[ヘルスカナダ]カナダ政府は連邦の農薬に関する次の約束を発表する
Government of Canada moves forward on federal pesticide commitments
2023-06-20
ヘルスカナダは、環境・気候変動省(ECCC)及び農務農産食品省(AAFC)とともに、カナダにおける農薬管理への持続可能なアプローチに向けた次の対策を発表した。
最大残留基準値(MRLs)の設定は、カナダ保健省の厳しい農薬リスク評価プロセスの1つの要素である。カナダ保健省の科学者は、MRLsを設定する前に、全ての入手可能な科学的研究からの情報を検討し、食事リスク評価を実施している。
カナダ保健省は、あまり複雑ではない提案から始め、2021年8月に導入されたMRLs引き上げ案の一時停止を解除した。MRLs引き上げの一時停止により、カナダ保健省は、パートナーと協力してそのプロセスを見直し、利害関係者集団と協議し、政府がMRLsに関するコミュニケーションをさらに改良し、透明性の向上や信頼の構築を支援する方法を評価することができた。
MRLs引き上げの一時停止は、2021年5月に特定の輸入商品に対するグリホサートのMRLs引き上げ案に関する住民の懸念に応えて導入されたが、それによりカナダはコーデックス委員会と国際的に連携することとなった。
カナダ保健省は、最後のコメントを2022年4月に受け取り、議論文書からの全てのMRL関連のコメントを考慮しながら、グリホサートのMRLsの引き上げ案に応えて、一般からの重要なフィードバックを今もなお検討中である:健康及び環境の保護の更なる強化:害虫駆除製品法の対象を絞った見直し。カナダ保健省はMRLsに対する更なる助言を求めて、害虫駆除製品の科学諮問委員会、MRLsに関する外部技術的作業グループ、害虫駆除諮問委員会とも関与している。
カナダの人々が手頃な価格で栄養価の高い食品を確実に入手できるようにし、農業従事者が新しい害虫と戦うために必要なツールを入手できるよう予測可能性を提供し、食糧安全保障を支援する中心要である貿易を促進するために、一時停止解除は重要である。カナダ保健省の科学者が安全だと判断する場合にのみ、MRLは引き上げられる。
[CFIA]すぐに喫食可能な料理や海藻製品中の有毒金属―2019年4月1日から2020年3月31日
Toxic Metals in Ready-to-Eat Meals and Seaweed Products – April 1, 2019 to March 31, 2020
このターゲット調査の主な目的は、他のCFIAプログラムにおいて定期的に監視されていない食品中の金属レベル量に関する更なるベースライン監視データを作成することと、この調査における食品中の金属の検出率を以前のターゲット調査の割合と比較することだった。
全部で993検体のすぐに喫食可能な(RTE)食品(魚・肉・パスタ料理、ピザ製品、乳幼児用完全食品)と海藻製品のサンプル(生鮮、焼いたもの、乾燥・脱水、スープ、スナック)をカナダの11都市の小売店から収集し、金属/元素を調べた。最も懸念される金属(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀)の結果だけをこの報告書で示している。検出率の最低は水銀、最高はカドミウムだった。調査サンプルのほとんど(80%)に1つ以上の金属が含まれ、サンプルの24%には微量の4つ全ての有害金属が含まれていた。海藻サンプルにこれらの金属が最も多く含まれていた。海藻サンプルの91%に検出可能なレベルの4つ全ての金属が含まれていた。このターゲット調査で報告された金属の検出率とレベルは同じ種類の製品に以前に含まれていたものと同等だった。カナダでは、調べた製品に金属レベルの規制はない。
カナダ保健省は、この調査で金属を分析したサンプルに、ヒトの健康に懸念を引き起こすものはないと判断した。
ヒ素
ヒ素はこのターゲット調査で調べたサンプルの46%から検出された。検出可能なヒ素が最も多く含まれていたサンプルは海藻製品(99.6%)で、次に成人用RTE料理 (30%)、乳幼児用RTE料理(28%)だった。海藻製品は他の種類の製品よりも検出されたヒ素の量が広範囲だった。RTE料理サンプルに含まれるヒ素の量は少ないが、サンプルの中で、RTE料理と魚や海藻を含むスープにはしばしば平均レベル以上が観察された。
カドミウム
カドミウムは総検出率が最も高く、673サンプル(68%)に検出された。海藻製品は他の種類の製品よりも検出されたカドミウム量が広範囲で、最大量は4.99 ppmだった。魚介類と穀物はカドミウムが多く含まれることが知られている商品である。その結果、魚介類と穀物を含むRTE料理(チャウダー)には、調べた他のRTE食品よりもカドミウムレベルが多かった。
鉛
鉛はこの調査で調べたサンプルの31%に検出された。鉛は海藻サンプルの97%に検出されたが、検出可能なレベルの鉛が含まれていた乳幼児用RTE料理はわずか6%だった。これらの乳幼児用製品に検出された鉛のレベルは比較的少なく最大量0.0207 ppmだったが、成人用RTE料理に検出された鉛の最大レベルは0.295 ppmだった。この調査で最大レベルの鉛(1.12 ppm)が検出されたのは乾燥ワカメだった。
水銀
水銀の検出率は全体的に最も低く、この調査で調べたサンプルの30.7%に検出された。検出率が最も高かったのは海藻製品(91%)で、RTE料理では比較的低かった(10%)。最大レベルの水銀が検出されたのは魚ベースのRTE料理だったが、水銀の平均レベルが最も高かったのは海藻製品だった。
海藻製品中の高濃度の金属は、海藻が汚染された水生環境から高濃度の金属を急速に蓄積する可能性があるという事実と一致していた。乾燥工程は金属汚染物質をさらに濃縮することが知られている。高濃度の金属が海藻のみ、あるいは海藻を主成分とする製品に検出されたことも予想される。これらの海藻サンプルは販売されているものを分析したもので、摂取したものではないため、これらのサンプルに含まれている金属のレベルは、すぐに喫食可能な製品や原料として海藻が含まれる製品とは比較できない可能性があることに注意する必要がある。以前観察されたように、RTE料理は金属の検出率やレベル量が比較的少ないことに関連していた。これらの製品のうち、穀物製品や魚や魚介類を含むRTE料理は(金属の生物濃縮により)、しばしば検出された最大量の有害金属を含むことがわかっていた。この調査では、乳幼児製品にはこれらの金属が含まれる可能性は少ないことも確認された。おそらく製造業者がより注意深く原料を選択するためと思われる。
[EU]SCHEER最終意見
SCHEER Final Opinions
おもちゃの二酸化チタンの安全性に関する最終意見
Scientific Opinion on the safety of titanium dioxide in toys
Adopted on 9 June 2023
https://health.ec.europa.eu/publications/scheer-scientific-opinion-safety-titanium-dioxide-toys-0_en
吸入曝露
超微細粒子画分がおもちゃの色素としてのTiO2に存在しないことが確実である場合にはリスクはないあるいは無視できる。しかし超微細粒子画分が存在する場合には鋳物キット、チョーク、粉末塗料への使用では安全な使用が示されない。色鉛筆の白は超微細粒子画分の存在に関わらず異なる年齢集団の子どもにとって安全。根拠の重み付け(WoE)は、吸入リスクのキャラクタリゼーションについては強い、暴露評価については弱から中程度。
経口暴露
安全性マージンに基づけば、二酸化チタン色素を含むおもちゃは、考慮した最悪シナリオでもリスクはないあるいは無視できる。ただし経口リスクキャラクタリゼーションのWoEはハザードキャラクタリゼーションについて弱く、暴露評価については弱から中程度。TiO2色素中に超微細粒子画分が存在しないことが適切な方法論によって示されている場合のみ安全に使用できる
SCHEERはヘルスカナダとFSANZの評価で被検物質のTiO2懸濁液を超音波処理して実験したものは重要性あるいは妥当性が低いとみなした点において見解を異にする。
TiO2の経口遺伝毒性に関してWoEは弱い
遺伝毒性を誘発するTiO2のサイズの閾値を決めることはできないものの、ナノサイズのほうが遺伝毒性陽性の結果を出す可能性が高いことから、粒子が大きくなるにつれて遺伝毒性影響が消失する可能性が高い。
SCHEERは色素としてのTiO2はナノ画分がなければ遺伝毒性はないという意見である。
(おもちゃの場合食品マトリクス効果はなく直接暴露される。「色素はナノではないから大丈夫」を落とし所にしたいのかな?ナノだから透明を宣伝している製品は?)
[NTP]TR-602
Sprague Dawley (Hsd:Sprague Dawley SD)ラットとB6C3F1/Nマウスに混餌投与したトリス(クロロプロピル)リン酸異性体混合物の毒性及びがん原性試験
Toxicology and Carcinogenesis Studies of an Isomeric Mixture of Tris(chloropropyl) Phosphate Administered in Feed to Sprague Dawley (Hsd:Sprague Dawley SD) Rats and B6C3F1/N Mice
June 2023
https://ntp.niehs.nih.gov/publications/reports/study/abstract-tr-602
難燃剤TCPP 遺伝毒性はない
飼料中1500から2万ppm投与
雄ラットで肝細胞腺腫と肝細胞がんの合計の発生率増加に基づき幾分かの発がん性の根拠some evidence、雌ラットでは子宮腺腫と腺がんの合計の発生率増加に基づき幾分かの発がん性の根拠、雄マウスでは肝細胞がんの増加に基づき幾分かの発がん性の根拠。雌マウスでは肝細胞腺腫、肝細胞がん、および肝細胞腺腫と肝細胞がんの合計の発生率増加に基づき明確な発がん性の根拠clear evidence
[USDA] APHISは規制状態レビュー回答を発表:Inner Plantの大豆とトマト、Ohalo Geneticsのじゃがいも
APHIS Issues Regulatory Status Review Responses: Inner Plant Soybeans and Tomato, and Ohalo Genetics Potato
https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/sa_by_date/sa-2023/rsr-plants
Inner Plantの大豆2つとトマト1つは視覚信号を発するように遺伝子組換えされている。大豆の一つは病害虫による傷害を受けたときに信号を発し、他の大豆とトマトは継続して信号を発する。この信号をトラクター、ドローン、飛行機、衛星からのリモートセンシングで検出して作物の管理に使う。
Ohalo Geneticsのジャガイモはβカロテンを多く作るように改変されている。
(Inner Plant https://innerplant.com/ 蛍光を発する。)
論文
-事実だが誤解を招く包装:消費者は低脂肪が砂糖が少ないことだと間違って信じる
Truthful yet misleading packaging: Consumers falsely believe that low fat means less sugar
27-JUN-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/993817
Food Quality and Preferenceに発表された米国760人のヨーグルトのパッケージの情報についてのオンライン実験。低脂肪ヨーグルトのカロリーは低いことをほぼ全員が正しく推定したが、低脂肪と表示されていないヨーグルトより砂糖が少ないと信じていた。包装表面に栄養性成分表示を見せても一部は意見を変えなかった。
-研究が男性の早発大腸がんのリスク要因同定
Study identifies risk factors for early onset colorectal cancer in males
27-JUN-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/993764
退役軍人省データベースから、米国で50才未満で大腸がんになった、遺伝性でない600人ほどと対照2400人のデータを使った解析。平均より高いリスクがあったのは:
・より高齢(35-49才)
・アスピリンやイブプロフェンのような非ス剤は常用していない
・スタチンは常用していない
・現在飲酒する
・第二度近親以内に大腸がんになった身内がいる
・疾病負担が大きい
・社会経済的地位の指標がservice-connection/copay variable
(あまりはっきりしない)
-湖南省の地下水のカドミウムと近傍住人の尿中カドミウム濃度の関係-中国の非鉄金属採掘の中心地であり魚と米の生産地でもある
Relationship between groundwater cadmium and vicinity resident urine cadmium levels in Hunan Province——a region that is both the heartland of Chinese non-ferrous mining and the home of fish and rice
27-JUN-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/993789
Frontiers of Environmental Science & Engineeringに発表された211人の住人と地域の地下水を調べた研究。
地下水のカドミウム濃度は0.02 to 1.15 μg/L、住人の尿中カドミウム濃度は0.37–36.60 μg/L、尿中濃度は0.37–36.60 μg/L、国のガイドラインは0–2.5 μg/L
地下水のカドミウム濃度と尿中濃度には関連があった。
(数値はクレアチニン補正してない?)
-乳児用調整乳不足の期間中に安全でない栄養の与え方が急増した
Unsafe feeding methods spiked during infant formula shortage
27-JUN-2023
https://www.eurekalert.org/news-releases/993897
安全でないやり方の驚くべき多さは、米国のシステムとしての変更の必要性を指摘する
BMC Pediatricsに発表されたカリフォルニア大学Davis校の研究者らによるオンライン匿名調査。
昨年の乳児用調整乳不足の期間、赤ちゃんにミルクを与えている保護者の約半分が有害な可能性のある方法に手を出した。ミルク不足が起こる前の安全でないやり方をしたことがある割合8%から急増。安全でないやり方には、期限切れあるいは自分で作ったミルクを使う、非公式共有した母乳を使う、など。母乳をもらった親は5%から26%に増加、ミルクを規定より薄めて使った親は2%から29%に増加。
将来のミルク危機を予防するためには乳児用調整乳製造業者と母乳バンクが少なすぎる問題に対処する必要がある。アメリカの乳児用調整乳の90%が4社によって占められている。
低収入の保護者には選択肢が限られる
(そもそも工場を止める必要は無かった、というFDAの問題は?そして乳児用ミルクを作ると学者が悪徳企業と非難するし。)
SMC UK
-国立がん研究所長の閉所の文書への専門家の反応
expert reaction to letter from the Chair of the National Cancer Research Institute with news that it is closing down
JUNE 26, 2023
NCRIの閉鎖が発表された
以下専門家のコメント略
みなさん残念がっている
文書
26 June 2023
https://www.ncri.org.uk/wp-content/uploads/NCRI-letter-26-June-2023.pdf
-今年後半に予想される福島由来廃水の放出についての専門家のコメント
expert comment on release of waste water from Fukushima into the sea, expected later this year
JUNE 26, 2023
今年後半から日本は福島原子力発電所由来廃水処理水を太平洋に放出する準備をしている
Portsmouth大学環境科学教授Jim Smith教授
少量の放射性トリチウムを含む廃水をコントロール下に放出することは世界中で定期的に行われている。福島の廃水は他の危険な放射性核種をほぼ検出不可能なレベルにまで処理している。しかし「トリチウム水」の形態でのトリチウムは分離が極めて困難である。そのため世界中の原子力発電所は廃水を希釈して海、湖、川に放出している。もう何十年も行われてきたが有意な影響はない。例えばLa Hague再処理施設はイギリス海峡に年約1万テラベクレルのトリチウムを放出しているが生態系への影響の根拠はない。福島の計画では年に22テラベクレルを太平洋に放出するが、それはLa Hagueの450分の1で、英国のSellafieldの50分の1である。
太平洋の生態系に影響するかもしれないという主張があるがそれは科学的根拠に基づいていない。トリチウム水は飲み込んだ場合DNAにダメージを与える可能性はあるがその放射能はとても弱く生物濃縮はおこらずリスクは極めて低い。廃水中のトリチウムは1500ベクレル/LでWHOの飲料水推奨濃度の約1/7である。
私と同僚はチョルノービルの湖の生態系を研究してきた。Cooling Reservoirは福島周辺の海の何千杯も汚染されていたが生態系は生き延びていて放射能レベルの高さにも関わらず水棲生物への放射能の影響の可能性はほんの僅かだった。
廃水でコンクリートを作る方が良いという提案があるが、それは面白いアイディアかもしれないが現時点では空論の域を出ない。リスク評価はされておらずコンクリートから蒸発する可能性を考慮する必要がある
太平洋に大きなリスクがあると主張する人達は、その科学的根拠のない主張の福島事故の被害者への負の影響を考えるべきだ。私は日本政府の計画はしっかりしたもので現時点で最善のものだと信じている。他の選択肢は想像に過ぎず、探る価値はあるかもしれないが福島の廃水放出は計画通りに進めるべきである。
以下SMCオーストラリアから
Adelaide大学放射線研究教育革新センター長Tony Hooker准教授
提案されている放出が議論になっている。私はTEPCOと日本政府の計画はしっかりしたものであると信じる。このやりかたはIAEAによって妥当性を検証されている。廃棄計画は科学的で規制上の要件を満たしていて、ヒトや環境に影響はないけれども、海をゴミ捨て場にすることについては疑問が大きくなっている。もはや希釈は解決法ではなく、将来の他の方法を探る良い機会だろう。太平洋諸島フォーラム科学委員会は廃水でコンクリートを作る提案をしている。
Curtin大学物理学天文学教授、Nigel Marks准教授
日本は福島原子力発電所処理水を太平洋に放出しようとしている。初めて聞くときは恐ろしいように思えるだろうが、実際にはこれおは賢明で安全な方法である。同様の放出が世界中で何十年も行われてきて、悪いことはおこっていない。
福島の水の放射活性のほとんどはトリチウムである。比較のため、太平洋は8400グラムの純トリチウムを含むが、日本が計画しているのは年0.06gのトリチウムの放出である。この追加の量はあまりにも小さくて何の違いも生まないだろう。
韓国と太平洋周辺諸国ではデマキャンペーンが行われて人々を放出に逆上させている。真実は、あらゆるものは放射性であり、太平洋もそうでトリチウムは総放射活性の0.04%でしかない。この僅かな量にさらに僅かな量を加えても世界が終わることはない。情報をもった科学者が立ち上がって反論し、「この世の終わり」論者を押さえ込む時だろう。
オーストラリア国立大学名誉准教授、SMR核技術Pty Ltd技術部長、オーストラリア技術者核技術委員会シドニー支局長Tony Irwin氏
福島の水放出は前例の無いことではない。世界中の原子力発電所が60年以上、ほとんどが福島より高レベルのトリチウムを含む水を放出してきてヒトや環境に害はない
例えば韓国のKori発電所は2019年に91テラベクレルを放出している、福島の計画より4倍以上多い。他の核種も規制値以下であることを考えると、福島で計画されている放出は極めて安全側に余裕がある。そのため重要な問題はTEPCOの測定が正確かどうかである。
IAEAが一連の査察を行った。その最新報告書によるとTEPCOとIAEAのモナコラボとウィーンのSeibersdorfとフランス、韓国、スイス、米国の第三者ラボでの結果は極めて高い一致度だった。どのラボもALPS処理水から追加で他の核種を意味のある量検出していない。
計画されている放出は極めて保守ultra-conservativeである。
その他
-パブリックコメントの力
The Power Of Public Comments
By Susan Goldhaber MPH — June 27, 2023
https://www.acsh.org/news/2023/06/27/power-public-comments-17160
2023年3月に、EPAはPFOAとPFOSの飲料水基準に極端に低い値を提案した。5月30日にパブコメ期間が終わった。EPAがどう対応したかが最終規則に相当影響した。この記事は各機関にパブリックコメントを検討することを要求する行政手続法(APA)についてと、提案された規則についてのいくつかの重要なコメントについて検討する。
EPAはPFOAとPFOSの飲料水基準案に対して、筆者も含めて121,991の意見を受け取った。コメントとしては1522で(https://www.regulations.gov/document/EPA-HQ-OW-2022-0114-0027)で見ることができる。121,991というのは提出された文書の数で、添付文書や資料、集団コメント提出キャンペーン、等も含む。いずれにせよたくさんの反応がよせられている。
EPAはそれらのうち意味のあるsignificantコメントに回答することを要求されている。
Significantとは何?
意思決定に関係のあるポイントについてのもの。単なる想像や事実または法的根拠のないコメントには回答する必要がない。
Significantコメントとしては世界最大の水供給専門家集団組織AWWAは規制の経済影響を、環境団体NRDCは規制に賛成、家禽卵業界は検査できる認証民間ラボが少ないことやFDA等の他機関との違いなどを指摘している。
パブリックコメントの中核となる価値は、EPAが現実的問題に注意を向けるようにすることである。EPAがどう反応するかはこれから。
-いかさまのように聞こえたら…アメリカ医療の辺縁への旅
If It Sounds Like a Quack. . . A Journey to the fringes of American Medicine
Matthew Hongoltz-Hetling (PublicAffairs, 2023)
https://www.amazon.com/If-Sounds-Like-Quack-American/dp/1541788877
本
アメリカの医療が全ての人を助けるにはあまりにも高額で政治色が強いことは周知の事実である。では医師を見つけられないあるいは信用できないときにどこに向かう?この本でMatthew Hongoltz-Hetlingは拡大し続ける非正統的医療の世界を探る
(アメリカの代替医療ビジネスの一部を真似して儲けようとしているのが機能性表示食品なので。)
-イデオロギーによる科学の転覆
The Ideological Subversion of Science
Skeptical Inquirer July/August 2023 Volume 47, No. 4
https://skepticalinquirer.org/volume/no-4-vol-47/
生物学が「進歩的」政治運動によって脅かされている。生物学の特定分野を禁忌としたり政府からの資金提供や論文発表を止めたり生物学者が使っている用語を規定したり。この記事はイデオロギーがどれだけ有毒かを示す。
現在の状況は全ての科学の分野に影響する点でソ連のルイセンコや創造論、反ワクチン運動などのこれまでの事例より悪い。
事例として、ヒトの生物学的性は男女に二分できない、男女差は全て社会が原因、進化心理学はインチキ、個人の行動の違いに遺伝的差違を研究すべきではない、人種や民族は社会的構成物で生物的意味はない、先住民の智慧は現代科学と等価、をとりあげている。