2023-08-18

[APVMA]特定のジメトエート製品の使用停止を提案

Proposed suspension of specific dimethoate products

15 August 2023

https://apvma.gov.au/node/116756

オーストラリア農薬・動物医薬品局(APVMA)は皮の食べられない果物の収穫後の消毒液として使用するジメトエートを含む化学製品の登録と表示を停止するよう提案した。

APVMAは、ジメトエートとその主な分解生成物であるオメトエートの残留農薬の最大許容量(最大残留基準値またはMRL)が、アボカドとマンゴーで超過していることを示す報告書を受け取った。APVMAが入手できた情報から、ジメトエートを、収穫後の消毒液として承認された使用指示書に従って使用したことでMRLが超過した可能性が高いことが示されている。

APVMAは検出された残留物のレベルがヒトの健康に重大なリスクを引き起こす可能性は低いと考えているが、予防措置として、これらの特定のジメトエート製品の使用停止を提案した。

APVMAは引き続き、他の全ての承認されているジメトエートの使用は安全だと納得している。

ジメトエート製品が提案されたように使用停止となると、APVMAは12ヶ月間有効な見なし許可で使用指示書を提供する。これらの指示書によりジメトエートは継続して利用できるが、熱帯・亜熱帯果物への収穫後の消毒液としてのジメトエートの使用は禁止されることになる。

APVMAはまた、収穫後の皮の食べられない多種多様の熱帯・亜熱帯果物(作物グループ006)への洪水スプレーとしてのジメトエートの使用を停止するために、Horticulture Innovation Australia Ltd社が持つ許可書87164への措置も提案している。皮の食べられない柑橘系果物へのジメトエートの使用許可は依然として容認される。

ジメトエートの登録保持者やその他の利害関係者は、この製品を使用停止するべきではないという理由を説明する情報を提供するために、2週間与えられる。一般人にも使用停止案に関するコメントを募集している。コメントは使用停止案への理由に関連するものとし、2023年8月29日までにAPVMAに提出しなければならない。

ジメトエートを含む登録済みの化学製品は、承認されているラベルの指示書に従って、パブリックコメント募集期間中、継続して使用できる。

APVMAは最終決定前に全ての提案を検討する。

 

[HK]ニュースレター

Food Safety Focus

-放射能汚染について食品安全性への懸念

Food Safety Concern on Radioactive Contamination

16 Aug 2023

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_205_01.html

最近、メディアは福島原子力発電所(FNPS)からの処理廃水の排出や、海洋環境や海産物の汚染の可能性への懸念を表明している。食品の安全性を保証することは香港特別行政区政府の最重要検討事項である。2011年のFNPSインシデント(福島原子力発電所事故)後、政権は日本の食品に対する輸入規制措置を課している。最新の知見や進展を踏まえて、政権は日本からの輸入食品への輸入規制措置を見直している。

日本の排出計画

日本政府は2023年夏にFNPSの原子力冷却工程で生成された処理廃水を海に放出する計画を立てている。この廃水は原子炉の放射性物質と直接接触しているため、高濃度の放射性物質を含んでいる。日本が計画通りに排出を進めると、30年間続く予定である。この長期間に、浄化システムが効果的に作動しない場合は、食品の安全性や海洋生態系に重大なリスクがもたらされる可能性がある。この計画には国際社会や一般市民からの懸念が生じている。

国際原子力機関の審査

国際原子力機関(IAEA)が設置した特別委員会は日本の排出計画を審査している。特別委員会は日本への訪問を実施し、排出計画の一部の技術的・規制的側面について日本の機関に提案するために審査報告書を発表した。IAEAは排出前の審査について2023年7月に報告書を発表し、排出中も審査を継続すると示した。

日本の輸入水産物の検査強化

事前に東京電力ホールディングス(株) (TEPCO)が発表した報告書によると、FNPSの港湾エリアからサンプリングした魚には、コーデックスのガイドラインレベルの18倍の放射性物質セシウムが含まれていることがわかった。セシウムは食品を食べたり水を飲むことで体内に取り込まれる可能性がある。摂取後、血流に吸収され、身体全体に行き渡り、筋肉に集中する傾向がある。摂取すると、魚は健康へのリスクをもたらす可能性があり、がんを誘発する可能性が高まる。

福島でサンプリングされた魚がコーデックスのガイドラインレベルを超えているという報告書を考慮して、食品安全センター(CFS)は対応する監視作業を調整し、輸入する日本の水産物の検査を強化した。該当する魚は2023年5月に捕獲され、分析報告書は2023年6月5日にTEPCOのウェブサイトにアップロードされた。実際、CFSは6月中旬以降、全ての日本の水産物を含むために検査範囲を広げている。

通説1:予防措置としてのヨウ素添加塩などのヨウ素の豊富な食品の摂取

放射性ヨウ素が関与している過去の原子力緊急事態では、甲状腺による放射性ヨウ素の取り込みを防ぐために、放射線の影響に対する防御の役割として、保健省からヨウ素剤が配布された。

だが、ヨウ素豊富な食品やヨウ素添加塩が、ヨウ素剤と同様の放射線防護効果があることを示す科学的根拠はない。ヨウ素添加塩では、ヨウ素含有量は比較的少ない。その上、ヨウ素剤に含まれるヨウ素と同じ用量を吸収するには、1日にヨウ素添加塩を約2.5~5 kg取らなければならない。過剰量の塩を摂取すると、高血圧、心臓病、腎臓病の患者には特に健康に有害である。

通説2:自分で購入した携帯型放射線検出器での放射線の測定

専門家が使用する電離放射線検出器(通常、核放射線検出器として知られる)は、必要な精度と感度があり、正確で信頼できる結果が得られることを保証するために、専門機関によって定期的に補正される必要がある。それどころか、自分で購入した携帯型放射線検出器は、必要な測定能力や、関連する専門家の認定や校正がされていない可能性があり、専門的な設備や人員による放射能監視や評価に置き換えることができない。そのため、一般人は自分で購入した核放射線検出器を用いて食品中の放射線レベルを測定できない可能性がある。

一般市民への助言

効果的な食品規制措置が設定されているため、市場で入手できる食品が高濃度の放射線で汚染されている可能性は低い。

CFSは、調べた結果や、日本産食品の放射性検査結果など、公衆の懸念を晴らすために一般人への日本の食品の安全性に関する情報の普及をさらに強化する。

必要な測定能力を持たない可能性があるため、食品中の放射能レベルを検出するために核放射線検出器を購入しないよう助言する。

取引業者への助言

CFSは、排出計画の最新状況や、実行される可能性のある輸入規制措置をより良く把握できるようにするため、食材配達の手配など早めの準備ができるよう、国内の日本の食品の輸入業者やケータリング業者と緊密な連携を維持していく。

 

[BfR]食品中のミネラルオイル成分に関するQ&A

Questions and answers on mineral oil components in food

31July 2023

https://www.bfr.bund.de/cm/349/questions-and-answers-on-mineral-oil-components-in-food.pdf

ミネラルオイルの成分は、さまざまな方法で食品に入る。一方では、例えば、承認された食品添加物、包装材製造のための添加物、または食品の加工中に、食品への移行が予想される。他方では、環境汚染、農業機械、不適切な輸送または加工方法及びフードチェーンに沿った蓄積もあり得る。BfRは、再生ボール紙の箱から食品へのミネラルオイル成分の移行が可能であり、この点を長年指摘してきた。以下に、BfRは、包装材から食品に移行する可能性のあるミネラルオイル成分に関するよくある質問と回答をまとめた。

ミネラルオイルの成分はどうやって食品に入るのか?

一方では、ミネラルオイルの成分が食品に混入することは予測できる。ある種のワックスまたはいわゆるホワイトオイルは、食品添加物として、食品接触物質の製造または食品の加工で使用される。とりわけ接着剤やプラスチック中、金属缶の製造用、小麦粉塵を防止、チーズコーティング、または型から生地及び他の成形製品の剥離をよくするために使用される。使用されるミネラルオイル製品は、通常、欧州の法律に従ってそれぞれの用途に使用できる物質である。

他方、食品中のミネラルオイルは、例えば、汚染された土壌からの環境への流入、農業機械または不適切な貯蔵条件、包装材、またはフードチェーンを介した汚染物質、特に動物の飼料からの汚染物質のキャリーオーバーを介して、食品の製造中に汚染された結果である可能性もある。

包装材の場合、いわゆる「バッチングオイル」と印刷インク成分が汚染物質として考慮される。バッチングオイルは、食品の輸送と保管のためのジュートまたはサイザル袋の製造によく使用される。印刷インクは、再生繊維で製造された紙の包装材によるものである。印刷された新聞紙は、段ボールの製造に使用される再生紙でもある。従来使用されている新聞紙のインクのほとんどはミネラルオイルを含んでいる。目下のところ、インクを再生工程で十分に除去することが不可能で、再生ボール紙で作られた食品包装材になる。「バッチングオイル」と印刷インキからのミネラルオイルの両方が、比較的高レベルの芳香族炭化水素を含むことがよくある。しかし、適切な品質の再生紙を選択し、紙の包装と食品の間のいわゆる機能的バリア(例えば分離層)を使用することによって、近年、食品に入る再生紙の量を大幅に削減することが可能になった。

食品分野での「ミネラルオイル」という言葉の意味は?

食品中に検出されるミネラルオイル混合物は、飽和炭化水素(ミネラルオイル飽和炭化水素、MOSH)と芳香族炭化水素(ミネラルオイル芳香族炭化水素、MOAH)の複雑な混合物で構成されている。これらの化合物は通常、10から50の炭素原子を含んでいる。

化学的な観点からは、MOSHは、炭素と水素のみから構成され、二重結合(飽和化合物)を含まない、分岐鎖または直鎖、あるいは(部分的に)環状の分子だ。

MOAHは、1つまたは複数の環構造をもつ芳香族化合物である。また、炭素と水素に加えて硫黄を含むこともある。芳香環には通常、飽和炭化水素の1つ以上の短い側鎖または長い側鎖がある。

包装材によるミネラルオイル成分を含む可能性のある食品は何か、ミネラルオイル成分は包装材からどの食品に移行する可能性があるか?

(更新なし)

包装材から食品に移行するミネラルオイル成分の問題にBfRが注目したのはいつか?

(更新なし)

ミネラルオイルに知られている健康リスクは?

ある種のMOSH (約25~35個の炭素原子をもつ非分岐鎖)を含むミネラルオイル混合物が、ある種のラット(いわゆるF344ラット)の肝臓で沈着及び炎症作用を引き起こすことが動物研究から知られている。2023年3月の予備的意見において、欧州食品安全機関(EFSA)は、ヒト及び動物研究からの新しいデータに基づき、この動物所見はヒトには関連しないと結論している。(https://connect.efsa.europa.eu/RM/s/publicconsultation2/a0l09000006qqHf/pc0400)

一方では、F344ラットとは対照的に、上記のMOSH画分はヒト肝臓及び脾臓に蓄積せず、他方では、記載された毒性学的影響はヒト組織サンプルでは観察されなかった。非常に高用量を除いて、EFSAはヒトに対するMOSHのいかなる有害影響も同定していない。しかし、データは不完全であり、特に動物における長期研究と、ミネラルオイルの(生涯にわたる)摂取後のヒト臓器におけるMOSH濃度に関する更なるデータが欠落している。したがって、EFSAは、外因性物質の蓄積は基本的に望ましくなく、可能性のある(まだ知られていない)毒性学的影響はMOSHの蓄積によって引き起こされる可能性が最も高いため、臓器及び組織におけるMOSH蓄積の影響に基づいて健康リスク評価を行っている。

食品中に検出される芳香族炭化水素化合物(MOAH)の画分は、異なる供給源に由来する可能性がある。MOAHは、1つまたは複数の環からなる芳香環系を有する化合物であり、炭素及び水素に加えて硫黄を含むこともある。芳香環はまた、飽和炭化水素のいくつかの短側鎖または長側鎖を有することが多い。いくつかのMOAHは変異原性及び発がん性である。個々の物質の数が多いため、毒性学的データは非常に限られた範囲でしか利用できない。しかし、上記のEFSA予備的意見書にも記載されている新しいデータは、変異原性及び発がん性物質が3つ以上の芳香環を有するMOAHのグループにほぼ独占的に見出されるという以前の評価の仮説を支持する。したがって、EFSA(2023)は食品中のこのグループの物質の存在に基づいてリスク評価を行った。

2023年のEFSAの健康リスク評価の結果はどうだったか?

MOSHについて、EFSAは、食品を介した欧州連合(EU)集団の現在の摂取量は、懸念はないと結論付けている。これは、ミネラルオイルの食品への移行を減らすための近年の当局と業界の取り組みが成功した結果でもある。しかし、EFSAは、毒性学的影響と長期にわたるヒトの臓器や組織におけるMOSHの蓄積量に関するさらなるデータが必要であると指摘している。

3つ以上の芳香環を持つ画分には変異原性物質と発がん性物質が存在する可能性があるので、食品中のMOAH濃度の評価には、特に重要である。しかし、食品中のMOAHにおけるこの画分の実際の割合に関するデータはほとんどない。したがって、EFSAは2つのシナリオに取り組み、1つは現実的な「最悪のケース」を表し、もう1つは「最良のケース」である。「最悪のケース」のシナリオでは、すべての集団に健康上の懸念が生じ、「最良のケース」では特に幼児の摂取量の多い集団に懸念が生じた。ここでのEFSAの主なコメントは、食品中に3つ以上の芳香環を持つMOAHの実際の存在量に関するより多くのデータが必要であるということだった。加えて、特に1つまたは2つの芳香環を持つMOAHの毒性に関するデータが不足している。

MOSHとMOAHは、食品中に存在する可能性のある唯一の石油系炭化水素か?

「ミネラルオイル炭化水素」の定義はやや恣意的である。鉱物油炭化水素は蒸留、分解、水素化、抽出などの物理及び化学的プロセスを介したミネラルオイルからの炭化水素を含む。これは石炭、天然ガス、バイオマスからの合成物質も含む。その他の物質は定義から除外されているが、化学的に非常に類似しており、分析的に必ずしも完全に分離または区別できるとは限らない。これは、例えば、植物によって生成される炭化水素(例えば、リンゴや梨の保護層として)に適用される。ポリオレフィンに由来するオリゴマー、いわゆるPOSH(ポリオレフィンオリゴマー飽和炭化水素)または短鎖合成ポリオレフィン、いわゆるPAO(ポリアルファオレフィン)も食品に含まれることがある。これらは、特定のプラスチックで作られた容器から食品に移行することがあり(POSH)、また、例えば、食品の加工における合成潤滑油として使用される(PAO)。

POSHとPAOとは何か?

(POSHについて更新なし)

PAO(ポリアルファオレフィン)は短鎖合成オレフィンであり、例えば、食品加工における溶剤や潤滑油として使用される。PAOは食品中に少量存在することもある。定義上、POSH及びPAOはミネラルオイル炭化水素ではない。

食品中のPOSHとPAOの健康リスクは?

BfRはPOSHとPAOに関する毒性学的データを持っていない。したがって、POSHとPAOの決定的な健康リスク評価はこれまでできなかった。しかし、MOSHとの化学的類似性に基づいて、POSHとPAOは現在のデータに従って健康リスクをもたらさないと想定できる。

消費者は食品を通してどのくらいの量のミネラルオイル成分を摂取しているか?

2023年に欧州食品安全機関(EFSA)は、成人の消費者が摂取する飽和炭化水素(MOSH)の量は9~50 µg/kg 体重/日、芳香族炭化水素(MOAH)は0.4~13 µg/kg 体重/日であると推定した。小児はその約2から5倍の量を摂取しており、MOSHでは17~212 µg/kg体重/日、MOAHでは1~59 µg/kg体重/日である。

MOSHとMOAHの1日摂取量は、2012年のEFSAの最後の意見書以来、すべての集団でほぼ半減している。

乳幼児のMOSHとMOAHの主な摂取源は、若年集団向けの食品である。これらには、乳児用調製乳とフォローアップ調製乳が含まれるが、乳幼児向けのそのまま喫食可能な食品やビスケットなどの他の製品も含まれる。青年及び成人では、ほぼすべての食品群がMOSH摂取に寄与しているが、特に穀類、乳製品、油脂類が多く、MOAH摂取の主要な寄与因子は、穀類、油脂類及びお茶、ココア、コーヒーなどの飲料である。

アドベントカレンダーのチョコレート中のミネラルオイル成分による健康リスクに関するBfRの見解は?

(更新なし)

ミネラルオイル成分はボール紙包装材から冷凍食品にも移行することがある?

(更新なし)

食品中のミネラルオイル成分に制限値は設けられているか?

現在、食品中のミネラルオイル成分の量を規制する法的基準はない。しかし、MOAHには変異原性および発がん性の化合物も含まれる可能性があるため、MOAHは食品中で検出されるべきでない。

欧州委員会の植物、動物、食品及び飼料に関する常任委員会(SC PAFF)は、2022年4月にガイドラインを発表し、(https://ec.europa.eu/transparency/comitologyregister/core/api/integration/ers/281161/081467/1/attachment)、2022年10月にもガイドラインを発表した。(https://ec.europa.eu/transparency/comitologyregister/core/api/integration/ers/299917/085826/1/attachment)。

ガイドラインでは、「undetectable(検出できない)」という用語の意味と、MOAHが検出された食品への対処方法が定義されている。したがって、すべての食品は、以下の最大基準値を超えてMOAHが検出された場合、市場から排除され、必要に応じてリコールされることになる。

-油脂含有量が低い(4%以下)乾燥食品の場合、0.5 mg/kg

-油脂含有量が高い(4%以上50%以下)食品の場合、1 mg/kg

-油脂または油脂含有量が50%を超える食品の場合、2 mg/kg

包装材からの芳香族炭化水素(MOAH)と飽和炭化水素(MOSH)の食品への移行量に関しBfRが推奨する制限値は?

MOAHの健康影響の指標値の評価及び導出のための毒性学的データは入手できない。リサイクルされた段ボールを介する芳香族炭化水素画分が変異原性及び発がん性を有する可能性があるというBfRの意見書は、2023年の欧州食品安全機関(EFSA 2023)の予備的意見書によって確認された。この意見書によれば、3つ以上の芳香環を有する群からのMOAHが変異原性及び発がん性作用の原因である。食品中に見出されるMOAHが3つ以上の芳香族環を有する物質であるかどうか及びどの程度であるかの分析的証明は、ルーチン分析法ではまだ可能ではない。したがって、SC PAFFの規定(上記参照)に従って、包装材から食品へのMOAHの検出可能な移行は起こるべきではない。

炭素鎖長がC 10~C 16及びC 16~C 20のMOSHを含む溶媒の場合、BfRは食品への移行の指標値として、それぞれ食品1 kg当たり12 mg及び4 mgを導出した。

EFSAは、2022年のプラスチック食品接触物質製造のための低粘度ワックスの再評価において、食品1 kgあたり5 mgの特定の移行限度値を勧告した。

(EFSA 2022, https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.2903/j.efsa.2023.7761)

BfRは評価に関与し、この指標値を支持した。

食品中のミネラルオイル成分の含有量をさらに減らすために、BfRが推奨することは?

紙や段ボールの包装から食品へのミネラルオイル成分の移行は、包装材中の含有量だけでなく、保存条件や食品の種類によっても影響を受ける。未使用の繊維ベースのボール紙の使用、ミネラルオイルを含まない印刷インクの使用、または包装構造に機能性バリアを組み込むことで移行を防ぐことができる。直接食品と接する包装材だけでなく、さらに外層の包装材からの移行の可能性も考慮にいれるべきである。

例えば、農業生産、輸送、食品加工からといった、食品への他の流入源を同定し、可能な限り削減する必要がある。BfRの意見では、例えば推奨されるベンチマークレベルプロジェクトの枠組みの中で、近年行われた最小化の努力は継続されるべきである。

 

 

[EPA]EPAは29のPFASとリチウムの最初の全国モニタリングデータを発表

EPA Releases Initial Nationwide Monitoring Data on 29 PFAS and Lithium

August 17, 2023

https://www.epa.gov/newsreleases/epa-releases-initial-nationwide-monitoring-data-29-pfas-and-lithium

最初の12セットのデータは2026年まで発表される予定で、この情報はさらにEPAの飲料水中PFAS対応に積み重ねられる

データは以下から

Occurrence Data from the Unregulated Contaminant Monitoring Rule

https://www.epa.gov/dwucmr/occurrence-data-unregulated-contaminant-monitoring-rule

このUCMRにおいてはMRLはMinimum Reporting Level(最小報告濃度)でPFOSとPFOAは0.004 microg/L、PFBSとPFHxSは0.003、GenXは0.005、など0.003~0.005の範囲。一方で健康助言(HAs)はPFOAが0.000004 microg/L、PFOSが0.00002 microg/Lなので報告=超過になる。GenXとPFBSについてはHAsはMRLより高い

まとめによるとPFOA は4667の検査結果のうち267で検出、PFOSは4665のうち279で検出。6%程度がHas超過となる。なおリチウムは21.1%がHas(10 microg/L)超過

 

論文

-35-50才の成人の大麻と幻覚剤、暴飲が過去最大に

Marijuana and hallucinogen use, binge drinking reached historic highs among adults 35 to 50

17-AUG-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/998803

また大麻、電子タバコ、幻覚剤使用を報告する若年成人も過去最大にちかい

 

SCIENCE VOLUME 381|ISSUE 6659|18 AUG 2023

-書評 公衆衛生対個別化医療

Public health versus personalized medicine

HENRY T. GREELY p.738

ゲノム医療によって環境健康研究が毀損されている、と哲学者が主張する

James Tabery著「遺伝子の独裁:個別化医療とその公衆衛生への脅威Tyranny of the Gene: Personalized Medicine and Its Threat to Public Health」の書評

ゲノム医療が誇大宣伝で環境医学が推進不足であることは明確に正しい。しかしそれでも個別化医療が環境健康研究の脅威なのだろうか?この本はヒト健康研究にはよりバランスのとれたアプローチが必要であることを強く主張する。

過去1年に大麻を使用したと報告した19-30才は2022年に約44%と2017年の35%から増加した。35-50才でも過去最大の28%

 

-情報バイアスと戦う

Battling information bias

JONATHAN WAI P739

社会が科学的デマを却下するのを待つのではなく今、事実を売り込もう

Lee McIntyre著「デマについて 事実のために戦い民主主義を守る方法On Disinformation  How to Fight for Truth and Protect Democracy」の書評

事実を伝える人を増やす必要がある、と主張

 

-レター

太陽光発電は食料安全保障をリスクに晒す

Solar energy projects put food security at risk

ZHONGBIN B. LI et al.,  pp. 740-741

大規模太陽光発電には膨大な土地が必要で、相当数の太陽光発電計画が農地を使っていて食料安全保障を脅かしている。政府はこの厳しい競合を緩和する必要がある。

(中国からの訴え。)

 

その他

-SMC UK

疲れ目、目の健康、睡眠の質へのブルーライトを遮光する眼鏡についてのコクランレビューへの専門家の反応

expert reaction to Cochrane review on blue-light filtering spectacles for eye strain, eye health and sleep quality

AUGUST 18, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-cochrane-review-on-blue-light-filtering-spectacles-for-eye-strain-eye-health-and-sleep-quality/

コクラン系統的レビューが視覚、睡眠、網膜の健康へのブルーライトを遮光眼鏡レンズの使用を調べた

Oxford大学Oxfordインターネット研究所研究部長で准教授Andrew Przybylski教授

プレスリリースは科学を正確に反映しているか

イエス

質の高い研究か?結論はしっかりしたデータに基づいているか?

この研究はあまり根拠はないが広く信じられている考えにゴールドスタンダードなレビューアプローチを適用した

この仕事は既存の根拠と適合するか?

機器からのブルーライトが健康に悪影響があるという考えは広く人気があるがあまり根拠はない。ブルーライトの悪影響対策を謳って販売されている眼鏡の研究は興味深く重要である。研究はあまりないことを正しく記している

交絡要因はどう調整したか?

対象集団や試験機関などの交絡要因を良く同定し考慮している

重要な限界は?

研究が少なく質が極めて低い

現実世界での意味は?

根拠は信頼できないと思う。人々がこの手の眼鏡を買う前に立ち止まって考える機会を提供する

過剰な想定はあるか?

極めて慎重な研究である

Oxford大学概日神経科学教授Russell Foster教授

これはとてもタイムリーなレビューだ。世界中でブルーライトフィルターレンズが販売され使われているが根拠は弱いあるいは存在しない。この研究チームはこれまで行われた研究が相当な方法論的欠陥があるという重要な指摘をしている。つまりより良い研究が必要である。

 

Blue-light filtering spectacle lenses for visual performance, macular (back part of the eye) protection, and improving sleep quality

18 August 2023

https://www.cochrane.org/CD013244/EYES_blue-light-filtering-spectacle-lenses-visual-performance-macular-back-part-eye-protection-and

(日本語はまだ。)

(根拠はないのに広がる、と根拠はあるのに広がらない、の違いは何だろう?)

 

-分子遺伝子工学の規制は根拠に基づかなければならない

Regulation Of Molecular Genetic Engineering Must Be Evidence-Based

By Henry I. Miller, MS, MD and David W. Altman, PhD, MBA — August 17, 2023

https://www.acsh.org/news/2023/08/17/regulation-molecular-genetic-engineering-must-be-evidence-based-17180

何十年にもわたって、非科学的規制が遺伝子工学の革新的利用を遅らせてきた。政策決定者は疑似科学や無知に基づく規制は破壊的で退行的であることに気がつくべきである。開発を認めれば、膨大な革新が待っている

(食料生産の話。特に欧州やメキシコの問題をとりあげている。)