[EC]グリホサートの認可の更新又は拒否について加盟国の合意が特定多数に達しなかった
No qualified majority reached by Member States to renew or reject the approval of glyphosate
16 November 2023
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/statement_23_5792
本日、審査委員会(Appeal Committee)での投票において、加盟国はグリホサートの認可を更新又は拒否するために必要な特定多数を得ず、合意に達しなかった。これは、10月13日の植物・動物・食品及び飼料の常任委員会(SCOPAFF)での前回の投票に続くものであり、その際にも加盟国は提案を更新又は拒否するために必要な過半数に達しなかった。
EUの法律に従い、更新又は拒否のいずれにも必要な過半数に達しなかった場合、欧州委員会には現在の認可期間が満了する2023年12月15日までに決定を採択する義務がある。欧州食品安全機関(EFSA)と欧州化学品庁(ECHA)及び欧州連合(EU)加盟国によって実施された包括的な安全性評価に基づき、欧州委員会は今後、一定の新しい使用条件と制限を設けた上で、グリホサートの承認を10年間更新する手続きを進めることになる。これらの制限には、収穫前の乾燥剤としての使用の禁止及び標的としない生物を保護するための特定の措置の必要性が含まれる。
加盟国は、グリホサートを含む植物保護製剤(PPP)の国家の承認に責任があり、リスク評価の結果に基づいて、特に生物多様性を保護する必要性を考慮して必要と判断した場合は、国家及び地域レベルで使用を制限することができる。
-グリホサートの認可の更新について:Q&A
Renewal of the approval of glyphosate: Questions and Answers
16 November 2023
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/QANDA_23_5793
- 欧州委員会はグリホサートの認可を更新するか?
欧州連合(EU)の農薬に関する法律にあるように、又コミトロジー(Comitology)規則に従い、審査委員会(Appeal Committee)で特定多数が得られない場合、欧州委員会は現在の認可の有効期限(2023年12月15日)までに決定を採択する法的義務がある。欧州委員会は、グリホサートがヒト、動物及び環境の健康に及ぼす影響についてEFSAが行った評価に基づき、認可の更新の妨げとなる重要な懸念事項を特定しなかったため、一定の使用条件及び制限を設けて、グリホサートの認可を更新する規則案を採択する(Q5参照)。
2023年11月16日、審査委員会での投票で、グリホサートの認可を10年間更新するという委員会の提案について、加盟国は特定多数に達しなかった。これは、2023年10月13日の植物・動物・食品及び飼料の常任委員会(SCOPAFF)での前回の投票でも、加盟国が提案を更新(又は拒否)するために必要な過半数を得ず、合意に達しなかったことに続くものである。
- 欧州委員会の決定の根拠は何か。
認可更新の提案は、欧州食品安全機関(EFSA)と欧州化学物質庁(ECHA)が加盟国とともに実施した包括的な安全性評価に基づいている。
この科学的な作業は、報告担当国(Rapporteur Member States)として指定されたフランス、ハンガリー、オランダ、スウェーデンの加盟国グループ(グリホサートに関する評価グループ(AGG:Assessment Group on Glyphosate)を結成)によって、2019年12月に開始された徹底的な評価プロセスの結果である。
グリホサートがヒト、動物及び環境の健康に及ぼす影響についてEFSAが行った評価では、認可の更新を妨げる重要な懸念事項は特定されなかった。
この科学的な作業では、EU法で義務付けられている規制研究と、これまで発表されたことのない科学文献の両方の利用可能なすべての情報を考慮した。公開文献から提出されたすべての研究は、EFSAの関連ガイダンス(https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.2903/j.efsa.2011.2092)に従い、リスク評価の手続きへの妥当性と信頼性に基づいて評価された。
グリホサートの事例では、申請者は16 000件以上の公表された研究をスクリーニングし、そのうち約2000件が、関連性があると考えられ、更に妥当性を評価され、全スクリーニング後に約780件の関連文献が得られた。
AGGが実施した評価に関するパブリックコメントでは、300件の追加研究にAGGとEFSAは注目した。
EFSA結論とすべての背景資料は、EFSAのウェブサイトで公開されている。(https://open.efsa.europa.eu/study-inventory/EFSA-Q-2020-00140)
- EUレベルでの認可更新の決定は、加盟国におけるグリホサートを含む製品の使用認可にどのような影響を与えるか。
加盟国は、グリホサートを含む植物保護製剤(PPP)の国家承認に引き続き責任を負う。
EUの規制制度は、PPPの上市について2段階のプロセスを定めている。
EUレベルでの有効成分の認可後、それらを含むPPPを市場に出したり使用したりする前に、各加盟国でそれぞれ評価され、認可されなければならない。
加盟国は、そのような評価を行い、認可する前に、EUレベルでの認可において設定された特定の条件と、自国の国内事情(例えば、地理的気候条件、農業生産システムなど)を考慮しなければならない。
したがって、加盟国はグリホサートを含むPPPの国内承認に責任を負う。認可更新後、すべての国内認可は再レビューされなければならず、認可更新時に設定された条件と制限に照らして、加盟国はリスク評価の結果に基づいて、特に生物多様性を保護する必要性を考慮し、必要と判断した場合は、国又は地域レベルでの使用を制限することができる。
- なぜ欧州委員会は、有効成分の認可更新のための通常の15年ではなく、10年の認可更新を採択するのか?
2023年12月15日に失効するグリホサートの現在の認可は、2012年から2017年の間に実施された包括的な評価を受けて、例外的に5年間認められていた。
グリホサートは再び完全な再評価が行われ、それには4年(2019年から2023年の間)を要し、大量の科学的情報を考慮した厳格なプロセスであった。
以前の評価と今回の評価の両方で、重大な懸念は同定されなかった。
したがって、農薬に関するEU法に定められた認可基準を満たしていることが、短期間のうちに2度確認された。
現在の更新プロセスは、非常に広範なエビデンスの徹底的な評価に基づいている。短期的には、重要な新しい科学的情報や知見が出て、異なる結果をもたらすことは予想されない。したがって、比較的短期間のグリホサートの更新は妥当でない。
そうではあるが、グリホサートは盛んに研究されている。ヒトの健康と環境の保護に関連するグリホサートの特性に関する新しい知見を得られることが期待できる。もし認可基準をもはや満たしていないことを示すエビデンスが現れた場合、EUレベルでの認可のレビューはいつでも開始することができ、欧州委員会は、それが科学的に正当であった場合には、認可を修正又は撤回するために直ちに行動を起こすつもりである。
これらの考慮事項のバランスをとるために、欧州委員会はグリホサートの認可更新を、可能な最大期間よりも大幅に短い期間、すなわち10年で採択する。これは、有効物質の認可更新に関するEU規則に従い、申請者がグリホサートを市場に維持したい場合は、7年後に申請書を提出する必要があることを意味する。
更に、各植物保護製剤の使用は、加盟国の認可を得る必要がある。
- 本決定(Decision)には使用条件及び制限が含まれるか。
植物保護製剤に関するEUの法律は、欧州委員会が有効成分を認可する際に、その物質の安全な使用のために必要であれば、条件又は制限を課す可能性があることを予見している。
グリホサートの認可を更新する提案の一部として、欧州委員会はいくつかの新しい条件を含めた:
乾燥剤としての使用の禁止(収穫時期の管理や脱穀の最適化を目的としたもの)。
グリホサート中の5つの不純物の最大基準値の設定(すなわち、製造された原料において)。最大基準値は、ヒトと環境が完全に保護されることを保証するために設定される。
加盟国がリスク評価を実施する際、特定の側面に特別な注意を払い(例えば、ハタネズミのような小型草食哺乳類や野草のような非標的植物の保護)、標的としない生物と環境が保護されることを保証するためにリスク低減措置を設定する要件。
認可が申請される特定の用途に関するリスク評価の結果において、それ以上の散布率が小型草食哺乳動物に許容できない影響がないことを実証しない限り、超えてはならない最大散布率の設定。
適切なガイダンス文書が入手可能になってから3年以内に、生物多様性への間接的影響の可能性に関する情報の提出を申請者の義務とする。欧州委員会は、必要なガイダンスを作成するようEFSAに要請する。
- グリホサートに発がん性があると言う人たちにどう回答するか?
入手可能なすべての情報の評価に基づいて、現時点で、グリホサートを発がん性があると分類するエビデンスはない。
2023年5月30日、ECHAはグリホサートの分類と表示に関する意見書を採択し、グリホサートを発がん性(変異原性や生殖毒性も)として分類しないことを確認した。この意見書は、2017年に発表されたECHAの初期の意見書を確認するものである。
これは、世界中のほとんどの主要な規制機関が共有する意見である。
EFSAは又、グリホサートが内分泌かく乱物質ではないことも確認した。
ECHAの意見は、EFSAによるピアレビュープロセスで考慮されている。
- グリホサートの安全性を疑問視する新たな科学的エビデンスが現れた場合、本決定(Decision)は見直される可能性があるか?
更新決定の一環として大規模な評価が実施され、グリホサートはおそらく世界で最も広く研究されている有効成分となっている。
しかし、認可基準を満たしていないことを示す新たなエビデンスが出てきた場合、欧州委員会は、それが科学的に正当であった場合には、認可を修正又は撤回するための措置を直ちに講じるつもりである。
[FDA] 2023年度以降のCVMの抗菌剤に対する責任
CVM Antimicrobial Stewardship in FY 2023 and Beyond
November 16, 2023
https://www.fda.gov/animal-veterinary/news-events/cvm-antimicrobial-stewardship-fy-2023-and-beyond
抗菌啓発週間を前に、FDA動物用医薬品センター(CVM)の2023年度の取り組みや成果を紹介する。
[MPI]公衆衛生警告:北島の東海岸の貝類バイオトキシン警告の追加拡大
Public health warning: shellfish biotoxin alert for East Coast of North Island further extended
21 November 2023
ニュージーランド食品安全は北島東海岸で貝類の採取や採れた貝類の消費を控えるよう公衆衛生警告を発し、地域を更に拡大した。採取したイガイのサンプルで、麻痺性貝毒のレベルが安全基準値の3倍であった。
[WHO]WHOは5才以下の子どもの急性栄養不良対策の新しいガイドラインを発表
WHO issues new guideline to tackle acute malnutrition in children under five
20 November 2023
https://app.magicapp.org/#/guideline/noPQkE
[NASEM]イベント告知 大麻政策の光景変化の公衆衛生への帰結
Public Health Consequences of Changes in the Cannabis Policy Landscape
多くの州が大麻や大麻製品を合法化する方向に動いているが、そのような政策変更の公衆衛生への影響は完全に評価されてはいない。この研究では米国で入手可能な大麻やカンナビノイドを記述し、規制枠組みを評価しサーベイランスシステムの強みと弱点を記述する。さらに社会に与える害を最小限にするための助言や今後の政策研究の提案を行う
2023年11月29-30日 第二回会議
2024年1月11-12日 第三回会議
[EPA]EPAは人々を難分解性で生物蓄積性で有害な化学物質への暴露から守るためのより強い規則を提案
EPA Proposes Stronger Rules to Protect People from Persistent, Bioaccumulative, and Toxic Chemical Exposures
November 20, 2023
デカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)とフェノール、イソプロピル化リン酸(3:1) (PIP (3:1))がTSCAによるリスク管理対象になる
decaBDEは難燃剤、PIP (3:1)は可塑剤、難燃剤等に使われている
[EU]SCCS
科学的意見の要請:皮膚に塗る化粧品中のUVフィルターとしての二酸化チタン(ナノ形態)の新しいコーティング(ミリストイルサルコシンナトリウム)
Request for a scientific opinion: New coating for Titanium Dioxide (nano form) (Sodium
Myristoyl Sarcosinate, CAS No. 30364-51-3/ EC No. 250-151-3) as UV-filter in dermally applied cosmetic products.
https://health.ec.europa.eu/system/files/2023-11/sccs2022_q_020.pdf
9ヶ月以内
その他
-Natureニュース
「とても心配」アルゼンチンの研究者が反科学大統領選出に動揺する
‘Extremely worrying’: Argentinian researchers reel after election of anti-science president
20 November 2023 Martín De Ambrosio & Fermín Koop
https://www.nature.com/articles/d41586-023-03620-3
Javier Mileiはこの国の経済危機対策の一環として研究資金削減と重要な科学機関の閉鎖を約束している
国立科学技術研究評議会(CONICET)の閉鎖あるいは民営化、健康・科学・環境大臣を廃止、など
大規模遺伝研究が大麻依存に関連する遺伝子を発見
Massive genetic study finds genes linked to cannabis addiction
20 November 2023 Lilly Tozer
https://www.nature.com/articles/d41586-023-03629-8
100万人以上のゲノムデータが過剰な大麻使用や他の病気との関連についての新鮮な知見を提供する
Nature Genetics
プラスチック汚染条約の進捗が遅すぎると科学者が言う
Progress on plastic pollution treaty too slow, scientists say
20 November 2023 Nicola Jones
https://www.nature.com/articles/d41586-023-03579-1
世界のゴミ危機への対応のしかたを巡る国の分断が拡大し、科学者がその過程により多くの情報を提供するために戦う
-米国:グリホサートのProp 65警告は(米国憲法)修正第一条違反
United States: Prop 65 Warnings For Glyphosate Found To Violate First Amendment
20 November 2023 by Peggy Otum , et al.,
2023年11月7日、米国第9巡回区控訴裁判所はカリフォルニアのグリホサートのProp 65警告は修正第一条違反であるとした。裁判所は、この警告は「純粋な事実で議論の余地がない」ものではないため、やむを得ない商業上の言論のレビューに使用される中間的厳密さ基準で判断されるべきだとした。この基準によると、裁判所はカリフォルニアの市民の健康を守ることへの関心は理解できるものの、どの規制機関によっても確認されたことのない「リスク」の可能性、あるいはごく一部の科学者集団以外はハザードだと思っていないものについて消費者に警告することを販売者に強制することは、直接的に消費者保護を進歩させない
-欧州がグリホサート認可を更新し環境団体が激しく抗議
Outcry from environmental groups as Europe renews glyphosate approval
16/11/2023
(動画)
-フランスの大臣はグリホサートの新たな10年認可は「愚か」だという
French minister calls new 10-year glyphosate authorisation ‘stupidity’
20 November 2023
彼はEUの決定が「環境上の後退」だという