2023-11-27

[EFSA]意見等

-モンテネグロの1~9歳児の全国食事調査―外部科学報告書

National Dietary Survey on Children in Montenegro from 1 to 9 years old – External Scientific Report

EFSA Journal 2023;20(11):EN-8470  22 November 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8470

(外部科学報告書)

全国食事調査「モンテネグロの全国子供食事調査」-「子供の調査」は1~9歳児(9歳を含む)までの年齢の対象集団に焦点を当てて実施し、EUメニュー方法論に関する欧州食品安全機関(EFSA)のガイダンスに従って行われた。食品摂取調査は、幼児(1歳~厳密に3歳未満)とその他の子供(3~9歳)の2つの年齢集団で行われた。この調査は、データ収集期間中にモンテネグロ領域の一般家庭に住む幼児と子供達からなる。この調査のサンプルには、288人の幼児と286人の子供による574人の完全参加者(2日分の24時間食事日記)が含まれている。全国範囲を確保するために、サンプルはこの国の年齢、性分布、全地域を考慮した標本抽出で選択された。具体的な調査カレンダーは、項目ごとに平日と四季を定め、平日と週末を比例して四季すべてを含むように作成した。この方法論は食事摂取の四季変動、食品の入手しやすさの変化、平日と週末における食事習慣の違いを確実にとらえており、そのため包括的な分析に適した高水準の調査を提供した。EFSAのガイダンスの助言に基づいて精巧に作られたアンケートである食事調査ツールを、調査のニーズに合わせて開発・統一した食事ソフトウェア(Diet Assess and Plan, DAP)とともに使用した。データ収集は主に、中心的方法として24時間食事日記に頼り、2日分の日記の間に少なくとも7日以上あけて、食事傾向アンケート(FPQ)の利用と並行した。このデータをDAPプラットフォームに入れ、さらに処理・評価して、EFSAに提出した。

 

[ANSES]毛髪を特定の化学物質への暴露の根拠として使用する

Hair used as evidence of exposure to certain chemicals

16/11/2023

https://www.anses.fr/en/content/hair-used-evidence-exposure-certain-chemicals

毛髪の分析は体内から急速に排泄される化学物質への暴露を監視する有効な方法となる。これは、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、ルクセンブルグ衛生研究所(LIH)、フランス産業環境リスク研究所(INERIS)が実施した研究結果である。この研究により、この分析が最適な化合物が示された。

ビスフェノール類、フタル酸エステル類、農薬など、環境や食品を介して暴露する特定の化学物質には、ほんの数時間で我々の体内から排出されるものもある。これと頻繁な再暴露とが相まって、これらの汚染物質への血液や尿の分析を用いた長期暴露評価の障害となる可能性がある。「我々はビスフェノールAの専門家評価中にこの問題に直面した」とANSESのリスク評価部門の毒性学者であるClaire Beausoleil氏は説明した。特定の科学的研究結果から、ヒトで研究された影響と尿で測定されたビスフェノールAの濃度に相関関係はないと結論された。これは、この研究の参加者は尿に検出されるくらいの高用量に暴露していなかった、という意味だろうか?あるいは、これらの測定値が暴露を反映できなかったのか、主にこの物質があまりにも早く排泄され、その結果尿中の濃度が大きく変動したためなのか?

物質の健康影響は体内の濃度に依存するため、長期毒性を判断するには化学物質の体内部暴露を追跡できることが不可欠である。

ラットの毛で成功した研究

各物質にどの分析手段が最適かを解明するために、ANSES、ルクセンブルグ衛生研究所(LIH)、フランス産業環境リスク研究所(INERIS)は研究を考案した。ANSESとLIHによる共同出資である。血液や尿よりも毛のサンプルを集めるほうが容易で、個人の実際の暴露をよりよく反映する可能性があるため、科学者達は主に、毛が特定の汚染物質への暴露を測定するのに利用できるかどうかを知りたがっていた。

モデルとして使用したラットは、17種類の汚染物質(農薬、フタル酸エステル類、ビスフェノール類DINCHおよび別の可塑剤)の混合物に対して摂取することで暴露した。その後、体内でこれらの物質の変換により生成された代謝物質の濃度を測定するために毛髪と尿のサンプルが採取された。

結果は、動物が暴露した17物質中14物質で、摂取暴露用量と毛で測定された代謝物質の濃度には強い相関関係が観察された。この濃度は尿で検出されたものにも比例し、この物質は血液で運ばれた後、毛に取り込まれたことを示した。

毛髪はほとんどの化学物質への長期暴露のよい指標

動物やヒトの毛髪中の濃度が実際の暴露のよい指標となる物質には、この測定は血液で採取されたものより代表的である可能性さえある。これは、すでにサンプリング時にその物質が血液から排出されている可能性があるためで、一方、毛髪はいったんケラチンに付着すると汚染物質の痕跡はより長くとどまる。従って毛髪の分析はより長期間の暴露を反映し、血液や尿で通常測定される短期的な変動の影響を受けない。

物質の毛髪への取り込みは、各化合物の吸収・排出時間など、種ごとに変動するパラメーターに依存する。ラットの研究からヒトにこれらのデータを外挿するためには、それぞれの種に特有の代謝の特性を考慮し、さらなる調整が必要である。

 

[EU]RASFF 2023(1119-1125)

警報通知(Alert Notifications)

オランダ産有機玄米粉のアフラトキシン、中国産梨のクロルメコート、オランダ産チリパウダーのピロリジジンアルカロイド、中国産オランダ経由黒いナイロン製フライ返しからの一級芳香族アミンの溶出、イタリア産緑セロリの未承認物質アセタミプリド、米国産チリチャレンジ製品のカプサイシン高含有、ルーマニア産飼料用菜種粕のホスフィン、スペイン産ヘラの4,4'-メチレンジアニリン、エジプト産パセリのクロルピリホス及びプロピコナゾール、原産国不明粉末黒コショウのクロルピリホス、スペイン産冷凍ヨシキリザメ切り身の水銀、エジプト産イチゴのメソミル、トルコ産コーン油のグリシジル脂肪酸エステル類超過、インド産エビの亜硫酸塩非表示、インド産フードサプリメントの水銀及び鉛、スイス産CBDオイルのテトラヒドロカンナビノール (THC) 及び未承認新規食品成分カンナビジオール(CBD)、ギリシャ産粉末オレガノのピロリジジンアルカロイド、原産国不明カンナビノイド含有ヒーローグミ、

注意喚起情報(information for attention)

米国産ダイエタリーサプリメントの未承認新規食品インドール-3-カルビノール、エジプト産マンダリンのジメトエート、イラン産乾燥コリアンダーのクロルピリホス、チェコ共和国産鶏用完全飼料のサリノマイシン、トルコ産スパイスのオクラトキシンA、エジプト産亜麻仁のシアン化物、米国産生ピーナッツのアフラトキシン (B1, B2,G1,G2)、トルコ産クミン種子のクロルピリホス、ウクライナ産クッキーのアクリルアミド高含有、ウクライナ産クッキーのトランス脂肪酸高含有、スペイン産冷蔵メカジキの水銀、アルバニア産タンポポの葉のカプタン・クロルピリホス・メフェントリフルコナゾール及びホスメット、中国産パプリカの未承認照射、中国産茹でピーナッツカーネルのアフラトキシン、中国産シリコーン製天板の揮発性成分高含有、トルコ産クミンのクロルピリホス・シペルメトリン・トリアゾホス・アセタミプリド・カルベンダジム・カルボフラン・チアメトキサム・トリシクラゾール及びラベル誤り、

通関拒否通知(Border Rejections)

インド産バスマティ玄米のトリシクラゾール及びクロルピリホスエチル、インド産クミン種子のアセタミプリド・クロチアニジン・イミダクロプリド・チアメトキサム及びクロルピリホス、インド産クミン種子のエチレンオキシド、インド産ガラムマサラのエチレンオキシド、ケニア産緑豆のクロルピリホス、インド産キンマの葉のアセフェート・クロルピリホス・モノクロトホス及びチアメトキサム、トルコ産生鮮レモンのクロルピリホス、インド産クミン種子のアセタミプリド・カルベンダジム・クロルピリホスエチル・クロチアニジン・ヘキサコナゾール・メタラキシル・ピコキシストロビン・プロピコナゾール・チアメトキサム及びトリシクラゾール、パキスタン産米のアセタミプリド、イラン産ピスタチオのアフラトキシン、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン、ポルトガル産ノンアルコール飲料のE100及びE129、中国産家禽肉製品の塩素酸塩(複数あり)、ベトナム産カエルの脚の未承認施設での照射非表示、エジプト産殻付きピーナッツのアフラトキシン、米国産ピーナッツのアフラトキシン(複数あり)、パキスタン産米のチアメトキサム、エジプト産オレンジのクロルフェナピル、

 

[WHO]公衆衛生殺虫剤管理:コースモジュール

Public health pesticide management: a course module

22 November 2023

https://www.who.int/publications/i/item/9789240076143

病害虫管理のための効果的戦略の開発及び実践を学ぶ学生向け学習用ツール

 

論文

-英国でより健康的な食生活に持続的に変えることで寿命を最大10年延ばせる

Life expectancy can increase by up to 10 years following sustained shifts towards healthier diets in the United Kingdom

Fadnes, L.T., et al., Nat Food 4, 961–965 (2023).

UKバイオバンクのデータを使って、不健康な食事を英国食事ガイド助言に変えると、40才の男性と女性の寿命が8.9及び8.6年延びると予想される。さらに長寿食に変えると10.8年及び10.4年延びる。最も大きく得られるのは全粒穀物、ナッツ、果物を増やし砂糖入り飲料と加工肉を減らすこと。

(体重の調整の理屈がよくわからない。食べ過ぎのまま食べるものを変えただけで長生きするのか、砂糖入り飲料減らして体重が変わらない場合とはどういう状況なのか、とか)

 

-全粒穀物の摂取が黒人の記憶低下を遅くすることに関連する

Whole grain consumption associated with slower memory decline in Black people

Nov 22 2023

https://www.news-medical.net/news/20231122/Whole-grain-consumption-associated-with-slower-memory-decline-in-Black-people.aspx

Neurology®に発表

(これがポップコーンを食べろ、になるの、おもしろい

Adding a bag of POPCORN to your daily diet may reduce risk of dementia

23 November 2023

https://www.dailymail.co.uk/health/article-12781171/popcorn-reduces-risk-dementia-alzheimers.html)

 

-国家健康医療研究評議会の電子タバコについての声明更新

Updated National Health and Medical Research Council statement on electronic cigarettes

27 November 2023

https://www.mja.com.au/journal/2023/220/2/updated-national-health-and-medical-research-council-statement-electronic

主な助言

・電子タバコは有害

・喫煙者でなければ電子タバコを使う健康上の利益はない

・ソーシャルメディアで電子タバコに暴露されると若者が電子タバコを使ってみようとする可能性が高い

・他の方法では成功しなかった喫煙者の禁煙のために短期的電子タバコが役立つ可能性がある

 

-米国成人での菜食の死亡率への利益がないことを発見した大規模研究がこれまでの信念に疑問を提示する

Large-scale study finds no mortality benefit from vegetarian diets in U.S. adults, challenges previous beliefs

Nov 26 2023

https://www.news-medical.net/news/20231126/Large-scale-study-finds-no-mortality-benefit-from-vegetarian-diets-in-US-adults-challenges-previous-beliefs.aspx

Journal of Health, Population, and Nutrition に発表された短報が、米国成人での全原因による死亡に与える菜食の影響を説明した。

 

-アスリート、ワクチン、心臓死

Athletes, Vaccines and Cardiac Deaths

Christopher Labos MD, MSc | 24 Nov 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/medical-general-science/athletes-vaccines-and-cardiac-deaths

若いアスリートの死因について根拠のない憶測をする必要は無い。簡単にチェックできる。

ワクチン接種後に若いアスリートが死んでいるという主張がいまだに出回っている。しかし最近出版された論文が過去20年の若いアスリートの突然の心臓死について報告している。この報告は重要で、若いアスリートの突然死は希で、年々減少していてワクチン導入による急増は見られない。

Sudden Cardiac Death in National Collegiate Athletic Association Athletes: A 20-Year Study

Bradley J. Petek, et al.,

Circulation, 13 Nov 2023

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.123.065908

オープンアクセス

 

-新興の米国のフェンタニル-キシラジン同時流行:課題と将来の方向性

The emerging fentanyl–xylazine syndemic in the USA: challenges and future directions

David T Zhu et al.,

THE LANCET COMMENT| VOLUME 402, ISSUE 10416, P1949-1952, NOVEMBER 25, 2023

キシラジンが薬物使用者の間で違法フェンタニルの効果を長持ちさせるとされて意図的に混入されているようだ。複数薬物混合物の使用拡大に対応した検査・監視体制が必要で、複雑な臨床管理上の課題にも備えなければならない

 

その他

-動画 イチョウと記憶増強?記憶すべき研究はない

Cup o'Joe-Ginkgo and Memory Enhancement? No Memorable Studies

https://www.youtube.com/watch?v=UVDeFUGuJ2Q

有効性の根拠はなく、品質に保証はなく医薬品との相互作用の可能性があり、安全上の懸念がある

 

-「ダメダメダメ。全部避けて」:反ワクチン陰謀論が拡大し英国のはしか患者が増加

‘No no no. Avoid them all’: anti-vaccine conspiracies spread as UK cases of measles increase

Shanti Das Sat 25 Nov 2023

https://www.theguardian.com/society/2023/nov/25/no-no-no-avoid-them-all-anti-vaccine-conspiracies-spread-as-uk-cases-of-measles-increase

オンライン反ワクチン活動家がCovidとMMRを融合させて保護者に子どもたちの予防接種をしないように説得している

 

-「デトックス」はほんとうに有効?専門家が真実を顕わにする

Does a 'Detox' Really Work? An Expert Reveals The Truth

26 November 2023

https://www.sciencealert.com/does-a-detox-really-work-an-expert-reveals-the-truth

デトックスはソーシャルメディアに溢れ、多くのブランドがデトックス製品を売っている

今週放送されるチャンネル10の番組では我々のデトックスへの熱中とその背景にある科学をとりあげる

危険性:厳しいカロリー制限や大腸洗浄にはリスクがある

 

-医師がインフルエンサーの種子油についての「戯言」を判定

Doctor calls out influencers’ ‘bullcrap’ about seed oils

November 25, 202  Dr Zac Turner

https://www.news.com.au/lifestyle/health/diet/doctor-calls-out-influencers-bullcrap-about-seed-oils/news-story/0eb02864205565c9fe70d1ed5289468a

Dr Zacのコラム

質問:TikTokのインフルエンサーが種子油は有害なので食べてはいけないと主張する。ほんとう?

答え:ソーシャルメディアの健康助言は信じてはいけない。さて油の話をしよう。私の助言はいろいろな油を使うこと、だ。

 

-重くなっている:オーストラリア人の肥満は驚くほど増加していると警告、原因は食事

Heavy going: Australians warned about 'frightening' surge in obesity, diet to blame

Monday November 27, 2023

https://inqld.com.au/news/2023/11/27/heavy-going-australians-warned-about-frightening-surge-in-obesity-diet-to-blame/

公衆衛生の専門家Fiona StanleyがNSW議会で証言

 

-SMC UK

超加工食品の味の認識は加工の少ない食品より良くはないことを示唆する新しい研究への専門家の反応

expert reaction to new research suggesting that taste perception of ultra-processed foods is no better than less processed foods

NOVEMBER 27, 2023

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-research-suggesting-that-taste-perception-of-ultra-processed-foods-is-no-better-than-less-processed-foods/

Appetiteに発表された研究が超加工食品の味の認識を調べた

Aston大学登録栄養士で上級講師Duane Mellor博士

これはCOVIDの影響下で行われた興味深い研究で、つまり実際に食べて評価したのではなく、画像やオンライン調査を使って認識について調べた。つまりこの研究で超加工食品のイメージが加工の少ない食品より望ましいわけではないことを示したとしても実際に食べたときにどうなるかは調べていない。従ってこの研究の主著者が言う「超加工食品はとても食べやすいという想定に疑問を投じる」は正当化できない。食品を見ることは食事を食べることのほんの一部でしかない。食品の写真を見て美味しいかどうか、最終的には健康への影響を調べた研究を使うことはない。

 

-科学者は赤ワイン頭痛の原因物質を発見した?

Did scientists just discover the compound responsible for red wine headaches?

Ada McVean M.Sc. | 24 Nov 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/medical-health-and-nutrition/did-scientists-just-discover-compound-responsible-red-wine-headaches

科学的期待はできるが、赤ワインの頭痛の原因がケルセチンだという前にさらに研究が必要

どんなアルコールでも飲みすぎは頭痛の原因になるが、赤ワイン頭痛は少し違っていて飲んで30分から3時間の間に、僅か1-2杯飲むだけで生じることがある。これまで亜硫酸やタンニン、アミン、その他が原因とされてきたが説得力のある根拠はなかった。今回カリフォルニア大学の新しい研究が新たな容疑者-ケルセチンを同定した。ケルセチンの代謝物、ケルセチン-3-グルクロニドがアルコールデヒドロゲナーゼ2を阻害してアセトアルデヒドを増やすという説である。この理論には確認が必要である。

Devi, A., Levin, M. & Waterhouse, A.L. Inhibition of ALDH2 by quercetin glucuronide suggests a new hypothesis to explain red wine headaches. Sci Rep 13, 19503 (2023).

 

-英国のCovid規則にしたがった人たちが精神衛生が最悪、調査が言う

People who stuck by UK Covid rules have worst mental health, says survey

Denis Campbell Tue 21 Nov 2023

https://www.theguardian.com/world/2023/nov/21/people-who-stuck-by-uk-covid-rules-have-worst-mental-health-says-survey

パンデミックのトラウマが人々のメンタルヘルスに3年経っても続く影響を残している、研究者が明らかにした

パンデミック中に、最も厳密に制限に従った人達が、ストレス、不安、鬱などに苦しむ可能性が最も高い、Bangor大学の学者が発見した

将来の政府の人々の行動を変えようとする健康助言は、個人のパーソナリティのタイプを考慮すべき