2022-07-26

論文

-女性は心臓の健康改善のためにカリウムの多い食品を食べるよう勧められる

Women urged to eat potassium-rich foods to improve their heart health

22 Jul 2022

https://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Women-urged-to-eat-potassium-rich-foods-to-improve-their-heart-health

European Heart Journalに発表された研究によると、バナナ、アボカド、サーモンを食べる女性は食事中の塩による悪影響を減らせる。この研究はカリウムの多い食事は血圧の低さに関連する、特に塩の摂取量の多い女性で。

EPIC-Norfolk研究の参加者のデータから。

 

-なぜほとんどの食品はアレルギーをおこさないのか

Why don’t most foods cause allergies?

DIANA GITIG - 7/13/2022,

https://arstechnica.com/science/2022/07/why-dont-most-foods-cause-allergies/

食品中のタンパク質は免疫応答を誘発する-ただしほんの少し

適応免疫反応の主な仕事は人体にとっての外来物を認識して炎症を惹起し排除することである。なのに毎日動物や植物由来の各種タンパク質約100gが、アレルギーを除いて、消化器系をなんの問題も無く通過するのは何故だろうか?

最もよくある説明は経口トレランスである。しかしこの結論に至った実験の多くはT細胞を相当枯渇させたトランスジェニックマウスで行われたものである。Natureに発表された新しい研究は正常マウスを使ってこの結果をチェックした。

Immune tolerance of food is mediated by layers of CD4+ T cell dysfunction

Sung-Wook Hong et al.,

https://www.nature.com/articles/s41586-022-04916-6

 

-子どもの謎の肝炎は予期せぬ疑いウイルスに関連

Scienceニュース

Mystery hepatitis cases in kids linked to unexpected viral suspect

25 JUL 2022 BY JOCELYN KAISER

https://www.science.org/content/article/mystery-hepatitis-cases-in-kids-linked-to-unexpected-viral-suspect

小児肝炎事例のアデノ関連ウイルスの二つの予備的研究の知見は子どもの遺伝的バックグラウンドと他のウイルスが協働していることを示唆

説明できない肝炎の子どもたち25人中一人以外は血中または肝細胞中関連ウイルス2 (AAV2)濃度が高く、さらにAAV2ウイルスのある肝炎患者はウイルス感染時の免疫系の過剰反応につながる遺伝的変異を持っている可能性が高い。medRxivに投稿されたプレプリント。

英国では最近小児肝炎患者はバックグラウンドレベル近くに減っている

 

-環境汚染物質のペットの猫の健康への影響

Effect of environmental contaminants on the health of pet cats

25-JUL-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/959746

Science of The Total Environmentに発表された愛媛大学の研究。猫の血清中の各種汚染物質濃度と甲状腺ホルモンを測定

 

-米国の2011年から2020年までの2-19才の子どもと青少年の肥満率の傾向

Trends in Obesity Prevalence Among Children and Adolescents Aged 2 to 19 Years in the US From 2011 to 2020

July 25, 2022  Kathy Hu; Amanda E. Staiano,

https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2794534

全体として肥満率は男の子で18.1%から21.4%、女の子は17.2%から21.6%と増加傾向だが特に2-5才の子どもと12-19才の青少年で増加

 

-木材の暖房は山岳地帯でこれまで想定されていた以上に空気を汚染する

Wood heating pollutes the air in mountain areas more than previously assumed

25-JUL-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/959811

欧州では3000万人以上が山の谷に住んでいる。その大部分がこれまで考えられていた以上に大気の汚染に影響されている。北部ジナルアルプス山脈での測定結果。冬に汚染が谷に留まりすすなどの濃度は都市中心部でしかみられないほど高くなる。Atmospheric Chemistry and Physics (ACP)

 

その他

-FDA:シナトラが言ったように「私と一緒に飛んで来て、ペルーに浮上しましょう」

FDA: As Sinatra said “Come fly with me, let’s float down to Peru”

By Bill Marler on July 20, 2022

https://www.marlerblog.com/case-news/fda-as-sinatra-said-come-fly-with-me-lets-float-down-to-peru/

(注:タイトルはフランク・シナトラの歌詞、食中毒を扱う法律事務所のブログ)

Reddit, Instagram, Tic Tok, Twitterその他ソーシャルメディアに数百人の人々がDaily Harvest French Lentil + Leek Crumbles – と Revive Pineapple and Mango Smoothiesに関連して急性肝不全になった話をしてから、我々は325人以上の裁判に雇われた。我々は3つの訴訟をおこしている、一つは胆嚢を除去した女性、一人は授乳中に母親が摂取したために肝機能不全になった5ヶ月の赤ちゃん、そして11才の少年。

話は驚くほど似ていて、特に問題の無い健康な人が腹痛になり救急に行って検査されて100人が入院、少なくとも30人が胆嚢を除去された。多くの人はまだ苦しんでいる。

しかしDaily Harvestと Reviveは製品の製造者、タラの輸出と輸入業者が誰なのか開示していない。さらに困惑するのはFDAの沈黙である。

FDAがペルーに行くのに絶好の時なのに。

 

-コンシューマーラボ

会員からの質問

Balance of Nature製品は良いダイエタリーサプリメントか?

Are Balance of Nature products good dietary supplements?

07/21/2022

https://www.consumerlab.com/answers/balance-of-nature-supplements/balance-of-nature/

ラベルを見る限り、Balance of Natureの「フルーツ」と「野菜」カプセルが、宣伝動画で示唆されているような特に価値のあるサプリメントなのか日々の推奨される野菜や果物と同等のものを提供するのかはわからない。詳細は会員ページに。

(野菜果物粉末をカプセルに入れただけのようにみえる。そんなものmg単位で摂ってもしかたなさそうなのだけれど100ドル近くする。カプセル剤が「ホールフード」で「ナチュラル」なんだ?)

 

-農薬に困っている「気候不安」の大学生には科学の教育が必要

'Climate-Anxious' College Students Troubled By Pesticides Need A Science Lesson

By Cameron English — July 25, 2022

https://www.acsh.org/news/2022/07/25/climate-anxious-college-students-troubled-pesticides-need-science-lesson-16450

アメリカの大学生は気候変動による破滅の予測に圧倒されて「気候不安」になり、その不安への対処法としてキャンパスでの農薬反対運動をしている、と先週US News & World Reportが報道した。この物語はBrandeis大学のCharleneという学生が、「環境が破滅する慢性的恐怖」から、キャンパスでの除草剤使用を無くす活動を始めたことをとりあげている。「外で仲間と土をいじることが精神衛生上とても良い」とCharleneはいう。雑草を抜くことでストレス緩和になるなら良いことだ。しかしこの活動は気候変動を遅くはしない。除草剤は気候への脅威ではない。

(大学の整備されたキャンパスで雑草をとると地球を救った気になる、ってどういう勉強をしているのだろう?)

 

-マスク義務-我々は誰かに強制された時しか公衆衛生助言に従わないのか?

Mask mandates – will we only act on public health advice if someone makes us?

July 15, 2022  Holly Seale

https://theconversation.com/mask-mandates-will-we-only-act-on-public-health-advice-if-someone-makes-us-186914

2020年半ば、マスクは車に乗るときのシートベルトのようなものだと言われた。最初はみんながすぐにシートベルトをしたわけではないが、今やしない人の方が珍しい。実際のところ、シートベルトのコンプライアンスが90%に達するのに7年かかった。

現在、パンデミックに入って900日になるが、マスクが90%ということはない。私の地元では、店でマスクをしているのは大体10人に1人で、他の人は公共輸送機関でのコンプライアンスの低さを報告している。

では再び義務化した方がいいのか?

助言を聞く

既にビクトリア保健相のMary-Anne Thomasは州の主任保健官のマスク義務化助言を否定している。マスクは推奨されてはいる。義務化はメッセージを伝える最も効果的な方法ではない、と大臣は言う。ビクトリア住人は自分で選択する。

医者は歓迎せず、オーストラリア医師会ビクトリア部長は極めて残念だという

マスク遵守は義務かどうかで違うか?

ある研究では新聞の写真をもとに2020年のマスク着用率を調べた。マスク義務化前は43%、義務化が発表されて発効する前は74%、義務化後は98%がマスクをしていた。自己申告では40%から100%と変化した。患者数をもとに著者らはマスクが感染抑制に有効だったと結論した。

エンパワメントはマスクの使用を推進するか?

おそらくしない。

ナッジは?

マスクとワクチンを巡る誤解

(一部のみ。相変わらずマスクを巡る状況は国によって違う。豪は現在感染拡大中)

 

-何故スリランカは有機農業危機に巻き込まれたのか

How Sri Lanka Became Embroiled in an Organic Farming Crisis

JUL 12, 2022  by Mary Riddle

https://www.triplepundit.com/story/2022/sri-lanka-organic-farming/749486

スリランカの政治的経済的混乱の中核に、普通でない容疑者がいる:有機農業である。

昨年まで、スリランカは概ね食料は自給可能な中流の上の収入の島国だった。この国の農業生産の成功の大部分は、世界中の農家がそうであるように、合成肥料と農薬のおかげだった。昨年、土壌の健康を強化し、一部の人たちが農薬のせいだとした腎障害による農家の死亡を抑制しようとしてGotabaya Rajapaksa大統領が合成肥料と農薬の使用を一夜で禁止した。農家には時間も資源も与えられなかった。収穫は直ちに急激に減りヒト健康への影響が壊滅的であることが明確になって大統領は肥料禁止を止めた。しかし政府はそれまで行ってきた農薬購入の援助を再開しなかった。そのため農家は春の植え付けが一部しかできなかった。あまりにも事態が悪化したため政府は公務員に金曜日は休んで家庭菜園をすることを認めた。農業と経済の混乱は食料不足を招き大統領は辞任した。

それでこの危機に有機農業は責任があるのだろうか?

持続可能な農業は時間をかけて作られる相互に関係したシステムである。有機農業が成功するためには健康的な土壌と生態系の他に収量が低くても高値で買う市場が必要である。スリランカの食料危機は相互に依存したシステムの妙を強調する。農業が真に持続可能になるためには農家のQOLと生活を中心に据えなければならない

 

-オーガニック食品は本当に環境に「より良い」のか?

Is organic food really better for the environment?

13-Jul-2022 By Katy Askew

https://www.foodnavigator.com/Article/2022/07/13/Is-organic-food-really-better-for-the-environment

地球を破壊することなく増加する世界人口に適切な栄養を提供するのに十分な食料を生産することは、現代の最大の課題の一つである。世界の人口は2050年までに約100億人に達すると予想されているが今現在8億1100万人以上が空腹のまま就寝している。

有機農業がその解決法の一つと見なされていてEUの農場から食卓まで戦略では2030年までに有機農業を農地の25%にすることを目標にしている。EUオーガニック行動計画でも有機農産物の需要を増やす戦略をたてている。有機農業は化学的なものを使わないことを含み、それは生物多様性にとっては良い知らせかもしれないが収量が低く、従ってより広い農地を必要とすることが懸念されていて議論になっている。

研究者らは有機農業が常にベストなのかどうかについての答えを出そうとしている。Ecology Lettersに発表された最近の研究では慣行農法を有機農業にスイッチすることで同じ土地内の生物多様性が増え収量は維持できると主張する。

有機農業による広い土地の必要性は農地内の生物多様性できゃん説できるという主張は「土地の共有」対「土地の節約」の議論を呼ぶ。

「土地の共有」は農地を生物多様性フレンドリーにすること、「土地の節約」は一部の農地で高収量の農業を行い他は自然のままにすることを指す。

重要なことは、その結果は条件に大きく依存すること、である。どんな作物を栽培しどの生物種を測定するかで計算結果は異なる。この研究はトレードオフを理解する始まりに過ぎない、と著者は言う。

(相当オーガニックに肩入れしている媒体でもトレードオフを言い出したかなぁ?農地での生物多様性って「虫だらけで毒草混入した野菜が野生生物に食われる」ということなのに「農家とシカが仲良くお花に来るミツバチを眺めている」って感じなのだろう)

 

-Natureニュース

サル痘が世界的緊急事態と宣言される:それはアウトブレイクの封じ込めに役立つか?

Monkeypox declared a global emergency: will it help contain the outbreaks?

25 July 2022 Max Kozlov

https://www.nature.com/articles/d41586-022-02054-7

封じ込め可能性は急速に小さくなっている、と研究者が言う

週末にWHOがサル痘をPHEICであると宣言した。WHOの最大の警鐘であるこの宣言がサル痘の拡大封じ込めに苦労している国々の注意喚起となることを研究者らは期待する。

5月にアフリカ以外でサル痘が検出されて以降、通常みられない約80カ国で16500人以上の感染者が確認された。サル痘はアフリカでは何十年もあった。WHOはPHEICシステムが導入されてから7回目の宣言で、そのうちCOVID-19とポリオはまだ発効中である。WHO事務局長は7月23日に、これまでに例のない、専門家委員会が同意しなかった後でPHEICを宣言した。専門家委員会には投票システムはないものの6人がPHEICに賛成、9人が反対だった。

子どもや女性にも感染者はいるものの、世界的アウトブレイクのほぼ全ての症例が男性と性交する男性(MSM)、特に複数の性的パートナーがいる人でおこっているため、公衆衛生当局はメッセージやワクチンをこの集団に集中して届けている。WHOパネルの中にはMSMコミュニティに烙印を押す可能性があるためPHEIC宣言を支持しない人もいた。「全てのヒトが性的歴史を積極的に開示するわけではない、特にホモセクシュアリティが犯罪とされている国では。」とEmory大学の感染症医Boghuma Titanjiはいう。また豊かな国はワクチンを使うだろうが、アフリカでの現在進行中のアウトブレイクでは既に今年70人以上が死亡していて、一方アフリカ以外では死者はいない中、アフリカを無視することはできない。我々がこの問題に直面しているのは、アフリカで50年もサル痘ウイルスを放置してきたからだ。

 

-Skittlesは「ヒト摂取に適さない」、訴訟が主張

Skittles ‘Unfit for Human Consumption,’ lawsuit claims

by NBC2 News  Tue July 19, 2022

https://nbc-2.com/news/health/2022/07/18/skittles-unfit-for-human-consumption-lawsuit-claims/

Mars, Incorporated社は一人の消費者Jenile ThamesによってTiO2を含むために「ヒト摂取に適さない」と訴えられた