2023-06-19

[EU]RASFF 2023(0611-0617)

警報通知(Alert Notifications)

イエローレーズンの亜硫酸塩非表示、中国産スパゲッティスプーンからの一級芳香族アミンの溶出、フランス産飼料用モロコシのブタクサの種子高含有、ドイツ産フードサプリメントのビタミンB6(ピリドキシン)高含有、ドイツ産精製パーム油のグリシジルエステル類、トルコ産ヒマワリ油のベンゾ(a)ピレン、中国産陶と鋳鉄製カップのアルミニウム及びコバルトの溶出、エジプト産パセリのクロルピリホス及びプロピコナゾール、中国産ピータンの銅、カンボジア産チリペッパーのクロルフェナピル・クロルピリホス・エチオン及びイソプロチオラン、フードサプリメントの未承認物質PDE5類似物(2-ヒドロキシプロピルノルタダラフィル)、レーズンのクロルピリホス・フェンプロパトリン及びチオファネートメチル、

注意喚起情報(information for attention)

インド産割った赤レンズ豆のクロルピリホス、中国産ナイロン製ポテトマッシャーからの一級芳香族アミンの溶出、、スリランカ産マグロのヒスタミン、トルコ産スマックのエチレンオキシド、チュニジア産ヨーロッパマダイの水銀、原料フランス産イタリア産メカジキフィレの水銀、エジプト産オランダ経由オレンジのクロルピリホス、サウジアラビア産包装用プラスチックフィルムの鉛及びクロム、モルドバ産ヒマワリ種子のオクラトキシンA、バングラデシュ産オランダ経由マスタードオイルのエルカ酸、スリランカ産マグロフィレのヒスタミン、黒目豆のクロルピリホス、バングラデシュ産マンゴーのクロルピリホス、トルコ産有機アプリコットカーネルのシアン化物高含有、

通関拒否通知(Border Rejections)

紙ストローの未承認着色料の溶出、インド産米の未承認物質トリシクラゾール及びチアメトキサム、トルコ産オーガニックレーズンのオクラトキシンA高含有、中国産紙皿からの石こうの溶出、トルコ産生鮮ペッパーのメチオカルブ及びスルホキサフロル(複数あり)、トルコ産レモンのプロクロラズ及びプロピコナゾール(複数あり)、トルコ産レモンのクロルピリホスメチル(複数あり)、パキスタン産ゴマ種子のアフラトキシン、ヨルダン産プリンの未承認植物種(オルキス・マスクラ/オルキス・ミリタリス)、トルコ産クミンのピロリジジンアルカロイド、ウクライナ産非精製ヒマワリ油のクロルピリホス、ベトナム産ドリアンのプロフェノホス・ペルメトリン・カルベンダジム・メタラキシル及びプロシミドン、マダガスカル産豆のクロルピリホス、トルコ産イチジクのアフラトキシン、オーストラリア産アーモンドのアフラトキシン、ウクライナ産小麦のクロルピリホス(複数あり)、インド産レーズンのプロモカルブ及びプロパルギット、パキスタン産米のクロルピリホス、中国産米国経由メラミンカップの竹及びトウモロコシ繊維、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド及びピリミホスメチル、トルコ産生鮮ペッパーのホルメタネート、トルコ産生鮮レモンのクロルピリホスメチル及び酸化フェンブタスズ、トルコ産煎った殻付きピスタチオのアフラトキシン、トルコ産生鮮レモンの酸化フェンブタスズ・プロクロラズ・プロピコナゾール及びクロルピリホスメチル、トルコ産オレガノパウダーのピロリジジンアルカロイド、トルコ産ブドウの葉のジチオカルバメート及びラムダシハロトリン(複数あり)、トルコ産生鮮ペッパーのクロルピリホスメチル、

 

[EFSA]2020年の新興リスクに関するEFSAの活動

EFSA's activities on emerging risks in 2020

EFSA Journal 2023;20(6):EN-8024 12 June 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8024

(技術的報告書)

 新興リスクに関するEFSAの活動の主な目的は、(i) 新興リスクを同定する活動の実施、(ii) 新興リスク同定(ERI)の方法論とアプローチの作成と改善、(iii) 確認された問題とリスクの伝達である。これらの活動の結果から、EFSAは将来のリスク評価の課題に備えることもできる。この技術報告書は、ERI手順、2020年中に確認された問題、検討されている方法論の説明、共同活動に含まれるすべてのグループの活動をまとめている。EFSAのERI活動に貢献する知識のネットワークには、新興リスク情報交換連絡会(EREN)、新興リスクに関する利害関係団体協議会、EFSAの科学ユニット、科学パネル、科学委員会が含まれている。2020年には全部で13件の潜在的な新興問題が議論された。6件が新興問題だと結論づけられた。潜在的な問題は同定されたハザード又は原動力に応じて整理された。さらに、2020年にERENネットワークメンバーは、独自のホライズンスキャニング活動で確認された全部で35の兆候/潜在的な新興問題を提示し議論した。加盟国の代表者が、より良いキャラクタリゼーションのために利用可能な追加情報を収集する目的で、兆候の同定作業を共有した。知見を収集し普及するために、よりダイナミックで相互作用するアプローチを導入することが重要であり、同時に新しい分野で生じる可能性のある潜在的なリスクを考慮する必要がある。

同定された主な新興問題(化学物質ハザード、その他)は次の通り。

・フードサプリメント中のステロイド系選択的アンドロゲン受容体修飾薬(SARMs)

 SARMsは、医療目的としてヒトの病気の治療での有効性を検査するために臨床試験に入っているものもあるが、肝毒性などの致命的な反応を含み、心臓発作や脳卒中のリスクを高める可能性があり、身体への長期影響はわかっていない。SARMsは主にカプセル型のダイエタリーサプリメントに含まれるが、成分表で同化剤に言及していないことが多く、規制当局の監視を逃れている。

・畜産における玩具と居住素材

 動物の異常行動を減らし、居場所を作るために、おもちゃや寝具材料などが導入されている。おもちゃを噛んだり、別の集団に再利用したりリサイクル素材を使用することで、化学汚染物質やマイコトキシンなどがフードチェーンに入り込む可能性がある。

・コラーゲンパウダーの大量摂取に関連する潜在的な健康リスク

 コラーゲンは、ハイドロキシプロリンの含有量が多く(約13.5%)、腎臓結石のリスクが高まる可能性がある。多くのコラーゲンパウダー製品は海洋資源から作られ、大量のカルシウムを含んでいるため、アレルギーや高カルシウム血症も潜在的なリスクで、評価する必要がある。Knightらの研究(2006)では、食事でコラーゲンを一日に5–10g摂取すると、尿中シュウ酸塩濃度が上昇することが観察されている。

・ホライズンスキャニング

コラーゲンパウダーの大量摂取による健康リスク

ダイズ油の摂取による健康リスク

ダイエタリーサプリメントの塩素化パラフィン

強化配合食品トウモロコシ/ダイズミール(スーパーシリアル)のアトロピン

ビンポセチン含有フードサプリメントの安全性リスク

家畜用飼料のかつての食材の回収のリスク評価

アイルランドの一部の動物用医薬品残留物による地下水の汚染

NBPTで保護された尿素の代謝物質

フードサプリメントに含まれる高濃度のビタミンDによる中毒

寿司の葉の汚染物質

深海循環に操作される海底のマイクロプラスチックホットスポット

米国裁判所、米国における除草剤ジカンバの販売を差し止める

農薬の環境レベルへの暴露は薬剤耐性を刺激する

細胞ベースの乳の開発

母乳中のマイクロRNA

 

[FDA]リコール

-Richin Trading Inc.は窒息の危険性があるため、SunwaveブランドのMini Fruit Jelly Cup (35.27oz./52.90oz)を自主的リコール

Richin Trading Inc. Voluntarily Recalls Sunwave Brand Mini Fruit Jelly Cup (35.27oz./52.90oz) Because of Potential Choking Hazard June 16, 2023

June 16, 2020

https://www.fda.gov/safety/recalls-market-withdrawals-safety-alerts/richin-trading-inc-voluntarily-recalls-sunwave-brand-mini-fruit-jelly-cup-3527oz5290oz-because

製品サイズから窒息の危険性があるため、Richin Trading Inc.はSunwaveブランドのミニフルーツゼリーカップ(35.27oz./52.90oz)を自主的リコール。製品写真あり。

 

[SFA]Forum Replies

-技術は我々のアグリフード産業を変革する重要な戦略である

Technology is a key strategy to transform our agri-food industry

15 June 2023

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/zb-forum-letter-16-june-2023.pdf

シンガポール食品庁(SFA)は、「地元野菜の品質を技術で向上させるべきである」という意見に回答する。SFAの農業食品分野の変革に対する取り組みを説明する。

 

[NASEM]新しい報告書はEPAに新しいアプローチの毒性試験法を評価する枠組みを開発するよう薦める

New Report Recommends EPA Develop Framework for Evaluating New Approach Methods for Toxicity Testing

June 16, 2023

https://www.nationalacademies.org/news/2023/06/new-report-recommends-epa-develop-framework-for-evaluating-new-approach-methods-for-toxicity-testing

NASEMの新しい報告書は化学物質のヒト健康リスクの新しい方法の概要を提供し、EPAに新しいアプローチ法を評価し信頼を構築する枠組みを開発するようよびかける。

鉛、ベンゼン、オゾンのような一部の汚染物質はよく調べられていて、EPAはそのヒト健康ハザードとリスクをキャラクタライズできる。しかしPFASのような、環境や流通製品中に存在する多くの化合物は健康影響についてのデータが乏しいあるいはない。結果として人々が暴露されている化学物質や有害物質のうちごくわずかしかEPAの公式なハザードとリスクの評価対象になっていない。

EPAはいろいろな種類のデータを使ってヒト健康リスクを評価するが、多くの場合いまだに動物実験が評価の基礎である。「新しいアプローチ方法論」は一連の新規代用試験法、戦略、モデルを利用する。これらは伝統的なデータが存在しない場合のギャップを埋め、毒性応答の理解を拡大することで伝統的評価を改善する可能性がある。

新しいアプローチ法の期待やニーズは明確であるが、それを使うための障害はいまだに多い。NASEMはEPAに、重要なヒト健康リスク評価に関係する可能性のある広範な戦略やアプローチを含むよう「新しいアプローチ法」の定義を拡大するよう求める。この報告書は事件動物での毒性試験から学んだ教訓の上に、新しいアプローチ法に科学的信頼を構築するためのやりかたを示し、新しいアプローチ法を実験室での評価から現代的系統的レビューに基づくリスク評価を取り入れる方向に動くよう助言を提供する

Building Confidence in New Evidence Streams for Human Health Risk Assessment

Lessons Learned from Laboratory Mammalian Toxicity Tests

(2023)

https://nap.nationalacademies.org/catalog/26906/building-confidence-in-new-evidence-streams-for-human-health-risk-assessment

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 247-23

19 June 2023

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/Notification%20circular%20247-23.aspx

認可と閣僚通知

遺伝子組換え微生物で作った加工助剤三種

 

論文

-夜更かしの早期死亡の原因はアルコールと喫煙、37年の研究が示唆

Alcohol and smoking to blame for premature deaths among night owls, 37-year study suggests

16-JUN-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/992223

Chronobiology Internationalに発表された研究によると、夜遅くまで起きていることは寿命にはほとんど影響しない。約23000組の双子のデータに基づく。夜型は死亡リスクがわずかに朝型より高いが、それは概ね喫煙と飲酒に関連する。

 

-正常な加齢と内分泌疾患を区別する内分泌学会の科学的声明

Endocrine Society Scientific Statement distinguishes normal aging from endocrine disease

16-JUN-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/992457

Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに発表された声明「ホルモンと加齢:内分泌学会科学的声明」

重要ポイントは

・閉経期症状は良くあり、程度や不快は多様で各種医薬品により効果的に治療できる。しかしこれらの症状はまだ過小治療である。

・高齢者のテストステロン補充療法が必要かどうかやその心臓や前立腺疾患への有害影響についてさらなる研究が必要である

・糖尿病の高齢者の至適治療目標について決めるにはさらなるデータが必要

・骨折はしばしば骨粗鬆症に関連することが認識されない。そのため骨折した高齢者の次の骨折を予防する治療が行われていない

・甲状腺機能の加齢に伴う変化と早期甲状腺機能低下を区別する方法が必要である

・現在成長ホルモン分泌を増やしたり作用を強める治療法はアンチエイジング治療として認められていない、そしてリスクのほうがベネフィットを上回る可能性がある

・一部の研究で高齢者のビタミンD補充の利益が示されているが、適切なビタミンD濃度についての標準化されたガイドラインがない

 

-研究はガスレンジの燃焼が血液がんリスクの高さと関連する化合物の屋内濃度を上げることを発見

Study finds combustion from gas stoves can raise indoor levels of chemical linked to a higher risk of blood cell cancers

16-JUN-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/992631

Environmental Science & Technology.

ガスレンジのコンロ一つを強火にするあるいはガスオーブンを350度に設定すると室内の発がん物質であるベンゼン濃度が、タバコの受動喫煙以上になる。ベンゼンは家中に数時間漂う。

 

-CCDC

8-15才の生徒の食品摂取頻度-中国、2019と2021年

Frequency of Food Consumption Among Students Aged 8–15 Years — China, 2019 and 2021

Yimeng Fu et al.,  China CDC Weekly, 2023, 5(24): 533-537.

https://weekly.chinacdc.cn/en/article/doi/10.46234/ccdcw2023.103

 

中国のNIPRCESの栄養健康モニタリングと評価

Nutrition and Health Monitoring and Evaluation of the NIPRCES in China

Qian Zhang, et al.,. Nutrition and Health Monitoring and Evaluation of the NIPRCES in China[J]. China CDC Weekly, 2023, 5(24): 542-544.

地方の義務教育の生徒のための栄養改善計画(NIPRCES)の影響評価

 

-ジャンクフード業界の戦略の政治的複雑さ

Political complicity in junk food industry tactics

Phoebe Ashley-Norman & Jessamy Bagenal

THE LANCET PERSPECTIVES|BOOKS| VOLUME 401, ISSUE 10393, P2031-2032, JUNE 17, 2023

Eduardo J Gómez著「ジャンクフード政治学:如何に飲料とファストフード業界が新興経済圏を作り変えているかJunk Food Politics: How Beverage and Fast Food Industries Are Reshaping Emerging Economies」の紹介。中国、ブラジル、インド、インドネシア、メキシコ、南アフリカの6カ国の過去30年の事例。

(Coca-Cola、PepsiCo、Nestléなどが悪役とされている。ネスレの栄養や運動啓発のための活動もネスレがやっていることが問題とされCMやキャラクターグッズは政府による規制が必要だと主張。個人の選択の自由を尊重すべきとするのは企業のプロパガンダなので政府の権力を強化して規制するのが正義だというここ最近の公衆衛生業界の主張の典型。)

 

その他

-コンシューマーラボ

ターメリックとクルクミンサプリメントとスパイスレビュー

Turmeric and Curcumin Supplements and Spices Review

June 15, 2023

https://www.consumerlab.com/reviews/turmeric-curcumin-supplements-spice-review/turmeric/

一つのサプリメントで鉛汚染。クルクミン含量は一回分42mgから1000mgまで多様

血中クルクミノイド濃度を上げる生物学的利用度増強剤を含むものなど。

スパイスと変わらないサプリメントもある

 

-ヨガのねじれた歴史はコンスピリチュアリティパズルの一つのこたえ

Yoga’s Twisted History Is One Answer to the Conspirituality Puzzle

Jonathan Jarry M.Sc. | 16 Jun 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/critical-thinking/yogas-twisted-history-one-answer-conspirituality-puzzle

本「コンスピリチュアリティ」は現代の最も奇妙なハイブリッド信仰体系の一つを記録し、ヨガとファシズムの結びつきに光をあてる

ナチスがヨガを好んだ?

これは最近発刊された本「コンスピリチュアリティ:ニューエイジの陰謀論がどのように健康上の脅威になったかConspirituality: How New Age Conspiracy Theories Became a Health Threat」の中の一章の挑発的タイトルである。

(以下長い記事)

重要なメッセージ:

-本Conspiritualityは壮大な陰謀論とニューエイジのスピリチュアリティを組み合わせた信仰体系であるコンスピリチュアリティの現代の動きを探る

-著者らは現代のヨガがボディビルダーであるEugen Sandowの見解-健康は個人の責任で望ましくない性質は遺伝子プールからとり除くべき(優生思想)-に影響を受けていることを報告する

-コンスピリチュアリティムーブメントの有名人Robert F. Kennedy, Jr., Charles Eisensteinおよび Marianne Williamsonなどが今やアメリカの政治に埋め込まれている、

 

-「不老不死の薬」。本当?

The “Elixir of Life.” Really?

Joe Schwarcz PhD | 14 Jun 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/critical-thinking-health-and-nutrition/elixir-life-really

今週の「不老不死の薬」は…ジャーン…タウリン!有名雑誌Scienceに発表されたこの我々の体内に存在する単純な化合物のアンチエイジング効果の研究はたくさん報道された。

このニュースの前にはタウリンを成分に含むものとしてエナジードリンクRed Bullがよく知られていた。何故Red Bullにタウリンが含まれるのか?これは幾分謎でRed BullのHPには「タウリンは天然に人体や日々の食事中に存在するアミノ酸である」としか書いていない。そのことに異論はない。正確にはタウリンはアミノ酸ではなくアミノスルホン酸で、通常のアミノ酸と違ってタンパク質にはならない。重要な機能があるものの、人体はシステインから合成できるため必須ではない。1827年にドイツの化学者Friedrich Tiedmann と Leopold Gmelinが雄牛の胆汁から初めて単離したので、古代ギリシャ語の雄牛を意味する言葉からタウリンと呼ばれる。雄牛には活力のイメージがありそれがエナジードリンクに入れられた理由かもしれない。

今回の研究ではヒト血中のタウリンが各種の病気の場合と加齢で低いことから線虫とマウスとアカゲザルにタウリンを与えた。その結果線虫とマウスで寿命が延びた。サルはマウスより長生きなので結果が出るには待つ必要がある。

アンチエイジングの目的は寿命を延ばすだけではなく健康寿命を延ばすことである。そのためDNA傷害や炎症マーカーなどの指標での健康寿命がマウスとサルで長くなっていることが注目される。一見良さそうだがもう少し数値を見てみよう。

この試験で与えた最も効果のあったタウリンの量は毎日体重1kgあたり1gである。これは日常の食生活からの概ね40-400mgに比べて遙かに多い。Red Bullなら1日63缶相当である。普通のサプリメントでもこれほどの量を含むものは無い。著者らはヒト臨床試験が行われていないため、サプリメントは薦めない、と明確に述べている。タウリンは少量なら安全なようだがこの実験で使われた量に相当する量に暴露された経験は誰もない。

ところでRed Bullのタウリンは、出回っている嘘情報が言うような雄牛の精子由来ではない。商用目的に合成されたもので、動物由来製品を避けている人も摂取できる。さらに別のデマにRed Bullは「翼を授ける」という宣伝のせいで集団訴訟をおこされたというものがある。集団訴訟は確かにあったがそれはRed Bullが一杯のコーヒー以上の刺激作用があるとの主張に根拠がないことについてである。Red Bullは広告は正しいと信じているが訴訟手続きには参加したくないため1300万ドルの和解金を払った。

加齢は複雑な多面的プロセスで、血中に存在する数千の化合物のうちの一つの量で決まるといった主張はa lot of bull(たくさんの雄牛、でっちあげ)だろう

 

-動画

(キタユウレイ)クラゲとヤマブシタケ(どちらもライオンのたてがみLion's Mane)

Jellyfish and Lion's Mane fungi | The Right Chemistry

https://www.youtube.com/watch?v=gsqVj5w8VuI

クラゲの毒とキノコが中国伝統薬としていろいろな病気の治療に使われた話

 

Orvietanの魅力的な歴史

Cup o'Joe-The fascinating history of Orvietan

https://www.youtube.com/watch?v=czTFY5ESIuI

17世紀初め、羊飼いがOrvietoの町の近くで羊が毒蛇に咬まれるのを見た。その羊はある種の植物を食べて健康を回復したため、羊飼いはその魔法の植物をヒトの病気に使ってみたら効果があった。これが後に万能薬Orvietanとして欧州にひろまった。成分が不明だったためたくさんの「Orvietan」が出回った。そして古い本の収集家であるLamberto Bernardiniによって現代のイタリアのOrvietoの町に「消化剤」としてよみがえった。彼は「現代は合成薬が行き過ぎている。400年前のものを使えば生きやすくなる」と宣伝する。私は医学は400年前から相当進歩したと思う。

 

ホッケー乱闘反対

Cup o'Joe-Fighting against hockey fights

https://www.youtube.com/watch?v=Vh2CVQOiZOY

私は1960年からアイスホッケーのファンである。でも好きでないところがある、乱闘である。それゲームにとって興ざめなだけでないことがわかった。ニューヨークのコロンビア大学医学センターの研究者らが1967年から2022年のNHLの試合の統計を検討した。5分のペナルティを指標に乱闘回数を個人ごとに数えた。その結果50回以上乱闘に参加したプレイヤーは乱闘に参加していないプレイヤーより10年早く死んでいた。ホッケーから乱闘を排除すべきである。