[EFSA]意見等
-スパイス中のニコチンの最大残留基準値の対象を絞ったリスク評価
Targeted risk assessment of maximum residue levels for nicotine in spices
EFSA Journal 2023;21(10):8372 13 October 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8372
(声明)
規則(EC) No 396/2005第43条に従って、EFSAはスパイス中のニコチンの最大残留基準値(MRLs)の対象を絞ったリスク評価を実施するよう欧州委員会から委託を受けた。EFSAは、提出された新しい監視データに基づき、欧州委員会から提案された、暫定最大残留基準値(tMRL) 0.3 mg/kgと同等レベルでスパイス中の残留物を介したニコチン暴露を考慮して、急性(短期)及び慢性(長期)食事リスク評価を実施した。リスク評価結果に基づき、EFSAは、スパイスのグループのtMRL 0.3 mg/kgは消費者の健康にリスクをもたらす可能性は低いと結論した。
-MCRAの農薬の遡及的累積リスク評価の標準的規制措置
Standard regulatory action for retrospective cumulative risk assessment of pesticides in MCRA
EFSA Journal 2023;20(10):EN-8376 13 October 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8376
(外部科学報告書)
農薬の遡及的食事累積リスク評価(CRA)の統一した方法論は、2018年に、欧州委員会(EC)と欧州食品安全機関(EFSA)が、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)と緊密に協力して確立した。この報告書では、MCRAバージョン10の更新したRMに従って、頭蓋顔面変化のための遡及的食事CRAへのSRA使用に関するガイダンスを提供している。
-EU規制措置のためのMCRAプラットフォーム:ガバナンス、ユーザーガイダンス、FAIR化
The MCRA platform for EU regulatory actions: governance, user guidance and FAIRification
EFSA Journal 2023;20(10):EN-8251 13 October 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8251
(外部科学報告書)
農薬の累積リスク評価に使用されるウェブベースのツールである、モンテカルロリスク評価(MCRA)プラットフォームの説明。
-非遺伝子組換えLMG‐S 32676株由来食品用酵素α-アミラーゼの安全性評価Bacillus amyloliquefaciens
Safety evaluation of the food enzyme α‐amylase from the non‐genetically modified Bacillus amyloliquefaciens strain LMG‐S 32676
EFSA Journal 2023;21(10):8255 11 October 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8255
(科学的意見)
食品用酵素α-アミラーゼ(4‐α‐d‐グルカン グルカノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.1)は、Enmex SA de CV, a Kerry Companyが非遺伝子組換えBacillus amyloliquefaciens LMG‐S 32676株で生産した。評価中のこの食品用酵素は、6つの製造工程、すなわち、焼成工程、醸造工程、蒸留アルコール生産、グルコースシロップや他のデンプン加水分解物の生産のためのデンプン加工、精製及び非精製砂糖生産、酵母加工で使用することを意図している。総有機固形物(TOS)の残留量は、蒸留アルコール生産とグルコースシロップや他のデンプン加水分解物の生産のためのデンプン加工で除去されるため、食事暴露の推定は残りの4つの食品工程にのみ行われた。欧州人で最大2.998 mg TOS/kg体重/日と推定された。この生産株はQPSアプローチの要件を満たしている。製造工程から生じる懸念は確認されなかったため、パネルは、この食品用酵素の評価に毒性学的試験は必要ないと考えた。既知のアレルゲンに対するこの食品用酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、呼吸器アレルゲンで2件の一致が見つかった。パネルは、この食品用酵素への食事暴露に関するアレルギー反応のリスクは(蒸留アルコール生産以外)除外できないが、その可能性は低いと判断した。提出されたデータに基づき、パネルは、意図した使用条件下でこの食品用酵素は安全上の懸念を生じないと結論した。
-Appethyl®と体重の減少:健康強調表示の評価
Appethyl® and reduction of body weight: evaluation of a health claim pursuant to Article 13(5) of Regulation (EC) No 1924/2006
EFSA Journal 2023;21(10):8239 11 October 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8239
(科学的意見)
規則(EC) No 1924/2006第13条5項に従い、スウェーデン当局を経由して健康強調表示の認可のために提出されたGreenleaf Medical AB社からの申請を受けて、EFSAの栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するパネル(NDA)は、Appethyl®と体重減少に関連する健康強調表示の科学的根拠に関する意見を提出するよう求められた。Appethyl®は、製造工程及びin vitroにおけるリパーゼ/コリパーゼ阻害能力で規格化されたホウレン草の葉由来水性抽出物である。パネルは、この食品は十分に特徴づけらを記されていると考えている。体重の減少は、太りすぎ/肥満の人に有益な生理学的効果である。申請者は、主張と関連するものとしてAppethyl®の体重への影響を調査した、合計3件のヒト介入研究を確認した。証拠の検討において、パネルは、Appethyl® (5 g/日12 週間)は、最小限の食事カウンセリングと適度な身体活動の下で、プラセボと比較して体重に影響がなかったこと、及び、事前に決めたエネルギー制限と適度な身体活動の下でAppethyl®での介入に寄与する可能性のある体重減少から、太りすぎ/肥満の人の対象集団に期待予期されるはずの有益な生理学的影響がなかったことを考慮した。パネルは、1つの試験研究で示された初期体重減少後の体重維持に関するAppethyl® (5 g/日 24 週間)の影響が様々な設定で再現されておらず、結果の外部妥当性が問われており、また、Appethyl®の日常摂取がヒトの体重に持続的な効果を発揮する可能性があるという、もっともらしいメカニズムの証拠が提出されていないことも考慮した。パネルは、申請者が提案した使用条件下で、Appethyl®の摂取と体重減少との因果関係は立証されていないと結論している。
-使用後のPETを食品接触物質へリサイクルするために使用する、Bandera PURe 15テクノロジーに基づくArcoplasticaプロセスの安全性評価
Safety assessment of the process Arcoplastica, based on the Bandera PURe 15 technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials
EFSA Journal 2023;21(10):8265 11 October 2023
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8265
(科学的意見)
このプロセスから得られるリサイクルPETを室温又はそれ未満で長期保存される飲料水を含む全ての種類の食品接触物質の製造に100%使用しても、安全上の懸念とはならない。このリサイクルPETで作られた最終製品は電子レンジとオーブンで使用することを意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。
[EU]RASFF 2023(1015-1021)
警報通知(Alert Notifications)
イタリア産ピザの箱の鉛・フタル酸エステル類及び光開始剤、スロバキア産青いケシの実のモルヒネ高含有、スペイン産柿のクロルピリホス、中国産滑り止めポリプロピレンハンドル付きステンレススチール製スプーンのクロムとニッケルの溶出及び試験後の腐食、スペイン産ケシの実のモルヒネ高含有、ドイツ及びオランダ産ネギのカドミウム、オランダ産ケーキのグリシドール、英国産マンゴージュースの食品添加物E950・E954・E951非表示及びE952とE210高含有、スイス産CBDオイルのカンナビジオール(CBD)及びテトラヒドロカンナビノール(THC)、レバノン産スイカ種子のアフラトキシンB1、台湾産ゼリーストローの未承認食品添加物 (E407及び E410)、ルーマニア産ケシの実入りグリッシーニのモルヒネ高含有、モロッコ産スペイン経由ハーブティーのピロリジジンアルカロイド、エジプト産オランダ経由冷凍緑のオクラの未承認物質クロルピリホス、英国産デンマーク経由ノルウェー産ロブスターの亜硫酸塩非表示、
注意喚起情報(information for attention)
米国産殻付きアーモンドのアフラトキシン、カメルーン産乾燥豆のクロルピリホス・ラムダシハロトリン及びピリミホスメチル、スリランカ産チルドマグロフィレのヒスタミン、米国産フードサプリメントの未承認新規食品L-トレオン酸マグネシウム(禁止されているマグネシウムの形態)、タイ産ディルのカルボフラン・ジメトエート及びオメトエート、
通関拒否通知(Border Rejections)
インド産バスマティ米のクロルピリホス、パキスタン産米のイミダクロプリド、インドネシア産ナツメグのアフラトキシン、パキスタン産米のアセタミプリド、トルコ産キュウリのホルメタネート、香港産ポリアミド製台所用品セットの一級芳香族アミンの溶出、セルビア産ブラックベリーのイプロジオン、インドネシア産ナツメグのアフラトキシンB1、インド産ハーブフードサプリメントのエチレンオキシド、中国産コーヒーのEUで摂取歴のないカワラタケ、中国産緑茶のジノテフラン、米国産フードサプリメントの未承認新規食品成分エデト酸カルシウム二ナトリウム、中国産ジャスミン緑茶風味のクロルピリホス及びラムダシハロトリン、トルコ産乾燥レモンスライスのビフェニル、米国産英国経由フードサプリメントの未承認新規食品成分カンナビジオール(CBD)、アルゼンチン産ピーナッツカーネルのアフラトキシン、
[EUROPOL]第1回OPSON Europeで3千万ユーロ相当を押収
30 million euros worth of seizures in first OPSON Europe
10 OCT 2023
ユーロポールが主導する作戦OPSON Europeが2022年12月から2023年4月まで実施された。今年の作戦は12回目となる継続した作戦OPSONである。欧州市場の税関地域、実店舗とオンライン市場(eコマースプラットフォーム)、フードサプライチェーン全体の食品偽装を対象とした。
腐った、又は期限切れ食品のラベルの貼り直しが、前例のない規模で検出された。押収された違法製品8,000トンのほとんどはアルコール飲料で650万リットルだった。(検査400件、逮捕状発行143件、捜査令状執行168件、司法当局に報告された人119人、犯罪ネットワークの中断6件)
押収された主な違法製品(量の多い順)
アルコール飲料、シリアル、穀物と由来製品、果物/野菜/豆類、お菓子と砂糖製品、肉と肉製品、海産物、乳製品、フードサプリメント/添加物
EU全域で腐った食品を密売
ユーロポールを介した情報交換により、フランス、ドイツ、イタリア、リトアニア、スペインで、腐ったあるいは賞味期限の切れた食品をリサイクルする会社を検出した。この調査では24人が逮捕され、イタリアでは並行して3人が逮捕された。押収品の合計は150万箱以上となった。
腐った肉や魚を皿から取り除く
トレーサビリティのない、賞味期限を操作したハムの密売で2人を告発した。48,896 kgの3,000ピースのハムとソーセージが押収された。賞味期限の切れた肉、魚、海産物を密売する犯罪ネットワークを対象とした作戦活動の結果、逮捕者8人、調査中48人、25トン以上の食品が特定・押収・破棄された。
甘口ワイン
2社が関与した3人の砂糖偽装で、ブドウ製品や濃縮ブドウジュースと示されていた転化糖由来製品をEU域外の国々、主に南アフリカ輸出した。販売価格130万ユーロの、転化糖1.08トンを含む2つのタンクを押収した。
商品名の保護
フェタ、パルミジャーノレッジャーノ、グラナパダーノなどのチーズ製品、プロシュート・ディ・パルマや、ウェルシュビーフ、コーニッシュパスティ、クレソンなどの肉製品の違反事例を特定した。
[ノルウェー食品局]二枚貝とその他の軟体動物の国家モニタリングプロクラム―2022年に分析した化学汚染物質と微生物の検体
National monitoring program for bivalves and other molluscs – samples analysed in 2022 for chemical contaminants and micro organisms
Arne Duinker et al., Rapport fra havforskningen 2023-37
https://www.hi.no/hi/nettrapporter/rapport-fra-havforskningen-2023-37
本文ノルウェー語
(Abstractの化学物質部分)
望ましくない物質の分析のために、ノルウェー食品安全庁地方事務所(NFSA)が2022年中に採取した二枚貝やその他の軟体動物の検体には、イガイ30検体、オオホタテガイ11検体、ヨーロッパヒラガキ4検体、banded carpet shells 1検体、ヨーロッパエゾバイ1検体、バフンウニ1検体、ヒバリガイ1検体が含まれていた。サンプリングとIMRへの出荷はNFSAの本社で作成された指示書に従って行われた。
検体は、銅、亜鉛、ヒ素、セレン、銀、カドミウム、鉛、水銀、無機ヒ素の元素の分析を行った。さらに、秋に採取した検体は、TBT、残留性有機汚染物質(POPs)、ポリ塩化ビフェニル(PCB6)、ダイオキシン及びダイオキシン様PCBs、ポリ臭素系難燃剤(ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE))及び多環芳香族炭化水素(PAH)の分析を行った。全ての分析はIMRで行われ、認定評価はNS-EN-ISO 17025に従っている。
前年同様、2022年の金属の分析結果は一般的に低く、ダイオキシン及びダイオキシン様PCBs、PCB6、PBDEsの結果は非常に低かった。今年はEUとノルウェーの最大レベルを超過したのは1検体のみで、ヨーロッパヒラガキの2検体はカドミウム濃度の上限1.0 mg/kg湿重量を超えて1.1及び1.4 mg/kg湿重量だった。
業界から提出された検体に金属の最大値を超えるものはなく、結果は一般的に低レベルで食品安全当局が採取した検体の結果と一致していた。
[FSAI]安全でないレベルのデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の存在により、MountainGrown.ie Irish CBDオイルを一部リコール
Recall of a batch of MountainGrown.ie Irish CBD Oil due to the presence of unsafe levels of Delta‐9‐tetrahydrocannabinol (THC)
MONDAY, 16 OCTOBER 2023
https://www.fsai.ie/news-and-alerts/food-alerts/recall-of-a-batch-of-mountaingrown-ie-irish-cbd-oi
アイルランド食品安全局(FSAI)は、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)が欧州食品安全機関(EFSA)の急性参照用量を上回ったため、安全でない可能性があるとして、アイルランド産MountainGrown.ie Irish CBDオイルをリコール。製品写真あり。
[ヘルスカナダ]リコール
-不適切なラベル表示のためBubble Angelポット洗浄剤のリコール
Bubble Angel Kettle Cleaner recalled due to improper labelling
2023-10-16
リコールされた製品は、カナダ消費者製品安全法に基づく2001年消費者化学物質及び容器規則のラベル表示要件を満たしていない。
[ヘルスカナダ]助言
-未承認の性的強化剤は深刻な健康リスクをひきおこす可能性がある
Unauthorized sexual enhancement products may pose serious health risks
2023-10-16
ヘルスカナダは深刻な健康上のリスクをもたらす可能性のある未承認の性的強化製品について助言する。対象製品の写真あり。製品にアセトアミノフェン、レボドパ、プラステロン、シルデナフィル、タダラフィル、ヨヒンビンを含む。
[HK]CFSは食品安全命令に違反した疑いのある日本から輸入された水産物及び海藻製品を調査する
CFS investigates suspected case of breaching Food Safety Order on aquatic and seaweed products imported from Japan
Monday, October 16, 2023
https://www.cfs.gov.hk/english/press/20231016_10559.html
食品安全センター(CFS)は日本から輸入された食品を検査した際に規制対象都道府県からの水産物及び海藻製品が発見され、当該輸入業者に関連する食品安全命令の違反の疑いがあると発表した。
[EPA]プレスリリース
-EPAは労働者と地域を守るためにTSCAリスク評価プロセスを強化する規則を提案
EPA Proposes Rule to Strengthen TSCA Risk Evaluation Process to Protect Workers and Communities
October 19, 2023
以下を含む:
・過剰に負担のあるコミュニティへの不釣り合いな害を検討するために、リスク評価のなかで同じ物質への複数の暴露経路や複数化合物による複合リスクを検討する
・リスク評価は包括的であることを要求し、使用条件と暴露経路を排除しない
・リスク評価において労働者へのリスクを適切に考慮
・根拠の重み付けに基づく最良の科学を使用し続ける
・透明性確保のための文書改訂手法
等
-EPAは新しい食品廃棄報告書を発表
EPA Releases New Food Waste Reports
October 19, 2023
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-releases-new-food-waste-reports
報告書は埋め立て地からのメタンの排出に与える食品ごみの影響を明らかにし、食品廃棄管理についての助言を更新
畑からゴミ箱へ:米国の食品廃棄管理経路の環境影響
From Field to Bin: The Environmental Impacts of U.S. Food Waste Management Pathways
OCTOBER 19, 2023
https://www.epa.gov/land-research/field-bin-environmental-impacts-us-food-waste-management-pathways
環境影響ランキング
The Wasted Food Scale
最も好ましいのは廃棄予防、次いで寄付やアップサイクル、飼料や肥料としての利用などで、避けるべきはゴミにして埋め立てや焼却すること
埋め立てられた食品ゴミ由来メタン排出の定量
Quantifying Methane Emissions from Landfilled Food Waste
OCTOBER 19, 2023
https://www.epa.gov/land-research/quantifying-methane-emissions-landfilled-food-waste
-EPAは有害化学物質排出目録(TRI)へのPFAS報告強化を求める規則を最終化
EPA Finalizes Rule to Require Enhanced PFAS Reporting to the Toxics Release Inventory
October 20, 2023
使用が低濃度であるため報告免除とされている例外規定をとり除く。TRIに掲載されている189のPFASについてはどんな使用でも報告しなければならない。
[NASEM]BMIを超えて:体重についてコミュニケートする:ワークショップの概要
Going Beyond BMI: Communicating About Body Weight: Proceedings of a Workshop–in Brief. 2023.
2023年6月のワークショップの概要
(肥満はリスク要因なのか肥満そのものが病気なのか、といったことから、自分が肥満だと思っていない人の方が心理的には健康といったことまで)
その他
-ヒト脳プロジェクトに何が起こった?
What happened to the Human Brain Project?
Nayanah Siva
THE LANCET WORLD REPORT| VOLUME 402, ISSUE 10411, P1408-1409, OCTOBER 21, 2023
過去最大のEU研究プロジェクトであるヒト脳プロジェクトが、脳の人工シミュレーションを構築するという期待を果たせず終了した。何か起こった?Nayanah Sivaが報告する。
-カリフォルニア赤くなる
California Sees Red
Joe Schwarcz PhD | 18 Oct 2023
https://www.mcgill.ca/oss/article/health-and-nutrition/california-sees-red
カリフォルニアがメディアに美味しい餌を与えた。2027年までに赤色3号を含む4つの食品添加物を禁止する提案は「クリーンフード」提唱者から賞賛され、食品製造業者から批判され、一部のメディアの熱狂を生み出している。
カリフォルニア州は臭素化植物油(BVO)、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、赤色3号を食品に使うことを2027年までに禁止する計画である。BVOは柑橘油の飲料中での分離を予防するが甲状腺機能に干渉する懸念のためほとんど使用されなくなっている。臭素酸カリウムはパン生地の弾力強化と発酵促進のために使われていたがラットの試験で発がん性が疑われた。プロピルパラベンは食品や化粧品に保存料として添加されていたがホルモン様作用の懸念が提示された。赤色3号は米国でラットでがんを誘発することから化粧品への使用が禁止されているがカナダでも米国でも食品には使える。これら4つはどれも欧州では認められていない。臭素酸カリウムはカナダでは禁止されている。
私はBVOと臭素酸カリウムの禁止に異論はない。たとえ臭素酸カリウムがパンを焼くときに使われると無害な臭化カリウムになって臭素酸は痕跡程度しか残らないとしても。私は大量の赤色3号、別名エリスロシン、を投与されたラットの甲状腺腫瘍がヒトのリスクになるとは納得しないものの、一般的に食用色素の使用には反対である。色素は栄養価がなくジャンクフードを子どもたちにとってより魅力的にする。健康リスクは小さいがベネフィットがゼロなのでリスクベネフィット比が良くない。しかし保存料のプロピルパラベンについてはそうではない。この場合は病気の原因となるばい菌の増殖を抑制する効果と、あるとされている内分泌攪乱影響を推し量る必要がある。
(以下パラベンの話)
まとめると、パラベンががんを誘発する根拠はなく、そのエストロゲン作用は弱いため、我々の暴露されている全ての化合物のエストロゲン作用を考えると、何らかの影響はありそうにない。
(色素のメリットがゼロという意見には合意しないけどよく見る。)
-動画
細切りリンゴが褐色になる理由
This is why cut-up apples go brown | The Right Chemistry
https://www.youtube.com/watch?v=RfZDbAiaTig
ポリフェノールオキシダーゼ
プラスチックの水ボトルから溶出する化合物
Cup o'Joe-Chemicals leaching from plastic water bottles
https://www.youtube.com/watch?v=7L9VMklzPJQ
最初はポリカーボネートボトルのBPAが問題になった。しかしBPAフリーでも、他の化合物を溶出することが明らかになった。何と何千も!しかし大事なことは化合物が存在することがリスクがあることとイコールではないことである。高濃度で有毒なものでも微量なら問題はなく、ボトルから何も溶出しなくても、大気や食品には膨大な数の化合物が含まれる。それでも食品用プラスチックは加熱しない方がいいだろう。