2023-12-06

[EU]SCCS パブリックコメント募集のための予備的意見

Preliminary Opinions open for comments

https://health.ec.europa.eu/scientific-committees/scientific-committee-consumer-safety-sccs/sccs-opinions_en

二酸化チタンについての科学的助言

Scientific Advice on Titanium dioxide (TiO2) (CAS/EC numbers 13463-67-7/236-675-5, 1317-70-0/215-280- 1, 1317-80-2/215-282-2)

5 December 2023

https://health.ec.europa.eu/publications/scientific-advice-titanium-dioxide-tio2-casec-numbers-13463-67-7236-675-5-1317-70-0215-280-1-1317-80_en

コメント締め切り2024年2月6日

EFSAの意見を考慮した上で、経口化粧品製品中、吸入及び経皮暴露の二酸化チタンの安全性について

色素やナノ、コーティングの有無など二酸化チタンのグレードが多様なため、仕様・規格が重要

 

[EFSA]意見等

-非遺伝子組換えTrichoderma citrinoviride 278株由来食品用酵素エンド-1,4-β-キシラナーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme endo-1,4-β-xylanase from the non-genetically modified Trichoderma citrinoviride strain 278

29 October 2023

https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2023.8399

この食品用酵素エンド-1,4-β-キシラナーゼ(4-β-d-キシラン キシラノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.8)は、Kerry Ingredients & Flavours Ltd社が非遺伝子組換えTrichoderma citrinoviride 278株で生産した。この食品用酵素にはこの生産菌の生きた細胞は含まれないと考えられた。8つの食品製造工程で使用されることを意図している:焼成製品生産のためのシリアル及びその他の穀物の加工;焼成、醸造製品、デンプン及びグルテン画分、蒸留アルコール以外のシリアルベース製品の生産;ジュース、ワイン、ワインビネガーの生産のための果物と野菜の加工、及び酵母と酵母製品の加工。総有機固形物(TOS)の残有量は2つの工程中に除去されるため、食事暴露は残りの6つの製造工程にのみ算出された。暴露は欧州人で最大4.808 mg TOS/kg体重/日と推定された。。パネルは、遺伝毒性と全身毒性の結論に到達できなかった。既知のアレルゲンに対するこの食品用酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、一致はなかった。パネルは、食事暴露上のアレルギー反応のリスクは(蒸留アルコール生産以外)除外できないが、その可能性は低いと考えた。許容可能な完全セットの毒性学的データがないため、パネルは、この食品用酵素の安全性評価を完了できなかった。

 

-新規食品としてのL-5-メチルテトラヒドロ葉酸のモノナトリウム塩の安全性と、この供給源由来葉酸塩の生物学的利用能

Safety of monosodium salt of L-5-methyltetrahydrofolic acid as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283 and the bioavailability of folate from this source in the context of Directive 2002/46/EC, Regulation (EU) No 609/2013 and Regulation (EC) No 1925/2006

29 November 2023

https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2023.8417

欧州委員会からの要請を受けて、EFSAの栄養・新規食品及び食物アレルゲンに関するパネル(NDA)は、規則(EU) 2015/2283に従って、新規食品(NF)としてのL-5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)のモノナトリウム塩に関する意見を提出し、指令2002/46/EC、規則(EU) No 609/2013、規則(EC) No 1925/2006の状況において、この供給源由来葉酸塩の生物学的利用能に対処するよう求められた。このNFは化学合成によって生産され、少なくとも95% (w/w) の5-MTHFと4%–5% (w/w)のナトリウムからなる。数多くの食品分類のうち、葉酸の一部または完全な代替品、及びその他の添加された葉酸塩供給源として使用することが提案されている。このNFの生産工程、組成、規格、安定性は安全上の懸念を生じない。様々な食品マトリクスの成分として使用する場合は、このNFの安定性を保つために、適切な加工/保存条件を考慮する必要がある。生物学的利用能に関しては、パネルは、このNFはナトリウムイオンとL-メチル葉酸塩イオンに容易に解離し、その後吸収され循環に入ると考えている。従って、このNF由来5-MTHFの生物学的利用能は、その他の現在認定されている5-MTHF塩の生物学的利用能と同等である。パネルは、認可されている使用条件下で、このNFとその他のサプリメント形状の葉酸塩とを組合わせた摂取量が、一般の異なる年齢集団に設定されているULs未満である限り、このNFの摂取は栄養学的に不利ではないと考えている。パネルは、このNFは提案された使用条件下可で安全だと結論した。パネルは又、このNFは、葉酸塩が生物学的に利用可能な供給源であると結論している。

 

-飼料添加物

Safety of a feed additive consisting of Duddingtonia flagrans NCIMB 30336 (BioWorma®) for all grazing animals (International Animal Health Products Pty Ltd)

29 November 2023

https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.2903/j.efsa.2023.8465

 

-SCIENCE on the MENU エピソード12―毒見:食品中の汚染物質

Episode 12 – Toxic tastings: contaminants in food

22 November 2023

https://www.efsa.europa.eu/en/podcast/episode-12-toxic-tastings-contaminants-food

汚染物質は、調理・加工方法、人の活動による汚染、自然な発生源など、様々な経路を通して食品に入る可能性がある。EFSAではこれら全ての種類の汚染物質が引き起こすリスクを評価し、政策立案者や消費者に対して、リスクを減らす方法について助言を与えている。このエピソードでは、専門家であるMary Gilsenan氏が、PFASに関してカメオ出演しているECHAの科学者Bastian Zeiger氏と共に、これらの考察を通して導いてくれる。

ポッドキャストの音源あり

 

[EU]RASFF 2023(1126-1202)

警報通知(Alert Notifications)

インドネシア産ココナッツミルクの二酸化硫黄、ブラジル産ライム(グリーンレモン)のクロルピリホス及びブプロフェジン、原産国不明カンナビノイド入りグミ、ドイツ産フードサプリメントのテトラヒドロカンナビノール、スペイン産オリーブオイル漬けアンチョビ缶詰のヒスタミン、ボリビア産生のピーナッツカーネルのアフラトキシン(B1, B2,G1,G2)、オランダ産粉末シナモンの水銀及び芳香族炭化水素、韓国産乾燥海藻のヨウ素高含有(複数あり)、ブルガリア産フードサプリメントの未承認物質ヨヒンベ、

注意喚起情報(information for attention)

パラグアイ産生のピーナッツカーネルのアフラトキシン (B1, B2,G1,G2)、ピーナッツのアフラトキシン、クロアチア産ミカンのクロルフェナピル、イラン産乾燥アプリコットの硫黄及びその表示なし、スペイン産解凍マグロロインマリネの水銀、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシン、英国産反芻動物用補完飼料の未承認添加物ホルムアルデヒド、ベトナム産カエルの脚の亜硫酸塩非表示、英国産スキムミルクのPFOS、イタリア産レタスのホルメタネート、英国産ヘンプ粉末のテトラヒドロカンナビノール(THC)、ナイジェリア産ファンタオレンジの着色料サンセットイエローFCF(E110)、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン(B1 及び合計)、ポルトガル産コキナ(ナミノコガイ)の下痢性貝毒オカダ酸、スペイン産生鮮クロマグロの水銀、インドネシア産冷凍メカジキの水銀、ポーランド産セロリの根のリニュロン及びクロルピリホス、スウェーデン産ゴマ種子のクロルピリホス、

通関拒否通知(Border Rejections)

パキスタン産ボンベイビリヤニスパイスのオクラトキシンA、ジョージア産ヘーゼルナッツのアフラトキシン高含有、トルコ産乾燥オレガノのピロリジジンアルカロイド、中国産緑茶のアセタミプリド及びクロルピリホス、ウガンダ産トウガラシの未承認物質ラムダシハロトリン、インド産グアバ類の未承認物質酸化フェンブタスズ、トルコ産ピーマンのホスチアゼート、インド産モリンガの未承認物質アセフェート・メタミドホス及びモノクロトホス、ケニア産緑豆のジメトモルフ、米国産ピーナッツのアフラトキシン、中国産家禽肉製品の塩素酸塩、エジプト産トウガラシのクロルフェナピル・プロパルギット及びクロルピリホス

インド産クミン種子のアセタミプリド・クロルピリホス・カルベンダジム・クロチアニジン・チアメトキサム及びフィプロニル、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン、ガーナ産パーム油のスーダン4、エジプト産ブドウの葉のアゾキシストロビン・カルベンダジム・シフルフェナミド・ラムダシハロトリン・ジメトモルフ・メタラキシル及びピリメタニル、

 

[EPA]Biden-Harris政権は食品ロスと廃棄を減らす国の戦略案を発表

Biden-Harris Administration Releases Draft National Strategy to Reduce Food Loss and Waste

December 2, 2023

https://www.epa.gov/newsreleases/biden-harris-administration-releases-draft-national-strategy-reduce-food-loss-and

EPA、USDAおよび FDAは、気候汚染を減らし家族や事業者のお金を節約し全ての人のための循環経済を支援するために、廃棄を減らし有機物のリサイクルを増やすステップを発表

4つの目標とその目標のための戦略を強調

・可能な限り食品ロスを予防する

・可能な限り食品廃棄を予防する

・全ての有機廃棄物のリサイクル率を上げる

・食品ロスと廃棄の予防や有機物リサイクルを促す政策や動機づけを支援する

 

Draft National Strategy for Reducing Food Loss and Waste and Recycling Organics

https://www.epa.gov/circulareconomy/draft-national-strategy-reducing-food-loss-and-waste-and-recycling-organics

30日間パブリックコメントを受け付ける

(FDAが関与するのは賞味期限の教育とリコールの際に廃棄対象になる食品を減らすための正確なトレーサビリティ。さすがに安全性に影響するようなことはできない。)

 

[WHO]FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)

第97回会合2023年10月31日~11月9日

Ninety-seventh meeting - Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) 31 October - 9 November 2023

24 November 2023

https://www.who.int/publications/m/item/ninety-seventh-meeting-joint-fao-who-expert-committee-on-food-additives-(jecfa)

FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)の第97回会合が、2023年10月31日から11月9日までローマで開催された。

まとめと結論

SUMMARY AND CONCLUSIONS

https://cdn.who.int/media/docs/default-source/food-safety/jecfa/summary-and-conclusions/jecfa97-summary-and-conclusions.pdf?sfvrsn=1b8ecced_5&download=true

毒性学的評価と食事暴露評価の情報と結論:二酸化チタン(TiO2)

Toxicological and dietary exposure information and conclusions

Food additive evaluated toxicologically and assessed for dietary exposure

Titanium dioxide (TiO2)

JECFAは第13回会合で二酸化チタン(TiO2:INS 171)を評価し、当時の時点で入手可能な実験動物及びヒト研究において、有意な吸収がなく、毒性学的影響がないことから、許容一日摂取量(ADI)を「特定しない(not specified)」とした。

(注:第13回会合では「制限しない(not limited)という用語を用いていたが、その用語は現在のJECFAではもはや使用していない。当時の「制限しない」は、現在の「特定しない」と同様の意味とされている。)

本会合でJECFAは、INS 171の安全性評価に関連するトキシコキネティクス、急性毒性、短期毒性、長期毒性及び発がん性、遺伝毒性、生殖・発生毒性を調査した追加の毒性試験と、大腸がんに対する短期的なイニシエーションとプロモーションの可能性を調べた特別な試験を検討した。 

JECFAは、INS 171を代表すると考えられる多くのTiO2試験物質を特定した。さらに、実施された多数の毒性試験に用いられた試験物質が、ナノ粒子を含み、INS 171に相当しない粒度分布や物理化学的特性を有していることを認識した。JECFAは代表的でない物質を使用したこれらの試験を評価し、INS 171の安全性評価とは関連性がないと結論づけた。

INS 171は、マウスとラットの消化管から吸収されにくかった。マウスとラットにINS 171を混餌投与した短期試験では、有害影響は観察されず、無毒性量(NOAEL)は、試験した最高用量の15,000 mg/kg体重/日(マウス)、及び5,000 mg/kg体重/日(ラット)であった。JECFAは、入手可能なデータからINS 171の遺伝毒性について説得力のある根拠は得られないと指摘したが、難溶性の粒子状物質の試験に関する現在の方法論の限界を認識した。遺伝毒性データに不確実性はあったものの、マウスとラットで適切に実施された2年間の試験において、INS 171が試験された最高用量(マウスで7,500mg/kg体重/日、ラットで2,500mg/kg体重/日)まで発がん性が観察されなかったという事実を考慮した。ラットを用いたINS 171の試験において、試験された最高用量である1,000mg/kg体重/日まで生殖・発生毒性の根拠はなかった。

ヒトにおける入手可能な研究と死後組織の分析から、ヒトにおけるTiO2の経口バイオアベイラビリティは非常に低いことが示唆された。JECFAは、現在のところ、INS 171への食事暴露とヒトの健康影響との関連性に関して結論を導き出せるような疫学研究はないことを指摘した。

今回の会合でJECFAは、INS 171への推定食事暴露量を評価し、95パーセンタイル高暴露推定値として、10 mg/kg体重/日を選んだ。

INS171の経口吸収率が非常に低いこと、及び食事中のINS171に関連する特定可能なハザードがないことを考慮し、JECFAは第13回会合で設定されたADIは「特定しない(not specified)」を再確認した。

毒性学的及び食事暴露モノグラフの補遺が作成された。

規格モノグラフが改訂され、アルミナ(酸化アルミニウム)とシリカ(二酸化ケイ素)の含有量に関する規格が削除された。理由は、アルミナやシリカでコーティングされたTiO2は食品添加物としては使用されないためである。0.5N塩酸に可溶な鉛(Pb)の規格は10 mg/kgから5 mg/kgに、0.5N塩酸に可溶なカドミウム(Cd)の規格は1 mg/kgから0.5 mg/kgに引き下げられた。

化学的及び技術的評価も改訂された。

 

背景情報(WHO発表)

Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives risk assessment of titanium dioxide risk released – background information

24 November 202

https://www.who.int/publications/m/item/jecfa-risk-assessment-of-titanium-dioxide-risk-released-background-information

FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)は2023年11月24日、食品着色添加物である二酸化チタン(TiO2)の健康への影響に関する評価を発表した。

二酸化チタン(食品添加物国際番号システム(INS)ではINS 171とも呼ばれる)は、広く使用されている食品添加物である。主に、チューインガム、マヨネーズ、豆乳、キャンディー、ペストリー、コーヒークリーマー、チョコレート、ケーキのデコレーションなど、幅広い製品の白色剤及び光沢剤として使用されている。

JECFAは、INS 171は消化管からの吸収が悪く、ヒトにおけるTiO2の経口バイオアベイラビリティは非常に低いと指摘した。さらにJECFAは、動物における長期暴露後の発がん性、生殖毒性、発生毒性に関する根拠は確認されていないと考えた。JECFAはまた、INS 171への食事暴露とヒトの健康影響との関連性に関して、結論を導き出せるような疫学研究は現在のところ存在しないと指摘した。

入手可能な科学文献を検討した後、JECFAは遺伝毒性に関する入手可能な根拠には限界があると指摘した。JECFAは、遺伝毒性に関するOECDガイドラインは化学物質の試験用に開発され妥当性が確認されてきたが、TiO2のような難溶性の粒子状物質の試験には、適応させなければおそらく簡単には適用できないことを強調する。JECFAは、遺伝毒性に関する入手可能なデータには限界があり、またいくつかの不明確な所見もあることを認識し、入手可能なデータはINS 171の遺伝毒性について説得力のある根拠を提供しないと指摘した。

WHOの食品と栄養に関する規格及び科学的助言ユニットの責任者であるMoez Sanaa博士は、「JECFAは、遺伝毒性リスクに関する入手可能なすべての研究を検討し、根拠が不十分であると判断した。その主な原因は、ナノ粒子に適した試験法がないことである。食品中のTiO2粒子サイズの分布に関する現在の不確実性を解決し、ナノ粒子に適した遺伝毒性試験を開発するためには、さらなる研究が必要である」と述べた。

INS 171の経口吸収率が非常に低いこと、及び食事中のINS 171に関連するハザードが確認されていないことを考慮し、JECFAは1969年に設定したADI「特定しない(not specified)」を再確認した。

JECFAは、1969年に二酸化チタンを評価し、食品添加物としてのINS 171の使用は安全性の懸念がないと結論づけたため、適正製造規範(GMP)の条件下でADIを「特定しない(not specified)」とした。

二酸化チタンはその後、国際がん研究機関(IARC)により、ヒトが超微粒子の二酸化チタンの粉塵を吸入した場合、がんを引き起こす可能性があるという「限定的な根拠(limited evidence)」に基づき、ヒトに対して発がん性の可能性がある(IARCグループ2B)と分類されている。IARCの評価では、TiO2の吸入暴露のみを対象としており、食品添加物として使用される場合などの経口からの暴露は含まれていない。

近年、いくつかの地域や国の食品安全当局が、食品添加物として使用されるTiO2の安全性を評価してきた。これらの評価結果は、安全性の懸念がないというものから、2020年に開始された欧州食品安全機関(EFSA)による最近の安全性評価での、TiO2(E 171)はもはや食品添加物として安全とは考えられないという結論まで、はっきりしないものであった。EFSAがこの結論に至った重要な要素は、E 171ナノ粒子の摂取後の遺伝毒性の懸念を排除できなかったことである。

JECFAは最新の安全性評価において、INS 171の安全性評価に関連する追加の毒性試験を検討した。新たな評価には、トキシコキネティクス、急性毒性、短期毒性、長期毒性及び発がん性、遺伝毒性、生殖・発生毒性に関するデータ、ならびに大腸がんに対する短期的なイニシエーション及びプロモーションの可能性を調べた特別な試験が含まれた。

JECFAは、INS 171を代表すると考えられる多くのTiO2試験物質を特定した。さらに、多数の毒性試験がINS 171に相当しない粒度分布や物理化学的特性を有する試験物質(ナノ粒子を含む)を用いて実施されていることを認識した。JECFAは、代表的でない物質を用いたこれらの試験を評価し、INS171の安全性評価とは関連性がないと結論づけた。

 

[IARC]IARCモノグラフがパーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の発がん性を評価

IARC Monographs evaluate the carcinogenicity of perfluorooctanoic acid (PFOA) and perfluorooctanesulfonic acid (PFOS)

1 December 2023

https://www.iarc.who.int/news-events/iarc-monographs-evaluate-the-carcinogenicity-of-perfluorooctanoic-acid-pfoa-and-perfluorooctanesulfonic-acid-pfos/

世界保健機関(WHO)のがん専門機関である国際がん研究機関(IARC)が、パーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の発がん性を評価した。PFOAとPFOSは、パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)と呼ばれる大きなフッ素化合物グループに含まれる、広く使用されている化学物質であり、容易に分解しないことから「永遠の化学物質(forever chemicals)」と呼ばれることもある。

2023年11月7日~14日にリヨンで開催される会合のために、IARCモノグラフ・プログラムにより、11カ国から30名の国際的専門家からなる作業部会が招集された。広範な文献を徹底的に検討した結果、作業部会はPFOAをヒトに対して発がん性がある(グループ1)、PFOSをヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)と分類した。最終評価の要約は、The Lancet Oncologyのオンライン版で発表された。詳細な評価は、2024年にIARCモノグラフ第135巻として出版される予定である。

評価の結果

作業部会はPFOAとPFOSのがんハザード(cancer hazard)の評価を行った。

PFOAは「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」:これは実験動物における発がん性の「十分な根拠(sufficient evidence)」と、暴露されたヒトにおけるメカニズム(エピジェネティックな変化と免疫抑制)の「強い(strong)根拠」に基づく。また、ヒトにおける発がん性(腎細胞がんと精巣がん)の「限定的な根拠(limited evidence)」と、ヒト初代培養細胞と実験系におけるメカニズム(エピジェネティックの変化と免疫抑制、その他いくつかの発がん物質の主要特性)の「強い根拠」もあった。

PFOSは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」:その根拠は、暴露されたヒトを含む試験系全体でメカニズム(エピジェネティックの変化と免疫抑制、その他いくつかの発がん物質の主要特性)についての「強い根拠」である。また、実験動物における発がん性の「限られた根拠」と、ヒトにおける発がん性の「不十分な根拠(inadequate evidence)」があった。

PFOA及びPFOSへの暴露

PFOAとPFOSは、最も人里離れた地域であっても、環境中に偏在している。また、食品包装、カーペット、建材、化粧品、調理器具、防水衣料、泡消火薬剤など、さまざまな製品に特異的に含まれ、その他にも多くの産業用途がある。PFOAとPFOSはまた、特にこれらが大量に生産又は使用されている場所の近くで、飲料水に発見されている。

暴露量は、PFOA又はPFOSの製造に携わる、あるいはその他の製品の製造にこれらの化学物質を直接使用する作業者の間で最も高いと推定される。作業者の暴露経路は主に吸入であると考えられるが、経皮暴露の可能性もある。一部の国でこれらの化学物質の使用の制限規制が発効されたため、職業暴露は減少していると思われるが、規制を導入していない国では暴露は継続しているだろう。廃棄物管理での暴露は続いている。

PFOA及びPFOSは、一部の泡消火薬剤(水性膜泡、AFFFとも呼ばれる)に広く使用されており、特に空港や軍の消火活動や訓練で使用されている。これらの用途でのPFOAとPFOSの使用は多くの国で禁止されているが、古い在庫のAFFFを使用した場合、消防士がPFOAとPFOSに暴露される可能性はある。

一般の人は主に食品と飲料水、そして潜在的には消費者製品を介して暴露される。汚染された地域では、飲料水が一般集団にとっての主な暴露源である。

IARCモノグラフ分類

IARCモノグラフ分類は、ある物質や作用因子(agent)ががんを誘発する可能性の根拠の強さを示している。IARCモノグラフ計画は、がんハザード、つまりその作用因子ががんを誘発する可能性を特定することを目的としている。例えば、グループ1は根拠の強さが最も高い分類であり、ある作用因子ががんを誘発する可能性があることを示している。しかし、この分類は、異なる量又は異なるシナリオでの暴露に関連する発がんリスクの程度を示すものではない。同じグループに分類された物質や作用因子に関連する発がんリスクは、暴露の種類や程度、特定の暴露量での作用因子による影響の大きさなどの要因に応じて、大きく異なる可能性がある。

 

-パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の発がん性に関するIARCモノグラフ評価‐Q&A-

IARC Monographs evaluate the carcinogenicity of perfluorooctanoic acid (PFOA) and perfluorooctanesulfonic acid (PFOS)

Questions and Answers (Q&A)

1 December 2023

https://www.iarc.who.int/faq/iarc-monographs-evaluate-the-carcinogenicity-of-perfluorooctanoic-acid-pfoa-and-perfluorooctanesulfonic-acid-pfos/

(一部抜粋)

 

評価結果は?

下記の表1の通り。

表1.IARCモノグラフ135における分類の要約

作用因子
(agent)

根拠について

総合評価

分類グループ

ヒトにおける発がん性

実験動物における発がん性

発がんメカニズム

(発がん物質としての

主要特性)

PFOA

限定的(Limited)

(腎細胞がん, 精巣がん)

十分(Sufficient)

暴露されたヒト(KCs4, 7)、ヒト初代培養細胞(KCs5, 7, 8)、実験システム(KCs4, 5, 7, 8, 10)において強い(Strong)

1

PFOS

不十分(Inadequate)

限定的(Limited)

暴露されたヒト(KCs4, 7)、ヒト初代培養細胞(KCs5, 7, 8)、実験系(KCs4, 5, 7, 8, 10)において強い(Strong)

2B

KCs:発がん物質としての主要特性、KC4:エピジェネティックな変化の誘導、KC5:酸化ストレスの誘導、KC7:免疫抑制、KC8:受容体媒介作用の調節、KC10:細胞増殖・細胞死・栄養供給の変化

 

作業部会はどのようにして分類を決定したか?

PFOAは「ヒトに対して発がん性がある(グループ1):PFOAのグループ1の評価は、実験動物における発がん性の「十分な根拠(sufficient evidence)」と、暴露されたヒトにおけるメカニズム(エピジェネティックな変化、免疫抑制)の「強い(strong)根拠」に基づいた。さらに、ヒトにおける発がん性の「限定的な根拠(limited evidence)」もあった。

PFOSは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」:PFOSのグループ2Bの評価は、暴露されたヒトを含む、試験系全体でメカニズムについての「強い(strong)根拠」に基づいた。

 

これらの作用因子は以前にもIARCモノグラムで評価されたのか?

PFOAは2014年に評価され、グループ2B(ヒトにおけるがんの限定的な根拠による)に分類された。PFOSの評価は初めてである。

 

なぜPFOAが再評価されたのか?

助言グループが、2020-2024年のIARCモノグラフの評価候補として、PFOAを優先度が高い作用因子として再評価すべきであると勧告した。この勧告は、ヒトにおけるがんに関する複数の研究、動物試験、そしてメカニズムデータに関する多くの科学文献から新しい根拠が公表されたことによる。

 

PFOAの再評価で使用された重大な新規根拠はあったのか?

PFOAの前回の評価以降、興味深い科学的な研究が急増している。動物試験はほぼ倍増しており、暴露されたヒトにおける研究も含めてメカニズムに関する試験の数も大幅に増加している。ヒトのがんに関する研究の数も急増しており、それらの研究は主に、PFOAとPFOSへの比較的低用量で暴露された一般集団に関するものである。例外的に、作業部会自身で、イタリアのヴェネト州におけるPFOA血清濃度の平均に関連した、精巣がんの指標である精巣摘除率を生態学的に解析した。

Sistema Epidemiologico Regionale (2016). Ricognizione epidemiologica iniziale sulle orchiectomie per tumore del testicolo rilevate nell’area interessata dalla contaminazione idropotabile da PFAS. Padova, Italy: Sistema Epidemiologico Regionale. Available from: https://sian.aulss9.veneto.it/index.cfm?method=mys.apridoc&iddoc=809 [Italian]

Pitter G, Da Re F, Canova C, Barbieri G, Zare Jeddi M, Daprà F, et al. (2020). Serum levels of perfluoroalkyl substances (PFAS) in adolescents and young adults exposed to contaminated drinking water in the Veneto Region, Italy: a cross-sectional study based on a health surveillance program. Environ Health Perspect. 128(2):27007. https://doi.org/10.1289/EHP5337

 

誰が、どのように、これらの作用因子に暴露される?

暴露量が最も多いと推定されるのは、PFOA又はPFOSの製造に携わる作業者、あるいは他の製品の製造にこれらの化学物質を直接使用する作業者である。経皮暴露の可能性もあるが、作業者における主な暴露経路は吸入である。これらの作用因子の使用の制限規制が発効されて以来、一部の国では職業暴露がおそらく(likely)減少しているようだが、他の国では暴露が継続している可能性が高い。廃棄物管理における暴露も続いている。

PFOAと、はるかに広範囲に使用されているPFOSは、消火用発泡剤(水性膜泡、AFFFとも呼ばれる)に広く使用されており、特に空港や軍の消火活動、訓練で使用されている。これらの用途でのPFOAとPFOSの使用は多くの国で禁止されているが、古い在庫のAFFFを使用した場合、消防士がPFOAとPFOSに暴露される可能性はある。

一般の人は、主に食品と飲料水、そして潜在的には消費者製品を介して暴露される。汚染された地域では、飲料水が一般集団にとっての主な暴露源である。

 

今回の評価に基づき、IARCは何を勧告する?

IARCは、がんの原因に関連した根拠を作成・評価する研究機関であるが、健康上の勧告は示さない。しかし、IARCモノグラフ計画による評価は、しばしば、がんリスクを最小化するための国や国際的な政策、ガイドライン、勧告のための基礎として用いられることがある。

 

IARCモノグラフの分類はリスクの観点では何を意味するのか?

IARCモノグラフの分類は、がんを誘発する物質や作用因子の根拠の強さを示している。IARCモノグラフ計画はがんハザード、つまり暴露ががんを誘発する可能性の同定である。ただし、IARCの分類は、異なる暴露量や暴露シナリオに関連したがんリスクの程度を示してはいない。同じグループに分類された物質や作用因子のがんリスクは、暴露の種類や程度、特定の暴露量での作用因子による影響の大きさなどの要因に応じて、大きく異なる可能性がある。

 

IARCモノグラフに用いられている根拠の強さ評価のグループはどのようなものか?

各評価に寄与する根拠の強さグループを表2に示す。

 

表2.IARCモノグラフが用いる根拠の強さのグループ

ヒトにおけるがんの根拠

実験動物におけるがんの根拠

メカニズムの根拠

評価

十分

 

 

ヒトに対して発がん性がある
(グループ1)

 

十分

強い

(暴露されたヒトで)

限定的

十分

 

おそらくヒトに対して発がん性がある
(グループ2A)

限定的

 

強い

 

十分

強い

(ヒト細胞又は組織)

 

 

強い

(メカニズムの種類)

限定的

 

 

ヒトに対して発がん性がある可能性がある
(グループ2B)

 

十分

 

 

 

強い

 

十分

強い

(ヒトには作用しない)

ヒトに対する発がん性について分類できない
(グループ3)

上記以外の全ての場合(いずれにも該当しない場合)

 

 

その他

-コロンビアがジャンクフード税を導入

Colombia introduces junk food tax

Joe Parkin Daniels

THE LANCET WORLD REPORT| VOLUME 402, ISSUE 10417, P2062, DECEMBER 02, 2023

コロンビアは肥満やその他の疾患を減らすために塩と飽和脂肪の多い食品に課税をする世界でも最初の国の一つ

ジャンクフード税はコロンビアがこれまで行ってきた健康対策に続くもので、2021年6月には塩、砂糖、飽和脂肪の多い食品の包装には黒の警告を要求する法律を成立させている。エクアドル、ペルー、チリ、メキシコを含む他のラテンアメリカ諸国でも同様の対策をとっており、メキシコは2014年に砂糖入り飲料に課税している。コロンビアの新しい税は政治家や食品業者から批判された。2023年10月にコロンビアの憲法裁判所はこの税が平等や自由経済の基本原則に違反しないと判断した。学者はこの税は貧しい人の食生活を改善すると主張する。

(公衆衛生学者の間では砂糖入り飲料税は成功ということになっているらしい。体重は減っていないことは棚上げして砂糖入り飲料の摂取量が減ったので。そして貧しい人が太っているのは本来おかしいので痩せているのが正しいらしい)

 

-世界プラスチック条約に向けて

Towards a global plastics treaty

Gary Humphreys

Bull World Health Organ. 2023 Dec 1; 101(12): 754–755

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10680118/

プラスチックゴミ問題

(BPAとフタル酸がヒトや野生動物に有害影響を与えていると認識しているらしい。先進国でプラスチックストローやレジ袋を使いませんと言ったところで圧倒的にインフラ投資が足りていない途上国のゴミ問題が解決するとは思えないのだが。)

 

-CBDの誇大宣伝の背景にはたくさんの不確実性がある

Beneath the CBD Hype Lies a Lot of Uncertainty

Jonathan Jarry M.Sc. | 1 Dec 2023

https://www.mcgill.ca/oss/article/medical-critical-thinking/beneath-cbd-hype-lies-lot-uncertainty

カンナビジオールが大流行しているが、長期安全性や真の有効性には疑いがある

大麻とその誘導体周辺の法律が緩和され、関心が高まり健康に良いという主張が大流行している。ハイになりたいわけでは無い人々がCBDに向かう。

以下長い解説略

重要なメッセージ

・CBDは麻の植物に含まれるたくさんの分子のうちの一つで、それが健康に良いというたくさんの主張がなされている

・これらの主張のほとんどは実験動物での期待できる結果が根拠でヒト試験では全体的に明確でない結果になっている

・より多くの試験が行われるようになるとCBDの安全性に疑問がでてきた、そして許可されていないCBD製品にはしばしば重金属の汚染があったり表示が不正確だったりする