[EFSA]意見等
-非遺伝子組換えAspergillus oryzae AE‐LA株由来食品酵素β-ガラクトシクダーゼの安全性評価
Safety evaluation of the food enzyme β‐galactosidase from the non‐genetically modified Aspergillus oryzae strain AE‐LA
EFSA Journal 2022;20(10):7569 6 October 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7569
(科学的意見)
食品酵素β-ガラクトシクダーゼ(β‐d‐ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ; EC 3.2.1.23)はAmano Enzyme Inc社が非遺伝子組換えAspergillus oryzae AE‐LA株で生産した。この食品酵素中にこの生産菌の生きた細胞はないと考えられた。この食品酵素はミルク加工の乳糖加水分解、発酵乳製品の生産、乳清加工、酵素修飾乳成分の製造に使用することを意図している。この食品酵素への食事暴露―総有機固形物(TOS)は欧州の人々で最大1.651 mg TOS/kg 体重 (bw)/日だった。遺伝毒性試験は安全上の懸念を示さなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を、調べた最大用量、1,656 mg TOS/kg bw/日とした。これにより暴露マージンは少なくとも1,003となった。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、一致するものはなかった。パネルは、意図した使用条件下で、食事暴露によるアレルギー反応リスクは除外できないが、これが起こる可能性は低いと考えた。提出されたデータを基にして、パネルは、この食品酵素は意図した使用条件下で安全上の懸念を生じないと結論した。
-残留農薬による頭蓋顔面変化の後ろ向き累積食事リスク評価
Retrospective cumulative dietary risk assessment of craniofacial alterations by residues of pesticides
EFSA Journal 2022;20(10):7550 6 October 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7550
(科学的報告書)
EFSAは累積評価グループを設定し、出産可能年齢の女性の欧州の14集団に2種類の頭蓋顔面変化(異常な骨格発達、頭の軟部組織の変化、神経管閉鎖障害による変化)の後ろ向き累積リスク評価を実施した。2017年、2018年、2019年に加盟国が集めたモニタリングデータを用いて確率モデリングによる累積急性暴露計算が行われた。専門知識の引き出しを用いて厳密な不確実性分析を実施した。全ての不確実性の原因、それらの依存、集団間の違いを考慮して、様々な程度の確実性で、2種類の頭蓋顔面変化で累積暴露から生じたMOETは100以上だと結論した。従って、リスク管理者が設定した規制上の検討事項の閾値は超えなかった。検討中の影響の重大性を考慮して、MOETが500以上かどうかも評価した。これは様々なレベルの確実性のある頭部軟部組織の変化と神経管閉鎖障害のケースである。だが、異常な骨格発達による変化では、ほとんどの集団でMOETが500以上ではない可能性が高いことがわかった。2つの集団では、MOETは500未満である可能性さえあるとわかった。これらの結果は極めて保守的な方法論を用いたことに照らして議論された。
-認可更新のための遺伝子組換えナタネGT73株の評価
Assessment of genetically modified oilseed rape GT73 for renewal authorisation under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA‐GMO‐RX‐026/1)
EFSA Journal 2022;20(10):7563 6 October 2022
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7563
(科学的意見)
Bayer CropScience LPを代表してBayer Agriculture BV社からの規則(EC) No 1829/2003に基づく申請EFSA‐GMO‐RX‐026/1の提出を受けて、EFSAの遺伝子組換え生物に関するパネルは、分離した種子タンパク質以外のナタネGT73株を含む、からなる、から生産された食品や食品成分、及びEUでの栽培を除くこのGMナタネから生産された飼料の認可申請の更新関係で提出されたデータの科学的リスク評価を出すよう求められた。この更新申請の関連で受け取ったデータには、市販後環境モニタリング報告書、科学的文献の体系的な検索と評価、更新したバイオインフォマティクス解析、及びこの申請により、あるいはこの申請を代表して行われた追加文書や試験の調査が含まれていた。GMOパネルは、潜在的な新しいハザード、組換え暴露あるいは認可期間中に確認され、最初の申請関連で以前に評価されていない新しい科学的不確実性のデータを評価した。更新検討中のナタネGT73株のイベントのDNA配列が、最初に評価されたイベントの配列と同じだと仮定して、GMOパネルは、更新申請EFSA‐GMO‐RX‐026/1に、ナタネGT73株の最初のリスク評価の結論を変えるような新しいハザード、組換え暴露あるいは科学的不確実性の証拠はないと結論した。
[FSAI]アイルランドの消費者が食品を購入する際の最も大きな懸念事項はコスト
Cost the highest concern for Irish consumers when buying food
Monday, 3 October 2022
https://www.fsai.ie/news_centre/press_releases/2022_eurobarometer_03102022.html
食品安全に関する2022年ユーロバロメーターは、2019年以降初めて委託され、食品安全についての懸念、食品リスクに関する情報源の信頼、食品安全上の個人的な関心など様々な話題に焦点を当てた。
アイルランドの消費者に食品購入に影響する要因を尋ねたところ、最も重要な考慮事項としてコスト(63%)が挙げられ、味(54%)と食品の安全性(52%)が続いた。これらの結果は顕著に、EU全体の平均的な上位懸念事項であるコスト(54%)、味(51%)、食品安全(46%)よりも全体的に高い。
ユーロバロメーターの他の調査結果:
・アイルランドの食品安全の主な懸念事項は、細菌、ウイルス、寄生生物に汚染された食品や飲料による食中毒(39%);食品中の残留農薬(36%);食品や飲料に使用される着色料、保存料、香料などの添加物(29%)だった。
・食中毒発生の新しいニュースを知ると、アイルランドの消費者の圧倒的多数(男性の82%と女性の83%)は習慣を変え、15–24歳では90%がそうすると述べている。
・EUの食品安全システムに関与しない理由を尋ねられると、アイルランドの消費者(47%)は「販売されている食品が安全なのは当然である」と答えた。
現在の住環境のコスト高や家計上昇で、アイルランドの消費者が食品を購入する際にコストが主な要因だと報告し、2019年以降6%上昇していることがわかった。だが、食品安全の視点から、アイルランドの消費者が食品を購入する際に食品の安全性を3番目に重要な要因だとしたことは心強い。この調査の一環で1,000人以上の消費者がインタビューを受け、そのうち90%は私達が食べる食品の安全性を確保するために規則が設定されていることに同意し、同回答者の84%が食品リスクに関する情報源として国立機関を信頼していて(66%)、その数字はEUの平均よりも約20%高い。インタビューを受けたアイルランド人の75%は、食品安全の話題に個人的に興味があると述べた。
[FSA]英国の消費者の精密育種食品についての意見
UK consumers give their views on precision bred food
5 October 2022
https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/uk-consumers-give-their-views-on-precision-bred-food
英国食品基準庁(FSA)とスコットランド食品基準局(FSS)は遺伝子技術分野でのエビデンス基盤を強化するためのより広範な取り組みの一環として、「精密育種に対する一般市民の意識調査」 報告書の第一段階を発表した。以下、調査報告書。
[FDA]プレスリリース
-FDAは輸入農産物の安全性確保に向けた取り組みの概要を発表する
FDA Outlines Work Underway to Ensure the Safety of Imported Produce
10/05/2022
https://www.fda.gov/news-events/fda-voices/fda-outlines-work-underway-ensure-safety-imported-produce
米国食品医薬品局(FDA)の輸入農産物の安全確保活動の概要、FSMA(食品安全強化法)の構築とよりスマートな食品安全の新時代、今後の輸入水産物への取り組みについて紹介する。
-小売店や食品施設内での食品由来疾患を減らすためのFDAとCDCの提携
FDA and CDC Partner to Reduce Foodborne Illness in Retail and Foodservice Establishments
October 4, 2022
米国食品医薬品局(FDA)と米国疾病予防管理センター(CDC)は小売店や外食施設における食品由来疾患の発生を減らすための小売環境における食品の安全性を強化する覚書 (MOU)を締結した。
-着色添加物認証に関する報告:2022会計年度第4四半期、7月1日-9月30日
Report on the Certification of Color Additives: 4th Quarter, Fiscal Year 2022, July 1-September 30
10/04/2022
[ODS]ファクトシート更新
亜鉛
Zinc
Fact Sheet for Consumers
October 4, 2022
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Zinc-Consumer/
このファクトシートは包括的にレビューされ、広範囲に改訂された。
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Zinc-Consumer/#change
[SFA]インドネシア産Mie Sedaap spicy noodle 2製品はエチレンオキシド混入のためリコール
Recall of two Mie Sedaap spicy noodle products from Indonesia due to presence of Ethylene Oxide
6 October 202
シンガポール食品庁 (SFA) は、Sheng Sheng F&B Industries Pte Ltd社に対し、インドネシアからのMie Sedaap spicy noodle 2製品をエチレンオキシドの存在によりリコールするよう指示した。
[RIVM]植物保護性品中の禁止物質類似物質の調査の後、対策は必要ない
No measures needed after investigation of substances similar to banned substances in plant protection products
10/06/2022
RIVMは現在使用されている植物保護製品の中に、禁止された神経変性疾患の原因になる可能性のある5つの物質に類似するものがあるかどうか探した。295物質を調べ1つ似ているものを見つけた。メチラム。
オランダでは極めて希にしか使われない
(パラコート、ロテノン、クロルピリホス、有機塩素、ジチオカルバメートの構造に類似するもの)
[RIVM]地元住民への農薬暴露と健康研究の実行可能性
Feasibility of research into exposure to pesticides and health of local residents
06-10-2022
農地の近くに住む人の農薬暴露による健康影響を調べるためにどのような研究ができるかの選択肢を提示。以下
1.8才の子どもの認知スキル検査と暴露量測定
2.パーキンソン病への暴露の長期影響研究
3.オランダがん登録データをもとにした研究
4.各種保健統計データを解析
5.総合診療医から報告された急性影響データの解析
[CDC] MMWR
-フィールドからの報告:中高生の電子タバコの使用-米国、2022
Notes from the Field: E-cigarette Use Among Middle and High School Students — United States, 2022.
Cooper M, et al MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2022;71:1283–1285.
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7140a3.htm
2022年現在の電子タバコ使用者は高校生の14.1%と中学生の3.3%
最も多く使用されているのはPuff Bar、次いでVuse, JUUL, SMOK
フレーバーではフルーツフレーバーが最も多く、次いでメントール、キャンディなどお菓子、ミント
(ミントとメントールって違うの?)
-フィールドからの報告:ブロディファコウム中毒に関連する血液凝固異常-フロリダ、2021年12月
Notes from the Field: Coagulopathy Associated with Brodifacoum Poisoning — Florida, December 2021.
Coble N, et al MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2022;71:1288–1290.
2021年12月4日、フロリダ保健省は中毒情報センターから合成カンナビノイド(SCB)使用歴がある説明できない出血患者3人についての報告を受けた。患者の使用したSCB製品からブロディファコウムが検出された。それをきっかけにさらなる患者の洗い出しを行い52例を同定した。患者にはビタミンK投与を行った。
[IARC]肝がんの新たな患者と死者数は2040年までに55%以上増加すると予想される
Number of new cases and deaths from liver cancer predicted to rise by more than 55% by 2040
6 October 2022
Journal of Hepatologyに発表された新しい研究
Rumgay H, Arnold M, Ferlay J, Lesi O, Cabasag CJ, Vignat J, et al.
Global burden of primary liver cancer in 2020 and predictions to 2040
J Hepatol, Published online 6 October 2022;
https://doi.org/10.1016/j.jhep.2022.08.021
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168827822030227?via%3Dihub
(日本も結構肝炎ウイルス感染あるので)
[NTP]ニュースレター
NTP Update
October 2022
https://ntp.niehs.nih.gov/update/index.html
・NIEHSのトランスレーショナルトキシコロジー部門紹介
現実世界での環境暴露の疾患アウトカムへの影響を探る。いつかラットやマウスや計算機でのハザードではなく人間へのハザードを同定することを目指す。目的は公衆衛生の改善なのでヒトにあてはまることが必須である。
・9月の代替毒性試験法に関する科学助言員会SACATM、10月のNICEATMシンポジウム等
論文
-オメガ3脂肪酸を中年に食べることはあなたの脳に役立つか?
Can eating omega-3 fatty acids in midlife help your brain?
5-OCT-2022
https://www.eurekalert.org/news-releases/966589
Neurologyに発表された研究によると、中年期にオメガ3脂肪酸を含む食品を多く食べたヒトは少ないヒトより思考スキルや脳の構造が良いかもしれない。2183人の平均年齢46才の横断研究。オメガ3脂肪酸濃度を測定して思考スキルテストと脳容量のスキャンを行った。
-NALCNチャネルは転移と悪性ではない細胞の播種を調節する
The NALCN channel regulates metastasis and nonmalignant cell dissemination
Rahrmann, E.P., et al.
Nat Genet (2022). https://doi.org/10.1038/s41588-022-01182-0
https://www.nature.com/articles/s41588-022-01182-0
オープンアクセス
NALCNチャネル欠失で、腫瘍と関係なく固形組織から細胞がばらまかれる
(正常組織が転移する)
その他
-Science書評
党派心とパンデミック
Partisanship and the pandemic
MATTHEW S. LEVENDUSKY
SCIENCE 6 Oct 2022 Vol 378, Issue 6615 p. 35
政治的分極がCOVID-19に関連する態度とアウトカムを形作る
政治学者Shana Kushner Gadarian, Sara Wallace Goodman, および Thomas Pepinskyらの新しい本「パンデミック政治学Pandemic Politics」の書評
-SMC NZ
NZの水インフラの基本-専門家の反応
The basics of NZ’s water infrastructure – Expert Reaction
06 October 2022
水道から出る水や下水の背景で何がおこっていて、気候変動はどう影響する?
SMCは専門家に以下についての概要と考えを尋ねた。
1.飲料水
2.下水
3.気候変動へのレジリエンス
4.灌水
専門家のコメント略
2016年に羊の糞が飲料水システムに入り込んで8320人がカンピロバクター感染し4人が死亡した事件から飲料水システムのオーバーホールが推奨されてきた。家畜増加による微生物汚染増加と農地近傍の硝酸汚染増加、フッ素、鉛の問題等。
-ボディ・ポジティブ運動は行き過ぎなのか?
Has the Body Positivity Movement Gone Too Far?
Published on October 5, 2022
https://www.drphil.com/shows/has-the-body-positivity-movement-gone-too-far/
Dr. Philは全ての体系を受け入れようとするボディ・ポジティブ運動が行き過ぎかどうか問題を議論する。2020年から、アメリカ人の36.5%は過体重で32.5%は肥満と見なされている。我々は大きいサイズをあまりにも祝福しすぎなのか?
Lexi と彼の夫Willによればそうではない。John Glaudeによるとかつてボディ・ポジティブ運動を信じていたが死にそうになったという。Dr. Howard Liebowitzは過体重の医学的現実を議論し栄養士Kelsey Koehlerは現実的な減量目標を定めるコツを提供する。
(許容範囲は十分広いように思えるのだが)