2023-10-13

[BfR]食品添加物及び香料に関する国立リファレンス研究所

National Reference Laboratory for Food Additives and Flavourings

11.10.2023

https://www.bfr.bund.de/en/national_reference_laboratory_for_food_additives_and_flavourings-312899.html

食品添加物や香料は、さまざまな加工食品に含まれている。EUの法律によると、包装に表示されている成分リストには、使用されている食品添加物や香料が含まれていなければならない。欧州連合では、規則(EC)No 1333/2008に従って、320種類を超える食品添加物の使用が承認されている。これらは、甘味料、着色料、保存料などの主要な技術的機能に基づいて、27の機能分類のいずれかに分類される。

規則(EC)No 1334/2008によると、現在、EU全体で許可されている香料物質は約2500種類ある。香料は、定義された化学香料物質、香料調整品、熱処理香料、燻煙香料、香味料前駆体、その他香料及びこれらの混合物からなり、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される。

背景

規則(EC)No 1333/2008の第27条(1)に基づき、欧州加盟国は、リスクベースのアプローチで食品添加物の摂取及び使用を監視するシステムを確立するものとする。調査結果は、適切な頻度で欧州委員会及び欧州食品安全機関(EFSA)に報告される。香料のモニタリング及び報告は、規則(EC)No 1334/2008の第20条に従って規制されている。

この目的のために、食品中の添加物及び香料の量に関する信頼できるデータが必要であり、それは統一された分析戦略を用いて作成される。これまでのところ、利用可能な適切な分析方法は限られている。BfRの食品添加物及び香料に関するドイツ国立リファレンス研究所(NRL)は、食品添加物及び香料の使用を監視及び管理するための分析方法の開発、検証及び実施において、国家の公的管理機関等を支援している。その焦点は、禁止物質の検出及び天然香料の証明のための定量分析法である。

食品添加物及び香料の分析

食品添加物と香料の分析のための古典的な方法は、液体又はガスクロマトグラフィーと多様な検出技術(例えば質量分析)を組み合わせた湿式化学法である。しかし、食品添加物と香料の化学分類の数及び食品マトリックスの多様性により、同定及び定量のための分析法は広範である。

食品添加物及び香料に関するドイツNRLの主な課題

・今後の欧州連合レファレンス研究所(EURL)との協力、研修コースへの参加、研究所間比較試験への参加

・ラボ分析法とその使用の調和と改善を目的とした公的研究所の活動の調整

・公的研究所間の研究所間比較試験と技能試験の組織化と実施

・今後のEURLからの情報の国立食品管理研究所への配布

・管理プログラムの実施のための担当機関への科学的及び技術的支援

・公的研究所の職員に対する研修コースの実施

・分析法の開発と検証。

 

[BfR]野生の狩猟動物の肉をもっと安全にする必要がある

Meat of wild game animals should become safer

04.10.2023

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2023/17/meat_of_wild_game_animals_should_become_safer-312780.html

アカシカ、イノシシ、キジなどの狩猟肉は、食物の中でエコロジカルフットプリントが最も小さい食品のひとつである。これらの動物は野生で育ち、自然が提供するものを食べていて、それはつまり様々な環境汚染物質に暴露する可能性もあるということだ。さらに、野生動物は人畜共通感染症の病原体を媒介する可能性もある。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の主導の下で今後4年以上設置される欧州ネットワーク「狩猟肉チェーンの安全性」は、消費者のための狩猟で得た狩猟肉に関連する健康リスクについての知見交換を促進する。「我々の目標は、この貴重な動物由来食品を、欧州、世界中で共に可能な限り安全にすることである」とBfR長官Andreas Hensel博士は述べた。「我々は化学的・微生物的リスクのどちらもできるだけ最小限にすることを目指している。」ネットワークは拡大中で、EU加盟国だけでなく、西バルカン半島、トルコ、英国、米国、ニュージーランド、オーストラリアなどのEU加盟国以外の諸国も網羅し、現在29ヶ国が含まれている。

4年にわたり、ネットワークの5つの作業グループが、狩猟と加工、狩猟肉の取引ネットワークと供給チェーン、様々な生物学的・化学的ハザードに焦点を当てる。これを達成するために、国家レベルの調査活動をまとめ、評価する予定である。学界、業界、政府機関からの利害関係者グループ及び最終消費者は、新たな知見に関する継続的な最新情報を受け取る。

ネットワークの中心的目標は、「森林から食卓まで」の生産チェーン全体にそって、知識を行動につなげるために関係者グループと直接協力することである。環境からの望ましくない物質環(境汚染物質)に関してだけでなく、狩猟用の弾薬から重金属、特に鉛が入ることを防止・削減することにも焦点を置いている。生物的ハザードは、狩猟肉の摂取を通して人に伝達する可能性がある旋毛虫幼虫などの寄生虫から、サルモネラ菌、ベロ毒素生産性大腸菌 (VTEC)を含む細菌性人獣共通感染症病原体、またイノシシのE型肝炎 (HEV)などのウイルスにまで及ぶ。

狩猟肉の加工や取引中に生じる可能性があり、最終製品を汚染する可能性のある化学的・微生物学的由来リスクも評価される。目標は、様々な地域のネットワークを通して得た科学的知識を広め、国境を越えて長期的な食品安全基準を調整することである。

ネットワークは、様々な狩猟や訓練の実践や、各国の狩猟肉の食肉検査や衛生に関する法規則や基準についての見識を集めることも目指している。野生製品の国境を越える取引の安全性基準を強化・統一するつもりである。さらに、ネットワークは、狩猟肉に関連するリスクや安全な取扱いについて、消費者を教育することに重点を置いている。最終的には、狩猟肉製品の消費者の信頼を支援できることになる。

「狩猟肉チェーンの安全性」は、欧州科学技術研究協力機構(COST)が設立した。

役立つリンク

安全な狩猟肉 COSTの活動(CA22166):

https://www.cost.eu/actions/CA22166/

狩猟肉に関するBfRの追加情報(ドイツ語)

鉛ベースの弾薬で打たれた狩猟動物の摂取に関するQ&A:

https://www.bfr.bund.de/de/fragen_und_antworten_zum_verzehr_von_wild__das_mit_bleihaltiger_munition_geschossen_wurde-127659.html

狩猟動物の肉と狩猟の様々な側面:

https://www.bfr.bund.de/de/a-z_index/wild-8512.html

狩猟肉の衛生:

https://www.bfr.bund.de/de/a-z_index/wildbret-189787.html

 

[ANSES]プロスルホカルブ(Prosulfocarb)に関するANSESのレビュー.

Review of ANSES’s work on prosulfocarb

03/10/2023

https://www.anses.fr/en/content/review-anses-work-prosulfocarb

ここ数年、ANSESはプロスルホカルブ製剤のスプレー散布がもたらす問題に細心の注意を払ってきた。例えば、ANSESはプロスルホカルブ処理後の非対象作物への付着物を調査した。また、地域住民の暴露に関する製品の評価を更新した。以下は、2017年以降にANSESが実施した活動である。

大量に使用される揮発性の高い物質

プロスルホカルブは、フランスで2番目に広く販売されている除草剤有効成分であり、穀類、ジャガイモ及び一部の野菜作物に使用される。ANSESは、主に2つの理由から、2017年以降、これらの製品に関していくつかの措置を実施してきた:

処理面積が広く、ヘクタール当たりの散布量が多いためフランスでプロスルホカルブは大量に使用される;

有効成分の揮発性が高く、散布後も空気中に分散しやすい。

ANSESは、2020年の懸念物質に関する報告書において、プロスルホカルブを特に注意を要する植物保護物質と指定した。毒性学的観点から、この物質は発がん性、変異原性及び生殖毒性に分類されない。しかし、暴露された人に皮膚反応を引き起こす可能性がある。

フランスを含むいくつかの欧州諸国は、未処理の作物由来の食品中にプロスルホカルブ残留物の存在を報告している。植物医薬品安全性監視(フィトファーマコビジランス)分析の後、ANSESは2018年に製品の散布条件を厳しくした。特に、スプレー散布を少なくとも66%低減するノズルの使用を義務付けた。

有効成分プロスルホカルブは現在、欧州レベルで評価されている。欧州委員会は最近、承認を2027年1月31日まで延長した。

プロスルホカルブに関する報告の分析のレビュー

非対象作物の残留

植物医薬品安全性監視計画の一環として、ANSESは、特にリンゴ、クレソン及びルッコラにおけるプロスルホカルブの望ましくない存在に関するフランスでのいくつかの報告を分析したが、これらの作物にはプロスルホカルブが使用されていない。製品の使用条件が強化された後、食品中のプロスルホカルブの濃度に関する最新のデータでこの分析を更新した。その分析では、非対象作物へのプロスルホカルブの望ましくない存在がまだ観察されていることを指摘している。食品中で測定された濃度レベルは、消費者のリスク閾値を超えていない。しかし、非対象作物にこのような残留物が異常に存在するため、いくつかの製品は格下げされ、もはや販売することができない。

大気中の濃度最大値

2022年、ANSESの植物医薬品安全性監視のパートナーであるAtmo Nouvelle-Akitaineは、2021年秋にPlain d'Aunis(シャラント=マリティーム県)の大気中でプロスルホカルブの濃度のピークが観測されたと報告した。これらの測定結果を分析するため、ANSESは2018-2019年の全国予備的キャンペーンで実施された、環境大気中の農薬測定結果を解釈するための手法のひとつを使用した。環境大気中のこれらの濃度レベルは健康警告を引き起こさないと結論付けた。

植物医薬品安全性監視報告書とは何か?

植物医薬品安全性監視計画は、植物保護製品の使用に関連する有害影響の報告を収集する。報告書は、測定システムや調査研究作業、専門家による発表を含み、リスク管理措置の実施を必要とする警告に相当するかどうか、又は特に特定の研究や調査の強化をする必要があるかどうかを決定するために分析される。植物医薬品安全性監視の詳細は以下。(https://www.anses.fr/en/content/phytopharmacovigilance

地域住民に対するリスク評価の更新

ANSESは、製品の散布による暴露に関する最新の方法論的発展を考慮して、地域住民に対するリスクの新たな評価を実施した。この評価の更新は、フランス農業省からプロスルホカルブに関する正式な要請を受けて作成された。

ANSESは、暴露を推定し、居住者と近傍者の保護をさらに強化するために、欧州食品安全機関(EFSA)が2022年に更新した暴露推定方法を使用した。

この評価の後、ANSESは、主に皮膚暴露の場合に、処理中に作物から10メートル以内の子どもが安全閾値を超える可能性を排除できなかった。

そのため、2023年10月、ANSESは、製品の使用に直ちに有効な新しい条件を課すことを決定した:

・1ヘクタール当たりのプロスルホカルブの最大許可用量を少なくとも40%削減する。

・スプレー散布において90%削減を可能にする製品散布用の農業機器(ノズル)を使用し、居住地から10メートルの緩衝地帯を維持する義務化、又は、より効率的なノズルが入手できるまで20メートルの緩衝地帯の適用を義務化する。

2024年6月30日までに、これらの製品の市販承認取得者は、これらの新しい使用条件が地域住民の暴露低減に及ぼす影響に関するデータの提出を求められる。説得力のあるエビデンスが示されない場合は、直ちに認可が取り消される。

 

[EU]SCCS - 2023年10月26日の第6回総会の議題案

SCCS - Draft Agenda of the 6th plenary meeting, Luxembourg, 26 October 2023

https://health.ec.europa.eu/system/files/2023-10/sccs2022_ag_006.pdf

新しい委託案

-エチルヘキシルメトキシ桂皮酸

-ヒドロキシアパタイト提出IV(ナノ)

-二酸化チタンの新しいコーティング(ナノ)

意見案について受け取ったコメントへの対応と最終意見

-銀亜鉛ゼオライト

-亜鉛塩

-メチルパラベン

-プロピルパラベン

-フラーレンとヒドロキシ/水和誘導体(ナノ)

意見案

-A165提出II-予備的意見

-経口/吸入製品による二酸化チタン遺伝毒性-予備的意見

-ナノ物質のSCCSガイダンスの第二改訂についてのファクトシート

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News

Issue 221 October 2023

https://mailchi.mp/foodstandards.gov.au/food-standards-news-august-1301208

関係者満足度調査

食品企業向け食品リコールプロトコール更新

栄養パネル計算機新しいサイトに

食品安全シンポジウム10月17-19日

プログラム

https://www.aifst.asn.au/resources/Documents/Food%20Safety%20Symposium%20Program.pdf

アレルゲンリスク評価の国際動向、食品安全文化、ポピーシードとテバインの事例、食中毒病原体のゲノミクスデータ活用、次世代リスク評価、等

 

[VKM]遺伝子組換え不妊サーモン-野外試験のリスク評価

Genetically Modified Sterile Salmon - Risk Assessment of Field Trials

06.10.2023

https://vkm.no/english/riskassessments/allpublications/geneticallymodifiedsterilesalmonriskassessmentoffieldtrials.4.49914e7a18a5261030860bee.html

VKMは、野外試験に使用する303匹の遺伝子組換え養殖サーモンの放出に関連する、ノルウェーの生物学的多様性へのリスクを評価した。

ノルウェー環境庁はこのリスク評価を委託した。

逃げ出した養殖サーモンから野生のサーモンへの遺伝子の流れはノルウェーの野生のサーモン個体群に問題を引き起こしている。この問題に対処するために、海洋研究所はゲノム編集技術CRISPRを用いて、不妊になるよう設計されたサーモンを開発した。

評価

VKMは、303匹の遺伝子組換え養殖サーモンの野外試験の放出と485匹の対照群のサーモンが、ノルウェーの生物学的多様性に潜在的な負の影響があるかどうか評価した。申請書によると、魚は海のいけすの中で飼育され、VKMはいけすの中とそれから逃がした場合の両方にもたらすリスクを評価した。

VKMは、申請書の文書に基づき、303匹の遺伝子組換えサーモン全ての不妊の証明が不十分で、さらに、485匹の繁殖力のある対照群のうち未知の数が不妊症につながる突然変異対立遺伝子を持つ可能性があると結論した。最悪のシナリオでは、サーモンが網囲いから逃げた場合、これらの対立遺伝子は野生のサーモン個体群に持ち込まれる可能性がある。

VKMのリスク評価は、環境庁が申請書の最終評価に使用する知見の一部となる。

このリスク評価は、学際的な承認グループによって承認され、2023年10月6日に発表される。

 

[SFA]米と乳児用米シリアル中のヒ素

Arsenic in rice and infant rice cereal

Tuesday, October 10, 2023

https://www.sfa.gov.sg/food-information/risk-at-a-glance/arsenic-in-rice-and-infant-rice-cereal

シンガポール食品庁(SFA)は米や幼児向け米シリアルに含まれるヒ素と、子供たちと自分自身をヒ素から守る方法について説明する。

導入

ヒ素は地殻や環境中に自然に存在する重金属である。我々は以前、別の記事で海産物中のヒ素について考察した。ヒ素は米や乳児用の米シリアルにも存在する可能性がある。

消費者にはヒ素への暴露を最小限にするために様々なバランスのとれた食事をするよう助言する。

この記事では、米や乳児用米シリアル中のヒ素や、子供や自分自身をそれから守る方法について、より多くの情報を提供する。

ヒ素は米や乳児用米シリアルにどのようにして入り込むのか?

ヒ素は、火山の噴火や工業プロセスなど、自然活動やヒトの活動を通して環境中に放出される可能性がある。気候変動により、以前に採掘場に閉じ込められていたヒ素や他の重金属が、より多くの雨によって放出されるため、より多くのヒ素が環境中に存在することが予想されている。1

以前に述べたように、ヒ素などの重金属は、我々が食べる動物や植物が、水、土壌、海底と接触することで我々の食品に入り込む。ヒ素は、作物のかんがいに使用される水源を汚染して、長年、土壌に存続し蓄積する可能性があるため、しばしば作物を汚染する。

米は、田んぼの雑草を管理するために水をはった水田で育てることが多いため、小麦などの他の作物よりもヒ素を多く吸収する。作物植物が根からヒ素を取り込むと、その後その植物全体に広がり、その後米粒に取り込まれる。

ヒ素は我々の健康にどのように影響を与えるのか?

高濃度のヒ素を長期間摂取すると、がんや皮膚の変化などの健康問題につながる可能性がある。ヒ素は米や乳児用米シリアルに含まれる可能性がある。

これらの健康への影響は憂慮すべきことのように聞こえるかもしれないが、われわれの食品のヒ素濃度は健康上の懸念をもたらすことはなく、食品に含まれるヒ素による急性中毒はまれなので安心してください。予防措置として、食品中のヒ素の許容レベルは、赤ちゃんの健康を守り保護するために、現在利用できる食品製造/加工技術や、シンガポールにおける最善の方法によって、合理的に可能な限り低く設定されている。

SFAは米と乳児用米シリアルが安全に食べられることを保証するために何をしている?

ヒ素は我々の周りの環境中に存在するため、食品から完全に除去することはできない。にもかかわらず、食品安全リスクを最小限にし、消費者の健康を守るために、米や乳児用米シリアル中のヒトの上限値度は可能な限り低く設定され、入手可能な場合には、国際基準と一致している。

さらに、SFAは、国際基準と一致した科学に基づくリスク評価や、管理アプローチを採用している。SFAは、ヒ素の最大基準が超過しているかどうかなど、我々の規制要件を満たすことを保証するために、シンガポールで販売されている食品の検査などの食品安全体制を整えている。SFAの食品安全基準に準拠していない食品は、シンガポールでは販売を許可されない。

食品の安全性や要件への違反が検出された場合、SFAは関与した食品の徹底的な調査を実施する。関与した製品は、予防措置として回収される可能性もある。

米や乳児用米シリアル中のヒ素への暴露を減らすために何ができるか?

食品安全は、政府、産業界、消費者間で共有される共同責任である。

産業界はSFAの要件に従い、高い食品安全基準を維持することでその役目を果たすことができる。食品輸入業者や食品加工業者もまた、トレーサビリティを確保するために供給源や供給業者の記録をきちんと維持する必要がある。

消費者は以下のヒントに従ってヒ素への暴露を削減できる:

・多種多様の穀物、果物、野菜を含むバランスのとれた食事を食べること。

・両親は乳児に対して様々な食品を与えることができ、米ベースのシリアル以外にオートミールや複数の穀物のシリアルの導入を検討できる。

・ヒ素濃度を下げるために、調理前に米を洗う、あるいは大量の水で米を調理し、その後余分な水を捨てること。

・信頼できる小売業者から食品を購入すること。

参照

1.FAO. 2020.気候変動:食品安全の重荷を下ろす。食品安全と品質シリーズNo. 8ローマ

 

[FSA]FSAの最新のConsumer Insights Trackerの結果が公表される

Latest results from the FSA's new Consumer Insights Tracker published

10 October 2023

https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/latest-results-from-the-fsas-new-consumer-insights-tracker-published

FSAは、新しいYouGov社提供の消費者調査(Consumer Insights Tracker)の結果を発表した。2023年9月に、食品関連のトピックについての懸念に関して尋ねたところ、食品価格(90%が懸念)、食糧貧困と食糧不平等(76%)、食品の超加工、または過剰加工(75%)、食品業界における動物福祉(72%)、人々の食事全般の「健康」(71%)という結果であった。

https://www.food.gov.uk/research/behaviour-and-perception/consumer-insights-tracker-september-2023

 

[FDA]FDAは乳児用調製乳の最新のコンプライアンスプログラムを発表する

FDA Issues Updated Compliance Program for Infant Formula

10/06/2023

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-issues-updated-compliance-program-infant-formula

 米国食品医薬品局(FDA)は、FDAの調査官、検査分析官、コンプライアンス担当者向けの乳児用粉調製乳コンプライアンスプログラムを更新した。この取り組みは、乳児用調製乳業界の安全性、回復力、監視を強化するというFDAの継続的な取り組みの一環である。

https://www.fda.gov/media/71695/download?attachment

 

[ヘルスカナダ]リコール

-Tiliacalm Kids:ラベル表示の問題

Tiliacalm Kids: Labelling issue

2023-10-06

https://recalls-rappels.canada.ca/en/alert-recall/tiliacalm-kids-labelling-issue

 Tiliacalm Kidsは製品にリスク警告がなく、非医薬品成分の表示もないため、リコール。

 

[ヘルスカナダ]助言

-ポッパーズは未承認で深刻な健康リスクをひきおこす可能性がある

Poppers are unauthorized and may pose serious health risks

2023-10-06

https://recalls-rappels.canada.ca/en/alert-recall/poppers-are-unauthorized-and-may-pose-serious-health-risks

 ヘルスカナダは精力剤、減量用、活力剤あるいは「ポッパーズ」として販売されている未承認の健康製品に関する情報を更新する。掲載の製品成分に亜硝酸アルキルを含む。

 

-未承認の性的強化剤は深刻な健康リスクをひきおこす可能性がある

Unauthorized sexual enhancement products may pose serious health risks

2023-10-06

https://recalls-rappels.canada.ca/en/alert-recall/unauthorized-sexual-enhancement-products-may-pose-serious-health-risks

 ヘルスカナダは深刻な健康上のリスクをもたらす可能性のある未承認の性的強化製品について助言する。対象製品の写真あり。製品にアセトアミノフェン、レボドパ、プラステロン、シルデナフィル、タダラフィル、ヨヒンビンを含む。

 

[ヘルスカナダ]改定通知

-醸造及び蒸留用もろみにおけるTrichoderma reesei RF11412由来セルラーゼの使用を可能にするための許可食品酵素リストの改定に関する修正通知

Notice of Modification to the List of Permitted Food Enzymes to Enable the Use of Cellulase from Trichoderma reesei RF11412 in Brewers’ mash and Distillers’ mash

2023-10-11

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/public-involvement-partnerships/notice-modification-list-permitted-food-enzymes-enable-use-cellulase-trichoderma-reesei-rf11412-brewers-distillers-mash.html

 ヘルスカナダは、醸造及び蒸留用もろみへのTrichoderma reesei RF11412由来セルラーゼの市販前安全性評価を完了し、許可食品酵素リストを修正し、使用を可能にする通知を発表した。

 

[HK]CFSは食品安全命令に違反した疑いのある日本から輸入された冷凍手羽先を調査する

CFS investigates suspected case of breaching Food Safety Order on frozen chicken wings imported from Japan

Friday, October 6, 2023

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20231006_10535.html

食品安全センター(CFS)は日本の規制対象都道府県から輸入された冷凍手羽先の販売品を検査し、当該輸入業者が規定に違反した疑いがあると発表した。

 

 

 

[HK]法令違反等

-包装済み辛味野菜の漬物及び梅干しのサンプルが食品表示規則に違反する

Prepackaged preserved mustard greens and preserved plums samples in breach of food labelling regulation

Tuesday, October 10, 2023

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20231010_10545.html

食品安全センター(CFS)は包装済み辛味野菜の漬物及び梅干しのサンプルから、二酸化硫黄が検出され、機能クラスや添加物の名称が食品ラベルに記載されていなかったと発表した。

 

-包装済み冷凍菓子が食品医薬品(成分及び表示)規則に違反

Prepackaged Frozen Confection not in compliance with Food and Drugs (Composition and Labelling) Regulations

Tuesday, October 10, 2023

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20231010_10543.html

中国産アイスキャンディーに2つの許可された着色料ブリリアントブルーFCFとタートラジンの食品表示がなかった。

 

-台湾政府より‐ベトナムから台湾に輸入されたACECOOK「速食蝦蔥味炒麵(SHRIMP & ONION FLAVOR FRIED INSTANT NOODLE)」and ACECOOK「速 食 酸 辣 蝦 味 麵 (SOUR-HOTSHRIMP FLAVOR INSTANT NOODLES)」に、台湾の基準を満たさないレベルの残留農薬エチレンオキシドが含まれていること報告。

The authority of Taiwan reported that a batch of ACECOOK「速食蝦蔥味炒麵(SHRIMP & ONION FLAVOR FRIED INSTANT NOODLE)」and ACECOOK「速 食 酸 辣 蝦 味 麵 (SOUR-HOTSHRIMP FLAVOR INSTANT NOODLES)」 imported from Vietnam to Taiwan was found to contain a pesticide residue, ethylene oxide, at levels which is not complying with the Taiwan standard.

11 October 2023

https://www.cfs.gov.hk/english/rc/subject/files/20231011_1.pdf

 

-CFSはうなぎのサンプルからニトロフラン代謝物を検出する

CFS finds trace of nitrofuran metabolite in eel sample

Friday, October 6, 2023

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20231006_10537.html

CFSは、ウナギのサンプルから未承認の動物用医薬品であるニトロフラン(AOZ)の代謝物が検出されたと発表した。追跡調査が進行中である。

[RIVM]Sevesoの企業での有害物質の関与するインシデントの解析2023

Analysis of incidents with hazardous substances at Seveso companies 2023

12-10-2023

https://www.rivm.nl/publicaties/analyse-van-incidenten-met-gevaarlijke-stoffen-bij-brzo-bedrijven-2023

 

[WHO]世界の塗料中鉛規制値の現状更新

Update on the global status of legal limits for lead in paint, March 2023

4 October 2023

https://www.who.int/publications/i/item/9789240078093

(日本は法的基準がない国と記載されているがこんな感じで自主取り組み

https://www.toryo.or.jp/jp/anzen/lead-elimination.html

https://www.toryo.or.jp/jp/anzen/news/files/lead-rr-brochure2016.pdf

評価すべきは法律があるかどうかではなく鉛暴露量が多いか少ないかだろう。)

 

[IARC]IARCモノグラフ評価:候補募集

IARC Monographs evaluations: call for public nominations of agents

12 October 2023

https://www.iarc.who.int/news-events/iarc-monographs-evaluations-call-for-public-nominations-of-agents/

2023年11月30日まで

 

[FAO]世界食料デーと世界食料フォーラム2023は水、気候対応、持続可能な食料システムのための世界的対応を刺激する

World Food Day and World Food Forum 2023 set to spark global action for water, climate action and sustainable agrifood systems

10/10/2023

https://www.fao.org/newsroom/detail/world-food-day-and-world-food-forum-2023-set-to-spark-global-action-for-water--climate-action-and-sustainable-agrifood-systems/en

10月16-20日ローマで開催

 

[MPI]食品と飲料産業転換計画

Food and Beverage Industry Transformation Plan

https://www.mpi.govt.nz/about-mpi/our-work/fit-for-a-better-world-accelerating-our-economic-potential/food-and-beverage-industry-transformation-plan/

2023年8月28日に議会承認

小から中規模の事業者が革新的インフラやサービスで成長し続けるための計画

遺伝子技術について議論することが課題のひとつになっている

(GMO反対だと取り残されるという認識が広まっているようだ。技術否定は現状維持ではなく後退だから。)

 

[EPA]EPAは消費者に不正表示家庭用抗菌製品に注意するようよびかけ

EPA Urges Consumers to Beware of Misbranded Antimicrobial Household Products

October 11, 2023

https://www.epa.gov/newsreleases/epa-urges-consumers-beware-misbranded-antimicrobial-household-products

COVID-19パンデミック下で、適用される連邦法に従わす急いで販売されたことが150万ドルの罰金につながった

本日Tzumi Electronics LLC社とEnchante Accessories, Inc社のFIFRA違反につき150万ドルの罰金で和解

消費者は殺菌作用の宣伝をしている製品を購入する際には注意すること。

(問題の製品は紫外線照射機器)

 

論文

-職業ベンゼン暴露と肺がんリスク:14の症例対照研究のプール解析

Occupational Benzene Exposure and Lung Cancer Risk: A Pooled Analysis of 14 Case-Control Studies

Wenxin Wan et al., Am J Respir Crit Care Med. 2023 Oct 9.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37812782/

職業ベンゼン暴露が肺がんリスクを増やすという仮説を支持

 

-アメリカ人は人生の半分を処方薬を使用して過ごす、研究が発見

Americans will spend half their lives taking prescription drugs, study finds

12-OCT-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/1004598

2019年に生まれたアメリカ人男女はその人生の48%と60%を処方薬を使用して過ごす

emography.

女性は出産コントロールのため男性より早く処方薬を使い始める傾向があり。向精神薬や鎮痛剤の使用も男性より多い。

男性はスタチンやその他の心血管系疾患治療薬の使用が多い傾向がある

 

-新しい研究によると、農業におけるプラスチックの使用は減らさなければならない

Plastic use in agriculture must be reduced, according to new research

11-OCT-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/1004400

環境とヒト健康を守るために革新的リサイクル方法が必要

Nature Communications Earth & Environment

 

-専門家が工業的肉生産と消費から公正かつ公平な離脱をよびかける

Experts call for just and fair transition away from industrial meat production and consumption

11-OCT-2023

https://www.eurekalert.org/news-releases/1004091

CABI One Healthに発表された政策フォーラム

ヒト健康と環境のために肉を食べないようにするための5段階の政策提案

・畜産部門への補助金や支援を縮小・廃止

・代用品を支援

・計画過程でインクルーシブと参加を確保

・移行の影響を緩和するため関係者を支援

・肉部門の不正義の根本原因に対応

(肉部門の不正義って労働環境の悪さのようなことらしいのだがそれって農業・製造業どこにでもあるのでは。移民季節労働者とか農業実習生とか全部止めると真っ先に有機農産物が影響受けるのでは)

 

Nature

-再現性試験:246人の生物学者が同じデータセットから異なる結果を得る

Natureニュース

Reproducibility trial: 246 biologists get different results from same data sets

12 October 2023  Anil Oza

https://www.nature.com/articles/d41586-023-03177-1

知見の広範な分布は、どの解析を選ぶかが結論を導くことを示す

同一の生態学のデータセットを200人以上の生物学者が検討した大規模演習の結果、大きく異なる結果が得られた。生態学では初めてのこの種の徹底研究は、この分野の結果が、環境の違いによってではなく、研究者の解析方法の選択によってどれだけ大きく異なるかを示した。この結果は個々の論文の結果に頼ることはできないことを示す。

与えられたデータと質問は「アオガラの雛の成長がきょうだいとの競争でどのくらい影響されるか」「草のカバーはどのくらいユーカリの苗の補充に影響するか」のどちらか

 

-エディトリアル

毎年マラリアで50万人の子どもたちが死んでいる。ついにそれを変えられる

Half a million children die of malaria every year. Finally we can change that

11 October 2023

https://www.nature.com/articles/d41586-023-03173-5

二つのワクチンが入手可能になったことで、マラリアを根絶できる-しかし世界はそれを協力して推進できるか?

 

-Nature特集

BMIに欠陥がある理由-そしてどうやって肥満を再定義するか

Why BMI is flawed — and how to redefine obesity

11 October 2023  McKenzie Prillaman

https://www.nature.com/articles/d41586-023-03143-x

肥満の診断に主に使われるBMIは身長と体重しか考慮せず、他のたくさんの体脂肪と健康に影響する要因を省いている

肥満専門医Fatima Cody Stanfordは体重による健康問題をかかえる多くの人を治療してきた。治療に成功した例は多く、たとえばある女性は約10年の治療でびっくりするようなコレステロール、血圧、血糖が回復した。しかしこの女性患者はまだ治療をして欲しい。彼女はBMIに執着していて、BMIだと彼女は肥満に分類される。

BMIは体脂肪の代用として使われてきて数値が大きいと代謝疾患や死亡リスクがあがる可能性がある。しかしBMIは体脂肪を計っているわけではなく、BMIの大きい全ての人が健康状態が悪かったり死亡リスクが高かったりするわけではない。そのため肥満の指標にBMI以上のものをつかおうという少数だが増加している動きがある

以下略

(セマグルチドなどのため肥満治療を希望する人が増加し病院の待機リストが長くなり優先的に治療すべき人を選別する必要が大きくなってきた側面も)

 

-研究ハイライト

ニンジンはどうしてオレンジになった:ゲノミクスが原因を探る

How carrots became orange: genomics get at the root of the matter

ニンジンは約1200年前に栽培品種になったが、何世紀もの間黄色か紫だった

世界中の630のニンジンのゲノムを解析し、ニンジンがオレンジになって栄養豊富になるには3つの遺伝子が関与することがわかった。歴史的記録と組み合わせて、ニンジンは9世紀から10世紀にアジアで栽培化され、数百年後に西ヨーロッパでおそらく黄色の先祖からオレンジの色が選ばれた。何世紀にもわたって、人間がニンジンゲノム全体に痕跡を残した。例えば、花が咲くと主根が木化して食べられなくなるので、花の時期を遅らせる遺伝子が選ばれた。

Nature Plants

 

その他

-科学は意識高くはないが、政治的ではある

Science isn't woke, but it is political        

6th October 2023  Stephen John

https://iai.tv/articles/science-isnt-woke-but-it-is-political-stephen-john-auid-2619

英国の科学大臣が「科学から意識高いイデオロギーを追い出す」と明言した。科学と政治を分離するのは一見賢明な方針のようだが、現実にはそれは不可能である。科学の重要な決定の意多くは倫理や政治的価値への訴求を必要とする。しかしどの価値観が許容できるかどうかを政治が規制すべきではない。

 

-アメリカのミツバチの問題は我々の問題

America’s Bee Problem Is an Us Problem

By Lex Pryor  Aug 3, 2023,

https://www.theringer.com/features/2023/8/3/23816154/honeybees-commercial-urban-beekeepers-bees-dying-crisis

あなたはアメリカのミツバチが死んでいるという話を聞いたことがあるだろう。しかしそれは最前線にいる人達にとって何を意味するのか、そして私たちの食卓にとっては?

(蜂蜜をとるためではなくて受粉用のミツバチの問題)

 

-病的科学、希望的観測、それから他の避けた方がいいこと

Pathological Science, Wishful Thinking, And Other Things To Try To Avoid

By Doctor Y — October 11, 2023

https://www.acsh.org/news/2023/10/11/pathological-science-wishful-thinking-and-other-things-try-avoid-17387

現在は、どんな人にとってもあまりにも多様な分野でわかっていることが多すぎるため、全てを頭に入れるのは不可能である。つまりどんなに賢い人でも、単純に「信じる」として他者の言うことを受け入れるときがある。問題は、この他者があまりにもしばしば間違っていて、そのトピックはしばしばとても重要で、言われていることがあまりにも違うことである。私たちは選ばなければならないが、どうやって選べばいいのかわからない。

ラングミュアの「病的科学」(Pathological Science)の兆候

(1)   その原因の大きさは小さく,検出限界ギリギリの大きさでしかない。あるいは,原因の強度と結果の大きさとは,まったく無関係である。

(2)   その結果は検出限界ギリギリの大きさをもつ。あるいは,当の結果の統計的な有意性が極度に低いので,多くの測定が必要である。

(3)   高精度であると主張する。

(4)   経験と矛盾する空想的な理論である。

(5)   批判を受けると,そのときに思いついた一時逃れの言い抜けをする。

(6)   当初,支持者は批判者とほぼ同数に達するが,その支持者は次第に減少し,やがて忘れ去られてしまう。

(環境ホルモン騒動とか?)

 

-動画

フタル酸の科学と歴史

The science and history of phthalates

https://www.youtube.com/watch?v=dNonUYD-D44

テーマはsex toysからの化学物質暴露

あまり注目されていない分野だが論文がある