「小麦と毒麦」を区別する必要性を確認する。さらに、科学者を装った活動家団体の影響により公的リスク評価機関に疑問が生じることは政治的な当局によるリスク管理と人々の認識において問題となる。一部は科学的根拠の解釈に関与し、一部は研究者や科学的リスクの専門家にモンサントが影響を与えているとされることに注目しているジャーナリストが議論に加わるとさらに問題である。

PDF 68ページ

政治的意図をもって特定の結果を出そうとする科学を装ったものを"オルタサイエンスalterscience" 、パラレルサイエンスparallel "science"とよぶ、その代表としてフランスのCriigen(セラリーニのところ)やイタリアのRamazzini研究所をあげている。これらの関係者がIARCのグリホサート評価に関わったChristopher Portier。

報道に関してはLe Mondeの記事が多く取り上げられている

 

-DHSC

NHSの検査追跡はクリスマスの週に記録的数の人々に話をした

NHS Test and Trace told a record number of people to self-isolate over Christmas week

Published 7 January 2021

https://www.gov.uk/government/news/nhs-test-and-trace-told-a-record-number-of-people-to-self-isolate-over-christmas-week

12月24-30日の間、陽性者とその接触者684747人に自主隔離するよう話した

(successfullyとか言ってるけど、英国流の諧謔なの?)

 

-JARO

2020年度上半期の審査状況を発表

2020年12月7日

https://www.jaro.or.jp/news/20201207.html

総受付件数7,969件、コロナ下で苦情が大幅増

「デジタルコンテンツ等」「健康食品」が倍増

見解13件中、新設「厳重警告」を5件に適用

(厳重警告ほとんど健康食品。悪徳業者ばっかり。機能性表示食品制度で良くなったことなんかひとつもない、消費者被害を増やすのが消費者庁のやること?)