2024-01-19

[EFSA]意見等

-セリアック病を引き起こすタンパク質の性質に関連する有害作用経路(AOPs)開発の系統的文献レビューに基づく準備作業の外部委託

Outsourcing preparatory work based on a systematic literature review for the development of adverse outcome pathways (AOPs) relevant for the capacity of proteins to trigger celiac disease

EFSA Journal 2024;21(1):EN-8570  17 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8570

(外部科学報告書)

セリアック病を引き起こすタンパク質の性質の有害作用経路に関する関連する研究を検索するために系統的文献レビュー(SR)を実施した。調査から、グルテンタンパク質が最も一般的なイニシエーターとなり、グルテン、非グルテンタンパク質、細菌ペプチド、ウイルスペプチド、55 kDa自己抗原が、様々な分子初期事象(Molecular Initiating Events :MIEs)に関与したことが明らかになった。

 

-化学物質のリスク評価のための新しいアプローチ方法論(NAMs)を通して得たデータを抽出・統合するための人工知能(AI)の使用の探求

Exploring the use of Artificial Intelligence (AI) for extracting and integrating data obtained through New Approach Methodologies (NAMs) for chemical risk assessment

EFSA Journal 2024;21(1):EN-8567  17 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8567

(外部科学報告書)

リスク評価の未来は、新しいアプローチ方法論(NAMs)の適用を通して作られた膨大な文献を考慮することを無視できない。だが、この文脈におけるデータの入手可能性は膨大で、適用される方法論や、結果の標準化や品質ともに異質であるため、リスク評価者の課題となっている。本報告書論文では、この目標を達成するために可能なAIの応用の探求結果を示している。AIツールによる支援の可能性は、このワークフロー全体を通して確認できる。

 

-南欧の散布技術を考慮した3‐D 果樹園のためのPPP暴露モデル

PPP exposure models for 3‐D orchards considering spraying technologies in Southern Europe

EFSA Journal 2024;21(1):EN-8565  17 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8565

(外部科学報告書)

このプロジェクトの結果は、3-D果樹園のPPPのリスク評価により良く対処するための貴重な情報を提供しており、更なる作業を必要とする暴露評価の主なデータのギャップや統一する必要のある分野を特定している。

 

-参照:OC/EFSA/GMO/2021/01:GMO申請におけるオープンリーディングフレームのリスク評価方法論の改良

Reference: OC/EFSA/GMO/2021/01: Refinement of the Risk Assessment Methodology for Open Reading Frames in GMO Applications

EFSA Journal 2024;21(1):EN-8561  16 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8561

(外部科学報告書)

GMOsのリスク評価に関連するオープンリーディングフレーム(ORFs)についての関連研究を特定するために、PubMedを用いて文献調査を行った。

 

-MRLs改訂 すべて(理由付き科学的意見)

各種作物のフロニカミドの既存MRLs改訂

Modification of the existing maximum residue levels for flonicamid in various crops

EFSA Journal 2024;22(1):8545 17 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8545

 

-ハチミツのクロピラリドの既存MRL改訂

Modification of the existing maximum residue level for clopyralid in honey

EFSA Journal 2024;22(1):8546  17 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8546

 

-栽培菌類及びヒラタケのメピコートの暫定MRLsの改訂

Modification of the temporary maximum residue levels for mepiquat in cultivated fungi and oyster mushrooms

EFSA Journal 2024;22(1):8476  16 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8476

 

[EFSA]食品中の無機ヒ素―健康上の懸念が確認された

Inorganic arsenic in food – health concerns confirmed

18 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/news/inorganic-arsenic-food-health-concerns-confirmed

EFSAの最新リスク評価の結論によると、食品中の無機ヒ素の消費者暴露は健康上の懸念を生じる。この調査結果は、EFSAの2009年の食品中の無機ヒ素の存在に関連するリスクの以前の評価結果を裏付けている。

欧州委員会はEFSAに、無機ヒ素の毒性影響に関する新たな研究を考慮するために、その評価を更新するよう求めた。EFSAはその意見案について外部利害関係者と協議し、最終化する前に受け取った非常に多くのコメントを検討した。

どの食品に無機ヒ素が含まれているのか

ヒ素は天然及びヒトの活動の結果の両方で広範囲に存在する汚染物質である。ヒ素はその化学的構造により様々な形態で存在する。EFSAの今回の意見では無機ヒ素に焦点を当てている。

欧州の一般人の無機ヒ素への主な暴露源は食品である。食事暴露への主な寄与はコメ、コメベースの製品、穀物及び穀物ベースの製品である。飲料水も暴露に寄与するが、欧州では通常レベルは低い。

健康リスク

無機ヒ素の長期摂取は、ある種のがんなど、ヒトの健康の様々な有害影響に関連している。その評価では、EFSAは無機ヒ素暴露に関連する皮膚がんの発生率の増加を最も関連する有害影響だと考えた。専門家は、皮膚がんを確実に防ぐことはその他の潜在的な有害影響への保護にもなると結論した。

フードチェーンに意図せず存在する遺伝毒性や発がん性物質を評価する際に、EFSAは消費者に暴露マージン(MOE )を算出する。MOEは、少ないが測定可能な有害影響が観察される用量と、特定の集団へのある物質の暴露レベルという2つの係数の割合である。低いMOEは高いMOEよりリスクが高いことを示す。

ヒトの研究から得られたデータに基づき、1以下のMOEは皮膚がんのリスク増加に関連する可能性のある無機ヒ素の暴露レベルに相当する。

成人では、MOEsは低い―平均的な摂取者では2~0.4で、高摂取者は0.9~0.2である。専門家は、これは健康上の懸念を生じていると結論した。

次の段階

EFSAは食品中の有機ヒ素への暴露に関連する潜在的なリスクも評価中である。このリスク評価が完了すると、食品中の有機及び無機ヒ素に起こりうる複合暴露のリスクが評価される。

 

科学へのリンク

食品中の無機ヒ素のリスク評価の更新

Update of the risk assessment of inorganic arsenic in food

EFSA Journal 2024;22(1):8488  18 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8488

(科学的意見)

 

わかりやすい要約:食品中の無機ヒ素のリスク評価の更新

Plain language summary: Update of the risk assessment of inorganic arsenic in f…

Full article

18 January 2024

https://www.efsa.europa.eu/en/plain-language-summary/update-risk-assessment-inorganic-arsenic-food

(わかりやすい要約)

 

[APVMA]動物用医薬品のオーストラリアと英国の同時承認を開始

AU–UK simultaneous veterinary medicine approvals commence

17 January 2024

https://www.apvma.gov.au/news-and-publications/media-releases/au-uk-simultaneous-veterinary-medicine-approvals-commence

本日より、動物用医薬品の登録予定者は、より迅速な登録を促進するために、オーストラリアと英国の規制当局による同時製品審査を受けられる。

オーストラリア農薬・動物医薬品局(APVMA)は、英国-オーストラリア規制協力「動物用医薬品の同時審査に関するガイダンス」を発表した。APVMAと英国動物用医薬品局(VMD)はこのガイダンスを作成し、この2機関による動物用医薬品の提出の同時審査の基礎とする。

APVMAの最高経営責任者代理であるMelissa McEwen博士は、次の様に述べた。「企業にとってこのガイダンスは、2つの主要な市場に同時にアクセスする機会を拡大することで重要な前進を示している。このわくわくする新たなアプローチは、負担を軽減し、共通の評価時間枠に沿って単一のプロジェクトチームに申請作業の機会を提供するものである。このガイダンスは、動物の治療の選択手段を拡大し、食品生産者が世界的な競争力を維持するのに役立つというAPVMAとVMDの共通の目的を支援する。」

このガイダンスは、同時審査工程がどのように機能するか、各国の法律・規制の枠組みや、引き続き実施される関連する技術的ガイドラインをどのように補足するかを説明している。APVMAは登録プロセスを合理化する機会に興奮し、VMDや獣医利害関係者とこの新しい構想に関して協力するのを楽しみにしている。

 

[RIVM]報告

-鎮痛剤の水中への影響を減らす:意識高い選択と適切な使用

Reducing the impact of painkillers in water: conscious choices and appropriate use

19-01-2024

https://www.rivm.nl/en/news/reducing-impact-of-painkillers-in-water-conscious-choices-and-appropriate-use

あまりにも多くの医薬品が地表水にいきつく。RIVMは処方無しで購入できる5つの鎮痛剤の地表水への影響を調べた。この研究でジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセンが水環境にリスクとなることが示された。調査した場所の半分で、ジクロフェナクの量は欧州規制値案を超過した。従って医師や消費者に、可能な場合は環境に優しい鎮痛剤を選ぶよう情報提供することが重要である。

(パラセタモールとアスピリンを選べとのこと。効果の方が重要な指標だと思うけれど)

 

-腸管外感染と食品の関連。文献調査

The link between extraintestinal infections and food. A literature study

18-01-2024

https://www.rivm.nl/publicaties/link-tussen-extra-intestinale-infecties-en-voedsel-literatuurstudie

食品が、尿路や血流など、腸管の外の感染の原因になり得る根拠が増加している。糞便中の細菌が尿路に入ることで感染しうる。そこでRIVMは文献検索を行ったが、食品が直接の腸管外感染の原因となるというしっかりした根拠はなかった。

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular - 277-24

19 January 2024

https://www.foodstandards.gov.au/food-standards-code/consultation/circulars/notification-circular-277-24-0

改訂No. 225

・二枚貝のマリンバイオトキシン基準のハーモナイゼーション

・加工助剤としてのGM枯草菌由来プルラナーゼ

・加工助剤としてのGM Trichoderma reesei由来フルクタナーゼ

・GM大腸菌で生産した新しい酵素を使ったバイオ変換で生産したステビオール配糖体

 

[EPA]CERCLAサイトとRCRA修正施設の土壌鉛ガイダンス更新

Updated Soil Lead Guidance for CERCLA Sites and RCRA Corrective Action Facilities

January 17, 2024

https://www.epa.gov/superfund/updated-soil-lead-guidance-cercla-sites-and-rcra-corrective-action-facilities

子どもたちが生活し遊ぶ居住地域の鉛汚染土壌の調査とクリーンアップのための推奨スクリーニング濃度(RSL)を引き下げ(200 ppmおよび100 ppmへ)ガイダンスを強化する

意見は60日間受け付ける

背景

1998年にはRSLは400 ppmだったが当時は血中鉛濃度の95thとして10 µg/dLが目標とされていた。10 µg/dLと有害影響が関連すると認識されていたからである。

しかしその後2012年にNTPの低濃度鉛モノグラフではでは5µg/dLで子どものADHDのような有害影響に関連するとされ、さらに2013年のEPAの鉛の統合科学評価では最も低い有害影響の可能性のある濃度として2 µg/dLが同定された。この値からRSLは100 ppmと予測されていた。2020年のATSDRでは認知機能への影響が1 µg/dL以下にまで拡大する可能性があるとされた。目標とする血中鉛濃度も10 µg/dLから5 microg/dL、そして3.5 µg/dLと引き下げられてきた

 

その他

-SCIENCE VOLUME 383|ISSUE 6680|19 JAN 2024

EPAは2035年までに哺乳類動物実験を止める計画を破棄

EPA scraps plan to end mammal testing by 2035

12 JAN 2024 BY DAVID GRIMM

https://www.science.org/content/article/epa-scraps-plan-end-mammal-testing-2035

EPAの厳しい期限は科学コミュニティを分断した

2019年にEPAが設定した2035年までに段階的に、化学物質の安全性試験に哺乳類を使うことを全て止めるという厳しい締め切りは、米国の連邦機関の中でも特異だった。しかしこの計画は化学物質安全性評価にとって動物実験はゴールドスタンダードのままであるという科学者との分断をおこした。

NRDCの上級科学者Jennifer Sassはこの2035年目標を批判していて、取り下げは良いことだという。「EPAがペトリ皿の細胞だけを根拠に化学物質が安全だというのには安心できなかった」。この目標を設定したAndrew Wheeler前EPA長官は、目標無しには動物実験への依存が減らせないことを恐れる、という。

EPAはこの方針の転換は科学によるものだという。「動物実験を使わない方法を進歩させるには、恣意的な日付ではなく科学が重要である」とChris Freyはいう。

Wheelerがこの目標を設定したのは彼の家族が動物が好きだからということとそれまでに技術が完全に動物実験を代替できると信じたからである。

(まともな科学者は誰もそんなこと言ってなかったと思う)