[ヘルスカナダ] 環境持続可能開発コミッショナーの2021年春の報告書へのヘルスカナダの反応
Health Canada responds to the Spring 2021 Report of the Commissioner of the Environment and Sustainable Development
April 22, 2021
(声明)
本日、環境持続可能開発コミッショナーは春の報告書を議題にし、ヘルスカナダのナチュラルヘルス製品計画に関する監査の結果を説明した。監査は消費者にとって安全で、効果があり、正確に説明されていることを保証するためにカナダで販売されるナチュラルヘルス製品に焦点を当てた。
カナダはナチュラルヘルス製品に関し世界で最も適切な規制システムをもつ国の1つであり、その基準のいくつかは最も厳しいものである。ヘルスカナダはカナダで販売されるナチュラルヘルス製品が安全で効果的であることを保証する重要性を認識する。
全体として、監査はナチュラルヘルス製品計画の強みと改善点の両方を確認した。ヘルスカナダが安全性と有効性のエビデンスに基づき、ナチュラルヘルス製品を適切に認可していることがわかった。監査はまた、ヘルスカナダが問題に気づくと対策が迅速にとられることも確認した。監査は、付け加えてCOVID-19パンデミック中のナチュラルヘルス製品である手指用消毒液をカナダ国民が入手できるよう供給を増やすヘルスカナダの対策も適切であったと証明した。カナダは平均して前年の6倍というこれらの製品の前例のない需要を経験した。
監査では改善すべき分野も確認した。ヘルスカナダはコミッショナーによるナチュラルヘルス製品の監視強化の助言を歓迎する。ヘルスカナダはすべての助言に対処するためにすでに取り組みを開始しており、品質、広告及び表示の監視強化を含めたナチュラルヘルス製品計画の強化への取り組みを加速させる対策をとっている。これには、カナダ国民が選択肢を知るための正確で信頼できる情報をもつことを保証するためのオンライン広告の監視の強化、恒久的な監査検査計画の開発に役立てることを目的とした検査パイロット計画の着手、製品表示が消費者にとって、明確で一貫したわかりやすい表示になるよう改善するための規制の提案、深刻な健康リスクが生じた場合、ヘルスカナダがカナダ国民の健康と安全性を保護するためのツールをもつ保証が含まれる。
ヘルスカナダの優先事項はカナダ国民の健康と安全である。多くのカナダ国民にとって、ナチュラルヘルス製品は健康的なライフスタイルを維持する重要な部分である。ヘルスカナダはカナダで販売される製品が安全で効果があることを保証するのに役立つようナチュラルヘルス製品計画の継続的な改善を約束する。
環境持続可能開発コミッショナーの2021年春の報告書
カナダ会計検査院
2021 Spring Reports of the Commissioner of the Environment and Sustainable Development
April 22, 2021
https://www.oag-bvg.gc.ca/internet/English/parl_cesd_202104_e_43798.html
「Report 2 ナチュラルヘルス製品—ヘルスカナダ」に関して
ニュースリリース
ヘルスカナダの監視は、ナチュラルヘルス製品が安全で効果があることを保証することに及ばなかった。
環境持続可能開発コミッショナーのJerry V. DeMarcoの報告は、ヘルスカナダはカナダで販売されるナチュラルヘルス製品が消費者にとって安全で、有効で正確に説明されていることを保証できていないと結論付ける。ナチュラルヘルス製品は特定の日焼け止め、歯磨き粉とシャンプー、ビタミンとミネラル、プロバイオティクス、ホメオパシーと伝統薬及びアルコールベースの手指用消毒液を含む。
監査は、ヘルスカナダは安全性と有効性のエビデンスを信頼して製品を認可するが、製造の監視と市販製品の監視が不十分であると確認した。例えば、ヘルスカナダは製品が市販前に基準に従い製造されているかの定期検査を実施していなかった。
また、監査は製品の市販後、ヘルスカナダは十分な監視をしていなかったと確認した。監査は88%に誤解を招く可能性がある製品広告を確認し、例えば、疲労軽減、耐久性向上あるいは脂肪燃焼;青年や成人にのみ認可されるのに3歳以上の子どもに推奨されるという誤った表示;医薬品成分の誤った用量といった製品表示があった。
最後にCOVID-19パンデミック中、ヘルスカナダは手指用消毒液のような製品の緊急需要に対応し、深刻な安全リスクの懸念を高めることなく、規制要件の一時的な免除により柔軟に対応した。また、COVID-19関連製品の監視も強化した。
環境持続可能開発コミッショナーの2021年報告書である、「報告書2―ナチュラルヘルス製品-ヘルスカナダ」はカナダ会計検査院のウェブサイトで閲覧できる。(https://www.oag-bvg.gc.ca/internet/English/parl_cesd_202104_02_e_43806.html)
詳細はメディアルーム(https://www.oag-bvg.gc.ca/internet/English/med_fs_e_45.html)
ひとめでわかるまとめ
「報告書2―ナチュラルヘルス製品-ヘルスカナダ」
監査理由
・ナチュラルヘルス製品が広く使用され、国民は製品が安全で、効果があり、適切に情報を与えられることを期待する。
・ヘルスカナダはナチュラルヘルス製品が表示通り安全で効果があることを保証するため、適正製造基準に従う施設での製造を確認する責任がある。
・安全でなく、消費者向け情報が正確かつ完全でない製品は販売されてはならない。
・パンデミック中は、ヘルスカナダが認可した製品を使用することが重要である。
監査結果
・ヘルスカナダはナチュラルヘルス製品が市販前に製造施設が適正製造基準に従っていることを必ずしも確認しなかった。
・ヘルスカナダはナチュラルヘルス製品の市販後は確認をせず、深刻な問題に必ずしもうまく対応しなかった。
・ヘルスカナダは製品表示情報と広告が製品ライセンスの条件を満たすか十分な監視をしなかった。
・ヘルスカナダはCOVID‑19関連のナチュラルヘルス製品に対し、効果的に対応した。
重要事実と数字
・2004年以降、ヘルスカナダは91,000件以上のナチュラルヘルス製品にライセンスを与えた。
・ヘルスカナダは製品が健康にとって深刻あるいは差し迫ったリスクを示す場合を含め、いかなる理由であろうとナチュラルヘルス製品のラベルの変更命令あるいは強制的な回収の権限がない。
・収集したナチュラルヘルス製品の88%は誤解を招く宣伝をされていて、56%は誤解を招く表示がされていた。
・2017から2019年の間、ヘルスカナダは766の有効なライセンスをもつ企業の約6%を調査し、46施設の約半分に有意な健康リスクを確認したため規制措置をとった。
助言の重要点
・ヘルスカナダは認可した市販のナチュラルヘルス製品に対し、インターネット上を含め、リスクベースのアプローチをとらなければならない。
・ヘルスカナダは検査の範囲と頻度を設定し、製品、施設及び追跡活動から生じる問題に関連するリスクを考えるリスクベースの監視と検査計画を作成しなければならない。
・ヘルスカナダは深刻な健康リスクの疑いのある製品の場合、カナダで製品が購入されないことを確認し、必要な情報を入手しなければならない。
助言と対応の全リストは以下。
(https://www.oag-bvg.gc.ca/internet/English/parl_cesd_202104_02_e_43806.html#hd2e)
国連の持続可能な開発目標「目標3:すべての人に健康と福祉を」
この監査は健康と福祉の目標、特に「すべての年齢層の健康的な生活を保証し、快適な福祉を促進する」必要性を支持する。
[ヘルスカナダ] リコール
Peace Naturals Project Inc.はCove CBDカンナビス抽出物を回収する
Peace Naturals Project Inc. recalls one lot of Cove CBD cannabis extract
April 23, 2021
https://www.healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2021/75423r-eng.php
Peace Naturals Project Inc.は製品にカンナビス量、包装日、ロットナンバー、内容量を含む情報の表示がないため、Cove CBDカンナビス抽出物を一部回収する。
[HK] 法令違反
-包装冷凍bigeye fishのサンプルにPonceau 4Rが検出され、食品表示規則に違反する
Sample of prepackaged frozen bigeye fish detected with Ponceau 4R and not in compliance with food label rules
Monday April 26, 2021
https://www.cfs.gov.hk/english/press/20210426_8634.html
食品安全センターと食品環境衛生署はベトナム産包装冷凍bigeye fishのサンプルに生及び未加工の状態の魚に許可されない着色剤Ponceau 4R(ポンソー4R)を検出したと発表した。
-菜心のサンプルに基準値超過の残留農薬
Pesticide residue exceeds legal limit in Choisum sample
Monday April 26, 2021
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20210426_8629.html
菜心サンプルにアセタミプリドが2.42 ppm検出された。
[ODS] ファクトシート更新
ビタミンC
Vitamin C
April 21, 2021
https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/supplements/vitamin-c/
COVID-19治療ガイドラインにて、高用量のビタミンC服用の効果について研究中であると情報更新。
ビタミンD
Vitamin D
April 21, 2021
https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/supplements/vitamin-d/
COVID-19治療ガイドラインにて、ビタミンDに関して情報更新。
亜鉛
Zinc
April 21, 2021
https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/supplements/zinc/
COVID-19治療ガイドラインにて、亜鉛に関して情報更新。臨床試験以外で、COVID-19予防のために食事推奨量以上の亜鉛を使用することは推奨されない。
[FSAI] FSAIはカンナビスを含む食用製品(菓子)に警告を発する
FSAI Issues Warning on Edible Products (Sweets) Containing Cannabis
Monday, 26 April 2021
https://www.fsai.ie/news_centre/press_releases/jelly_sweets_warning_26042021.html
FSAIはカンナビス成分を含むゼリー菓子のような食用製品に関連する危険性について消費者に警告を発した。カンナビスオイルを含む菓子を食べ、その副作用により入院する事例が少なくとも1件確認されている。
問題のお菓子はオンラインで購入されTHCが含まれることが警告されていた。THCは有害汚染物質で、どんな食品にも加えられるべきではない。EUではTHCは食品ではなくアイルランドでは規制対象薬物である。
[FSAI] トロパン・アルカロイドの可能性のためOrganic Millet Popsを一部回収措置
Recall of Some Batches of Organic Millet Pops due to the Possible Presence of Tropane Alkaloids
Friday, 23 April 2021
https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/Millet_Pops.html
Independent Irish Health Foods Ltdはトロパン・アルカロイドの可能性のためオランダ産Organic Millet Pops(きびポップ)を一部回収措置。製品写真有。
[FSA] 食品飼料の安全(諸修正)規則(北アイルランド)2021に関する意見募集
Consultation on The Food and Feed Hygiene and Safety (Miscellaneous Amendments) Regulations (Northern Ireland) 2021
18 April 2021
食品飼料法の適用を保証するための公的管理とその他公的活動、北アイルランドで適用される食品飼料衛生及び安全法の技術的修正、北アイルランド国内法の修正の実施による影響の評価に関連する北アイルランド国内法の提案された修正にステークホルダーの意見を募集する。
[FAO]新しいFAOの出版物:オーガニック食品-それはより安全か?
New FAO publication: Organic foods – Are they safer?
31/03/2021
http://www.fao.org/food-safety/news/news-details/en/c/1392279/
オーガニック食品はしばしば消費者から健康的で美味しくて環境に優しいと見なされるが、有機認証は必ずしも安全な食品と同義ではない。オーガニックはその製品がある種の基準に従って作られたことを指し、最終製品の性質や特徴のことではない。
2021年3月にFAOアジア太平洋地域事務局は「オーガニック食品-それはより安全か?」と題する小冊子を発表した。
オーガニックラベルは合成肥料や農薬の使用を禁止あるいは制限する規則に則り、それは消費者にとって魅力的な特徴の一つだが、植物が合成した農薬は使用できるし、それらも高用量ではヒト健康に有害影響があるかもしれない。既存の有機認証に食品安全対策を含めることと有機農業は安全な食品の同義語ではないことを啓発することが、賢明な食品選択推進の重要な一歩である。食品の安全性を保証しつつ有機農業を実施するにはどうすればいいのかの事例がこの小冊子に含まれる
http://www.fao.org/3/cb2870en/cb2870en.pdf
(東南アジアに欧州の「理想の農業」を押しつけても無意味なのに代弁者が不足している不幸)
[EU]バーチャルイベント告知
精神保健とパンデミック:生活する、ケアする、行動する!
Mental health and the pandemic: living, caring, acting!
https://ec.europa.eu/health/non_communicable_diseases/events/ev_20210510_en
2021年5月10日
COVID-19によって定義される世界で生き、このパンデミック時代にケアを提供するというのは何を意味するのか?
2021年欧州メンタルヘルス啓発週間に行われるバーチャルイベントでは、5つのテーマ-理解する・生きる・ケアする・対応する・行動する-に沿ってCOVID-19のメンタルヘルスへの影響に光をあてる
[FTC]FTCは議会でCOVID-19詐欺を抑制するためのFTCの仕事について証言し、消費者にパンデミック関連詐欺やごまかしについて警告する
FTC Testifies before Congress on its Work to Curb COVID-19 Scams and Warn Consumers about Pandemic-related Frauds, Cons, and Swindles
上院商業委員会の消費者保護、製品安全性、データセキュリティ小委員会で証言
[IARC]動画:Partha Basu博士がHPV予防接種の重要性について話す
Video: Dr Partha Basu on the importance of HPV vaccination
27 April 2021
https://www.iarc.who.int/news-events/video-dr-partha-basu-on-the-importance-of-hpv-vaccination/
[ProMED]原因不明の死亡、ハゲワシ、イヌ-ネパール:(パラシ)中毒疑い、情報求む
Undiagnosed deaths, vulture, dog - Nepal: (PA) poisoning susp, RFI
2021-04-27
https://promedmail.org/promed-post/?id=8331406
Date: Tue 27 Apr 2021 08:11 NPT Source: Katmandu Post [edited]
パラシ地方Jitpur of Ramgram Municipality Ward No. 4で2021年4月21日にいろいろな種類のハゲワシ67羽が池の近くで死んでいるのが発見された。死因を調査中。
ハゲワシの死んでいたところにイヌの遺骸があって、予備的調査では中毒死したイヌの死体を食べたハゲワシが死んだことを示す。検体をカトマンズに送って調べている
地元では野犬の駆除作戦は行っていない
[USDA]USDAは遺伝子組換えを用いて開発したトウモロコシの規制解除のための環境影響声明を準備する意向通知にパブリックコメント募集
USDA Seeks Public Input on Notice of Intent to Prepare an Environmental Impact Statement for Deregulation of Maize Developed Using Genetic Engineering
Apr 27, 2021
ジカンバ、グルホシネート、キザロホップ、2,4-D、組織特異的グリホサート耐性を持つように改変された、ハイブリッド種子生産用トウモロコシ品種MON 87429について、2021年5月28日まで意見募集
NZ EPA
グリホサート:情報要請
Glyphosate: Call for information
https://www.epa.govt.nz/public-consultations/open-consultations/glyphosate-call-for-information/
我々はニュージーランドでの除草剤グリホサートの使用に関する情報を求める。これはグリホサートの使用を巡る規則を変更するかどうかを決めるためのごく最初の段階である。
グリホサートについて
・1970年代からニュージーランドで使われている除草剤
・よく使われていて多くの農業用および消費者用製品の有効成分
・家庭菜園、農家、地域評議会で使われている
・指示と規則に従って使えば安全
求める情報は
・現在の使用やそのベネフィット
・製品の有効性や有害事象、毒性に関する根拠
・いろいろな地域でどう使われているか
・グリホサート製品に関するあなたの見解
2021年8月27日まで
論文
-石油産業労働者とオイル生産コミュニティ住人のがんの発生率と死亡率:系統的レビューとメタ解析
IARC
Cancer incidence and mortality among petroleum industry workers and residents living in oil producing communities: a systematic review and meta-analysis
28 April 2021
International Journal of Environmental Research and Public Health
いくつかのがんとの関連が報告されている
-家庭のエアロゾルが今や全ての英国の乗り物より有害なスモッグ化合物を放出する
Household aerosols now release more harmful smog chemicals than all UK vehicles
27-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uoy-han042721.php
Elementa: Science of the Anthropoceneに発表された揮発性有機化合物(VOC)大気汚染の研究。1990年代と2000年代は英国のVOCの最大の発生源はガソリン車と燃料だった。しかし今では個人が使うパーソナルケア製品のスプレー缶に使われているものが最大になった。高所得国では一人あたり年間平均10缶を使う。それらスプレーを例えば塗るタイプに代えることが推奨される
-代用肉は草食動物資源依存を抑制しない
Alternative meats are not suppressing reliance on grazing animal sources
26-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uoo-ama042621.php
オレゴン大学の社会学者が世界のデータを検討して、新たな肉源は摂取量が増えることにつながり環境負荷の高い肉の生産は続くことを発見
Nature Sustainability
魚と家禽の生産を増やしても牛肉の消費は減らないだろうという研究
(鶏肉はあまり代用肉って言わないような?アメリカ人はチキン食べても肉は食べていないと言うの?)
-消費者をグリーンになるよう説得する
Persuading consumers to go green
26-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uoh-pct042621.php
研究が、顧客の環境に優しい行動を増やすために事業者のメッセージをより効果的にする方法を同定 Psychology & Marketing
ホテルのタオルの再使用、見た目の悪い野菜の購入などを促すためのメッセージについて
(レストランが、この料理は見た目の悪い野菜で作りました、ってわざわざ言う?)
-クラーケンの謎を解く先駆的技術
The pioneering technology that is uncovering the mysteries of the 'Kraken'
27-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/orc-tpt042721.php
地球上で最大の深海イカを映像に残すカギは、この生き物の目についての知識だった
日本語翻訳つきTEDトーク
エディス・ウィダー: いかにして巨大イカを見つけたか
https://www.youtube.com/watch?v=rXkOPv3wVZw
Nature
-ワールドビュー: COVIDワクチン:反ワクチン攻撃に立ち向かう時
COVID vaccines: time to confront anti-vax aggression
27 APRIL 2021 Peter Hotez
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01084-x
コロナウイルスの拡大を止めるには新たな破壊攻撃へのハイレベルな反撃が必要だろう
6ヶ月もかからずに約10億回分のCOVID-19ワクチンが配られたが、反ワクチンデマと科学者を標的にした攻撃が進捗を阻害している。これらの脅威には直接立ち向かわなければならないが、医療コミュニティの専門家や当局だけでは十分でない
私はこれまで多くの米国の公衆衛生の同僚と意見が異なってきた。私は彼らの疾病予防への関与は尊敬しているが、反ワクチン攻撃ににはもっと直接対抗すべきだと言うと反対されてきた。しかし今や反ワクチン勢力は数百のウェブサイトと5800万人のソーシャルメディアフォローワーの帝国を築いている。悪い奴らが勝っている。メッセージだけでは不十分だ
(一部のみ。日本のHPVのように、メディアがほぼ反ワクチンだと負けしかない)
-ニュース:「我々は無視されている」:ブラジルの研究者らは壊滅的なCOVID急増の原因として反科学政府を非難する
‘We are being ignored’: Brazil’s researchers blame anti-science government for devastating COVID surge
27 APRIL 2021 Luke Taylor
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01031-w
Jair Bolsonaro大統領の政権はこの大規模な公衆衛生の危機の間、科学を損なってきたと研究者らはいう
ブラジルがCOVID-19の最初の患者を検出してから一年以上経って、これまでで最も深刻な事態に直面している。研究者らは最近の急増に打ちのめされ、政府が科学に基づかない対応をしたせいだという。「ブラジルで科学者でいることは悲しく不満が溜まることだ」と疫学者のJesem Orellanaはいう。「死者の半分は予防できた」
ブラジルのこれまでの死者は389000人で、世界全体の13%を占める。世界人口に占める割合は3%以下なのに。
Bolsonaro政権は、根拠のない治療法の宣伝も含めて、パンデミック中に何度も科学的助言に反してきた。
Scienceニュース
-フロリダの私立学校がCOVID-19ワクチンを受けようとする教師の職を脅かす
Florida private school threatens jobs of teachers who seek COVID-19 vaccines
By Meredith WadmanApr. 26, 2021 ,
多くの大学が学生や職員に、秋に学校に戻る前にCOVID-19ワクチンを受けるよう要求しているが、フロリダの幼稚園前から8年生までの私立学校が逆をいくとThe New York Timesが報道した。この学校は先週教師たちに、予防接種を受けた人が学生にとって危険だという理由でワクチンを受けてはならないと語った。もしもCOVID-19予防接種を受けたら秋に学校には戻れない、とマイアミのCentner Academyの共同設立者Leila Centner(写真)が職員に伝えた。既に予防接種した人は学校では生徒から離す、と手紙にある
ScienceはCentnerがこの学校の270人の学生の両親宛に同様の手紙を送ったことに警戒を覚えた。Centnerは夫である技術起業家David Centnerとともにこの学校を作った。
(手紙はワクチン接種した人の側にいるだけで流産や生理不順になると主張)
-コロナウイルス検査をしてパーティーに参加する:オランダの実験的大規模イベントが反発を招く
Get your coronavirus test, join the party: Experimental mass events in the Netherlands draw fire
By Jop de VriezeApr. 27, 2021
度を超えたパフォーマンスといかれた衣装で知られるEurovision Song Contestが今年新しい機能を得た:COVID-19パンデミックの最中にコンサートなどのイベントが安全に開催できるかどうかの大規模野外実験の会場となる。オランダのロッテルダムで5月18-22日に開催される9つのリハーサルとテレビ中継のあるショーに、それぞれSARS-CoV-2 検査陰性の3500人が参加する。入場を認められた人たちは距離をとらずフェイスマスクなしを選ぶことができる-現在オランダでは屋内公共スペースでは義務になっている。オランダはまだほとんど人はワクチンを接種していない。
このコンテストはオランダ政府と科学者とイベント業界が計画した20の実験的イベントFieldlabの最後となるものである。しかしFieldlabはオランダのCOVID-19感染者数が急増する中で規模を拡大してきたため批判の的となっている。4月24日の1万人の音楽フェスティバルは、反対署名が30万以上集まって開催市であるBredaによって禁止された。そして先週は350人以上の研究者がこの研究を文書で批判した、ピアレビューがなく経緯が不透明で倫理的に問題があると。「科学研究の基本的条件や基準が満たされていないようだ」と著者は書く。
Fieldlabの目的は「参加者、イベント開催者、管理者にとって許容できるリスクを決めること」であるとこの研究に関与しているDelft工科大学の安全保障研究者Bas Kolenはいう。最初のふたつのイベントは500人参加の劇場でのショーとビジネス会議で、2月に行われた。その際研究者らは当時のウイルスの状況とイベント前の検査と換気などの対策から、感染リスクは10万人1時間あたり1と計算した。自宅にいるときと同じ程度である。それから5000人のファンを集めたサッカーの試合のようなより大規模なイベントが続いた。
この研究は医学研究の法的定義を満たさないので医学倫理委員会による認可を必要としない。しかし公開文書の著者等はFieldlabは社会および行動科学の研究のための倫理ガイドラインに従うべきだったという。そのガイドラインでは参加者に情報を与えた上での同意の確認や研究者は個人や社会に与える不利益の可能性について評価することを要求している。「行動科学者が一人も参加していない。参加していたらこんなふうにはならなかっただろう」とアムステルダム大学の心理学者Denny Borsboomはいう。このプロジェクトを率いるRadboud大学の感染症専門家Andreas Vossは、社会科学のガイドラインは義務ではなくチケットには条件が記載されていたという。
批判者はさらにFieldlabによるイベントは全体として安全だとの主張にも疑問を提示する。参加者はイベントの5日後に二回目のCOVID-19検査を受けるよう求められるが、少なくとも25人は陽性だった。しかしほとんどの場合それがイベントで感染したのかどうかはわからない。Fieldlabのリスクの測定は感染者数ではなく、イベントの際に記録した換気や人々の行動を取り入れたモデルによる予想である。モデルには多くの仮定があり限界がある。
Fieldlabのチームは批判に反応してプロトコールやリスクモデルの詳細を公表した。集めたデータはモデラーにとって役に立つだろうと価値を認める科学者もいる。
Eurovisionが観客を迎えるかどうかは現時点では不明
その他
SMC NZ
グリホサートに意見募集-専門家の反応
Input on glyphosate sought – Expert Reaction
Published: 28 April 2021
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/04/28/input-on-glyphosate-sought-expert-reaction/
EPAによる新しいパブリックコメント募集で、企業や一般から除草剤グリホサートの使用についての情報が求められている
グリホサートはラウンドアップのような除草剤に使われているがその環境と健康への影響の可能性について議論がある。
EPAの立場は、オーストラリア、カナダ、米国およびEU同様に、使用規則に従って使えば安全というものである。欧州では現在グリホサートの使用についてレビューが行われている
SMCは専門家のコメントを求めた
環境科学研究所(ESR)飲料水技術部長毒性機序学者Belinda Cridge博士
毒性学者としてグリホサートの毒性に重大な懸念はもっていないがこのような情報提供の呼びかけは歓迎する。我々の化学物質への理解は時間とともに発展し、EPAは常に現在の文献、知識、社会的受容について再評価し続ける責務がある
Canterbury大学毒性学教授Ian Shaw教授
私はEPAが農薬再評価にグリホサートを入れなかったことに驚いた。情報提供要求は、少なくとも関心があることを示すので励みになる。
私の見解はグリホサートのヒトや環境への短期影響は無視できる可能性が高いが長期影響についてはデータが足りない、というものである。しかし入手可能なデータからは長期環境影響と適切な保護具を使用しない労働者への影響を指摘する。一方最近の蜂蜜への残留報道は消費者の健康に負の影響があることはありそうにない。
Otago大学Hugh Adamがん疫学ユニット長Brian Cox准教授
EPAがグリホサートの使用時の暴露をレビューするには適切である。
Massey大学雑草科学上級講師Kerry Harrington博士
欧州のグリホサートを巡る方針が事実ではなく一般人の認識によって左右されているようであるのは心配だ。世界中のほとんどの毒性学者はグリホサートがヒトがんの原因とはなりそうにないということに合意している。
もしグリホサートの使用が禁止されたら、その代用品は有効性が低いあるいは環境への害がグリホサートより大きいだろう。グリホサートの農業での使用は不耕起栽培を可能にし土壌の浸食を減らしてきた。他の除草剤では代替できない。地方も雑草管理が困難になるだろう。NZ EPAがこの機会にニュージーランドでのグリホサートの使用継続が正しいことを再確認することを期待する。
-遺伝子組換え栗が反バイオテクノロジー環境保護主義者を引き裂く
GMO Chestnuts Splinter Anti-biotech Environmentalists
Mar 17, 2021 Emma Kovak
https://thebreakthrough.org/issues/food/gmo-chestnut-trees
かつてアメリカの森で優勢だったアメリカグリは、過去一世紀で真菌による胴枯れ病でほぼ根絶された。しかし遺伝子組換えでこれらの木に病気への耐性を与え復活させることができる。歴史的には、環境保護運動の中では遺伝子組換えへの反対が、組換え技術を保全のための道具として使うことを阻んできた。だからSierraマガジンで遺伝子組換え木への期待を綴ったエッセイを読むとは思わなかった。Sierra Clubは遺伝子組換えアメリカグリに賛成する。これまでSierra Clubは全ての遺伝子組換え生物の放出に反対していたにも関わらず。
(保全が目的の人と反対運動が目的の人はここで分かれる)