[EU]衣類へのビスフェノールAの存在の安全性に関するSCCSの意見
SCCS OPINION ON the safety of presence of Bisphenol A in clothing articles
最終意見 2021年3月30-31日の本会議で採択
結論
BPAの健康影響に関しては、この意見はEFSA(2015)とECHA(2015)の健康リスク評価に基づく。しかしながらEFSAが現在BPAの毒性について再評価を行っている( CLARITY BPAの膨大なデータが入手可能になる予定)ことから、この報告の結論は近い将来変わる可能性がある。EFSAの意見が更新されたらこの意見もそれに応じて更新すべきである。
BPPAの暴露は食事と食事以外の両方の各種暴露源から生じる可能性がある。この意見では布製品のみを評価し、またBPA類似体には適用されない。
衣類のBPAから人工汗への実験的移行率を調べた研究は一つだけで、それに基づき保守的推定、胴体全部が完全に汗に濡れた衣類に毎日2時間浸かる、で移行係数を計算した。子どもについては追加で布を吸う経口暴露も考慮した。こうした計算から、成人では衣類由来総暴露量は1.56 - 9.90ng/kg bw/d、幼児では2.37 – 14.8 ng/kg bw/dと推定できる。先にEFSAが推定した食事暴露量に比べると、衣類由来暴露は少なくとも25分の1以下である。暴露評価に上限シナリオを多く使ったので、実際にはその違いはもっと大きいだろう。また移行係数の計算に使った研究は一つだけでその移行率が非常に大きいため、衣類からのBPAの移行が本当にそれだけ多いのかは確認する必要がある。将来の研究では移行実験の再現性を調べ、時間依存性および繊維特異的移行率を導出すべきである。
以下の成人および幼児のシナリオでは、安全性マージン(MoS)はそれぞれ1406および931であり、年齢集団に関わらず衣類からのBPA暴露による有害影響のリスクはない。
t-TDI はEFSAの設定した 4 µg/kg bw per day
衣類(赤ちゃん用衣類やストッキングなど)から検出されている濃度の中央値は11-27 ng/g
経皮吸収16-20%、皮膚での代謝はされない
MoSの計算に用いるPoDは4 µg/kg bw per dayの経口摂取に相当する体内ヒト当量(HEDi) の6.09 µg/kg bw/d
[ASA]ニュース
-アレルギー広告の春の掃除
Spring clean your ‘allergy’ advertising
CAP News 15 Apr 2021
https://www.asa.org.uk/news/spring-clean-your-allergy-advertising.html
ここ数年、花粉症や関連症状を「治療」あるいは「症状緩和」を提供する各種製品が販売されている。何が宣伝されていても、その主張の正しい根拠をもつことが重要である。
・医薬品と医療機器
アレルギーを治療、治す、戦う、という主張は医薬品と見なされる可能性が高い
・ハーブレメディや食品サプリメント
ハーブ医薬品は他の医薬品同様MHRAの規制に従う
食品や食品サプリメントに病気予防効果を宣伝することは違法になる
・代替および補完療法
・アレルゲン除去
-日焼けベッド広告-規制上の火傷の避け方
Sunbed advertising – How to avoid a regulatory burn
15 Apr 2021
https://www.asa.org.uk/news/sunbed-advertising-how-to-avoid-a-regulatory-burn.html
化粧品のフェイク日焼け製品が増えているが、日焼けベッドはまだ人気がある。この記事ではこれまでASAは問題有りとした主張を探る
・皮膚がんリスク 皮膚がんのリスクを無視したり過小に主張してはならない
・ビタミンD
・健康上の利益
-動物の健康用製品のクレーム
Vetting claims about products for animal health
CAP News 15 Apr 2021
https://www.asa.org.uk/news/vetting-claims-about-products-for-animal-health.html
市場には我々の動物の友人の健康を最良に保つことを目的にした多様な製品がある-医薬品、医療機器、食品サプリメントなど。ヒト用健康製品同様、広告主はそれらの宣伝を適切な法的枠組みの中で行い、有効性に関するクレームには根拠を持っていなければならない。
・登録されていない製品に医療クレームをしないこと
・クレームの根拠を確実にもっていること
・比較クレームには注意
-肉球(法?)と条項:動物を取り上げる際、壊滅的広告にならないように
Paws and clause: Avoiding an advertising cat-astrophe when featuring animals
15 Apr 2021
動物好きが多い国なので、広告に動物を使うと消費者の情動を動かすことができるが、もし動物の扱いが悪い時には苦情が殺到してASAとトラブルになるだろう
・動物がひどい目にあっている画像を使わないこと
・全ての動物に気を配ること
・模倣リスクに注意 (動物に有害なものを与える等)
・動物実験について誤解を招かないようにすること
・動物の健康強調表示に注意
[APVMA]動物用医薬品規制ニュースレター
Veterinary Medicines Regulatory Newsletter, April 2021
15 April 2021
https://apvma.gov.au/node/84736
四半期毎のニュースレター第4号
[IARC]論文
-2005年から2014年に生まれた少女の予想されるおよび予防可能な子宮頸がんの世界推定
Global estimates of expected and preventable cervical cancers among girls born between 2005 and 2014: a birth cohort analysis
15 April 2021
The Lancet Public Healthに発表。予想されるがんは予防接種なしの値、予防可能ながんは予防接種で予防されるだろうがんの推定。
予防接種なしではこれら出生コホートの子宮頸がんは2094年までに1160万になるだろう。世界的予防接種キャンペーンで870万を防げる
(国別推定あり、日本は中程度の負担の国に分類されている)
-チェルノブイリ事故で最も汚染されたベラルーシとウクライナの地域の乳がん発生率:1978-2016年
Breast cancer incidence in the regions of Belarus and Ukraine most contaminated by the Chernobyl accident: 1978 to 2016
Int J Cancer. 2021 Apr 15;148(8):1839-1849
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33064313/
-EPIC試験でのソフトドリンクとジュースの摂取と腎細胞がん発生率と死亡率
Soft drink and juice consumption and renal cell carcinoma incidence and mortality in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2021 Apr 13;cebp.1726.2020.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33849969/
関連はない
論文
-不健康なライフスタイルは米国と英国の成人の健康の不平等のほんの一部しか説明しない
Unhealthy lifestyle only explains small part of health inequity in US adults UK and
14-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/b-ulo041321.php
(タイトルがヘンなので本文から)
BMJに発表された二つの大規模研究。最も不健康なライフスタイルの最も貧しい人は、最も健康的ライフスタイルの最も豊かな人より死亡リスクが2.7から3.5倍高い。健康的ライフスタイルが病気を減らすのに重要ではあるが、それだけでは健康の不平等を相当変えることはないだろう
-化学汚染物質は野生生物とヒトの行動を変えているか?
Are chemical pollutants altering the behaviour of wildlife and humans?
14-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uop-acp041421.php
Environmental Science and Technologyに発表された30人の専門家フォーラムによる、行動に影響する可能性のある環境中化学物質への警告。化学物質のリスク評価はこれまで主に死亡や生殖や成長への影響をもとに行われてきたが行動影響は正式に評価されたことがない。しかし化学物質が行動に影響することは「帽子屋のように狂っている」「ペンキ屋のようにクレイジー」という言葉にあるように歴史が証明している(鉛と水銀)
(鉛も水銀も既に規制されている。行動影響といったら何よりアルコールをなんとかすべきなのでは。)
-新しい研究がなぜあなたは判断する前に食品を見るべきなのかを説明する
New study explains why you should look at your food before casting judgment
14-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uosf-nse041421.php
Journal of Consumer Psychologyに発表された研究によると、食品は、においを嗅ぐ前に見るとより美味しい。
クッキー、フルーツスナック、レモネードを使って、不透明あるいは透明な包装に入れて約200人で調査した。においの前に見る、見る前ににおいを嗅ぐ、見るだけ、嗅ぐだけ、の各種順番で提示した。全く同じものでも、においを嗅ぐ前に見ることができたものを最も美味しいと評価した。これは食品を見ることでにおいの信号をより簡単に処理することができ、味の認知が強化されるからである。においは味に極めて重要な役割を果たすが、人々のにおい信号処理は脳が視覚で準備できているほうが良い。
(食用色素はいらないという主張があるけどそんなことはない。見た目は大事)
-日焼けベッド利用者に聞きたくないことを話す:日焼けは悪い
Telling sunbathers what they don't want to hear: Tanning is bad
14-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/osu-tsw041421.php
健康キャンペーンのスタイルはその中身同様重要
ほとんどの若い女性は日焼けが良くないことは既に知っている、そのため彼らにメッセージを伝えるときにはメッセージへの抵抗を考慮すべきである
Communication Studies
-新しい研究がソーシャルメディアユーザーのCOVID-19ワクチン抵抗への知見を提供
New research provides insight into COVID-19 vaccine reluctancy among social media users
14-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uob-nrp041421.php
Psychological Medicineに発表されたKing's College LondonとBristol大学の研究。COVID-19ワクチンを受ける意向の最も信頼できる指標は陰謀論否定とワクチン一般へのポジティブな態度だった。
ワクチン躊躇に関連するのは女性、若い、教育レベルが低い、白人以外、主な情報源がソーシャルメディア。
ワクチンに対してネガティブな人あるいはCOVID-19陰謀論を本当かもしれないと思っている人の中では、教育レベルの高い人の方がワクチンへの抵抗は強い
-脂身の少ない牛肉を含む地中海食は心疾患のリスク要因を減らすかもしれない
Mediterranean diet with lean beef may lower risk factors for heart disease
14-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/ps-mdw041421.php
American Journal of Clinical Nutritionに発表されたUSDAの研究者らによるRCT
59人に4週間特定の食事をしてもらい、1週間の休みを挟んで別の食事。基本は脂肪由来カロリーが41%、炭水化物42%、タンパク質17%の地中海食で、油脂は主にオリーブ油。それに一日0.5オンス(14g)、2.5オンス(70g)、5.5オンス(156g)の脂肪の少ない牛肉を含む。対照群はアメリカ人の平均的食事。全ての群で対照群のアメリカ食に比べてLDLコレステロールが下がったが有意だったのは0.5オンスと2.5オンスの群。
(RCTは珍しい。赤肉が健康に悪い説へのカウンター。牛が悪いというよりバランスが悪いのがいけないと)
-研究:インドの農業政策は家庭の仕事量を考慮する必要がある
Study: Ag policy in India needs to account for domestic workload
13-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/cu-sap041321.php
Tata-Cornell農業栄養研究所の新しい研究によると、収穫期には家事に加えて女性の農業労働が増加し、それはしばしば彼女らの健康を対価にする。インドの地方の栄養改善を目的とした計画は、農作業が増えた場合の女性のトレードオフを考慮すべきである、Food Policyに発表。インドマハラシュトラ州の田舎の960人の女性を調査。男性はほとんど家事をしない。農繁期には貧しい女性は調理をする時間あるいは体力が無く食事ができない。お金のある女性は労働力を買うことができる
-どうすれば食品廃棄を減らして健康的食生活を推進できるか
How we can reduce food waste and promote healthy eating
14-APR-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uoic-hwc041421.php
Journal of Nutrition Education and Behavior
食品を捨てないように、あるものは全部食べると肥満が増える
家で捨てる部分を減らすには加工食品を選べばいいことになって健康的食生活と矛盾する
料理の腕とフリーザーはリソースの少ない人にとって可能ではないだろう
(いろいろ前提がおかしいような。アメリカだから?ただ物事の一面だけ対策しても全体的にはうまくいかないことはよくある)
その他
-SMC NZ
福島の水が太平洋に放出される-専門家の反応
Fukushima water to be released into the Pacific – Expert Reaction
Published: 14 April 2021
日本が2011福島原子力発電所メルトダウン由来の処理した放射活性水を約2年位内に太平洋に放出する計画
水は原子炉を管理下におくために使われたもので水タンクに貯蔵され現在130万トンになっている。SMCは専門家にコメントをもとめた
NIWA海岸物理学者Joe O’Callaghan博士
海洋渦は世界の風のパターンと地球の自転により生まれた力でできた海流の大きなシステムである。太平洋には二つのメイン海洋渦があり、北および南太平洋旋回である。
日本は北太平洋旋回に近く、つまり処理水は最初北に向かい時計回りに太平洋を循環する。二つの太平洋旋回は赤道で分かれるので、基本的にはつながっていない。従って福島からの流出は南太平洋地域やニュージーランドの海にはほとんどあるいは全く影響がない。
オークランド大学物理学上級講師David Krofcheck博士
この水はもとのままならヒト健康に危険な可能性があるがうまく除去-おそらくALPSシステムで-すれば水で希釈して海に流すことに何のリスクもない。リスクは極めて小さく、これを心配するならCovid注射を受けた方が良い。しかし水の処理は必要だろう。もともと一回で十分であることを期待したがおそらく70%は再処理が必要だろう。
グリーンピースがC14を問題にしている。C14は科学にとって極めて有用なツールで、古代のものの年代を決めるのに使われている。しかしC14は天然に大気中に存在し我々は毎日それに暴露され海にも既にギガトンレベルで存在する。処理水のC14は海にあるものに比べれば極微量である。だから私は心配していない。
オーストラリアSMCから
Curtin大学物理&天文学専攻研究者Nigel Marks准教授
見た目は恐ろしげだが、日本政府は正しいことをしている
オーストラリア国立大学客員講師Tony Irwin
トリチウムは大気中の蒸気、雨水、海水、水道水に含まれる。特に、全ての原子力発電所は操業中にトリチウムを作り出し国際基準に従って捨てている。それには韓国や中国の発電所も含まれる。福島のタンクに貯蔵されているトリチウムは約900TBqで、海水中規制濃度は6万Bq/Lである。
フランスの二重反応炉発電所は年に80 TBqを排出し、英国のHeysham発電所は年間1200TBqの規制上限で約390 TBqを排出している。再処理工場ではさらに多く10,000 TBq/year以上である。福島に溜まった水は数年掛けて安全に放出できる。
トリチウムのWHO飲料水基準は10,000 Bq/litreで、オーストラリアの基準は76,000 Bq/litreである。トリチウムが出すのはハザードの低いベータ線で、ヘリウムに変わる。福島で放出されるのはたった1,500 Bq/litreで、飲料水基準の数分の一以下である。極めて小さい基準値を採用すると人々に放射線はどんな量でも危険なのだという印象を与えるが、我々は毎日放射線とともに安全に暮らしている。
IAEAの薦め通り、日本が国際的規範に従って数年にわたってこの水を排出することは、ヒトや環境に害はないだろう。
-ジャガイモを擁護する
In Defense Of The Potato
By Chuck Dinerstein, MD, MBA — April 14, 2021
https://www.acsh.org/news/2021/04/14/defense-potato-15472
アメリカ人はジャガイモをたくさん食べる、一人年間100ポンド(45kg)以上。ハーバード大学公衆衛生学部によるとジャガイモは野菜ではない。どうして?
説明は大学のウェブサイトに記載してある
The problem with potatoes
Last updated Feb. 2021
https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/2014/01/24/the-problem-with-potatoes/
著者はジャガイモのグリセミック指数が高いことを指摘し体重増加と糖尿病の犯人という。
その根拠への批判的吟味
-Natureニュース
インドのCOVIDワクチン災難-数字でみる
India’s COVID-vaccine woes — by the numbers
15 APRIL 2021 T. V. Padma
https://www.nature.com/articles/d41586-021-00996-y
インドのコロナウイルス感染者の爆発が如何にして世界のワクチン供給をリスクに晒しているか
世界最大のワクチン供給国の一つであるインドが、一部は患者急増によりCOVIDワクチンピンチに直面している。このことはインド産のワクチンに依存している多くの国にとってもトラブルをもたらす。
4月12日のインドの新規患者報告は168912でこれまでの過去最高である。これまでの総数は1350万人で、ブラジルを抜き米国に次いで2番目になった。
「新しい変異株が流行しているが、マスクや距離などのCOVID対策が低下したことも急速な拡大の要因である」と全インド医科学研究所長のRandeep Guleriaはいう。
世界最大のワクチン成分製造業者Serum Institute of India (SII)は多くの国にワクチンを提供することが期待されている。しかし1月の施設での火事とインド政府の指示(輸出禁止)などで計画通りにいっていない。インドでの患者の急増によりさらに遅れる可能性がある
(一部のみ)
-Natureニュース特集
COVID-と次のパンデミックを打ち負かす抗ウイルス薬を求める競争
The race for antiviral drugs to beat COVID — and the next pandemic
14 APRIL 2021 Elie Dolgin
https://www.nature.com/articles/d41586-021-00958-4
緊急警告にも関わらず、ウイルスのパンデミックと戦う準備ができている化合物の備蓄は甚だしく欠けている。製薬会社は最終的に正せるか?
2003年にSARSが拡大したとき、トリインフルエンザの主導的権威であるRobert Websterは科学者や政策決定者に次のアウトブレイクに備えて準備をするよう強く求めた。その一つがウイルス病原体を標的とした医薬品の開発と備蓄である。しかし医薬品研究者はこの呼びかけに答えなかった。
(以下長い記事)
-本物のチーズのような、乳製品を使わないチーズを作るクエスト
The quest to make genuinely cheesy dairy-free cheese
By JIMI FAMUREWA 08 Apr 2021
https://www.wired.co.uk/article/dairy-free-cheese
いくつかの新興企業がこの課題を解決したと考えている
Perfect DayのCEO Ryan Pandya、Stockeld DreameryのSorosh Tavakoliなど
牛乳に含まれるタンパク質を組換え酵母で作らせて精製する
(ビーガン用、ホルモンフリー、抗生物質フリー、(最終製品に)GMOを含まないと宣伝している)