2022-05-18

[EU]査察報告

-管理団体―EUへの輸出を認証するためのオーガニック生産基準と管理手段

Control Body 2021-7327―Control body - organic production standards and control measures for certifying exports to the EU

25/04/2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4465

2021年6月7~18日に実施した、EUに輸出する製品の管理団体に適用されるオーガニック生産基準と管理対策を評価するための査察。追加の管理対策を求めた、カザフスタン、ロシア連邦、モルドバ、ウクライナ、トルコからの輸出管理に焦点を当てた。管理団体には、契約事業者が毎年検査を受け、十分な数の事業者が追加検査とサンプリングのためにリスクに基づいて選択されていることを保証する、十分に文書化された管理システムと有効なITツールがある。検査は、リモート査察方法で評価できる限り包括的で適切である。管理システムは概してよく実施されているが、課された執行措置は必ずしも適切ではない。非認可物質が検出された場合、管理機関が得た結果を適切に評価できないため、この弱点はさらに悪化する。

 

-オランダ―牛乳と乳製品の安全性

Netherlands 2021-7184―Safety of milk and dairy products

25/04/2022

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4464

2021年10月11~22日にオランダで実施した、牛乳と乳製品の安全性に関する公的管理を評価するための査察。公的管理システムの担当機関は明確に指定・確立されており、一般的に効果的なコミュニケーションの流れと協力手段がある。乳製品企業は、動物の健康、福祉、動物用医薬品の使用を検証するために定期的で効果的な公的管理を受けている。農場レベルの衛生管理はごく限られた農場でしか検証されていない。生乳基準に関する管理は一般に満足できる。公的管理システムには乳製品の全製造工程が含まれているが、基本的な規制条件違反が多く、適切でタイムリーに施行されていない。

 

[EFSA]意見等

-第三国由来伝統食品としてのピリ(Canarium ovatum Engl.)のナッツの通知に関する技術的報告書

Technical Report on the notification of nuts of Canarium ovatum Engl. as a traditional food from a third country pursuant to Article 14 of Regulation (EU) 2015/2283

EFSA Journal 2022;19(5):EN-7314 13 May 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7314

(技術的報告書)

第三国由来伝統食品(TF)としてピリ(Canarium ovatum Engl.) のナッツを市販するために、規則(EU) 2015/2283第14条により、DOMENICODELUCIA SPA(イタリア)から欧州委員会に通知が提出された。その規則の第15(2)条に従い、EFSAは欧州委員会から、EU内でこのTFの市販に対して正当な理由のある安全上の異議があるかどうか尋ねられた。申請者によると、ピリのナッツからなるこのTFはフィリピンで25年以上摂取されている。このTFは、乾燥した、摂取前に除去しなければならないからのついた状態でEUで販売されることが提案されている。EFSAはこのTFの組成や使用歴に関する入手可能なデータから安全上の懸念は生じないとした。EFSAは入手可能なデータを考慮して、EU内でこのTF(ピリのナッツ)の市販に安全上の異議を提起しない。

 

-使用後のPETを食品と接触するプラスチックへリサイクルするために使用されるNGRテクノロジーに基づくWellman Neufchâteau Recyclage (WNR)プロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Wellman Neufchâteau Recyclage (WNR), based on the NGR technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2022;20(5):7274 13 May 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7274

(科学的意見)

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期保存される飲料水を含む全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても、安全上の懸念とはならない。このリサイクルされた PETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンで使用されることを意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

[EFSA]#EUChooseSafeFood 2年目に入る ―EU加盟国とEFSAの合同キャンペーン2年目開幕

#EUChooseSafeFood Take Two – second year of joint EU Member States and EFSA campaign kicks off

16 May 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/news/euchoosesafefood-take-two-second-year-joint-eu-member-states-and-efsa-campaign-kicks

食品表示上の日付「使用期限」と「賞味期限」の違いとは?家族を安全に守るために家庭で守るべき食品衛生規則はある?食品添加物を気にかけたほうが良い?これらは#EUChooseSafeFoodキャンペーンで欧州の消費者が尋ねた質問の一部で、EUの食品安全の背後にある科学を説明することで答えてきたものである。第一段階が成功したことで、様々な新しい話題を取り上げるためにキャンペーンの2年目が開始された。

消費者が日々の食べ物の選択を情報に基づいて決められるようにすることが、#EUChooseSafeFoodキャンペーンなのである。EU域のキャンペーンは、表示を読み取り添加物を理解する手助けから食品の調理や保管についての助言の提供まで、食品を購入・消費する際に用いる実用的で入手しやすい情報を消費者に提供している。5月16日に始まった2年目のキャンペーンは、1年目を足掛かりにして、新たに加えられた植物の健康、新規食品、食品サプリメントなど、消費者が学べる話題の範囲を拡大している。

EFSAの事務局長Bernhard Url氏はこのキャンペーンの開始を歓迎した:「EUの消費者はテーブルに乗せた食べ物が安全だと完全に自信を持つことができる。私たちの食品が安全であることを今や20年間保証するために役立っている、EUの食品安全システムやその基盤にある科学的知見を信頼できる。#EUChooseSafeFoodは、国立食品安全機関とのパートナーシップや、消費者団体、食品生産者、市民社会との協力の重要な例である。」

このキャンペーンは25~45歳の欧州市民を主な対象として、消費者やフードチェーン全体を保護する欧州規則に寄与するEFSAの役割も説明する。

国の機関や協会がこのキャンペーンに参加しやすいよう、様々な言語での映像、ショートフィルム、ソーシャルメディアの投稿などの#EUChooseSafeFoodのツールキットはキャンペーンのウェブサイトで入手できる。

さらなる情報はhttps://campaigns.efsa.europa.eu/EUChooseSafeFoodで。

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 200-22

18 May 2022

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20Circular%20200-22.aspx

新規申請と提案

・Penicillium oxalicum 由来グルコアミラーゼ遺伝を含むGM Aspergillus niger由来グルコアミラーゼ

意見募集

・GM Aspergillus oryzae由来ホスホリパーゼA1

https://www.foodstandards.gov.au/media/Pages/A1246-Call-for-comment-on-a-new-enzyme-processing-aid-.aspx

2022年6月29日まで

 

[RIVM]気候変動と健康影響についての研究計画提案

Proposal for a research programme on Climate change and health effects

2022-05-17

https://www.rivm.nl/publicaties/plan-van-aanpak-onderzoeksprogramma-klimaatverandering-en-gezondheidseffecten

気候変動の身体的精神的健康への影響についてはわかっていないことが多い。保健福祉スポーツ省はRIVMに気候変動の健康影響を調べるように依頼した。最初にRIVMはこの課題についての研究上の疑問の概要とともに研究計画を提案した。RIVMはアレルギー、精神衛生、感染症、紫外線と皮膚がん、温度と空気の質についての疑問を検討する。これらの疑問が今後の研究計画の基礎となるだろう。この概要は気候変動とその健康影響についての知識が不足している分野を明らかにする。

本文オランダ語

 

[ASA]ASA裁定

ASA Ruling on Liquid Lipo Ltd

18 May 2022

https://www.asa.org.uk/rulings/liquid-lipo-ltd-a22-1143767-liquid-lipo-ltd.html

ウェブサイトでの「液状脂肪溶解ゲル」という製品の「皮膚に入って脂肪細胞に結合して細胞を小さくして脂肪を溶かす」「3000人の臨床試験で95%が脂肪を減らした」「脂肪は二酸化炭素と水に分解されて体内から排出される」といった宣伝。ASAからの照会に企業は反応しなかった。

(脂肪溶解ジェルと称する製品、結構な値段で売られているんだが、ほんとだったら怖いと思わないのかな)

 

[NYC]COVID-19警告レベル 高 :屋内ではマスク

COVID-19: Alert Level

High Alert: Wear a Mask Indoors

https://www1.nyc.gov/site/doh/covid/covid-19-alert-levels.page

重症化リスクの高い人は戸外の混雑した状況でもマスク

(ワクチン接種していない人の感染が急増している。働いたり学校にいくのにワクチン接種が義務でも接種しない人はそこそこいる)

 

その他

-オーガニックの流通が増えたが、疑いと競争増加にも直面

Organic gains distribution, but also faces increased skepticism, competition

11-May-2022 By Elizabeth Crawford

https://www.foodnavigator-usa.com/Article/2022/05/11/Organic-gains-distribution-but-also-faces-increased-skepticism-competition#

有機がもともとの自然派以外に拡大し主流に加わるようになり、他の属性や生産法との競合や認証の信憑性や価値への疑いも増している、新しい消費者研究が明らかにした

Hartmanグループの最近発表したオーガニック2022報告書によると、2800人のアメリカ人の調査で83%は少なくともたまにオーガニック製品を使用し約1/3は毎週あるいはそれ以上使っている。ミレニアル世代は食料品の29%、Z世代が22%、X世代は22%、ブーマー世代は14%。これはオーガニックの販売が拡大したことを反映する

しかしオーガニックがより目立つようになったために、オーガニックへの疑いも大きくなってきた。消費者の60%はオーガニックは「お金を多く取るための言い訳に過ぎない」と信じている。さらに購入者の多くがUSDA有機認証は動物の福祉と労働条件と土壌保全と生物多様性に対してもっと厳しくすることを望んでいる。

最もオーガニックを買っている消費者の中でオーガニックを買う最大の理由が農家と動物の福祉を支援することであるのは一部の有機生産者にとってのアキレス腱である、なぜなら有機認証は必ずしも消費者の求めるものでは無いから。

オーガニックを買わない最も多い理由は値段である

オーガニックが最も優先されるのは生鮮品およびベビーフードで、加工包装済み食品はオーガニックでも生鮮品ほど高くは評価されない

 

-断片化したFDAのリーダーシップが調整乳の失敗の一因

Fragmented FDA leadership contributed to formula failure

May 17, 2022  By Scott Faber(EWG)

https://www.foodsafetynews.com/2022/05/fragmented-fda-leadership-contributed-to-formula-failure/

アメリカの乳児用調整乳不足は我々の食品供給の安全性に疑問を生じさせた。ほとんどのアメリカ人はアメリカには世界で最も安全な食品供給があると信じている。しかし汚染乳児用調整乳への対応失敗とFDAの食品安全部門での失敗の容赦ない調査は食品安全網の危険な穴を明らかにした。

何が間違っていたか?

最初に、議会がFSMAを最終化したものの重要議員はFDAの活動を支援するための受益者負担を拒否した。我々はもっと予算を提供するよう動いたがFDAの食品安全センターは議会にとって優先順位が低く、医薬品部門への資金のほうが増えた。

二つ目にTrump政権がFDAの食品安全のための改革を分解した

三つ目にFDAは農業用水の規制が遅れた

四つ目に食品製造施設の査察が十分でない

(行政が何か失敗したときに政治がお金を出さなかったからだと言う(消費者)団体は日本にあるだろうか?)

 

-乳児用調整乳生産者が、もし裁判所が同意判決にOKすれば工場を再開するという

Infant formula producer says it will reopen manufacturing facility if court OK’s consent decree

By Coral Beach on May 16, 2022

https://www.foodsafetynews.com/2022/05/infant-formula-producer-says-it-will-reopen-manufacturing-facility-if-court-oks-consent-decree/

国中の保護者が赤ちゃんに食べ物を与えることに苦労している中、Abbott Nutritionは乳児用調整粉乳の主要工場を再開できるFDAとの同意判決に達した。

Abbott Nutritionは米国の乳児用粉ミルクの40%の市場シェアを持ち、乳児のクロノバクター感染アウトブレイクを受けた調査のためにSturgisの工場を閉鎖した。生産工場で5系統のクロノバクターがみつかったがどれも感染した赤ちゃんのものとは一致しない。Abbott Nutritionは2月17日に大量の乳児用調整乳をリコールした。

FDAの担当者はリコールは任意であるという。Sturgis工場の調査は続いているが、全国的なミルク不足、特に売り上げトップのSimilacの、が消費者や政治家の怒りをかっている。

(以下略。これって粉ミルクは熱湯で作る、が徹底されていたらおこらなかったのだろうか?ミルクがないのと熱湯での調整必須だけれど入手できる、のとでは保護者としては後者の方がいいと思うのは当然で。)

 

-Natureコメント

一つの統計解析で全てを決めてはならない

One statistical analysis must not rule them all

17 May 2022  Eric-Jan Wagenmakers et al.,

https://www.nature.com/articles/d41586-022-01332-8

どんなものであれ一つの解析は不確実性の氷山を隠す。マルチチーム解析がそれを明らかにできる

典型的な学術論文は一つのセットの解析者によるたった一つの解析の結果を含む。最良の状況でも、別の賢明な解析をすると別の結果になると考える理由がある。

例えば2020年に英国のモデリングに関するパンデミックインフルエンザ科学グループは9つのチームにCOVID-19感染のRを計算するよう依頼した。各チームは豊富なデータとモデリングアプローチを行い、質問が明確だったにも関わらずチーム毎に相当な変動があった(「9つのチーム、9つの推定」参照、図有り)

これや他のマルチアナリストプロジェクトは、独立した統計学者は同じ方法を使うことは滅多にない。それなのに生態学から心理学、医学から材料科学に至るまで、知見を発表し、強い主張をするのには単一のアナリストだけで十分だとみなされている。過去10年でp-ハッキングが研究者に知られるようになったが単一の解析の問題点はそれほど理解されていない

(以下長い記事)