2023-07-21

[EU]RASFF:EUの食品システムを守って40年

RASFF: 40 years safeguarding the European Union’s food systems

19/07/2023

https://ec.europa.eu/newsroom/sante/items/795595/en

食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)は、食品安全機関が公衆衛生に対するリスクにできるだけ速やかに対応できるよう、EU加盟国間で確実に情報交換するために設定された。DG SANTE・緊急警報システムのチームリーダーであるJan Baele氏は、この食品安全ツールがどのように機能し、国民生活にどのような利益を与えるかについて膝を交えて話した。

この40年間のRASFFの主な功績は?

ほぼ45年前に、食品及び飼料の緊急警告システム(RASFF)は、当時9ヶ国だけだった加盟国と欧州委員会との間で設定された初めての本格的な協力体制の1つだった。我々の食品システムの潜在的な脅威について、毎日更新し、速やかに情報提供するためにデザインされた。

1990年代初期にEUの商品の内部境界線が撤廃されると、単一市場を観察する手段として選ばれた。このシステムは2000年代初期に欧州委員会の食品安全白書の一部としてさらに強化された。

それ以来、RASFFはEUの食品安全システムの根幹であり続けている。それにより加盟国は、市場やEU外の国境で食品や飼料に関する健康リスクに対して迅速に対処できる。

どのように運用されているのか、また加盟国の個々の役割は?

管理中に加盟国が、市販の、あるいは国境で提示された特定の食品・飼料が、他のRASFF加盟国に影響を及ぼす健康リスクを起こす可能性があることを発見した場合は、調査結果を委員会に通知する。ちなみに、RASFFの加盟国には、スイス、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーなどの第三国の国々も含まれている。

委員会はその後、全てのRASFF加盟国がすぐに情報を利用できるようにし、必要であればそれぞれの地域で対処できるようにする。

委員会は、最初にその脅威を発見した国に対して、必要であれば、その通知に追加情報で補完するよう依頼することもできる。加盟国はその後、見つかったハザード、トレーサビリティ、他の関連情報に関する追加情報で折り返し報告する。

そのようなシステムが設定されていることで国民はどのような利益を得ているのか?

RASFFが設定されていることで、加盟国内で生産された製品でも他の加盟国からの輸入品でも、食品関連の健康リスクがある場合に国の機関が迅速に対処することで、国民は安心できる。それは本質的に、市場で購入した、あるいは外食した食品が最も安全であることを知っている、という自信を与える別のレベルの保護である。

食品安全に関する問題は常に生じている。だが、RASFFを通して、リスクが特定され次第、当局は消費者を保護するために協力する。

そのため、その製品が店頭に並ぶ前に多くのリスクが回避される。また、消費者が安全に摂取できない製品をすでに購入している場合でも、当局はRASFFの情報を利用して影響を受けた製品をリコールしたり、事業責任者によるリコールを監視したりする。

RASFF消費者ポータル(https://webgate.ec.europa.eu/rasff-window/screen/consumers)は自国のRASFFに報告されたリコールなどを監視するための素晴らしい方法である。

RASFFの年次報告書には、現在、食品偽装も含まれている。これはなぜ?

国民は自分が食べるものやそれがどこから来るのかを知る権利がある。

そのため、公的管理に関する新たな規則が2020年に施行され、警戒協力ネットワーク(ACN)が設立された。これは食品及び飼料の緊急警告システムと行政支援協力ネットワーク(AAC)を統合したもので、農業食品偽装ネットワーク(FFN)の一部である。

これはさらに別の透明な保護層で、EUの食品システムが世界で最も安全だと保証することを目的とするものである。

詳細はこちら:RASFF (europa.eu)

https://food.ec.europa.eu/safety/rasff_en

 

[FDA]特定の食品成分の市販後評価に関するFDAの更新情報

FDA Update on Post-market Assessment of Certain Food Ingredients

July 12, 2023

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-update-post-market-assessment-certain-food-ingredients

本日、米国食品医薬品局(FDA)は、未承認の食品添加物であるために食品への使用が安全でないとFDAが決定した特定の食品成分の公開インベントリ*と、現在FDAの審査中の特定の化学物質のリスト**を発表した。FDAはまた、市場にある食品中の成分の評価を強化するためのFDAの取り組みについて、専門家との対話も掲載した。(https://www.fda.gov/food/conversations-experts-food-topics/fda-works-enhance-assessment-ingredients-foods-and-food-contact-substances-market

これらのリソースは、FDAの市販後評価に関して見通しをつけることを目的としている。

FDA市販前プログラムに加えて、食品成分に関連する最新の安全情報について市販後の積極的なモニタリングも、米国フードサプライの安全性にとって不可欠である。連邦食品・医薬品・化粧品(FD&C)法の下では、食品に使用される、又は使用されることが意図されている成分はすべて、その使用が有資格の専門家によって一般的に安全と認められる(Generally Recognized As Safe)又はGRASであるか、もしくはFD&C法の食品添加物定義に列挙された例外を満たさない限り、食品添加物として使用するためにはFDAの認可を得なければならない。未承認の食品添加物は、FD&C法の下で安全でないとみなされる。

本日のインベントリは、食品成分に関するFDAの市販後評価の一部を含み、2004年以降のこのような成分に関連する活動へのリンクを含むものもある。FDAは、食品添加物として認可されていない成分を認識した場合、公開されているデータや情報がその使用が安全であり、GRAS基準を満たしていることを示しているかどうかを含め、その成分の規制状況をレビューする。ここでの決定は、安全でない食品添加物について製造業者や一般消費者に警告し、安全でない製品を市場から排除する結果となり得る執行措置やその他の市販後の措置を含む、公衆衛生を保護するためのFDAの行動について情報提供する。

このインベントリは、食品に使用された場合に違法となる可能性のある食品成分の完全なリストとなることを目的とせず、安全でない食品添加物に関してFDAが行ったすべての市販後の措置を含むものではない。このインベントリには、具体的には、安全でない食品添加物の名称、いくつかの市販後の措置に関する情報及び公的な通知、FDAがその成分の使用がGRAS基準を満たしていないと結論付けたレビューを記述したFDAの覚書が含まれている。市販後の措置には、警告文書、輸入警告、押収及び差し止めが含まれる。

また、FDAがレビュー中のフードサプライにおける化学物質のリストには、GRASとみなされる特定の成分、食品及び着色料、食品接触物質及び現在FDAの審査中の汚染物質を含む。これらは、FDAが関心を持っている化学物質の一部であり、FDAに安全性のレビューを依頼したステークホルダーの間で関心が高いものである。FDAは、インベントリとリストを定期的に更新する予定である。

最後に、「専門家との対話」では、食品添加物安全局の局長代理であるDr.Kristi Muldoon-Jacobsが登場し、FDAの現在の成分と食品接触物質の市販後評価に関する見識と、この作業を支援するためのアプローチ強化について情報共有している。

FDAのフードサプライにおける化学物質の評価は、食品安全への約束の一部である。

 

*インベントリ:物質の使用がGRASではないとする市販後の決定

Post-market Determinations that the Use of a Substance is Not GRAS

https://www.fda.gov/food/generally-recognized-safe-gras/post-market-determinations-use-substance-not-gras

物質名、既知のシノニムの選択、CAS登録番号® (該当する場合)の情報を提供する。また、食品への使用または意図された使用がGRASの基準を満たしておらず、未承認の食品添加物であるというFDAの決定を文書化した覚書へのリンク、物質に関連する警告文書、強制措置、その他のリンクがある。化合物に4-androstenedione、Arimistane、ビンロウジ:Betel nut (Areca catechu)、カフェイン入りアルコール飲料(CABs)、カンナビジオール(CBD)、デルタ-8テトラヒドロカンナビノール(THC)、1,3-ジメチルアミルアミン(1,3-DMAA)、銀杏(Ginkgo biloba)、Kava、メラトニン、ピカミロン等がある。

 

**FDAがレビュー中のフードサプライにおける特定化学物質リスト

Lists of Select Chemicals in the Food Supply Under FDA Review

https://www.fda.gov/food/food-chemical-safety/lists-select-chemicals-food-supply-under-fda-review

-FDAがレビュー中の食品成分及び食品接触物質のリスト

List of Select Food Ingredients and Food Contact Substances Currently Under FDA Review

リストには2023年7月12日現在FDAがレビュー中の食品成分及び食品接触物質が含まれている。食品接触物質として、承認済みPFAS: 特定短鎖パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)、ビスフェノールA (BPA)、食品添加物として、臭素化植物油(BVO)、着色添加物として、Red Dye No. 3、二酸化チタン(Titanium Dioxide)などがある。

-現在FDAレビュー中の特定汚染物質リスト

-FDAがレビュー中の汚染物質リスト

List of Select Contaminants Currently Under FDA Review

リストには、2023年7月12日現在FDAがレビュー中の環境汚染物質と加工工程で生じる製造副生成物がある。環境汚染のものとして、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、PFAS、タリウム、製造副生成物として、3-モノクロロプロパン-1 ,2-ジオール(3-MCPD)エステル類及びグリシジルエステル類(GE)等がある。

 

[WHO]出版物 健康的な食事指標:世界及び国のモニタリングのための指標の適切性評価

Healthy diet metrics: a suitability assessment of indicators for global and national monitoring purposes

https://www.who.int/publications/i/item/9789240072138

あらゆるところで食生活が変わっていて、不健康な食事に関連する疾病負担は世界的懸念である。国や集団を横断した食事の測定とモニタリングが重要であるが、世界中の食事の健康さを追跡するハーモナイズされた指標はない。この報告書は既存の健康的食時指標が世界や国のモニタリング目的にとっての妥当性、有用性、適合性を評価した。

この報告書は健康的な食事モニタリング構想の重要な最初の一歩である

健康的な食事の構成要素の下部構成要素として以下を使用:

・栄養適切性:必要に応じた十分な質と量の栄養摂取

・栄養密度:食品100gあるいは一食分あたりの栄養の量あるいは割合

・マクロ栄養素バランス:炭水化物、脂質、タンパク質のバランス

・多様性:多様な食品群からなる多様な食品を含む食事

・ほどほど:精製穀物・赤肉・加工肉・砂糖で甘くした食品と飲料を含む慢性疾患に関連する食品の制限

・食品安全:病原微生物、食中毒原因となる寄生虫、毒素、化合物を含まない

さらに2020アメリカ人のための食事ガイドラインで「好ましい食事パターン」と呼ばれている下部構成要素を使った

評価対象は以下

Alternative Healthy Eating Index (AHEI-2010)

Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH)スコア

Diet Quality Index-International (DQI-I)

Global Diet Quality Score (GDQS)

Global Dietary Recommendations (GDR)スコア

Diet Quality Questionnaire (DQQ)

Minimum Dietary Diversity for Women (MDD-W)

Nova UPFスコア

地中海食や国の食事ガイドラインに基づいた指標は除外、EAT-Lancetスコアも除外

最も期待できるものとしてGDRスコアと GDQSを同定、ただしさらなる研究が必要

 

論文

-ベビーフード容器を電子レンジにかけると何十億個ものナノプラスチックが放出される

Billions of nanoplastics released when microwaving baby food containers

20-JUL-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/996162

プラスチック粒子を培養腎細胞に暴露すると最大75%が死ぬ

Environmental Science & Technology

ポリプロピレンのベビーフード容器とポリエチレンパウチに水または3%酢酸を入れて1000ワットの電子レンジで3分加熱し、中の液体のプラスチック粒子を測定

(ES&Tはこういうの良く載せるけど電子レンジ不可の容器なんじゃないかな。培養細胞が死んだと言っている濃度は1000 μg/mL)

 

-食品廃棄を減らすことの環境上の利益は小さい

Reducing food waste is a smaller environmental win

20-JUL-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/995725

新しいCU Boulderの率いた研究は、食料安全保障を向上させると環境に負荷がかかることを発見. Nature Food

何年にもわたって食品のロスと廃棄を減らすことが環境影響を減らすための重要な行動だと推進されてきた。新しい論文では食品のロスと廃棄を減らすことは環境への利益はこれまで考えられていたより小さく、その代わり食料価格が下がって人々の食べる量が増えるだろう。

(この手の研究は条件次第で結果が変わるので)

 

-SCIENCE VOLUME 381|ISSUE 6655|21 JUL 2023

エディトリアル PFASを超えて革新

Innovate beyond PFAS

MARTIN SCHERINGER p251

欧州とアメリカでPFASの規制案が規制担当者と立法者のホットトピックスになっている。大西洋の両側で、広く使用されているPFASの規制は複雑で発展途上である。くっつかない調理器具から食品包装、泡消火剤まで、数百の異なる製品に存在し、食品や飲料水、環境中に長く留まることが前例のないスケールでの汚染問題につながった。例えば最近米国の水道水の45%に少なくとも一つの種類のPFASが含まれると報告された。これらは人体や環境中で分解せず化学的に安定なため、化学物質の使用、評価、規制のありかたに関するこれまでの考え方に深刻な課題を突きつけ、新たな規制がそれを解決できるかどうかは現時点では不明である。

伝統的に化学物質評価は毒性と可燃性のような物理的ハザードが中心だった。発がん性、変異原性、生殖毒性(いわゆるCMR)の化合物は、神経毒のような急性毒性の高いものと同じくあらゆる手段で避けるべき特に有害な化合物として突出してきた。一方でPFASのようなそれほど強い毒性ではないものは特に懸念があるとは見なされてこなかった。しかしこの見解はPFASのような極めて難分解性のものについては危険で欺瞞であることがわかった。長く残存することPersistenceはある環境での化合物の存在の指標となる性質とみなされてきた。難分解性化合物は不活性なので比較的害はないと見なされていたかもしれない。しかしそれでも多くのやりかたで生体の生理と干渉し有害影響を起こしうる。従って難分解性は、排出が続く限り濃度が増加し、どこかで毒性が出るだろう可能性があるため化合物の毒性を悪化させる性質となる。言い換えると、難分解性は毒性の乗数として作用する。これまでの化学物質評価ではそれが過小に見積もられていて、それがPFASでは急所を突いた。

その影響は相当ある。一つの側面は、毒性がそれほどではないが極めて難分解性の化合物はPFASのようなオープンで分散的な使用方法はできず、閉鎖系で使わなければならないということである。もう一つの側面は難分解性を化学物質のハザードの直接的要素とみるべきである。

行くべき道はPFAS事例を超えた化学物質評価システムと規制の変更である。一部の問題についてはPFASの代用品開発が必要であろう。多くの場合は可能であるがPFASだけができることには苦労する可能性がある。PFASを超えた革新は、化学者、材料科学者、製品デザイナー、プロセスエンジニア及び下流の使用者などへの鼓舞となるべきである。

 

その他

動画

Joe博士のPRIME エナジードリンクへの懸念、Logan Paulと KSI、インフルエンサーであるべきではないインフルエンサー

Cup o'Joe-PRIME concern that leads to Logan Paul and KSI, influencers who should not be influencers

https://www.youtube.com/watch?v=zQcuSuCAOpg

合計4000万人ものフォロワーがいる二人がPRIMEドリンクを宣伝している。1本200mgのカフェインを含むが表示されていない。