2023-03-16

[WHO]塩の摂取を減らして命を守るためには多大な尽力が必要

Massive efforts needed to reduce salt intake and protect lives

9 March 2023

https://www.who.int/news/item/09-03-2023-massive-efforts-needed-to-reduce-salt-intake-and-protect-lives

 WHOの報告書によると、義務的で包括的な減塩政策によって保護されているのは加盟国の5%のみで、73%の国はそのような政策が全面的に実施されてはいないことが明らかになった。費用対効果の高い減塩政策の実施により、2030年までに世界で推定700万人の命を救うことができる。WHOは1日の塩の摂取量を5 g未満とするよう推奨しているが、世界の平均摂取量は10.8 g/日であり推奨の2倍以上に及ぶと推定されている。ナトリウムの低減化のための包括的アプローチには、義務的な政策の実施や、次のようなWHOの4つの「ベストバイ」介入がある。

・食品の組成変更により塩の量を減らし、食品や食事中のナトリウム含量の目標を設定する。

・病院、学校、職場、介護施設などの公共機関において、塩やナトリウムを多く含む食品を制限するための公共食品調達政策を確立する。

・消費者がよりナトリウムの少ない製品を選択できるようにする包装前面表示を導入する。

・塩/ナトリウムの摂取量を低減するための、行動変容を促すコミュニケーションとマスメディア・キャンペーンを実施する。

 各国は、WHO Global Sodium Benchmarksに従って加工食品中のナトリウム含量の目標を設定し、これらの政策を通じて実行に移すことが奨励されている。減塩義務化政策は、食品製造業者には公平な競争の場を提供しつつ、より広範囲に達成でき商業的利益も保護できることから、より効果的である。

*WHO Global Sodium Benchmarks for Different Food Categories

https://www.theconsumergoodsforum.com/global-learning-mechanism-resources/who-global-sodium-benchmarks-for-different-food-categories/

 

[WHO]5つの市が健康都市サミットパートナーシップで公衆衛生業績を評価される

Five cities recognized for public health achievements at Partnership for Healthy Cities Summit

15 March 2023

https://www.who.int/news/item/15-03-2023-five-cities-recognized-for-public-health-achievements-at-partnership-for-healthy-cities-summit

ロンドンで開催された健康都市サミットパートナーシップ開会式において5つの都市が非伝染性疾患と傷害予防の功績を評価された。

・ギリシャのアテネ:オピオイド過剰使用解毒剤ナロキソンのアクセス向上

・インドのベンガルール:公共の場での禁煙のコンプライアンス向上

・メキシコのメキシコシティ:交通量の多い道路に自転車専用道を作ることで道路安全性向上

・ウルグアイのモンテビデオ:政府機関や公立大学などが提供する食品の、減塩を焦点にした栄養基準設定

・カナダのバンクーバー:都市先住民コミュニティと協力して公共データをより包摂的で入手可能にした

 

[Codex]プレスリリース

-FAO/WHOウェビナーで細胞ベース食品の安全性評価の始まりとなる新しい報告書を発表

FAO/WHO webinar will unveil new cell-based food report that starts the safety assessment

05/03/2023

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1633035/

 2023年4月5日、FAO/WHO科学助言プログラムがウェビナーで「細胞ベース食品の食品安全について(Food safety aspects of cell-based food)」という新しい報告書を公開予定である。商用の細胞ベース食品の生産は拡大し続けているため、消費者の最も重要な疑問の一つ、つまり食品安全に対処することが急務である。そのためFAOは、WHOと協力して、4月上旬に画期的な出版物を発表する予定である。

ウェビナーは2セッション(各1時間半)開催され、参加希望者は要登録。参加者には次の特典がある。

この画期的な出版物の電子コピーを入手できる。

細胞ベース食品に現在使用されている様々な技術を知ることができる。

FAOがWHOの協力のもと開催した専門家会合で技術パネルが実施した食品安全ハザード同定の重要な結果を理解できる。

様々な国や管轄区域における細胞ベース食品に関する現行の規制の考え方や策定の状況について学ぶことができる。

国特有の課題とそれに関連した規制の必要性について話し合うブレインストーミングセッションに積極的に参加できる。

*【WHO】Food safety aspects of cell-based food - FAO/WHO publication launching webinar

https://www.who.int/news-room/events/detail/2023/04/05/default-calendar/food-safety-aspects-of-cell-based-food-fao-who-publication-launching-webinar

 ウェビナーは、各国の食品安全当局、特に低・中所得国の関係者を主に対象にしているが、科学者、開発者、業界関係者、当該分野の学術研究者にとっても有益であろう。

 

-ガンビアが国家衛生植物検疫(SPS)委員会を発足

Gambia Launches National Sanitary and Phytosanitary (SPS) Committee

28/02/2023

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1632316/

ガンビアの国家衛生植物検疫(SPS)委員会は2023年2月21日に発足した。かつてガンビア全国SPS委員会は2016年に発足したが、しかし、それ以来予算と調整の問題によりその活動は大幅に制限されてきた。ガンビア政府は、食品安全局を通じてこの重要な委員会を再構成して立ち上げる必要があると判断した。SPS措置は、世界貿易機関(WTO)及びその他の関連する国際多国間機関が食品の安全性、害虫や病気からの動植物の保護及び国際農業貿易の促進を確保するために使用する重要な手段である。

 

-すぐに使える治療用食品に関する新コーデックスガイドラインの公表

Publication / New Codex Guidelines for ready-to-use therapeutic foods

04/03/2023

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1633000/

すぐに使える治療用食品(Ready-to-Use Therapeutic Food:RUTF)に関するコーデックスガイドラインが、コーデックス事務局によるコーデックス規格、ガイドライン及び実施規範の可用性を高める活動の一環として、改訂された形式で公表された。本ガイドラインは、2023年3月7日から10日までドイツのデュッセルドルフで開催される第43回コーデックス栄養・特殊用途食品部会の開幕に合わせて公開されたもので、2022年12月にコーデックス総会で採択された。各国政府が、小児期の衰弱に対する栄養治療政策に活用するための参考資料となる。

*ガイドライン

https://www.fao.org/3/cc4593en/cc4593en.pdf

 

-2023年世界食品安全デーは食品規格を強調

World Food Safety Day 2023 will highlight food standards

06/03/2023

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1633193/

「食品規格はいのちを救う」をテーマに、2023年世界食品安全デーキャンペーンが本日開始した。このテーマは、今年、コーデックス委員会が60周年記念を迎えるのに合わせ、世界中の食品安全の支持者たちが、食品の生産から食卓まで、あらゆる場面で規格を適用することの重要性に焦点を当てることを奨励するものである。

今年のテーマやコーデックスに関する情報に加え、今年度の主要メッセージについてのヒントが掲載されたガイドが、国連の全6言語で発行された。また、世界食品安全デーのウェブサイトは、6月7日(又はその前後)に開催される2023年の祝典に向けて更新されている。

*2023年世界食品安全デーへのガイド(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語)

https://www.fao.org/documents/card/en/c/cc3926en

 

-女性の日にコーデックス栄養部会で祝う

Much to celebrate at the Codex nutrition committee on women’s day

08/03/2023

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1633422/

3月7日~10日までドイツのデュッセルドルフで開催されたコーデックス栄養・特殊用途食品部会(CCNFSDU)は、セッションの成功を収めるようスタートを女性と一緒に祝った。コーデックス委員会の60周年を記念し、女性の日と一致する祝賀会の一環として、コーデックス事務局は、コーデックスの委員会を主導し女性が果たした重要な役割を示すタイムラインを作成した。

*第43回CCNFSDU

https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/meetings/detail/en/?meeting=CCNFSDU&session=43

 

[EU]欧州市民パネルが食品廃棄への取り組みについて提言する

European Citizens’ panel provides recommendations on tackling food waste

24/02/2023

https://ec.europa.eu/newsroom/sante/items/777967/en

欧州市民パネルは、欧州連合(EU)の食品廃棄の取り組み強化に必要な行動について議論した。欧州委員会が招集した新世代の最初の欧州市民パネルで、昨年の「欧州の将来に関する会議」でのコミットメントを引き継ぐ。Anne-Laure Gassinはパネルの提言をレビューし、保健衛生・食の安全総局(DG SANTE)の現在の活動を説明した。

食品廃棄の削減に焦点を当てた、この最初の欧州市民パネルから何を得たか?

EU市民は、EUレベルだけでなく、地方や国の市民参加プラットフォームの設立を通じての食料システムに関連する政策決定に対し発言力を求め、食料廃棄物の問題では、広範かつ体系的なアプローチをとり、公正で公平な食品サプライチェーンを呼びかけた。パネルの23の提言は、3つの主要な分野を含む。1)フードバリューチェーンにおける協力:farm to fork(農場から食卓まで)、2)食品事業の取り組み、3)消費者の行動変容の支援である。食品の持続可能性、食品廃棄防止、消費者行動の専門家及び欧州委員会関係者を含む政策立案者で構成される知識委員会には、最初の週末に市民から80以上の質問が寄せられた。

食品廃棄はまだ熱い問題なのか?その削減は進んでいるのか?

食品廃棄は、今もなお重要な社会問題である。2020年にEUで発生する食品廃棄物は約5,700万トン(127 kg/人)、その価値は1,300億ユーロに上ると推定される。EUでは、2015年に第1次循環型経済行動計画を採択して以来、食品廃棄の防止に取り組んでいるが、2030年までに1人当たりの世界の食品廃棄を半減するという持続可能な開発目標(SDG)を考えると、進捗は十分ではない。新たな立法案によるEU全体の法的拘束力のある食品廃棄削減目標の導入は、世界目標に向けたEUの進捗の加速を目的としている。

この身近な問題を減らすために、欧州委員会は現在どのような取り組みを行っているか?

欧州委員会は、余剰食料の再分配を促進するだけでなく、食料生産と消費が環境と気候に与える影響を軽減するために、いくつかの方法で食品廃棄に取り組んでいる。欧州委員会は2015年以降、食品廃棄を防止する措置を実施しており、EU共通の手法に基づくEU全体の食品廃棄モニタリングの導入、主要な関係者を結集させる「食品ロス及び食品廃棄に関するEUプラットフォーム」の設立、食品寄付やヒトの消費目的ではなくなった食料を動物の飼料としての使用を促進するEUガイドラインの採択などがある。2020年には「Farm to Fork戦略」による持続可能なEUの食料システムへの移行を可能にする行動を打ち出した。この戦略に関し、EU全体で食品廃棄を削減するための法的拘束力のある目標(2023年6月)と、日付の誤解や誤用に関連する食品廃棄を防止するための期限(使用期限及び賞味期限)に関するEU規則の改正を委員会は提案する。

食品廃棄については、家庭、食品サービス、小売業者、生産者及び公的機関など、すべての人が役割を担っている。食品廃棄の半分以上が家庭から排出されており、一人ひとりの予防行動が大きく影響し、消費者は適切な情報とツールの支援が必要であり、食品事業は重要な役割を果たす。また、国や地方自治体が対策に取り組む例も増えている。EUでは、「食品ロスと食品廃棄に関するEUプラットフォーム」により食品廃棄の特定、測定、理解及び解決策が進んでいる。

 

[EU]食品汚染物質の最大基準値の改訂:ヒ素

Commission Regulation (EU) 2023/465 of 3 March 2023 amending Regulation (EC) No 1881/2006 as regards maximum levels of arsenic in certain foods (Text with EEA relevance)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32023R0465&qid=1678070707098

2021年、欧州食品安全機関(EFSA)は食品中の無機ヒ素に関する最新の汚染実態データをもとに、無機ヒ素への慢性食事暴露評価を行った。その結果、各年齢層で、無機ヒ素への食事暴露の主な寄与食品は、コメ、コメ由来製品、コメを含まない穀類及び穀類加工品、及び飲料水であると結論付けた。また、若年層向けの特定食品(乳幼児用穀類加工品、子供向けのビスケット、乳児用調製乳やベビーフード、果実飲料など)が、この人口集団における無機ヒ素への食事暴露に関連すると結論した。食品中のヒ素に対する既存の平均及び95パーセンタイルの暴露量は、依然として2009年のCONTAMパネルの科学的意見で特定されたBMDL01値の範囲にある。したがって、ヒ素への暴露に寄与する品目について新たな最大基準値を設定し、汚染実態データに基づき実行可能な場合には、既存の最大基準値を引き下げることが適切である。また、Codex委員会は食塩中の総ヒ素の最大基準値を0.5 mg/kgと定めており、EUでも同じ基準を設定することが適切である。以上のことから、規則(EC) No 1881/2006を適宜変更する必要がある。

新たに無機ヒ素の最大基準値が設定された品目は、乳児用調製乳、フォローアップフォーミュラ、乳児用特別医療目的用食品、幼児用調製乳、ベビーフード、米粉、ノンアルコールコメ由来飲料、果実飲料、濃縮還元果実飲料、果実ネクター。食塩に対しては、総ヒ素の基準値が設定された。またパーボイルドライスを除く精米に対する無機ヒ素の最大基準値が引き下げられた。

本規則は欧州連合の官報に掲載された日の翌日から20日目(2023年3月26日)より施行される。本規則の対象となる特定の食品は消費期限が長いことを考慮し、本規則の適用日前に合法的に流通した食品は、市場に残すことが許可される。

<ヒ素の最大基準値>

食品

最大基準値

(mg/kg wet weight)

無機ヒ素

総ヒ素

穀類、穀類加工品

 

 

精米(パーボイルドライス除く)

0.15

 

パーボイルドライス及び玄米

0.25

 

米粉

0.25

 

ライスワッフル、ライスウェハース、ライスクラッカー、ライスケーキ、ライスフレーク、朝食用ポップライス

0.30

 

乳幼児用食品の原料となるコメ

0.10

 

ノンアルコールコメ由来飲料

0.030

 

乳児用調製乳、フォローアップフォーミュラ、乳幼児用特別医療目的用食品、幼児用調製乳

 

 

粉製品

0.020

 

液体製品

0.010

 

ベビーフード

0.020

 

果実飲料、濃縮還元果実飲料、果実ネクター

0.020

 

食塩

 

0.50

 

[EU]セミカルバジドのRPAの適用規定の改訂

Commission Regulation (EU) 2023/411 of 23 February 2023 amending Regulation (EU) 2019/1871 as regards the application of reference points for action for nitrofurans and their metabolites

https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2023/411/oj

 EUでは、委員会規則(EU) 2019/1871のもと、動物性食品への使用が禁止され最大残留基準値(MRL)が設定されていない薬理活性のある物質(クロラムフェニコール 0.15 μg/kg、マラカイトグリーン・ロイコマラカイトグリーン0.5 μg/kg、ニトロフラン類・その代謝物0.5 μg/kg)についてRPA(reference points for action)が設定されている。それらの物質が動物性食品からRPA以上の濃度で検出された場合にはEUの法律に不適合とみなし、RPA未満であれば流通させることを妨げないとしている。

対象物質のうち、ニトロフラン類の代謝物であるセミカルバジド(SEM)は、ニトロフラゾンの違法使用だけでなく、消毒剤の使用やさまざまな食品成分の反応が原因となって食品加工中にも生じる可能性がある。従って、SEMは動物性製品の生産におけるニトロフラゾンの違法使用を明確に示すマーカーとみなすことができない。動物性製品のうち、ゼラチン、コラーゲン加水分解物、加水分解軟骨製品、噴霧乾燥血液製品、ホエイ及び乳タンパク濃縮物、カゼイン塩、粉乳を高温で加工すると高濃度のSEMが検出される可能性がある。そのため、委員会規則(EU) 2019/1871を改訂し、それらの品目(ただし乳児用調製乳とフォローアップフォーミュラは除く)について、SEMのRPAは、ニトロフラゾン又はSEMの違法使用が確かな場合、すなわち他のニトロフラン類やそれらの代謝物が少なくとも1つが検出された場合にのみ適用することとする。また、食品事業者やその他の関係者は、それら品目におけるSEMの形成につながる加工工程のパラメーターや要因について調査し、その結果を2024年3月1日までに欧州委員会へ提示すること。本規則は、官報に掲載された翌日から20日目に施行する。

(注:他に、ザリガニのSEMのRPAについて、すでに同様の適用がなされている)

 

[EPA]EPAは内分泌影響のスクリーニングのための新しい方法論アプローチについてのパブリックコメントの求めに応じて内分泌攪乱物質スクリーニング計画を復元する

EPA Rebuilds Endocrine Disruptor Screening Program by Soliciting Public Comment on New Approach Methodologies to Screen for Endocrine Effects

Released on January 19, 2023

https://www.epa.gov/pesticides/epa-rebuilds-endocrine-disruptor-screening-program-soliciting-public-comment-new

 

Endocrine Disruption Screening Program (EDSP)

MARCH 13, 2023

https://www.epa.gov/endocrine-disruption

(ずっとほったらかしだったのが2023年3月13日付けで更新されている)

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News

March 2023

https://mailchi.mp/3b0b6f913833/food-standard-news-1300688?e=21527ddb09

「安全な食品オーストラリア」ガイド更新

CSIROによる薬剤耐性報告書発表

 

[APVMA]動物用医薬品規制ニュースレター

Veterinary Medicines Regulatory Newsletter, March 2023

14 March 2023

https://apvma.gov.au/node/110141

新規登録、申請様式の変更等企業向け情報

 

論文

-ヒトは単なる巨大マウスではない:研究が科学の筋スケールの問題を同定する

Humans are not just big mice: Study identifies science’s muscle-scaling problem

16-MAR-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/982899

科学では小動物での結果をしばしば一般化して桁違いに大きいヒトに一般化するが、Journal of Physiologyに発表される研究は、初めて直接ヒトの筋肉の収縮性能を測定しただけではなく、小動物で得られた値と違うことも明らかにした

 

-内分泌学会は飲料水中の「永遠の化合物」のEPAの規制を支持する

Endocrine Society supports EPA rule regulating “forever chemicals” in drinking water

14-MAR-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/982795

学会はEPAにPFASを一つの化合物群として規制するよう強く求める

内分泌学会はEPAの新しい規則案を支持する。提案ではPFASとその混合物に対して健康に基づく最大濃度目標Maximum Contaminant Level Goal (MCGL)をゼロに提案した。これは政府が飲料水中の新しい化合物を規制してきた30年以上の歴史の中で初めてである。

新しい規則は国中の水処理施設の大幅に更新することを要求するだろう

(ゼロ目標に意味があるとは思えないのだが。望ましくないものは理想的には全部ゼロにしたい、でもできないから評価してるのに。学会がゼロ目標を支持する、というのは「永遠に」飯の種にできるから?)

 

-よくある甘味料がマウスの免疫系を抑制する-高用量で

Natureニュース

Common sweetener suppresses mouse immune system — in high doses

15 March 2023 Max Kozlov

https://www.nature.com/articles/d41586-023-00784-w

この知見はスクラロースがいつの日にか自己免疫疾患治療に使われる可能性を示唆する

Natureに発表された、細菌感染あるいは腫瘍のあるマウスにスクラロースを飲水投与した研究。

 

The dietary sweetener sucralose is a negative modulator of T cell-mediated responses

https://www.nature.com/articles/s41586-023-05801-6

オープンアクセス

(ADI相当量の計算に体表面積を使っているのでかなりの量。0.72 mg/mlと0.17 mg/mlの水を飲ませている。対照には水、アセスルファムK、NaS(サッカリンナトリウム)を使っていてスクラロースにだけ作用が見られた。

スクラロースの使用基準によると

~清涼飲料水、乳飲料及び乳酸菌飲料にあっては、1kgにつき0.40g以下

なので使用基準超過、マウスは水分はこれからしか摂れないのでヒトではありそうにない。甘い水だと飲水量が増える)

 

プレスリリース

Artificial Sweetener could dampen immune response to disease in mice

https://www.eurekalert.org/news-releases/982653

 

-ノルドストリームパイプラインの爆発は有害堆積物を巻き上げた

Natureニュース

Nord Stream pipeline blasts stirred up toxic sediment

15 March 2023  Katharine Sanderson

https://www.nature.com/articles/d41586-023-00746-2

爆発は化学兵器のゴミ捨て場でおこったが、他の汚染物質の方が海の生物には毒性が高い

ノルドストリームガスパイプラインに穴を開けた爆発は、長く埋もれていた毒素を一ヶ月以上にわたって海の生物を脅かすのに十分な量の高濃度、巻き上げた、解析が示唆する。

昨年9月の爆発で10万トン以上のメタンが海と大気に放出された。また爆発によって巻き上げられた堆積物にはトリブチル錫、重金属、化学兵器が含まれ、デンマークの環境科学者らがその毒性を解析した。

 

-Nature Volume 615 Issue 7952, 16 March 2023 研究ハイライト

米国がパラセタモールを弾圧した後、肝不全症例が低下

Liver failure cases fall after US clampdown on paracetamol

https://www.nature.com/articles/d41586-023-00622-z

パラセタモールに関連する急性肝不全の数が、米国が医薬品錠剤の有効成分に上限を設定した後減った

パラセタモール(アセトアミノフェン)は薬局で販売され一部の処方薬にも含まれる。大量だと肝障害につながるため、FDAがオピオイドを含む鎮痛剤中のパラセタモールに一錠あたり325mgの上限を設定し2014年に発効した。この影響を解析したJAMAの論文によると、2011年に10万人あたり12だったパラセタモール-オピオイド医薬品の関与する入院が2019年の第四四半期までには10万人あたり4人程度に低下した。同時期にパラセタモール-オピオイド中毒による急性肝不全の割合は27%から5%に低下した。

 

SMC UK

-マウスの高スクラロース食と免疫応答の研究への専門家の反応

expert reaction to study of high sucralose diet and immune response in mice

MARCH 15, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-of-high-sucralose-diet-and-immune-response-in-mice/

Natureに発表された研究が、マウスでの甘味料スクラロースと免疫応答について調べた

Edinburgh大学Roslin研究所免疫病理学特定部長Neil Mabbott教授

これは継続して高用量の甘味料スクラロースを摂取した場合に特定の免疫系T細胞の活性にどう影響するかを明らかにした興味深い研究である。著者らはマウスに高用量のスクラロースを与えるとCD8 T細胞の腫瘍への反応とリステリア・モノサイトゲネス細菌感染防御能力が低下することを示した。この研究はスクラロースの摂取がヒトでも同様に免疫を抑制することを示唆するものではないことに注意。この研究のマウスは普通に食事に砂糖代用品として使った場合に摂取する量より遙かに多い量を数週間継続して与えられている。安心なことに、この研究ではT細胞の反応は可逆的で、スクラロースを止めると回復している。それらの限界はあるが、同時にこの研究はT細胞に高用量のスクラロースを与えると自己免疫疾患1型糖尿病の発症を遅らせる影響も示した。作用メカニズムを研究することである種の自己免疫疾患の新しい治療法が同定できるかもしれない。

Imperial College London生命科学部長Daniel Davis教授

この論文はスクラロースが人体にとって何の影響もない分子ではないことを示した重要なものである。全体としてこれは科学にとって重要な論文であるが、日常生活にとっての重要性についてはさらなる研究が必要である。ヒトでもみられるのか、使った量は極めて高く、影響が可逆的でスクラロースに特異的で他の甘味料ではみられない。科学者はいつも言うけれど、私の見解はほんとうにさらなる研究が必要である。

SMCスペインから

もとスペイン免疫学会長でCINBIO所長、免疫学教授、África González Fernández教授

この研究は注意深く検討する必要がある。考慮すべきことがいくつかある。

タイトルはミスリーディングで、スクラロースがT細胞の免疫応答に負の影響があると示唆するがそれは極めて高用量で典型的なヒトの食事では到達しない。また多くの知見は培養細胞でのもので動物実験では免疫応答に変化はない。この研究ではB細胞が関与し細胞免疫が必須のウイルスなどの病原体への免疫応答は調べておらず腫瘍と自己免疫モデルがメインである。このT細胞への影響のメカニズムは示されていないので探る価値があるだろう。これらのデータは直接ヒトに当てはめるべきではない。スクラロースについては数百の研究が行われていて、ヒト健康への問題は示されていない。

 

-世界の寿命データ解析への専門家の反応

expert reaction to analysis of global life expectancy data

MARCH 16, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-analysis-of-global-life-expectancy-data/

Journal of the Royal Society of Medicineに英国の1952年から2021年の寿命の解析が発表された

Queen Mary University of London医療と健康の政治経済学上級講師Jonathan Filippon博士

Hiamらは英国と米国が他の高取得国に比べて遅れをとっていることを示した;彼らはこの差が何に由来するのか包括的に探った。そのために彼らは社会的不平等に光をあてた。世界中で貧しい人は早く死ぬが、問題は何故英国と米国で同時に社会的不平等が何十年にもわたって悪化しているのか?

ここで我々は英米両国で主流となっているイデオロギーを見る必要がある;サッチャーとレーガンによるリベラルアプローチが人々の平等のレベルに壊滅的な帰結をもたらした。両国で市場は危機を生き残ってきたが不平等は拡大した。著者らはこれらの現象をとりまく多くの要因を指摘する良い仕事をした。

Cedars-Sinai医療センター計算機生命医学部研究者Paul Pharoah教授

過去70年に世界の寿命は劇的に長くなったが、その増加率は国により大きく異なる。英国は1950年代は世界で7番目の長寿国だったが2021年は29番目である。著者らはその低下の理由を想像し可能性として収入の不平等の重要性を強調している

(厳然たる事実として、「貧しいと短命」。)

 

その他

-労働組合と政府がフランスの砂糖産業職カットに関してTereosを非難

Union, government decry Tereos over cuts to French sugar jobs

March 14, 2023

https://www.reuters.com/business/union-government-decry-tereos-over-cuts-french-sugar-jobs-2023-03-13/

フランス最大の砂糖とエタノールの生産者であるTereosは、テンサイの収量減のためフランス北部の砂糖工場閉鎖を発表した後労働組合と政府からのバックラッシュに直面している。

砂糖価格が高騰しているにも関わらず、フランスのテンサイの収穫量は過去14年間で最低と予想されている。理由はネオニコチノイドの禁止。

 

-「欧州で戦争が起こっているときに、いつもどおりにはいかない。現在の法案は目的にかなっていない」Alexander Bernhuberがいう

“When there is a war in Europe, we cannot do business as usual. The current law proposal is not fit for purpose” said Alexander Bernhuber

written by Gary Cartwright March 4, 2023

https://eutoday.net/6822-2/

中道右派の議員が、今の形での農薬削減法案は欧州の食料生産を危機に晒すため先送りしたいという。

 

-野生のキノコを採取しないように警告

Warning not to pick or eat wild mushrooms because of deadly deathcap mushroom risk (8 March 2023)

https://www.foodsafety.asn.au/topic/warning-not-to-pick-or-eat-wild-mushrooms-because-of-deadly-deathcap-mushroom-risk-7-march-2023/

オーストラリア。

 

-2023 State of the Nation Recall Index

米国版

https://marketing.sedgwick.com/acton/attachment/4952/f-7eb49291-d264-4c6e-bec7-56883d51ced8/1/-/-/-/-/Sedgwick%20Brand%20Protection%20-%20U.S.%20State%20of%20the%20Nation%202023%20Index%20Report.pdf?utm_term=Download%20Report&utm_content=landing+page&utm_source=Act-On+Software&utm_medium=landing+page&cm_mmc=Act-On%20Software-_-Landing%20Page-_--_-Download%20Report&sid=TV2:rnii4u0Ec

リコールや訴訟の動向。PFASや食品も含む。

 

-Jesse Gabriel議員が国内で初めて危険な化合物を含む加工食品の販売を禁止する法案を提出

Assembly member Jesse Gabriel Introduces First in the Nation Legislation to Ban the Sale of Processed Foods Containing Dangerous Chemicals

Wednesday, February 22, 2023

https://a46.asmdc.org/press-releases/20230222-assemblymember-jesse-gabriel-introduces-first-nation-legislation-ban-sale

Assembly Bill (AB) 418は、カリフォルニアで赤色3号、二酸化チタン、臭素酸カリウム、臭素化植物油、プロピルパラベンを含むどんな食品も禁止する。これらはEUで現在禁止されているもの。

EWGが支持。

 

-スタートアップ企業がビーガンツナ缶を提供;一部が食品安全が向上するという

Startup company offers vegan tuna in a can; some say it boosts food safety

By Cookson Beecher on March 14, 2023

https://www.foodsafetynews.com/2023/03/startup-company-offers-vegan-tuna-in-a-can-some-say-it-boosts-food-safety/

イスラエルの企業Vgarden Ltd.が「革新的」ビーガンツナ缶を開発した

魚を使わないツナ缶はマグロの乱獲対策として環境に良いだけではなく水銀などの有害物質を含まないので安全性も高い

(これかな

Vegan Tuna

https://www.vgardenfoods.com/vgarden-product-vegan-tuna

豆のタンパク質とひまわり油が主成分のようだ

缶詰なのに保管条件が2-8℃、チルドって?)