2021-03-11

[EFSA]意見等

食品中のヘキサブロモシクロドデカン(HBCDDs)のリスク評価更新

Update of the risk assessment of hexabromocyclododecanes (HBCDDs) in food

EFSA Journal 2021;19(19):6421  8 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6421

欧州委員会は、食品中のヘキサブロモシクロドデカン(HBCDDs)の2011年のリスク評価を更新するようEFSAに依頼した。主に立体異性体α-, β-およびγ-HBCDDの混合物であるHBCDDsは、広く使用される難燃添加剤だった。環境、食品、ヒトの中のHBCDDsの存在により懸念が生じている。毒性の主な標的は、神経発達、肝臓、甲状腺ホルモン、生殖及び免疫系である。CONTAMパネルは、マウスの行動に関する神経発達影響がクリティカル影響と見なすことができると結論した。マウスの自発行動への影響に基づいて、パネルは、身体負荷量0.75 mg/kg bwに相当する基準点として、最小毒性量(LOAEL) 0.9 mg/kg 体重 (bw)を同定した。ヒトで同じ身体負荷量になる可能性がある慢性摂取量は2.35 μg/kg bw /日と算出された。健康影響に基づく指標値(HBGV)の導出は適切でないと見なされた。代わりに、起こりうる健康上の懸念を評価するために暴露マージン(MOE)アプローチが適用された。6,000以上の食品中のHBCDDsの分析結果が、食事調査と欧州人の年齢グループ全体の暴露を推定するのに使用された。HBCDDsに対する慢性食事LB暴露への最も重要な寄与は、魚肉、卵、家畜肉及び家禽だった。CONTAMパネルは、結果として生じたMOE値は欧州諸国全体のHBCDDsへの現在の食事暴露は健康上の懸念を生じないという結論を裏付けたと結論した。例外は、ミルク摂取量の多い母乳を与えられた乳児で、最小MOE値では健康上の懸念を生じる可能性がある。

(注:母乳摂取量の多い乳児が最も高濃度の母乳を飲む場合の最も小さいMOEの値が21。この場合MOEは24以上なら懸念とはならない値)

 

-燻製香料一次製品に関する申請書作成のための行政ガイダンス

Administrative guidance for the preparation of applications on smoke flavouring primary products

EFSA Journal 2021;18(18):EN-6485 5 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-6485

この文書ではEFSAに評価されるべき燻製香料一次製品の申請を提出する申請者へのガイダンスを提供している。

 

-多年生及び一年生作物用土壌の植物保護製品(PPP)の予測環境濃度(PEC)を算出するためのソフトウェアツール:不具合修正と更新報告

Software tool for calculating the predicted environmental concentrations (PEC) of plant protection products (PPP) in soil for permanent and annual crops: Bug fixing & update report

EFSA Journal 2021;18(18):EN-6484 5 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-6484

PERSAMはEFSAが委託した土壌の植物保護製品(PPPs)の予測環境濃度のためのソフトウェアツールである。このPERSAMツールは2013年に最初に開始された。土壌中のPPPsの予測環境濃度のためのEFSAのガイダンス文書(2017)を支持して、PERSAMソフトウェアツールは土壌のPPPsの予測環境濃度を算出するために更新された。このコンピューター化されたツールは、欧州議会理事会規則(EC) 1107/2009により申請者やリスク評価者がPPPsや変換製品の評価に使用できるように公表される。

 

-遺伝子組換えBacillus subtilis DP‐Ezm28株由来食品酵素エンド-1,3(4)-β-グルカナーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme endo‐1,3(4)‐β‐glucanase from the genetically modified Bacillus subtilis strain DP‐Ezm28

EFSA Journal 2021;19(19):6431 4 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6431

この食品酵素エンド-1,3(4)-β-グルカナーゼ(3(or 4)-β-d-グルカン 3(4)‐グルカノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.6)は、Danisco US Inc社が遺伝子組換えBacillus subtilis DP‐Ezm28株で生産した。この遺伝子組換えに安全上の懸念は生じない。この食品酵素の生産株には既知の抗菌剤耐性遺伝子の複数のコピーが含まれている。だが、この食品酵素にこの生産生物の生きた細胞やDNAがないことに基づき、これはリスクとは見なされない。この食品酵素は蒸留アルコール生産や醸造工程での使用を意図している。総有機固形物(TOS)の残留量は蒸留で除去されるため、食事暴露は醸造工程にのみ算出された。醸造工程に推奨される最大使用量や、EFSAの包括的欧州食品データベースの個別データに基づき、この食品酵素への食事暴露―総有機固形物量は、欧州人で最大0.183 mg TOS/kg 体重 (bw) /日と推定された。遺伝毒性試験は安全上の懸念を示さなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を調べた最大量1,000 mg TOS/kg bw /日と同定し、推定食事曝露量と比較すると、暴露マージンは少なくとも5464となった。既知のアレルゲンに対するアミノ酸配列の類似性が調査され、2件の一致が見つかった。パネルは、意図した使用条件で、この食品酵素への食事暴露のアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、そのような可能性は低いと考えた。提出されたデータに基づき、パネルは、この食品酵素は意図した使用条件で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-2020年の食品及び飼料中のナノテクノロジーのリスク評価のEFSAの科学的ネットワークの年次報告書

Annual report of the EFSA Scientific Network of Risk Assessment of Nanotechnologies in Food and Feed for 2020

EFSA Journal 2021;18(18):EN-6502 4 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-6502

食品及び飼料中のナノテクノロジーのリスク評価の科学的ネットワーク(ナノネットワーク)は、加盟国との協力やネットワーク構築のための戦略に従って、EFSAのアドバイザリーフォーラムに2010年に設立された。このナノネットワークではEFSAと加盟国間の情報や見解を交換する。メンバー間の対話を強化し、リスク評価の原則の相互理解を築き、EUで実施される科学的評価の知見や信頼を向上し、EFSAとの間のプロセスの透明性を高める。ナノネットワークの年次報告書は、ナノネットワークの特定の活動や成果を、一般人、関係者、研究団体に情報提供する。2020年には、ナノテクノロジーに関するEFSAの分野横断的作業グループの第17回会議に伴い年次総会が開催され、コロナウイルス感染リスクを削減するためにEFSAが確立した対策に沿ったバーチャルネットワーク会議に形を変えた。この年次総会の目的は、現在行っている活動や将来の研究の優先事項について欧州加盟国のリスク評価の代表者らと情報や知識の交換を確実にすることだった。ナノネットワークのメンバーは、現在最終化中の、ナノテクノロジー分野でEFSAが作成したガイダンス文書の最新の更新を通知された。このネットワークはこのガイダンスの最終化への寄与、今後の実行や普及を依頼された。

 

[EFSA]飼料添加物

-産卵鶏用、マイナー家禽種産卵用、交配目的の家禽種用、鑑賞鳥用Bacillus licheniformis DSM 28710株 (B‐Act®)からなる飼料添加物の安全性と有効性(HuvePharma N.V.)

Safety and efficacy of the feed additive consisting of Bacillus licheniformis DSM 28710 (B‐Act®) for laying hens, minor poultry species for laying, poultry species for breeding purposes and ornamental birds (HuvePharma N.V.)

EFSA Journal 2021;19(19):6449 8 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6449

 

-鶏肥育用、産卵鶏育成用、七面鳥肥育用、七面鳥交配のための育成用、マイナー家禽種(産卵鶏を除く)、子豚(哺乳及び離乳)及びマイナー豚種用Clostridium butyricum FERM BP‐2789株 (Miya‐Gold® S)からなる飼料添加物の安全性と有効性(Miyarisan Pharmaceutical Co. Ltd.)

Safety and efficacy of the feed additive consisting of Clostridium butyricum FERM BP‐2789 (Miya‐Gold® S) for chickens for fattening, chickens reared for laying, turkeys for fattening, turkeys reared for breeding, minor avian species (excluding laying birds), piglets (suckling and weaned) and minor porcine species (Miyarisan Pharmaceutical Co. Ltd.)

EFSA Journal 2021;19(19):6450 8 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6450

 

-すべての動物種用リジン及びグルタミン酸のマンガンキレートからなる飼料添加物の安全性と有効性(Zinpro Animal Nutrition)

Safety of the feed additive consisting of manganese chelates of lysine and glutamic acid for all animal species (Zinpro Animal Nutrition)

EFSA Journal 2021;19(19):6454 8 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6454

 

-ネコとイヌに使用するためのPlantago ovata Forssk.の種子殻からなる飼料添加物の安全性と有効性(C.I.A.M.)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of the seed husk of Plantago ovata Forssk. for use in cats and dogs (C.I.A.M.)

EFSA Journal 2021;19(19):6445 8 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6445

 

-離乳子豚に使用するためにTrichoderma reesei DSM 32338株 (Balancius™)で生産したムラミダーゼからなる飼料添加物の安全性と有効性(DSM Nutritional products Ltd)

Safety and efficacy of the additive consisting of muramidase produced by Trichoderma reesei DSM 32338 (Balancius™) for use in weaned piglets (DSM Nutritional products Ltd)

EFSA Journal 2021;19(19):6452 8 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6452

 

-すべての動物種用Escherichia coli KCCM 80210株で生産したl‐トリプトファンからなる飼料添加物の安全性と有効性(Daesang Europe BV)

Safety and efficacy of the feed additive consisting of l‐tryptophan produced by Escherichia coli KCCM 80210 for all animal species (Daesang Europe BV)

EFSA Journal 2021;19(19):6425  8 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6425

 

-鶏肥育用Bacillus licheniformis DSM 19670株で生産したセリンプロテアーゼからなる飼料添加物 (Ronozyme® ProAct)の安全性と有効性(DSM Nutritional Products Ltd.)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of serine protease produced by Bacillus licheniformis DSM 19670 (Ronozyme® ProAct) for chickens for fattening (DSM Nutritional Products Ltd.)

EFSA Journal 2021;19(19):6448 5 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6448

 

-哺乳及び離乳子豚とマイナー豚種用クエン酸第一鉄キレート(CI‐FER™)からなる飼料添加物の使用者の安全性(Akeso Biomedical, Inc.)

Safety for the user of the feed additive consisting of ferric citrate chelate (CI‐FER™) for suckling and weaned piglets and minor porcine species (Akeso Biomedical, Inc.)

EFSA Journal 2021;19(19):6455  5 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6455

 

-子豚とすべての豚種に利益をもたらすためにBacillus subtilis LMG S‐15136株で生産したエンド-1,4-β-キシラナーゼを含む飼料添加物(Belfeed B MP/ML)の安全性と有効性(Beldem, Puratos NVの事業)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of endo‐1,4‐β‐xylanase produced by Bacillus subtilis LMG S‐15136 (Belfeed B MP/ML) for sows in order to have benefits in piglets and for all porcine species (Beldem, a division of Puratos NV)

EFSA Journal 2021;19(19):6456 5 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6456

 

[HK] 法令違反

地元の豚の組織のサンプルから基準値超過の動物用残留医薬品の検出

Tissue samples from local pigs detected with veterinary drug residues exceeding the legal limit

10 Mar 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20210310_8558.html

豚2頭の肝臓組織のサンプルからエンロフロキサシンがそれぞれ320μg/kg、470μg/kg検出された。

 

[ヘルスカナダ]リコール

Seafood City SupermarketブランドYellow Walking Fish Clariasはロイコマラカイトグリーンのため回収措置

Seafood City Supermarket brand Yellow Walking Fish Clarias recalled due to leucomalachite green

March 8, 2021

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/inspection/2021/75091r-eng.php

 

[FSA] FSA理事会:2021年3月9日

FSA Board Meeting: 9 March 2021

8 March 2021

https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-board-meeting-9-march-2021

FSA理事会がオンラインで行われる。科学評議会からの年次報告、FSAの欧州連合移行進捗、戦略的リスクマネジメントに関して。

 

[FDA]警告文書

- Cannafyl

MARCH 01, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cannafyl-611957-03012021

未承認の医薬品、不正表示、不純品の問題。CBD成分の製品を含む。

 

[FDA]消費者情報 薬と運転を組み合わせないこと

Some Medicines and Driving Don’t Mix

03/09/2021

https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/some-medicines-and-driving-dont-mix

処方薬、非処方薬を服用中の副作用による運転の危険性についてFDAは注意を呼びかける。

 

[FDA]FSMA(食品安全強化法)農産物安全最終規則

FSMA Final Rule on Produce Safety

03/11/2021

https://www.fda.gov/food/food-safety-modernization-act-fsma/fsma-final-rule-produce-safety

FSMA(食品安全強化法)の農産物安全規則が中国語、ポルトガル語及びスペイン語で閲覧可能になる。

 

[ANSES]イベントレビュー-「科学的専門性の信頼と公共意思決定に関する国際シンポジウム

Event review – International symposium on "Credibility of scientific expertise and public decision-making"

03/03/2021

https://www.anses.fr/en/content/event-review-%E2%80%93-international-symposium-credibility-scientific-expertise-and-public-decision

2021年1-2月に開催されたオンラインイベント

インタラクティブプログラム

https://www.anses.fr/fr/system/files/ANSES2021-OnLineprogrammeGB.pdf

(演題がYoutube動画にリンク)

 

[ASA]補完代替療法の宣伝

Advertising complementary and alternative medicine and therapies

CAP News 11 Mar 2021

https://www.asa.org.uk/news/advertising-complementary-and-alternative-medicine-and-therapies.html

本流の医療と協力して、補完療法は個人の幸福感を支援するのに役立ち、多くの人が選んでいる。しかしそのようなサービスを宣伝する場合には、プラクティショナーはその治療法の有効性についてのどんな主張でもしっかりした臨床的根拠があることに注意しなければならない。ここにいくつかのTIPSを記す。

気分が良い!

レイキからアロマセラピーまで、多くの補完療法がある。プラクティショナーはしばしばスピリチュアルでエモーショナルなベネフィットを宣伝する。リラックスする、心を落ち着かせる、自意識を改善する、といった主張は、有効性に関する客観的主張にならなければ許容される可能性が高い。

根拠から明白

他のどんな宣伝でも同様だが、補完療法の有効性に関する全てのクレームにはしっかりした頑健な根拠がなければならない。オステオパシーのような一部の療法は法令によって規制されている。しかしその他の療法は同程度の根拠が無く、そのためプラクティショナーは療法についての主張には注意しなければならない。例えば不妊や頭痛、不眠、不安、筋骨格の問題に役立つという鍼の広告に対して、我々は誤解を招くもので十分な根拠が無いと判断した

重大な病気には重大な要件

健康上の問題に直面したとき補完療法に頼る人もいる。しかし適切な資格の無いプラクティショナーが、重大な病気を広告で宣伝してはならない。必須の治療を求めなくなる可能性があるからだ。例えばホメオパシーがマラリアやCoxsackie Bウイルス感染に使えると宣伝していた“Silent Healing” CD の広告は、適切な医療を受けることを阻止すると判断された。他に通常宣伝に使ってはならない病気には、関節炎、鬱、糖尿病、不妊、性的不能などがある。

 

[ASA]広告でロイヤルファミリーを参照する際の典型的な(女王必携?)ガイド

The Queen-tessential guide to referring to the Royal Family in ads

CAP News 11 Mar 2021

https://www.asa.org.uk/news/the-queen-tessential-guide-to-referring-to-the-royal-family-in-ads.html

宣伝業者は宣伝をロイヤルファミリーや王室行事に結びつけたくなるかもしれないが、規則に注意。事前承諾なしに王室一家に言及あるいは示すことは限られた場合しかできない。

女王の誕生日おめでとうというような一般的言及は許容できるだろうが、王室御用達のような宣伝はできない。

 

論文

-医療の専門家はCOVID フェイクニュース検出能力は学生と変わらない

Healthcare professionals no better than students at detecting COVID fake news stories

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/p-hpn030321.php

Infodemics: Do healthcare professionals detect corona-related false news stories better than students?

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0247517

ドイツでの調査

 

-ソフトドリンクからの砂糖摂取は英国砂糖税1年以内に減少

Consumption of sugar from soft drinks falls within a year of UK sugar tax

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/b-cos030821.php

BMJ。ソフトドリンク全体の販売は減っていない。ソフトドリンク由来の砂糖の購入が家一週間あたり約30g減っている。従って砂糖税は意図した効果をあげている。

(真の目標は子どもの肥満を減らす、だけれど。)

 

-若い人々の精神衛生へのパンデミックの影響に警告

Warning over effects of pandemic on young people's mental health

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/b-woe030821.php

BMJのエディトリアル

covid-19が子どもや若い人々に不釣り合いに大きな不利益を与えないように緊急対応が必要である。

(若い人を犠牲にして高齢者を助けているので)

 

-一部のCOVID-19ワクチンのmRNA分子の完全性についての懸念

Concerns over integrity of mRNA molecules in some COVID-19 vaccines

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/b-coi030821.php

知見は製造工程の脆弱性を強調するが企業は情報を公開しない

BMJ特別報告。

12月のサイバー攻撃でEMAからリークされた文書がPfizer-BioNTechのcovid-19ワクチンの初期の一部バッチの無傷のmRNA分子が予想していたより少なかったことを示す。EMAの高官がPfizerに指摘していた。結局EMAは認可したが、この疑問にどう満足したのかわからない。BMJはワクチン製造企業と規制機関に対してmRNAの完全性は何%なら許容できると考えているのか尋ねたが回答はない

(ワクチン反対陰謀論に悪意をもって使われる可能性があるので紹介。単に経験が無くわからないだけでは)

 

-胎盤は遺伝的欠陥のゴミ捨て場である

Placenta is a dumping ground for genetic defects

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/wtsi-pia030921.php

Natureに発表された42の胎盤の異なる場所からの86の生検と106の顕微切断切片の全ゲノム配列決定。各生検は遺伝的に異なるクローン性増殖であり、小児がんによく見られる突然変異を多数もつ。胎盤は他のヒトのどの組織とも異なりむしろ腫瘍のパッチワークに近い。

(「プラセンタ」を有り難がっている美容業界に届くかな?)

 

-健康的な植物ベースの食事は脳卒中リスクの低いことに関連

Healthy plant-based diet associated with lower stroke risk

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/htcs-hpd030921.php

Neurologyに発表されたNurses' Health Study, Nurses' Health Study II,および Health Professionals Follow-Up Studyの209508人の男女のデータの解析。

「健康的な植物ベースの食事」は葉物野菜、全粒穀物、豆が多く精製穀物、じゃがいも、添加された糖が少ない食事と定義。健康的な植物ベースの食事は脳卒中リスク全体の10%低下と関連。

(ジャガイモが質の低い食品扱いされていてかわいそう)

 

-毒の抽出とエキゾチックペットの取引が蠍の絶滅を加速するかもしれない

Venom-extraction and exotic pet trade may hasten the extinction of scorpions

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/uot-vae031021.php

蠍毒素の生命医学研究への関心が高まり、アマチュアサソリ毒抽出ビジネスが流行している。蠍は現在2500以上の種類がいいるが有毒なのはわずか50種で、毎年200人ほどが蠍の毒で死亡している。サソリ毒への関心から違法蠍農場やハンターが活動している。例えばイランのソーシャルメディアで蠍毒は1Lあたり1000万ドルと宣伝されていた。その結果絶滅が危惧される。蠍はわかっていないことが多く保護のためにも研究が必要である

Arachnologische Mitteilungen: Arachnology Letters

 

-大麻、フェンタニル生産コストの急激な減少が広範な使用、依存の変化を促進するだろう

Sharp reductions in costs of producing cannabis, fentanyl likely to spur widespread changes in use, dependence

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/cmu-hri031021.php

International Journal of Drug Policyに発表された解析。大麻合法化と非医療用フェンタニルの到着により北米の薬物市場が根本的に変わりつつある。その変化の大きな部分は低コストで大量に作れるようになって価格が下がったこと。

(より広範に使われる可能性と闇市場のうまみが無くなるので犯罪集団が手を引く可能性とで今後の予想が難しい)

 

-フェイスマスクはプラスチック時限爆弾

Face masks are a ticking plastic bomb

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/uosd-fma031021.php

不適切に捨てられた使い捨てプラスチック微細繊維製のフェイスマスクが環境上の脅威だというFrontiers of Environmental Science & Engineeringの論文

使い捨てマスクの生産量はプラスチックボトルに匹敵するがリサイクルガイダンスは存在せずただ廃棄されている可能性が高い。懸念はプラスチックレジ袋より大きい

(ここでは再利用可能な布マスクのほうがいいと主張している)

 

-使用禁止された難燃剤のハゲワシでの生物濃縮はゆっくり低下している

Bioaccumulation of phased-out fire retardants is slowly declining in bald eagles

10-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/soet-bop031021.php

Environmental Toxicology and Chemistryに発表された、ミネソタとウィスコンシンのハゲワシのPBDEsがゆっくり減少しているという報告。

 

-研究不正とは何か?欧州諸国が合意できない

Scienceニュース

What is research misconduct? European countries can’t agree

By Cathleen O’Grady Mar. 10, 2021 ,

https://www.sciencemag.org/news/2021/03/what-research-misconduct-european-countries-can-t-agree

スウェーデンの国の規則は研究不正の定義と科学的価値の議論に44000語を費やしている。隣国ノルウェーではわずが900単語である。そして欧州の中で違っているのは長さだけではない。32カ国の科学の高潔性に関する方針の解析によると、2017年の調整の試みにも関わらず、研究不正の定義や基準が大きく異なっていた。研究倫理の専門家は、こうした違いは混乱をもたらし国際的な科学協力にとって問題となり得る、という。

 

その他

-Michael Dourson:毒性学者は何をするか?

Michael Dourson: What do toxicologists do?

Feb. 3, 2021

https://www.mansfieldnewsjournal.com/story/news/2021/02/01/michael-dourson-what-do-toxicologists-do/4246898001/

毒性学、毒の研究、はしばしば新しい学問と考えられる。そうではない。それは人々がいろいろなものを食べようとしたり敵をやっつけるのに有毒動物や植物を使ったりしていた時代から我々とともにある。現代の毒性学はよりしっかりした学問になってはいる。毒性学について理解するための三つの事実は以下である。

  1. 生命は化学反応である
  2. 全ての化合物は一定の量では毒である
  3. 全ての化合物に安全な量がある

では毒性学者は毎日何をしている?他の職業同様たくさんのサブ専門領域がある。あなたにとって最も身近なものの一つがヒト健康リスク評価であろう。毎日のように化学物質についての恐怖の物語をニュースやソーシャルメディアで目にするだろうから。なのであなたがメディアで疑問に思う記事を見つけたら、私たち、毒性学者に質問して欲しい。

(一部のみ)

 

-オランダのクラブメンバーがロックダウン緩和研究のためダンスフロアに集う

Dutch clubbers hit dancefloor for study into easing lockdown

Daniel Boffey Sun 7 Mar 2021 16.03

https://www.theguardian.com/world/2021/mar/07/dutch-clubbers-dance-study-easing-lockdown-music-event-coronavirus

アムステルダム最大の音楽舞台Ziggo Domeに、土曜日(3月6日)1300人が4時間集まった。DJによって踊るよう促された。参加者は全ての動きをタグで追跡され、それぞれ異なる規則に従う集団に振り分けられている。一部はダンスフロアだけにいるよう指示され、一部は常にマスクをするよう、あるいは動くときだけマスクをするよう指示された。ある集団は蛍光飲料を飲んで歌い、叫ぶように指示された。政府の助言者はこれらのデータを使って今後のナイトライフ制限緩和対策を検討する。わかったことの一つは、マスクをするよう指示しても音楽が始まるとすぐに外してしまうことだった。

Ziggo Domeは17000人を収容できる能力があり、この実験参加チケットは15ユーロで1350人分販売されたが10万人が申し込んで20分で売り切れた。参加者はイベントの48時間以内にコロナウイルス検査陰性の結果が必要で12人の申し込み者が陽性で参加できなかった。参加者は参加後5日で再び検査をする。

このイベントは政府支援による一連の実験の一部で、他に500人参加のビジネス会議、1200人のサポーター参加のサッカーの試合、などがある。野外フェスティバルやポップコンサートも計画されている。

オランダでは100人以上の集まりが禁止されて1年以上になる。全てのバーやレストランは10月半ばから閉鎖している。過去6週間は午後9時から午前4時半まで外出禁止である

 

-COVID-19:スロバキアは混沌から抜け出せない

COVID-19: Slovakia mired in chaos

01.03.2021

https://www.dw.com/en/covid-19-slovakia-mired-in-chaos/a-56740390

スロバキアは一年前、反汚職政治活動家Igor Matovicをトップにした「マフィアの国」をクリーンにしようという連立政権が政権についた。最初のコロナウイルスロックダウンの最中だった。そしてこの一年の政権の記録は概ね残念なものだった。コロナウイルス危機に関しては、全く悲惨である。スロバキアは現在欧州では最も悪いほうの健康危機に瀕している。汚職対策については幾分かの成功はあるが。

最初のうちは比較的うまくやっていた。昨年春の厳しいロックダウンの後、人々の生活は間もなく元に戻った。秋の第二波の際に、Matovic大統領は専門家の反対を押し切って国民全員に定期的抗原検査をすると決めた。そしてそれは無残に失敗した。その間スロバキアのコロナウイルス危機は制御不能に悪化した。保健当局は当局の協力の悪さに苦情を言い、各種隔離や制限のコンプライアンスもほとんど監視されなかった。さらに国内の医療スタッフ不足のため、EUに医療援助を求めなければならなかった。そして4つの党からなる同盟は非難の応酬をしている。

(ドイツ語からの翻訳記事の一部。スロバキアの集団検査は効果があったという論文も出ているけれど)

 

-スウェーデン人はCOVIDが寿命を短くしたために国の年金が増える

Swedes get higher state pensions after COVID cuts life expectancy

BY RACHEL FIXSEN10 MARCH 2021

https://www.ipe.com/news/swedes-get-higher-state-pensions-after-covid-cuts-life-expectancy/10051362.article

スウェーデン年金局によれば、今後5年間の国の年金は少し多くなる

ここしばらく寿命は延び続けていたが、2020年は約1%減少予想。ただし確認にはスウェーデン統計局のデータを待つ。

 

-二人の十代が、減量計画の失敗で養護施設に

Two teenagers placed in foster care after weight loss plan fails

Thu 11 Mar 2021

https://www.theguardian.com/society/2021/mar/10/two-teenagers-placed-in-foster-care-after-weight-loss-plan-fails

家庭裁判所が両親は重度肥満の子どもたちを助けるのに失敗しWest Sussex社会福祉の懸念を理解しなかったという

West Sussex郡社会福祉部の職員が、ある家族にFitbits(運動追跡装置)とジムの会員資格を与え減量法Weight Watchersにも参加させた。しかし数ヶ月後、何もしないまま子どもの体重も減らなかったので家庭裁判所が子どもたちを両親の保護下から移した。母親は運動できなかったのはロックダウンのせいだと主張

(子どもの肥満が親から子どもを離す理由になるのはこれが初めてではなく、英国ではわりとあることらしい)

 

-バイデンホワイトハウスは「虫をまき散らす」ジャンクサイエンスではなく根拠に従うべき

Biden White House Should Follow Evidence, Not ‘Bug Splatter’ Junk Science

Hank Campbell March 1, 2021

https://issuesinsights.com/2021/03/01/biden-white-house-should-follow-evidence-not-bug-splatter-junk-science/

大統領就任数日以内にJoe Biden大統領は大統領のサイエンスアドバイザーの地位を閣僚ランクに引き上げた。これは政権が政策を決定するのに根拠に基づいたアプローチをするという意思表示だと思われた。しかしこれを毀損しようとする人たちがいる。活動家たちが根拠に基づいた研究を活動家の支持するジャンクサイエンスに置き換えようと要求している。EWGが重要な農薬11を禁止するよう要求している。昆虫が減っているというメディアキャンペーンと環境活動家科学者のおかげで昆虫が破滅の危機にあることになっている。1907年にハレー彗星が我々全てを殺すと宣伝されて「彗星の毒ガスから守る」錠剤が売れたときのように、終末の預言者はいつでも我々とともにいる。バイデン政権は詐欺師に騙されるべきではない。