2022-10-28

[EU]SCCS ビタミンA(レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)についての科学的意見改定

SCCS - Revision of the scientific Opinion (SCCS/1576/16) on Vitamin A (Retinol, Retinyl Acetate, Retinyl Palmitate)

26 October 2022

https://health.ec.europa.eu/latest-updates/sccs-revision-scientific-opinion-sccs157616-vitamin-retinol-retinyl-acetate-retinyl-palmitate-2022-10-26_en

化粧品中のビタミンAについては、ボディローションで0.05%レチノール当量(RE)、その他のつけたままにするあるいは洗い流す製品では0.3%REは安全だとSCCSは考える

総暴露量への化粧品の寄与については提示されたモデルの計算が一致しないため結論は出せない。しかしながら食品と食品サプリメントからのビタミンAへの暴露が、最も多く暴露されている消費者(全体の5%)で既に上限を超えているだろうことが確率論的推定で示されている。食品に比べると化粧品由来のビタミンAは少ない。しかしそれは暴露量をさらに増やすので食品とサプリメントからのビタミンA暴露量の多い消費者にとっては懸念となる可能性がある。

(食品だとレバー食べると結構簡単に超える)

 

[EFSA]意見等

-全ての動物種用Corynebacterium glutamicum CGMCC 17927株で発酵して生産したl‐リジン一塩酸塩と l‐リジン硫酸塩からなる飼料添加物の安全性と有効性(Barentz Animal Nutrition B.V.)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of l‐lysine monohydrochloride and l‐lysine sulfate produced by fermentation with Corynebacterium glutamicum CGMCC 17927 for all animal species (Barentz Animal Nutrition B.V.)

EFSA Journal 2022;20(10):7613 21 October 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7613

(科学的意見)

 

-全ての動物種用シナニッケイ(カシア葉油)由来エッセンシャルオイルからなる飼料添加物の安全性と有効性(FEFANA asbl)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of an essential oil from Cinnamomum cassia (L.) J. Presl (cassia leaf oil) for use in all animal species (FEFANA asbl)

EFSA Journal 2022;20(10):7600  20 October 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7600

(科学的意見)

 

-離乳子豚と全ての育成期の家禽種用レモン(Citrozest®)の水性抽出物からなる飼料添加物の安全性と有効性(Nor‐Feed SAS)

Safety and efficacy of a feed additive consisting of an aqueous extract of Citrus limon (L.) Osbeck (Citrozest®) for weaned piglets and all growing poultry species (Nor‐Feed SAS)

EFSA Journal 2022;20(10):7616 20 October 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7616

(科学的意見)

 

-ピレスロイド系の一般的な代謝物質の毒性に関する科学的意見

Scientific opinion on toxicity of pyrethroid common metabolites

EFSA Journal 2022;20(10):7582 21 October 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7582

(科学的意見)

植物保護製品とその残留物に関するEFSAのパネルは、欧州委員会から、いくつかのピレスロイド化合物に共通する代謝物である3-フェノキシ安息香酸(PBA) と3‐(4’-ヒドロキシフェノキシ)安息香酸(PBA(OH))が遺伝毒性を持つか、その親化合物の(神経)毒性プロファイルを共有するか、そして、根拠からその健康に基づく指標値について結論できるか、入手可能な根拠に基づいて結論するよう求められた。利用可能なエビデンス一式は、規制当局に提出された資料及び一般文献に記載された研究である。また、PBAの短期毒性プロファイルに関するデータギャップは、リードアクロス法で対処された。評価の結果、PBAとPBA(OH)は遺伝毒性に関する懸念を生じないことが明らかになった。一般的な毒性に関しては、PBAとPBA(OH)は、親ピレスロイド化合物と比較して、毒性の質(神経毒性メカニズムはない)と量(高NOAELs)が異なる。どちらの代謝物質も、許容一日摂取量(ADI)は0.1 mg/kg体重/日、急性参照用量(ARfD)は1 mg/kg体重と導出された。

 

-ヒドロキシアントラセン誘導体類の安全性に関する技術的支援要請についての技術的報告書

Technical Report on the request for technical assistance in relation to the safety of hydroxyanthracene derivatives

EFSA Journal 2022;19(10):EN-7636 20 October 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-7636

(技術的報告書)

入手可能な根拠に基づき、EFSAは、提示されたこの新たな情報は、ヒドロキシアントラセン誘導体類に関するEFSAのANSパネルの意見の結論の改訂を正当化するものではないと結論した。

 

-食品と接触する物質としてポリエチレンやポリプロピレンの印刷された切れ端やスクラップをリサイクルするために使用されるLoop Polymersプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Loop Polymers, used to recycle polyethylene and polypropylene printed offcuts and scrap for use as food contact materials

EFSA Journal 2022;20(10):7577  20 October 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7577

(科学的意見)

CEPパネルは、申請者が、この工程中にコーティング、インクシステム、接着剤を適切に除去できることを証明しなかったと判断した。その結果、申請者は、このリサイクル工程がPEやPPリサイクルの汚染をヒトの健康にリスクを起こさない濃度まで減らすことができると証明していないと結論した。

 

-非遺伝子組換えAspergillus oryzae GL 470株由来食品酵素β‐ガラクトシダーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme β‐galactosidase from the non‐genetically modified Aspergillus oryzae strain GL 470

EFSA Journal 2022;20(10):7572 19 October 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7572

(科学的意見)

この食品酵素β=ガラクトシダーゼ(β‐d‐ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ; EC 3.2.1.23)は、Shin Nihon Chemical Co., Ltd.社がAspergillus oryzae GL 470株で生産した。この食品酵素中にこの生産菌の生きた細胞はない。5つの食品製造工程に使用することを意図している;ミルク加工の乳糖加水分解、発酵乳製品の生産、乳清加工、酵素で組み替えた乳成分の製造、ガラクトオリゴ糖の製造。この食品酵素への食事暴露―総有機固形物(TOS)は、欧州の人々で最大1.388 mg TOS/kg 体重/日と推定された。遺伝毒性試験は安全上の懸念を生じなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を検査した最大量である7,000 mg TOS/kg 体重/日とし、この値を推定食事暴露量と比較した場合、暴露マージンは少なくとも5,043となった。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、一致はなかった。パネルは、意図された使用条件下において、食事暴露によるアレルギー感作リスクは除外できないが、これが起こる可能性は低いと判断した。提出されたデータに基づき、最新の完全な毒性学的データセットを考慮して、パネルは、この食品酵素は意図された使用条件下で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

[ANSES]動物とヒトの健康をより良く守るための新しい欧州プロジェクト

New European projects on the horizon, to better protect animal and human health

21/10/2022

https://www.anses.fr/en/content/european-projects-horizon-protect-animal-human-health

フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、欧州連合(EU)の研究プログラム「Horizon Europe」で採択された以下の5つの新しいプロジェクトに参加している。

・PARC(化学物質のリスク評価のためのパートナーシップ)

ANSESがコーディネートする。欧州28カ国から200のパートナーが集まり、2022年5月1日に発足し、7年間運営される。目的は、化学物質のリスク評価に関する研究を進め、知識を共有し、技術を向上させることである。

・SPIDVAC(主要な動物疾患の管理向上:アフリカ馬疫、小反芻獣疫ウイルス及び口蹄疫のための新規ワクチンとコンパニオン診断検査)

ドイツのFriedrich-Loeffler研究所が運営し、ANSESが共同コーディネートする。2022年7月1日に開始し、3年半の期間を予定する。目的は、3つの動物疾患(アフリカ馬疫、口蹄疫、小反芻獣疫)に対するワクチンを作り、改良することである。13のパートナーが参加している。

・BROILERNET(実践及び科学的ブロイラー生産革新ネットワーク)プロジェクト

養鶏部門の研究者と関係者のネットワークを構築し、飼育方法を改善することを目的とする。このプロジェクトは、環境、動物福祉及び動物の健康の3つを主な焦点とし、ANSESは主に動物福祉に特化した部分に参加する予定である。スウェーデン農業科学大学がコーディネートし、25のパートナーが参加する。2022年9月27日に開始され、4年間実施される。

・HOLiFOOD(変化する地球環境における食料システムのリスクに取り組むための全体的なアプローチ)研究プログラム

ANSESを含む17のパートナーが参加している。Wageningen 大学・研究所(オランダ)がコーディネートし、4年間実施される。目的は、確立したあるいは新興の化学的及び微生物学的な食品安全リスクの分析を向上させることである。食品が生産される環境、また、気候変動や持続可能な開発の問題を含む、経済的、社会的及び環境的な側面も考慮される。リスクの新しい検出方法とともに、当局、生産者及び市民が参加するデータと知識の共有プラットフォームを開発する。

・ISIDORe(感染症アウトブレイク研究のための統合サービス)プロジェクト

欧州機関の研究インフラを共有することを目的とする。プロジェクト参加者に、感染症やアウトブレイクを引き起こす可能性のある新興病原体の研究を可能にする最先端の施設、実験モデル及び診断ツールを提供することを意図する。154のパートナーが参加し、3年間実施される。ANSESは動物の健康の研究に関する欧州のネットワークであるVetBioNetのメンバーとして参加し、in vitro及びin vivoのモデルや診断ツールを提供する予定である。

 

[EPA]米国コミュニティの鉛暴露と格差を減らすための鉛戦略

Final Strategy to Reduce Lead Exposures and Disparities in U.S. Communities

OCTOBER 27, 2022

https://www.epa.gov/lead/final-strategy-reduce-lead-exposures-and-disparities-us-communities

EPAはハイリスクコミュニティに重点を置いた鉛からの公衆衛生保護をさらに進めるために「米国コミュニティの鉛暴露と格差を減らすための鉛戦略」(鉛戦略)を開発した。

https://www.epa.gov/system/files/documents/2022-10/Lead%20Strategy.pdf

 

論文

-チョコレート研究の最近の進歩

Recent advances in chocolate research

27-OCT-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/969324

Journal of Agricultural and Food Chemistryに最近発表されたチョコレート論文の紹介

 

-動かないライフスタイルと砂糖の多い食事は男性により悪影響

Sedentary lifestyle and sugary diet more detrimental to men

27-OCT-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/969113

36人の男女で10日間運動を1日1万歩から5000歩に減らし1日6缶の砂糖入り炭酸飲料を摂取したときのインスリン抵抗性を調べた。Endocrinology

(1日6缶の砂糖入り炭酸飲料って倫理審査通るんだ?)

 

-大学生は100以上のアルコール関連帰結に苦しむ、研究が発見

College students suffer more than 100 alcohol-related consequences, study finds

27-OCT-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/969417

また研究は親の反対が飲酒の帰結の少なさに関連することも発見

大学生は、平均すると、4年間で102の飲酒による帰結-記憶がない、二日酔い、学校やバイトを欠席-を経験していた。また親がそのような飲酒の帰結を非難すると考えている学生は飲酒による負の帰結が少ない可能性が高い。Addictive Behaviorsに発表された米国の大学生の調査。25%近くが性交を強制されたと回答。

 

-気候変動は健康危機と食料不足に関連する

Climate change linked to health crises and food insecurity

27-OCT-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/969483

The Lancetの新しい報告書

 

SCIENCE VOLUME 378|ISSUE 6618|28 OCT 2022

-エディトリアル

スウェーデンで信頼性が危機に

Credibility at stake in Sweden

HENRIK ÖSTERBLOM AND ROBERT BLASIAK

337

スウェーデンは気候と環境を政策決定の中核にすることの世界的リーダーだったが2022年10月18日で終わったかもしれない。新しい右翼政権の最初の犠牲者は環境省だった。

以下略

 

-微生物代謝物がDNAを傷害する

Microbial metabolites damage DNA

JENS PUSCHHOF AND CYNTHIA L. SEARS

358-359

腸内細菌叢の予期せぬ一員が多様な宿主細胞の遺伝子傷害物質を作る

過去20年の研究で、DNAを変異させたり傷つけたりする遺伝毒性腸内細菌が大腸がん(CRC)に重大な寄与をすることが示されている。さらに若年発症大腸がんが増加していることが原因究明の緊急性を増す。今週号の369ページから、Caoらが炎症性腸疾患(IBD)患者から遺伝毒性の可能性がある多様な腸内細菌をもつことを報告した。IBDとCRC患者に多いグラム陰性細菌Morganella morganiiを追跡して、著者らはインドールイミン類と呼ばれる一連の細菌遺伝毒性物質を同定した。インドールイミン類はマウスでの発がん促進作用がある。

よく知られている遺伝毒性細菌にはBacteroides fragilis毒素 (BFT)を作るエンテロトキシン産生性Bacteroides fragilis (ETBF)、コリバクチンを作る大腸菌系統やその他細菌、細胞膨化致死因子(CDT)を発現するCampylobacter jejuni系統などがある。これらのDNA傷害性は相当に多様で、DNA鎖間架橋のアルキル化からDNアーゼ活性まである。興味深いことにETBFとコリバクチン産生性大腸菌はin vitroとin vivoでIBDとCRC発症に関連する。

Caoらの研究は遺伝毒性活性のある腸内細菌の予想される数と多様性を相当拡大した

Commensal microbiota from patients with inflammatory bowel disease produce genotoxic metabolites

YIYUN CAO et al.,

(以下略。こういうの見ると食品や環境中の極微量の発がん物質を減らすために膨大なリソースを割くことにどれだけの意味があるのか、と思う。)

 

その他

視点:ヒトインスリン物語:最初の遺伝子組換え医薬品の特異な、成功した40年の歴史は、規制が革新を止める可能性について強調する

Viewpoint: Human insulin saga: Anomalous, successful 40-year history of the first genetically-modified medicine underscores how regulators can scuttle innovation

Henry Miller | October 27, 2022

https://geneticliteracyproject.org/2022/10/27/viewpoint-human-insulin-saga-anomalous-successful-40-year-history-of-the-first-genetically-modified-medicine-underscores-how-regulators-can-scuttle-innovation/

著者のHenry MillerはFDAのバイオテクノロジーオフィスの設立部長。遺伝子組換えで作ったヒトインスリン“Humulin”の評価チームの責任者だった彼が歴史を振り返る。ふり時代の写真いろいろ