2022-08-30

[SFA]代替タンパク質のファクトシート

Factsheet on alternative proteins

Aug 19, 2022

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/factsheet-on-alternative-proteins-(aug-22).pdf

代替タンパク質の可能性

食品に対する需要は増加しており、タンパク質豊富な食品をより生産的かつ持続的に生産するための新たなイノベーションと代替方法が必要である。代替タンパク質は従来のタンパク質源を補完し、比較的少ない土地及び労働力により、気候変動に強い持続可能な方法で生産できるため、増加する世界人口に食料を供給することが可能である。

代替タンパク質の種類

代替タンパク質とは、一般的には動物由来ではないタンパク質のことであり、植物性タンパク質、藻類と菌類由来のタンパク質、培養肉、昆虫タンパク質などがある。

新規食品の安全性を確保する

ヒトが食品として摂取した歴史がない食品及び食品原材料は新規食品とみなされる。培養肉など一部の代替タンパク質にも当てはまり、シンガポールで販売する食品への使用を許可するには、安全性を評価しなければならない。

食品の安全性はシンガポール食品庁(SFA)の主要な考慮事項であり、シンガポールに持ち込まれる食品が、新規かどうかにかかわらず、安全に消費できることをSFAは保証する。

企業が食品を開発する際にも、食品の安全性は主要な考慮事項でなければならない。新規食品の場合、企業は製品の安全性評価を実施し、食品の安全性を保証するシステムとプロセスを導入しなければならない。

これらを踏まえ、当時の農畜産食品局は、2018年に新規食品の定義や例を含む新規食品及び新規食品成分の規制枠組みの可能なアプローチについて、科学界及び食品業界との一連の議論を開始した。続いて、SFAは2019年11月に、食品としての使用実績がない新規食品について、企業が市販前許可を求めることを義務付ける規制の枠組みを導入した。

新規食品の規制の枠組み

新規食品を製造する企業は、販売を許可される前に、製品の安全性評価を実施し、SFAがレビューできるようその評価の提出が義務付けられている。

このプロセスを促進するために、SFAは2019年11月に新規食品の安全性評価に必要となる食品安全情報についての文書を発表した。その情報は、毒性、アレルギー誘発性、その製造方法の安全性、摂取によって生じる食事暴露など、食品安全リスクの可能性を含む必要がある。また、企業は、製造で使用される材料と、これらの製造工程が食品安全リスクを防止するためにいかに管理されているかについての詳細な情報を提供しなければならない。

SFAはこれらの安全性評価をレビューし、潜在的な食品安全上の問題に対処しているか確認する。

新規食品は急速に発展する分野であるため、SFAは業界による安全性評価を促進し、食品の安全性を確保するために、定期的に文書を更新及び改訂する。

安全性評価を厳密にレビューするために、SFAは科学的助言を行う新規食品安全性専門家作業部会を設置した。この専門家グループは、アジア全域の健康食品規制システムの強化を目指すCentre for Regulatory Excellenceのセンター長が議長を務め、食品科学、食品毒性学、バイオインフォマティクス、栄養学、疫学、公衆衛生対策、遺伝学、発がん性、メタボロミクス、発酵技術、微生物学及び薬理学を専門とする12人の専門家からなる。

この早期関与プロセスを促進するため、SFAは2021年9月に新規食品バーチャルクリニックを導入し、新規食品企業は研究の初期段階でSFAと積極的に関わることができるようになった。初期段階でSFAの要件を明確に理解することで、企業はコンプライアンスの費用と時間を最小化する生産的な研究の方向性にリソースを優先させることができる。

SFA は、2021年初めにA*STAR(シンガポール科学技術研究庁)及び南洋理工大学と協力して、官民パートナーシップのプラットフォームであるFuture Ready Food Safety Hub(FRESH)を立ち上げた。FRESHの主な機能は、新規食品、機能性成分及び新しい食品加工技術のための食品安全科学研究開発能力を構築するとともに、業界にコンサルティングを提供することである。これによりシンガポールの企業を含む事業者が、シンガポール国内外でフードテック製品を開発し、発売できるよう支援する。

培養肉の安全性評価

Eat Just, Inc.社の培養チキンナゲットのような培養肉製品については、3段階で安全性がレビューされている。

SFAのCEO代理であるタン博士は、「まず、生産工程や製品に投入される個々の投入物の安全性を評価する。これには、細胞株、培養液、試薬などが含まれる。例えば、投入された物質に毒性があるかどうか、人に病気を引き起こす可能性のある微生物が含まれていないかどうかなど、毒性学的な観点でレビューする。第二に、製造工程と管理方法をレビューする。これは、製品を汚染するような微生物が混入していないことを確認するためである。生産工程は適切に管理され、安全で衛生的な方法を遵守していなければならない。最後に、最終製品は、食品規則の基準を満たす必要がある。これには、添加物や重金属などの規制基準値を超えないことが含まれる。また、長い間消費され、安全であることが知られている類似の食品と比較される。例えば、培養肉であれば、想定外のアレルゲンとなるタンパク質が含まれていないかどうかを評価する。これは、その製品が従来の方法で生産された肉よりもアレルギー反応を起こしやすいかどうかを確認するためである。」と述べた。

 

[SFA]食品中のエチレンオキシドの検査に関するSFAの声明

SFA’s statement on testing of ethylene oxide in food

Aug 19, 2022

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/sfa-statement-on-testing-of-ethylene-oxide-in-food.pdf

最近、エチレンオキシド (EO) の存在により、アイスクリームなどの食品のリコールが発生している。

EOは微生物汚染を防ぐために農産物を燻蒸するために使用することができる。シンガポール食品規則では、EOは香辛料の滅菌に使用することが認められている。香辛料中のEOの最大残留基準値(MRL)は50 mg/kg (50 ppm)を超えるべきではない。

バニラ(香料)とローカストガム(増粘剤及び安定剤)は、アイスクリームの製造にごく少量(1%未満)しか使用されない農産物である。燻蒸処理したローカストガムやバニラのさやに含まれる微量のEOは、完成したアイスクリームの最終製品に移行することがある。このような微量のEOを含むアイスクリーム製品を摂取しても、個人が定期的に大量に摂取する食品ではないため、健康上のリスクは生じない。しかしながら、SFAは海外の一部の規制当局がリコールした、EOが検出された食品をリコールする予防的措置をとっている。

SFAは、最新の科学的評価に基づき、国際的な動向を考慮して、食品基準の定期的なレビューを行っている。このプロセスの一環として、SFAはシンガポールで販売される食品におけるEOの許容値のレビューを開始した。

SFAは現在、シンガポールにおいてハーゲンダッツ製品や他の類似製品の積極的なサンプリングとテストを行っている。これまでに採取されたアイスクリーム製品からEOは検出されていない。EOが検出可能な濃度を超えて検出された場合、SFAは予防措置として対象製品のリコールを開始する予定である。

 

[ヘルスカナダ]ソルビン酸カリウムのカキ風味ソースへの使用拡大に関する許可保存料リストの修正通知

Notice of Modification to the List of Permitted Preservatives to Extend the Use of Potassium Sorbate to Oyster-Flavoured Sauces

August 26, 2022

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/public-involvement-partnerships/notice-modification-list-permitted-preservatives-extend-use-potassium-sorbate-oyster-flavoured-sauces.html

 ヘルスカナダは2022年8月26日より、許可される保存料リストのパート2を修正し、ソルビン酸カリウムの使用を拡大した。

 

[EU]RASFF 2022(0821-0825)

警報通知(Alert Notifications)

ベルギー産ライ麦粉のオクラトキシンA、イタリア産冷凍ツナピザのヒスタミン、スペイン産冷凍パタゴニアイカのカドミウム、中国産グラスのカドミウムと鉛の溶出、フランス産サテーパウダーのエチレンオキシド、ハンガリー産ラベージの根のリニュロン、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン、中国産スロバキア経由食品サプリメントの未承認物質シルデナフィル、コートジボワール産目的地フランスのピーナッツのアフラトキシン、イスラエル産ミントのクロルフェナピル・クロロタロニル・ジメトエート及びオメトエート、イスラエル産ミントのビフェントリン・ラムダ-シハロトリン及びメソミル、

注意喚起情報(information for attention)

中国産穴あきヘラの一級芳香族アミンの溶出、メカジキの水銀、ポルトガルのウェブショップ上の新規食品マキベリーパウダー、カメルーン産カレーパウダーの未承認着色料オレンジⅡ、トルコ産天然ミネラル水のホウ酸塩、スペイン産マグロのヒスタミン、

通関拒否通知(Border Rejections)

スリランカ産ホソバツルノゲイトウのカルボフラン及びフィプロニル、台湾産紅茶のジノテフラン、インド産カレーのエチレンオキシド、エジプト産オレンジのクロルプロファム、セルビア産生鮮小キュウリの塩漬けのクロルピリホス、米国産ピーナッツのアフラトキシン、トルコ産粉末クミンのピロリジジンアルカロイド、

 

[EFSA]意見等

-チアベンダゾールの第12条MRLレビューに続く確証データの評価

Evaluation of confirmatory data following the Article 12 MRL review for thiabendazole

EFSA Journal 2022;20(8):7539 25 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7539

(理由付き意見)

申請者Syngenta Crop Protection AGは、規則(EC) No 396/2005第12条の最大残留基準(MRL)のレビューの枠組みで入手できないとされた確証データを評価するようスペインの管轄機関に要請した。データのギャップに対処するために、新しい保管安定性研究、新しい残留試験、動物製品の関連する残留物の特定のための妥当性を確認された分析執行方法が提出された。植物品目についてはデータのギャップは十分対処されたと見なされた。提出された新しい情報により、アボカドの既存のMRLを改訂する必要があった。動物由来品目に関しては、データのギャップは一部しか対処されておらず、そのためコーデックスのMRLsから導出された既存のMRLsの改訂に関しては、更なるリスク評価の考察が必要である。チアベンダゾールのリスク評価も更新した。リスクは特定されなかった。

 

-l-メチル葉酸カルシウム及び(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸グルコサミン塩の食事性葉酸塩当量への変換

Conversion of calcium-l-methylfolate and (6S)-5-methyltetrahydrofolic acid glucosamine salt into dietary folate equivalents

EFSA Journal 2022;20(8):7452 24 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7452

(科学的意見)

欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、l-メチル葉酸カルシウム及び(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸グルコサミン塩(これから先5-MTHFと総称する)の食事性葉酸塩当量(DFE)への変換に関する科学的意見を出すよう求められた。系統的レビューに続き、この意見の結論は、400 μg/日未満の摂取量の成人の介入研究1件と400 μg/日以上の摂取量の成人の介入研究3件に基づいている。400 μg/日未満の摂取量では、葉酸(FA)は摂取量と状態のバイオマーカーの反応と線形関係にあると想定され、5-MTHFのDFE変換係数を導出するのに適した比較基準である。400 μg/日未満の摂取量に、DFEへの5-MTHF の変換に葉酸と同じ係数を使用することが提案されている。そのような摂取量は強化食品の摂取を通して超過しそうもないため、天然食品の葉酸(NF)と比較して、食品に添加される5-MTHFや400 μg/日未満を提供する食品サプリメントに変換係数1.7が適用できる。400 μg/日では、5-MTHFは葉酸塩よりも生物学的に利用可能であることがわかり、この摂取量やより多い摂取量に変換係数2が提案されている。この導出されたDFE方程式は、400 μg/日未満を提供する強化食品と食品サプリメントではDFE = NF + 1.7 × FA + 1.7 × 5-MTHF、400 μg/日以上の摂取量を提供する食品サプリメントではDFE = NF + 1.7 × FA + 2.0 × 5-MTHFである。この評価はL-メチル葉酸カルシウムと5-MTHFグルコサミン塩に適用されるが、生物学的利用能に関する陽イオンの影響は提案されたDFE当量の誤差の範囲内である可能性が高い。従って、提案された方程式は他の陽イオンと関連する5-MTHFにも適用できる。

 

-豚、家禽、馬でのフモニシンの毒性に関する情報の評価

Assessment of information as regards the toxicity of fumonisins for pigs, poultry and horses

EFSA Journal 2022;20(8):7534 24 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7534

(科学的意見)

2018年にフードチェーンの汚染物質に関するEFSAのパネル(CONTAM)は、飼料中のフモニシンの存在、その修飾型、隠れた型に関する動物の健康リスクについての科学的意見を採択した。豚の無毒性量(NOAEL) 1 mg/kg 飼料が設定された。家禽ではNOAEL 20 mg/kg 飼料、馬では動物の健康への悪影響の参照値8.8 mg/kg 飼料がNOAELとされ、設定された。欧州委員会(EC)は、豚、家禽、馬へのフモニシンの毒性に関する情報をレビューし、必要であれば設定したNOAELsを見直すようEFSAに要請した。EFSAのCONTAMパネルは、動物の健康への悪影響には参照値(reference point ;RP)という用語が入手可能な研究の不確実性をよりよく反映していると考えた。以前の意見以降入手できるようになった新たな根拠から、家禽の動物の健康への悪影響のためのRPを20 mg/kg から 1 mg/kg 飼料へ(腸陰窩の深さの減少のLOAEL 2.5 mg/kg 飼料に基づく)、馬では8.8 から1.0 mg/kg 飼料(馬の白質脳軟化症(ELEM)に関するケーススタディに基づく)に改訂できるようになった。豚では、動物の健康への悪影響のためのRPを導出するのに適したそれ以上の研究が特定できなかったため、以前に設定されたNOAELが裏付けられた。以前の意見で実施された暴露推定量に基づき、腸への影響のため1 mg/kg 飼料のRPを考慮すると、FB1–3を含む飼料の健康への悪影響のリスクは家禽の懸念と考えられた。馬や他の単蹄動物では、暴露に関連する大きな不確実性が確認されたが、リスクは低いと見なされた。同じ結論がFB1–3の合計とそれらの隠れた型の合計に適用される。

 

-ハチミツと各種油糧種子作物のアセタミプリドの既存MRLsの改定

Modification of the existing maximum residue levels for acetamiprid in honey and various oilseed crops

EFSA Journal 2022;20(8):7535 24 August 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7535

(理由付き意見)

 

[ANSES]中毒を避けるためにマロニエと栗の違いを知ろう!

Learn to distinguish horse chestnuts from sweet chestnuts, to avoid poisoning !

22/08/2022

https://www.anses.fr/en/content/learn-distinguish-horse-chestnuts-sweet-chestnuts-avoid-poisoning-0

秋口には、マロニエやセイヨウトチノキから熟して落ちるマロニエの実は、(食用となる)栗やヨーロッパ栗とよく間違われる。

2012年から2018年にフランス中毒管理センターが記録した植物の誤認事例に関するANSESの研究では、マロニエと食用の栗の誤認は全シーズンの全ての事例の11%を占め、球根植物の誤認事例(事例の12%)に次いで最も頻度が高かった。

確かに私達は「栗」「砂糖漬けの栗」や「栗のピュレ」あるいは「クリーム」についてよく話すけれども、それは消費用に育てられた大きな甘い栗の品種について話しているに過ぎない。

栽培用または野生の栗は食べられるが、マロニエには毒性があり、腹痛、吐き気、嘔吐、咽喉刺激などの消化器疾患を引き起こす可能性がある。

マロニエと食用の栗の見分け方は?

実の形やそれらを包む「殻斗(かくと)」の形を観察すること

食用の栗の殻斗は「イガ」として知られ、茶色く多数の長い剛毛のとげを持つ。1つに2~3の栗が入っていて、かなり小さく、平らで三角である。

マロニエの殻斗は厚みがあり緑色で、小さな、短い、間隔の開いたとがりがあり、通常大きく丸い実が1つだけ入っている。

木がある場所を見てその葉を調べよう

マロニエの木は町、公園、路地、工程に見られるが、食用の栗の木は林、森林、果樹園で育つ。

マロニエの葉はいくつかの楕円形の「小さな葉」から成り、掌の形をした葉だが、食用の栗の葉は小さな葉のない単純な長い形である。

気をつけて!

中毒の際は簡単に識別するために食べ残しを保存し、採取した木の実の写真を撮ろう。

医学的緊急事態の場合、(フランスでは)ダイヤル15番か112番に電話をかけよう。

中毒症状(消化器疾患、咽喉刺激など)が出たら、医療指導を行う中毒管理センターに電話をするか、医師に診てもらおう。

 

[HK]食品事故

イタリアMantua Surgelati社のConsumブランドのピザを食べた後、スペインで2人が冷凍ツナピザに含まれるヒスタミンにより体調を崩したとメディアが報じた

Media reported that two people fell ill in Spain due to histamine in

the frozen tuna pizza after consuming the Consum brand pizzas

made in Italy by Mantua Surgelati.

29 August 2022

https://www.cfs.gov.hk/english/rc/subject/files/20220829_2.pdf

 

[EPA]EPAは人々の健康を守るためにある種のPFAS化合物をスーパーファンド法に基づく有害物質に指定

EPA Proposes Designating Certain PFAS Chemicals as Hazardous Substances Under Superfund to Protect People’s Health

August 26, 2022

https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-designating-certain-pfas-chemicals-hazardous-substances-under-superfund

PFOAとPFASをCERCLA(包括的環境対処・補償・責任法、通称スーパーファンド法)で指定

Regan長官によるPFAS戦略計画の一環

 

PFAS Strategic Roadmap: EPA's Commitments to Action 2021-2024

https://www.epa.gov/pfas/pfas-strategic-roadmap-epas-commitments-action-2021-2024

(この秋に予定されている飲料水中PFOA と PFOSの基準値設定と分析法発表が直近の注目。ほぼ分析不可能なガイドライン値を発表した後で、執行可能な基準値enforceable limitsとやらをどうするつもりなのか)

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News

August 2022

https://mailchi.mp/0a49f70860ad/food-standard-news-1300436?e=21527ddb09

・食品閣僚会合

・FSANZの関係者調査

・世界的メガトレンドに関するCSIRO報告書

・意見募集

 

次の20年を形作るだろう7つのメガトレンド

Seven megatrends that will shape the next 20 years

27 JULY 2022

https://www.csiro.au/en/news/News-releases/2022/Seven-megatrends-that-will-shape-the-next-20-years

オーストラリアの国の科学機関であるCSIROが10年に一回報告するOur Future World報告書。2042年までの展望として7つのメガトレンド:気候変動への適応;よりスリムにクリーンにグリーンに;健康義務が増大;地政学的シフト;デジタルに飛び込む;人工知能の増大と人間的側面の開放

 

論文

-ソーシャルメディアでのGoyaのボイコットは販売に悪影響はなかった

Social media boycott of Goya did not harm sales

24-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962792

2020年の夏、Goya Foods社の最高経営責任者Robert Unanueが公に当時のDonald Trump大統領を賞賛したあと、Twitterで同社製品をボイコットするとの抗議がおこった。逆に買おうという呼びかけもあったがボイコットの投稿の方が75%多かった。この後の2週間のGoya Foods社の販売は約22%増加した。抗議の三週間後にはボイコット運動の前と同程度に戻った。ソーシャルメディアでの政治的消費者運動とそのメディア報道は必ずしも販売に反映されない

Marketing Science

 

-子どもたちの意図せぬ大麻中毒による入院は、合法化後、特に食用大麻の販売が認められてから急増

Hospitalizations for unintentional cannabis poisonings among Canadian children surged after legalization, particularly in jurisdictions where the sale of cannabis edibles was allowed

24-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962316

New England Journal of Medicine

グラフあり。

 

-米国での娯楽用大麻の合法化は使用頻度を20%増やした

Legalizing recreational cannabis in the U.S. has increased frequency of use by 20%

25-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962353

Addiction

 

-十代の41%は本物と偽物のオンライン健康メッセージの違いが言えない

41% of teenagers can't tell the difference between true and fake online health messages

29-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962685

Frontiers in Psychology

 

-ワインと食品のマッチングについてついにピアレビューされた化学が(動画)

There's finally (peer reviewed) chemistry in wine and food pairings (video)

29-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/963133

ACS動画シリーズ

赤ワインは肉に、白ワインは魚に。ポートワインはスティルトンチーズと。アーティチョークを食べた後にワインを飲んではいけない。これらの規則には化学の基盤がある-しかし他の多くにはない。食品とワインの組み合わせに科学的枠組みを。

(赤ワインが魚に合わないというのはワインを作る容器が今はステンレススチールになっていて容器由来の鉄イオンは少なくなっているからもうあてはまらない、タンニンの渋みをオリーブオイルで和らげる、といった話を次々に紹介している)

 

-FDAが認可を取り消した後の効果のないCOVID-19治療が広く使用されていることを研究が明らかにする

Research reveals widespread use of ineffective COVID-19 treatments after FDA deauthorized their use

29-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962937

ベネフィットのないだろう製品が15万人以上の患者に与えられている

JAMA Network Openに発表された、FDAが2021年始めに緊急認可して2022年1月初めに認可を取り消した二つのモノクローナル抗体(bamlanivimab/etesevimab および casirivimab/imdevimab)の調査

 

-深部脳刺激はむちゃ食い障害治療に期待できる、ペンシルベニア大学医学部の研究が発見

Deep brain stimulation shows promise against binge eating disorder, Penn Research finds

29-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/963193

Nature Medicine,

 

-紅茶を飲むことは死亡リスクの低さと関連するかもしれない

Drinking black tea may be associated with lower mortality risk

29-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/962629

Annals of Internal Medicine

 

-水のフッ素添加:虫歯予防に効果的で環境にも良い-Trinity研究

Water flouridation: Effective prevention for tooth decay and a win for the environment - Trinity research

29-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/963230

British Dental Journal  に発表

 

-妊娠女性は食器、染髪料、プラスチック、殺虫剤から発がん物質に暴露されていることを研究が明らかにした

Study reveals pregnant women are exposed to cancer-causing chemicals in dishware, hair coloring, plastics, and pesticides

30-AUG-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/963065

カリフォルニア大学サンフランシスコ校とJohns Hopkins Bloomberg公衆衛生大学院の研究者らがChemosphereに発表したNIHの子ども健康アウトカムへの環境影響(ECHO)計画の一部である171人の女性の尿のメラミン誘導体と芳香族アミンを測定した結果

Exposure to melamine and its derivatives and aromatic amines among pregnant women in the United States: The ECHO Program

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0045653522020926?via%3Dihub

ほとんどの化合物は喫煙のバイオマーカーであるコチニンに正の関連があった

(ディスカッションはほぼ検出限界以上が検出されたかどうかに留まっていてリスクの話はしていない、しかしプレスリリースでは母子の健康に懸念があると明確に主張している。学者というより活動家)

 

SMC UK

-紅茶摂取と死亡率の観察研究への専門家の反応

expert reaction to observational study on black tea consumption and mortality

AUGUST 29, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-observational-study-on-black-tea-consumption-and-mortality/

Annals of Internal Medicineに発表された研究がUKバイオバンクのデータを用いて紅茶摂取と死亡率について調べた

CIBERESP と IMDEA-Food、マドリッド自治大学予防医学と公衆衛生教授Fernando Rodríguez Artalejo教授

この研究は、紅茶の定期的摂取が、ほとんど白人の中年成人集団で10年にわたる総死亡と、特に心血管系疾患による死亡率の、ささやかな削減と関連することを示した。この論文は方法論の厳密さとデータの追加の点でこの分野の進歩を示す。

他の観察疫学研究同様、これはお茶が死亡率を下げることの決定的証明にはならない。理論的には無作為化した大規模臨床研究が疑問に対する答えだがそのような研究は困難であり最もシンプルなアプローチがメンデルランダム化である。

一方でこのような研究を将来心血管系疾患のある人だけで行うことが望ましい。そしてお茶を定期的に飲まない人にとっては、この研究では答えていないが関心のある質問は、お茶を飲み始めた方が健康に良いのか、であろう。それにはお茶の摂取量を繰り返し測定して、摂取量が増えたあるいは飲み始めた人とずっと飲んでいる人とずっと飲んでいない人とを比べる研究が必要であろう

 

-むちゃ食い障害のある2人に脳刺激した研究への専門家の反応

expert reaction to pilot study in two individuals of brain stimulation for binge-eating disorder

AUGUST 29, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-pilot-study-in-two-individuals-of-brain-stimulation-for-binge-eating-disorder/

Nature Medicineに発表された研究が制御不能な食欲に深部脳刺激の使用を調べた

York大学精神保健講師Alexandra Pike博士

この論文で著者らは制御できないドカ食いをする人に個別に深部脳刺激をした結果が期待できることを報告した。しかし注意すべき限界がある。たった二人であること、侵襲性が高く副作用があることから広く使えるものではない。また盲検ではないのでプラセボ効果の可能性がある

 

-パンデミック中の科学者の役割についてのSpectatorに掲載されたRishi Sunakのインタビューへの専門家の反応

expert reaction to Rishi Sunak’s interview in the Spectator about the role of scientists in the pandemic

AUGUST 25, 2022

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-rishi-sunaks-interview-in-the-spectator-about-the-role-of-scientists-in-the-pandemic/

何人かのジャーナリストが我々にRishi Sunakのコメントへの反応を尋ねた。以下が役立つだろう。

福島からパンデミックまでの各種SAGEに参加したImperial College物質学部Robin Grimes教授

SAGEは助言委員会である。その助言は首相あるいは内閣に伝えられる。SAGEが政策を決めるのではない。SAGEに参加する前に科学者はその限界を知らされるのでSAGEメンバーが混乱することはない。

パンデミックのSAGEメンバーだったLondon School of Hygiene & Tropical Medicineの感染症数理モデルセンター教授John Edmunds教授

SAGEの役割はあまりよく理解されていないが極めて狭い。科学的根拠を精査し評価して意思決定者に伝えることである。経済的側面は考えないしそうすることを求められてもいない。科学的根拠が経済的数字より重視されたという主張には幾分かの真実があるかもしれないが、それへの答えは科学的根拠を軽視することではなく経済的およびそのほかの広範な影響を最良の根拠でより明確に描き出すことである。そうしたことが系統的に、公開のもとで、ピアレビューを伴って行われていたとは思えない。大蔵大臣のSunak氏がそのようなシステムを作るべきだったのに、しなかった。

パンデミックSPI-M座長でLondon School of Hygiene & Tropical Medicineの感染症数理モデルセンター教授Graham Medley教授

政府には力があり、内閣の一人として科学的助言があまりにも力を与えられすぎていると思ったのであれば、科学者ではなく同僚の大臣を批判すべきだろう。SAGEの会合は科学についてであり政策の選択肢についてではなく、議事録はその時の科学的コンセンサスを反映している。コンセンサスと不確実性にはバランスがあり、例えば我々は休校が感染を減らすだろうことには全員確信をもって一致できたが影響がどのくらいかについては不確実性が大きかった。科学は休校すべきかどうかの決定には関わらないが、その影響がどうなるかについては言う役割があった。次のパンデミックには科学の異なる分野と政策がお互いをより良くサポートするにはどうすればいいかにつながることを期待する。

パンデミックSAGEのメンバーでSt Andrews大学Ian Boyd教授

SAGEは科学的根拠に基づいて助言を提供するために作られた。後から振り返って解析する場合には当時わかっていたこととわからなかったことを考慮する必要がある。特にパンデミックの初期にはわからないことが多かった。つまりリスクが高かったために予防的対応が求められた。SAGEは決定をしない、助言には不確実性を反映しようとした。メンバーは実際にトレードオフを認識していて助言の中で不確実性に含まれた

もとSTFC最高責任者でEdinburgh大学科学技術学部John Womersley教授

Sunakのコメントがある種の保守層と一部科学コミュニティに気に入られることは確かだろう。パンデミック時の意思決定が十分分野横断的で全体的だったかについての議論をするのは正当だが、これは全く恥ずべきことだ。

 

問題の記事

ロックダウンファイル:Rishi Sunakが我々が知らされなかったことについて語る

The lockdown files: Rishi Sunak on what we weren’t told

Fraser Nelson  27 August 2022

https://www.spectator.co.uk/article/the-lockdown-files-rishi-sunak-on-what-we-werent-told

英国がロックダウンされた時、全てのリスクが適切にしっかり考慮されたと説明されていたが、そうではなかった。副作用を考えずに、Neil Fergusonの有名な「何もしなければCovidの犠牲者は50万人になるがロックダウンをすれば2万人」というロックダウンの効果を誇大に見積もった主張に基づいて行われた。Imperialは社会経済的コストは考慮していないと強調した。そして誰もコスト-ベネフィットの計算をしなかった。大蔵大臣のSunakはトレードオフについて語ることを許されなかった。

今だから話せるあれこれ、といった記事。議論を抑えるために恐怖のメッセージが使われたことなど

 

その他

-「信頼される」情報源が信頼できない情報を宣伝するせいでデマが溢れる

Misinformation abounds because “trusted” sources promote untrustworthy information

AUGUST 4, 2022

https://bigthink.com/health/misinformation-trusted-sources/

アカデミアの神聖な聖書である学術雑誌がしばしばいいかげんな研究や誤情報に満ちている

ポイント

・我々は科学者やメディアからデマを避けるようにと警告されている。しかし科学者やメディアがデマの提供者であることがある

・アカデミアでは「どこにも発表できない研究はない」ことが知られている。ビタミンB6が鬱を治療できると主張する最近の論文がその良い例である。

・社会として、我々は皆科学的正確性について同じ認識的基準をもつか、あるいは「信頼される情報源」自身がデマを拡散しそれによって利益を得続けることを受け入れるのか。

 

-糖尿病と減量用と宣伝されていたハーブレメディを摂った後、議員の妻死亡

Congressman’s Wife Died After Taking Herbal Remedy Marketed for Diabetes and Weight Loss

By Samantha Young AUGUST 24, 2022

https://khn.org/news/article/tom-lori-mcclintock-death-herbal-remedy-diabetes-weight-loss-white-mulberry/

北カリフォルニアの議員Tom McClintockの妻Lori McClintockが昨年、一般的に安全だと考えられていて各種病気用のハーブレメディに使われている植物を摂取した後死亡したことをKHN(Kaiserヘルスニュース)は知った。死因はホワイトマルベリーリーフ(マグワの葉)を飲み込んだ有害影響による胃腸炎による脱水。報告によると彼女の胃から「一部無傷の」ホワイトマルベリーリーフが見つかった。

彼女の死はダイエタリーサプリメントとハーブレメディの膨大な市場のリスクを強調する。

Tom McClintockは妻の死についてはほぼ沈黙している

(以下サプリメントの状況について等略。下痢等で脱水するのを減量効果と宣伝している?)