2019-09-05

[BfR]二酸化チタン まだ研究が必要

Titanium dioxide - there is still a need for research

11.06.2019(英語版発表日)22 May 2019(ドイツ語版発表日)

https://www.bfr.bund.de/en/titanium_dioxide___there_is_still_a_need_for_research-241091.html

 FAQ

二酸化チタンとは何か?どの製品がこの物質を含んでいるのか?

化学物質二酸化チタン(EC 236-675-5, CAS 13463-67-7)は数百万トン規模で世界中で生産されている。欧州だけで毎年百万トン以上生産されている。二酸化チタンのほぼ90%は、塗料、ニス、印刷用インク、プラスチックや紙の白色顔料として、さらに10%は、白色顔料の高光度や不透明度を利用して、化粧品、食品、飼料、医薬品に使用されている。

記号表示E171の食品添加物として、二酸化チタンはスイーツや、ドラジェやチューインガムなどのコーティングに含まれることがある。記号表示CI 77891では、歯磨き粉や日焼け止めなどの化粧品にも利用される。

二酸化チタンは、特に消費者製品に使用するナノ形態としても製造されている。中でも、高いUVフィルター効果、ナノフォームの透明な特性、加工における利点がここでは利用されている。製造上の理由から通常一定割合のナノ粒子が含まれているようだ。

 

二酸化チタンはどのような形で存在するのか?

二酸化チタンは顔料あるいはナノ物質として利用される。どちらの形状も無味、無臭、不溶性である。

ナノ物質とは一体何であるかは、欧州物質法でまだ定義されていない。EUの助言[1]によると、ばらばらで、あるいは塊や集合体で、直径1-100 nm (ナノメメートル)の粒子数が少なくとも1空間次元で50%以上の場合にナノ物質は存在する。 この量がその物質に意図的にあるいは意図せずに存在するかどうかはここでは問題ではない。ナノフォームの二酸化チタンは主に2つの異なる結晶形(アナターゼあるいはルチル)で市販されている。とりわけ吸入毒性試験(名称“P25”)で検査物質としてよく使用されている物質は、アナターゼとルチルの80/20混合物である。市販のナノフォームは表面処理されることもある。例えば粒子上に粒子表面の不動態化保護コーティングがよく施される。

[1] ナノマテリアルの定義に関する20111018日の委員会の助言 (2011/696/EU)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/DE/TXT/PDF/?uri=CELEX:32011H0696&from=DE

 

二酸化チタンはどのように摂取されるのか?

二酸化チタンは消化管 (口から)、皮膚(経皮で)、気道(吸入で) を通して摂取される可能性がある。経口摂取は添加物E171を含む食品を食べることによる。経皮摂取は二酸化チタンを含む化粧品や歯のケア製品から、また二酸化チタンナノ粒子の吸入摂取は、例えば日焼け止めや塗料のスプレーから起こりうる。

用途が多岐にわたるため、重要な摂取ルート、皮膚、気道、消化管経由の摂取全てを二酸化チタンの健康評価の範囲内で見なければならない。日焼け止めのナノ粒子についての意見で、BfRは、傷のない皮膚や日焼けによるダメージを受けた皮膚に塗る際、最新の入手可能な知見により、皮膚からの摂取は安全だと評価した。しかし、この同じ意見で、吸入される可能性があるのでスプレー塗布をしないようにと助言した(BfR, 2010)

微細粒子や特にナノ粒子の吸入は、肺に深く入り込むことがあり慢性炎症を起こす可能性があると動物実験で示されているため、一般的に健康に重要とみなされている。ラットでは、かなり長期間(その動物の全寿命)にわたって極端に高濃度の二酸化チタンを吸入すると、肺腫瘍の形成につながる。これらの研究は現在運用中の欧州分類プロセスの基礎を形成している(以下参照)。二酸化チタンの口腔粘膜および/または消化管(経口)からの摂取は、食品添加物E171や食品と接触する物質の成分としての二酸化チタンの使用についてEFSAが実施した評価で検討された。

タトゥーインクの白色顔料としての二酸化チタンの摂取は、特殊なケースである。「coal black漆黒」と共に、二酸化チタンはタトゥーインクに最も一般的に使用される顔料である。特にタトゥーインクについてのよくある質問は20171013日のBfRFAQを参照のこと。

 

二酸化チタンはどの法的手続きで評価されたのか?

二酸化チタンは現在欧州の化学物質評価の2つのプロセスにかかっている。1つ目のプロセスの目的は、いわゆるEU域の統一分類である。2つ目のプロセスは欧州化学物質規則REACHの範囲内でのこの物質二酸化チタンの評価に関係している。この二つの規制プロセスはフランスが開始した。どちらのプロセスも、従来の二酸化チタン(顔料)とナノフォームの二酸化チタンを明確に区別していない。全形状の二酸化チタンが適用可能なEU規則の範囲に含まれている。

CLP規則(Reg. (EC) No. 1272/2008)に従う統一分

特に危険な物質特性(例えば、変異原性、発がん性、生殖毒性)のある化学物質は、分類、表示、包装に関するEC規則("CLP規則")に従ってEU全体で分類されている。これは、そのような物質の製造業者、輸入者、使用者に法的拘束力のある統一した法的分類で、一般的に、あるいは利用可能な場合に、特定の濃度制限を超える混合物に使用される際にその物質にも適用される。

統一したCLP分類は申請に関しては公平である、すなわち制限されなければ、EU市場に存在するすべての化学物質に対して作成でき、物質の全ての形状が含まれる。様々な法基準で分類が参照され、統一したCLP分類、特により高いハザード分類があると、時には劇的な法的影響があり、化学物質法以外の他の法的分野の様々なリスク削減策が発動される(例えば生産法、化粧品法、玩具法、廃棄物法)

二酸化チタンは現在、CLP規則に従って分類手続きを受けている。この提案は2015年にフランスが提出した。欧州化学庁(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)は、吸入の際の二酸化チタンはおそらくヒトに対する発がん性があると2017年に結論した(カテゴリー 2, H350 i)。潜在的な健康ハザードはとりわけダストの吸入で見られる。そのプロセスは現在、REACH規則の保護目的を正当化できるよう加える関連法の文言で激しい議論のテーマとなっているが、まだ完了していない (201951日現在)

物質評価

REACH規則(EC 1907/2006)に則した物質評価は、リスク評価情報がなくても、物質が健康や環境に引き起こすリスクに関する最初の疑いを検証したり、関連する物質の製造業者や輸入業者から要求するのに役立ち、リスクを最小化するために取るべき行動を必要に応じて決定する。物質評価の発議は、通常各EU加盟国機関の責務である。

フランスは2018年にREACH規則に従って二酸化チタンの物質評価を開始した。このプロセスはまだ完了していない。健康の観点から、この物質評価が、変異原性、発がん性、生殖毒性を示す特性に関して入手可能な情報がしっかりしたリスク評価や安全な利用に十分かどうか、あるいはさらなる研究を要求する必要があるかどうかを調査する。経口ルートはこの物質評価のテーマではない。これに関して検査物質としてE171で行われた研究とりわけ生殖毒性と発達毒性に関して-は、現在欧州食品安全機関(EFSA)と連係している。この計画では許容一日摂取量(ADI)を導出する際に問題となるデータを検討する。

 

食品添加物としての二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?

食品添加物としての二酸化チタンの利用にはEC規則No. 1333/2008を適用する。この規則により、二酸化チタン(E 171)の利用は、最大量としてquantum satisの原則[1] (原則として上限なく必要量を使用できる)を適用するいくつかの食品分類で認可されている。純度条件と仕様はEU規則No. 231/2012で規制されている。認可は、2013年まで責任を担ったEU委員会の食品科学委員会(SCF)と、それ以降責任を担う欧州食品安全機関(EFSA)が作成した健康評価に基づいている(以下の健康評価に関するFAQ参照)

[1] EC規則No. 1333/2008に含まれる定義によると、"quantum satis"は、「最大数量を特定せず、意図した目的を達成するのに必要な量以下で、消費者が誤解しない限り、物質は適性製造基準に従って使用されるものとする」を意味する。

 

化粧品の二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?

化粧品の利用に関しては、二酸化チタンはEC規則No. 1223/2009 (EUCR)EUの化粧品の2つのポジティブリスト、1つは化粧品に許可される着色剤リスト(Annex IV EUCR)2つめは認可されているUVフィルターリスト(Annex VI EUCR)に含まれている。ナノフォームの透明な見た目は皮膚に塗る際に有利なので、二酸化チタンのナノフォームはUVフィルターに利用される。物質は、EU委員会の消費者安全科学委員会(SCCS)が安全性評価を作成した後、EUCRのポジティブリストに含まれる。日焼け止めの二酸化チタンのナノフォームの利用は、吸入により肺が暴露する可能性がある塗布(すなわち特定のスプレーで)の認可はされていない。

 

食品と接触しない物質の二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?

布地や玩具など食品と接触しない物質に存在する二酸化チタンの利用については、特別な法的規則はない。この製品が安全でなければならず健康を損なうことはないという一般的要求事項はある。

それによると、意図したあるいは予測可能な利用をする際に、特に毒性学的影響のある物質や汚染物質を通して、その成分により健康を損なう可能性のある方法で他者向けに商品を生産したり扱ったりすることは、ドイツの食品及び飼料法(LFGB)の条項30で禁止されている。玩具には欧州玩具指令2009/48/ECの一般的な安全条件が適用される。この指令によれば、化学物質を含む玩具が、子どもの習慣を考慮して、意図したあるいは予測可能な利用をする際に子供の安全性を危険にさらしてはいけない。

有益な材料特性(化学的安定性や熱安定性、耐光性、白色顔料としての高いカバー力の特性) により、二酸化チタンは消費者製品に存在する様々な材料に利用される。白色顔料として、また塗料やニスの着色顔料の質感加工成分として利用される。紙や陶器の装飾や、生地や革の色素形成にも利用される。コーティング、染料、安定剤(UV保護)としてプラスチックに用途が見いだせる。二酸化チタンを含む素材の他の例には陶磁器やガラス製品がある。これらの材料への応用の特徴は、二酸化チタンが本体に固定され、放出が限られることである。

 

食品と接触する物質での二酸化チタンの利用にはどの法律が適用されるのか?

二酸化チタンは食品と接触する物質に利用できる。いわゆる「食品と接触することを意図した素材や品に関する」欧州枠組み規則(EC) No. 1935/2004は、全ての食品と接触する物質に適用される。素材や品物は、通常のあるいは予測できる使用状況で、それらの構成要素が食品に移行しないように、以下のことができない量で適性製造基準に従って製造されることを規定している。

ヒトの健康を危険にさらす

または

食品成分に許容できない変化をもたらす

または

c) それにより官能特性(風味、味など)の劣化をもたらす

上記規則の条項5は特定の物質と品物のグループに、いわゆる「特別法」の適用も規定している。この種の特別法で、二酸化チタンはEU規則No. 10/2011に従ってプラスチック製の食品と接触する物質の利用に認可されていた。食品への最大許容移行量は60 mg/kg食品である。「ナノ構造」の二酸化チタンの利用はこれに関連して禁止されている。

二酸化チタンに関連する他の物質グループをカバーする欧州レベルの規制はない。「食品と接触する物質へのBfRの助言」の範囲では、(ナノフォームの)二酸化チタンは、助言XV「シリコーン」で熱安定剤(最大3%)として記載されている (例えばシリコーン製焼き型) (BfR, 2018)。検出限界1.8 µg/kg 食品でシリコーンから食品への二酸化チタンの移行はない。BfRは、二酸化チタンの前述の利用は、最大一日摂取量0.03 µg/kg体重(想定体重=60 kg)で健康へのリスクを生じないと全体的に推定した(BfR, 2018)

BfRの評価は基本的にEFSAの評価を基にして作られた(EFSA, 2016; EFSA, 2018)。その文献からの他のデータも利用された。BfRは経口摂取では遺伝毒性ではないという申請が作成された粒子サイズの二酸化チタンを評価した。この推定量は特にin vivo試験で陰性だったことに基づいている(Donner ら、2016Louro ら、 2014)。この物質は経口摂取では発がん性はないとも評価された。米国保健福祉省の国立がん研究所(NCI)によるラットとマウスで行われた試験では、対照群と比較して、最大投与量(50 g/kg飼料、およそ2,250 mg/kg 体重/日に等しい)までずっと、腫瘍性及び非腫瘍性病変の種類と数に違いが検出されず、重要な研究とみなされた (NCI, 1979)

 

食品添加物E171として二酸化チタンの健康リスクはどう評価されたか?

食品での二酸化チタン(E171)の経口摂取に関して、EFSAは当時入手できたデータにより、消費者への健康リスクの兆候はないと2016年に結論した。EU委員会に代わり、EFSA20186月に、食品添加物E171としての二酸化チタンの潜在的な毒性に関する新たな4つの研究 (Bettiniら、2017Proquinら、2017Guoら、2017 Heringaら、2016) を評価した (EFSA, 2018)EFSAにはその後2016年の評価を改訂する理由はなかった。BfREFSAの結論は妥当だと考えた。

フランス食品環境労働衛生安全省(ANSES)は最新の入手可能な科学的研究を検討し、食品添加物二酸化チタン(E 171)の利用に関して2019415日に意見を発表した。それに関して、EFSAEU委員会を代表してANSESの報告書に関する自身の意見を起草した。EFSAは、20194月に発表したANSESの報告書は、食品添加物E171としての二酸化チタンの利用に関してEFSAが発表した以前の2件の科学的報告書の結論(EFSA 2016, 2018)に疑問を抱くような新たな発見を本質的に含まないと結論した(EFSA, 2019)

 

欧州食品安全機関(EFSA)の評価はどの研究を基にしているのか?

食品添加物(E171)としての二酸化チタンの利用は、EC規則No. 1333/2008の条項32及びEU規則No. 257/2010に従って認可された食品添加物の再評価のプログラムの範囲内でEFSAが評価した。EFSAは全ての入手可能なデータを考慮し、二酸化チタンの吸収や生物学的利用能は少なく(経口摂取量の最大 0.1%)、経口摂取量の大部分は何の変化もなく排泄されると2016年の報告書で強調した。

EFSAはまた、遺伝毒性に関する入手可能なデータや、二酸化チタンのナノ粒子やマイクロ粒子の吸収・分布・排出に関するデータに基づき、経口摂取される二酸化チタンの粒子(ナノフォーム及びマイクロフォームの)の変異原性は、in vivoでありそうもないことも強調した。

生殖系への影響に関して、研究でおそらく望ましくない影響が観察されたことをEFSAは指摘した。しかし、これらのケースでは、食品添加物E171としての仕様に従わない二酸化チタンが調べられた。この添加物E171で実施した対応する研究では、この種の影響は観察されなかった。これに関して、基にしたデータベースが限られていたため、EFSAは生殖毒性の可能性の決定的な評価を行えなかった。許容一日摂取量(ADI)を導出するのにデータ状況は今のところ十分ではないが、入手可能なデータは低い経口生物学的利用能や暴露を考慮すると健康に関して懸念の必要はないとEFSAは結論した。

EFSAは、生殖システムに起こりうる影響のギャップを埋めるために、また食品添加物E171の許容一日摂取量の導出を促進するために、さらなる研究を実施するよう助言した。

 

フランス政府は、2020年から1年間食品添加物E171を含む食品の販売を一時停止する決定をどのように正当化したのか?

フランス政府は、食品添加物二酸化チタン(E171)を含む食品の販売が202011日から一年間フランスで停止する条例を2019417日に発行[1]425日に発表した。フランス政府は、415日にフランスで発表された2019412日の食品添加物E171としての二酸化チタンの利用について、フランス食品環境労働衛生安全省(ANSES)が作成した意見に政令で言及した。

ANSES20194月に、この添加物E171の健康への安全性を取り巻く不確実性を明確にするための科学的データが不足していると結論した。ANSESは、E171の様々な物理化学形態の特性評価に関するデータや、その摂取の潜在的な健康影響に関する追加毒性学的データを作成する助言を確認した。

2019417日のフランスの条例の詳述の、参考文献の1つは2017120日に発表されたフランス国立農学研究所(INRA)による研究だった。これにはE171として市販さているナノ粒子の形状の粒子44.7%が含まれる二酸化チタンを、7日間栄養チューブで、あるいは100日間飲料水と共にラットに投与した、フランスの研究者チームのBettiniらが発表した研究(2017)が含まれた。この研究の著者によると、腸粘膜への変化と共に免疫系で影響が観察された。特定の炎症パラメーターも増加し、おそらく発がん影響が報告された。しかしながら、この研究で作成された声明は、結果のヒトへの適用可能性や、リスク評価への適合性に関して多くの制限がある。例えば、検査された動物の数がかなり少なく、報告された影響の多くは対照群と比較して有意ではなく、この研究の継続期間は腫瘍形成や発がん効果を実際に評価するには短すぎる。さらに、用量-反応関係がなく、観察結果や二酸化チタンが投与された方法がヒトや食品経由の二酸化チタンの摂取に妥当かどうか疑わしい。この研究の著者自身、その結果は、さらに明確にする必要がある起こりうる最初の兆候に過ぎないと指摘している。別の発がん性研究(NCI, 1979)では、かなり高い用量が投与されたにもかかわらず、腫瘍性及び非腫瘍性病変の兆候は生じなかった。

Bettiniらによる研究(2017)20186月にEFSAが評価した4つのうちの1つである。EFSAもこの研究の弱点を指摘し、この研究は(他の3つの研究も同様にEFSAが評価した)評価を見直す理由にはならないと結論した。EFSAの判断では、入手可能なデータから経口の生物学的利用能や暴露が低いことを考慮すると健康を懸念する必要はないとした。

[1] https://www.legifrance.gouv.fr/jo_pdf.do?id=JORFTEXT000038410047

 

この条例はドイツにとってどういう意味があるのか?利用可能な知識のレベルでフランスで必要とされるのと同様の対策をドイツでも取ることができるのか?

必須と思われる側面に焦点を当てたANSESの報告書の短期レビューを行い、BfRの見解では食品添加物としての二酸化チタンの利用に関するEFSAの意見(EFSA, 2016)の結論を疑う正当な信頼できる科学的議論は認められなかった。食品添加物の認可手順はEUレベルで行われるため、引用されている論文のレビューを含むANSESの報告書の詳細レビューは、EFSAにそうする権限を与えられるEU委員会の責任になる。

 

国際機関は今まで何を行ってきたのか?

食品添加物はEU規則No. 231/2012に含まれる純度基準と仕様に従わなければならない。これまで粒子サイズ分布は二酸化チタン(E171)の仕様の基準としてこの規則に記載されていないので、EFSAは仕様を修正するよう二酸化チタン(E 171)2016年の報告書で助言している。EU委員会の要請で、EFSAは適切な提案をするため201812月に作業グループを設定した[1]

20186月にEU委員会の要請で、EFSAは食品添加物E171としての二酸化チタンの潜在的な毒性に関する新たな4つの研究(Bettini 2017; Proquin2017; Guo 2017; Heringa 2016) を評価した(EFSA, 2018)EFSAはこれらの4つの研究から2016年の評価を見直す必要はないと結論した。BfREFSAの結論を妥当とみなした。

EFSAの報告書は通常、リスク管理者(EU委員会や加盟国の代表)が、最初は委員会の作業グループ、その後必要があれば、植物、動物、食品及び飼料に関する常任委員会(PAFF 委員会)で、とる必要のあるあらゆるリスク管理手段の協議中に考慮されている。対策をとる必要があるかどうかや、どの対策をとるかとらないかを決めるのはリスク管理者に委ねられている。これらの手段には使用期間や状況の修正および/または問題となっているデータを出すよう製造業者に指示することが含まれる。必要と思われる暫定措置がEC規則No. 178/2002の条項5354に記載されている。これは暫定的な保護対策をとる加盟国の意向にも適用される。

欧州委員会は生殖毒性に関してEFSAが推奨した研究や、食品添加物の特性を示す検査を求めるデータ要請を2017130日に発表した[2]。この関与する事業者[3]に関するデータ要請の結果、提出されるデータやデータの提示期限[4]EU委員会が発表した。それにより、粒子サイズ分布に関するデータは20186月に、生殖毒性に関しては20198月までに、重金属による汚染に関しては201710月までに、二酸化チタンのアルミニウム量に関しては20179月までに、と告知された。

20194月にフランスが告知した対策は2019513日にPAFF委員会[5]EUレベルで議論された。

 

この話題に関するさらなる情報はBfRのウェブサイトで。

 

・ナノテクノロジーに関するBfRQ&A 2012828

BfR questions and answers on nanotechnology of 28 August 2012

https://www.bfr.bund.de/cm/349/questions-and-answers-on-nanotechnology.pdf PDF-File (51.8 KB)

 

・タトゥーインクに関するFAQ 20171013

FAQ on tattoo inks of 13 October 2017

https://www.bfr.bund.de/cm/349/faqs-on-tattoo-inks.pdf  PDF-File (72.2 KB)

 

・化粧品のリスク評価に関するQ&A 201433

Questions and Answers on the Risk Assessment of Cosmetic Products of 3 March 2014

https://www.bfr.bund.de/cm/349/questions-and-answers-on-the-risk-assessment-of-cosmetic-products.pdf  PDF-File (34.5 KB)

 

・製品から放出されたナノマテリアルとナノ粒子のがんリスクの可能性の評価、BfR及び UBA の共同意見005/2011 2010415

Assessment of potential cancer risk of nanomaterials and nanoparticles released from products, Joint Opinion 005/2011 of the BfR and UBA of 15 April 2010

https://www.bfr.bund.de/cm/349/assessment_of_potential_cancer_risk_of_nanomaterials_and_nanoparticles_released_from_products.pdf  PDF-File (31.4 KB)

 

・日焼け止め:現在の知見状況によると、UVフィルターとしての酸化亜鉛は安全である BfRの意見No. 037/2010 2010618

Sunscreen: According to the current state of knowledge zinc oxide as a UV filter is safe, BfR Opinion No. 037/2010 of 18 June 2010

https://www.bfr.bund.de/cm/349/sunscreen_according_to_the_current_state_of_knowledge_zinc_oxide_as_uv_filter_is_safe.pdf  PDF-File (28.5 KB)

 

[1] The minutes of the meetings can be accessed at https://www.efsa.europa.eu/en/food-ingredients-and-packaging/working-groups

[2]https://ec.europa.eu/food/safety/food_improvement_agents/additives/re-evaluation_en

[3]https://ec.europa.eu/food/sites/food/files/safety/docs/fs_food-improvement-agents_reeval_call_20170130_e171_data.pdf

[4]https://ec.europa.eu/food/sites/food/files/safety/docs/fs_food-improvement-agents_reeval_call_20170130_e171_outcome-2.pdf

[5] https://ec.europa.eu/food/safety/reg_com/toxic_en

 

[NHS]砂糖なしドリンクを含めソフトドリンクは早期死亡に関連がある

Soft drinks, including sugar-free versions, linked to earlier death

Wednesday 4 September 2019

https://www.nhs.uk/news/food-and-diet/soft-drinks-including-sugar-free-versions-linked-earlier-death/

「ダイエットコークを捨てろ!1日に2杯飲む人は『早期死亡のリスクが高まる』」とDaily Mirrorは警告する。この見出しはソフトドリンク摂取が長期的な健康への悪影響と関連するかどうか調べた最新の研究に基づく。

研究者は欧州の国々の45万人以上の成人(平均年齢51歳)にソフトドリンクの摂取について質問した。ソフトドリンクには、コーラや薄めたコーディアルのような加糖及び人工甘味料入りの炭酸飲料を含んだ。

研究者は平均16年間、参加者を追跡し、ソフトドリンクをどのようなタイプであれ、1日に2杯以上飲む人は、1か月にソフトドリンクを1杯以下飲む人と比較して、研究期間中に死亡する可能性が17%高かった。

加糖の飲料は消化器系疾患(肝臓疾患のような)による死亡に関連があり、人工甘味料入り飲料は、心疾患のような循環器疾患による死亡に関連した。

砂糖摂取と健康問題の関連はよく確立されているが、人工甘味料入り飲料がなぜ健康に良くない影響をもたらしたかはっきりしていない。

研究の性質上、研究者はソフトドリンクが死亡リスクが少し高まることに対しての直接の原因であることを証明できなかった。しかし、研究者は、知見が人々にソフトドリンクでなく水を飲むよう勧める公衆衛生キャンペーンへの裏付けを追加したと述べる。結局のところ、英国の水道水は飲むのに安全であり、カロリーは全くない。

 

[HK]メカジキのサシミに基準値超過の水銀が検出された

Swordfish sashimi sample detected with mercury exceeding legal limit

Wednesday, September 4, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20190904_7610.html

食物環境衛生署及び食品安全センターは、定期的な食品サーベイランスプログラムにおいて、メカジキのサシミに基準値0.5ppmを超える1.27ppmの水銀を検出したと発表した。

 

[TGA]安全性警告:Jin Gui Shen Qi Wan (経口錠剤)

5 September 2019

https://www.tga.gov.au/alert/jin-gui-shen-qi-wan-oral-pills

製品はアコニットアルカロイドを含む。製品写真あり。

 

[FSA] FSAは地方自治体の食品法執行に関する最新の年次報告を発表した

FSA publishes latest annual report on local authority food law enforcement

3 September 2019

https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-publishes-latest-annual-report-on-local-authority-food-law-enforcement

FSAは本日、20193月年度末のイングランド、ウェールズ地方及び北アイルランド地方の自治体による食品法執行に関する公的統計を発表した。

 

[FDA] FDAは動物用飼料指示規則に関するコンプライアンス評価を公表する

FDA Publishes Assessment of Compliance with Veterinary Feed Directive Final Rule

August 29, 2019

https://www.fda.gov/animal-veterinary/cvm-updates/fda-publishes-assessment-compliance-veterinary-feed-directive-final-rule

FDAの動物医薬品センターは2016-2018年に実施された動物用飼料指示規則(VFD)コンプライアンス活動の評価の概要を発表した。

 

[FDA]FDAは新規ダイエタリー成分通知と構造/機能クレーム通知提出の内部プロセスを修正

FDA Modifies Internal Processes for New Dietary Ingredient Notification and Structure/Function Claim Notification Submissions

September 4, 2019

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-modifies-internal-processes-new-dietary-ingredient-notification-and-structurefunction-claim

FDA201996日に新規ダイエタリー成分通知(NDIN)と構造/機能クレーム通知(SFCN)電子提出の提出受け入れと保管に異なるシステムを使い始める。新しいシステム-CFSANオンライン提出モジュール(COSM)-が現在のFDA統一登録リストシステムFURLSに置き換わる。ユーザーはこれまでと同じ情報を提出する。

 

[WHO]公共医療サービスにおいて栄養をより重視することが2025年までに370万人を救う可能性がある

Stronger focus on nutrition within health services could save 3.7 million lives by 2025

4 September 2019

https://www.who.int/news-room/detail/04-09-2019-stronger-focus-on-nutrition-within-health-services-could-save-3.7-million-lives-by-2025

WHOの新しい報告書では、人生の各段階で最適な栄養を確保することで2025年までに370万人を救えると推定している。Naoko Yamamoto事務局長補がいう

重要な介入としては以下を含む:出産前ケアの一環として葉酸と鉄サプリメントを提供する;産後の赤ちゃんの臍帯クランプを遅らせる;母乳推進;成人や子どもに遊離の糖tp塩の摂取を減らすよう助言する、など

(栄養不良対策と肥満対策を混ぜないほうがいいと思うんだけど、)

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 93–19              

5 September 2019

http://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular9319.aspx

意見募集

加工助剤としてのGM Aspergillus oryzae由来エンドイヌリナーゼ

 

-食品基準改定

Amendment No.187 – 5 September 2019       

http://www.foodstandards.gov.au/code/changes/gazette/Pages/AmendmentNo187.aspx

加工助剤としてのTrichoderma reesei由来トリアシルグリセロールリパーゼとアスペルギロペプシン、酵母由来ステビオール配糖体としてのレバウジオシドMD、レバウジオシドDの酵素による生産、が含まれる

 

論文

-新しい研究が低脂肪食の長期ベネフィットを確認

New study confirms the long-term benefits of a low-fat diet

4-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/fhcr-nsc082919.php

Journal of Nutritionに発表された、1993年に開始された米国の約49000人の閉経後の女性の参加した研究。食事変更は9年後ではあまり影響はなかったが約20年後のフォローアップでは有意なベネフィットを発見した

(低脂肪介入の目標は、総エネルギー摂取量の35%が脂肪だったのを20%にすること、なので日本人にとっては低脂肪ではない)

 

-肥満対策には砂糖入り飲料税よりスナック税のほうが効果的かもしれない

Snack tax may be more effective than a sugary drink tax to tackle obesity

4-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/b-stm090319.php

経済的モデル研究で、砂糖入りお菓子(ビスケット、ケーキ、チョコレートなど)の価格を20%あげることの影響を探った

 

-菜食主義と魚菜食主義の食事は冠動脈心疾患リスクの低さと関連

Vegetarian and pescetarian diets linked to lower risk of coronary heart disease

4-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/b-vap090319.php

BMJに発表された英国の大規模研究。しかし菜食主義と完全菜食主義は肉を食べる人より脳卒中リスクが高い、特に出血性の。これは血中総コレステロール濃度の低さやある種のビタミンの少なさを反映するかもしれない

 

-手術後のオピオイド処方の各国比較

Comparing opioid prescription fills after surgery across countries

4-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/jn-cop090319.php

JAMA Network Open。米国、カナダ、スウェーデンでの腹腔鏡による胆嚢や盲腸の切除、関節鏡による膝関節半月板手術、乳房切除のような低リスク外科手術後のオピオイド処方率を調べた。米国では76.2%、カナダは78.6%、スウェーデンは11.1%だった

 

-Ben-Gurion大学でデザインされたスーパーエビは収量を増やし病気を予防できる

Super shrimp designed at Ben-Gurion University could increase yield and prevent disease

4-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/aabu-ssd090419.php

エビは住血吸虫症をもつ巻き貝を食べる

Scientific Reportsに発表された研究で、雌しか生まないスーパーエビを紹介している。この雌だけのスーパーエビは養殖の収量を増やすだけではなくヒトの水由来寄生虫疾患拡大を予防する天然薬としても使える

(病気に強いエビなのかと思ったのに。)

 

-Natureニュース

水のない土地:ヨルダンの乾燥を止めるための緊急発進

A land without water: the scramble to stop Jordan from running dry

04 September 2019  Elizabeth Whitman

https://www.nature.com/articles/d41586-019-02600-w

気候変動、難民の波、計画のまずさがヨルダンの水を枯渇させている

世界で最も水が足りない国、ヨルダンの報告

 

本の紹介:合成肉、極地での人種差別、オピオイド危機への長い道

Synthetic meat, racism at the poles, and the long road to the opioid crisis: Books in Brief

Barbara Kiser

https://www.nature.com/articles/d41586-019-02604-6

Benjamin Aldes WurgaftMeat Planetでは「細胞農業」の新しい地平線を探る。ヒトの細胞を食用に培養することの考察まで。

 

エディトリアル

投票を歪めるのにいかにソーシャルネットワークが使えるか

How social networks can be used to bias votes

04 September 2019

https://www.nature.com/articles/d41586-019-02616-2

戦略的におかれた少数のボットがまだ決めていない投票者の選択に影響を与えることができるという根拠が蓄積している

今週Natureに発表された論文が示したようにソーシャルネットワークの関係は少数の戦略的ボットで意図的に操作できる、特に投票先をまだ決めていない人が多い場合には。この知見は全ての人にとって懸念である。

(デジタルエイジだからというわけではなく、少数の声の大きい人達に歪められるのはこれまでもずっとそうだったと思うけど)

 

その他

-Scientific Americanの件

Broccoli Is Dying. Corn Is Toxic. Long Live Microbiomes!

By Louise Elizabeth Maher-Johnson, Ayana Elizabeth Johnson on August 20, 2019

https://blogs.scientificamerican.com/observations/broccoli-is-dying-corn-is-toxic-long-live-microbiomes/

201993日付編集者注で相当な書き直しをした、とある。

https://uneyama.hatenablog.com/entry/2019/08/21/181327

書き直しバージョン。タイトルまで変わっている

Long Live Microbiomes!

By Louise Maher-Johnson, Ayana Elizabeth Johnson on September 3, 2019

https://blogs.scientificamerican.com/observations/long-live-microbiomes/

間違っているところがほぼ全部だったのでここが間違いだと指摘するかわりに全文書き直しで再掲載。

(例えば野菜の栄養が減ったという主張が野菜の栄養が現代農業でどう変わったかについての研究が少ない、になっている。相当批判されたのだろう。

Scientific Americanが徐々に事実より思想優先の環境活動家に侵食されてきていたことをかなり明確に示した事件。)

 

-IARCの腐敗4/4IARCの冷酷な傭兵

The Corruption of IARC 4/4: IARC’s Ruthless Mercenaries

Posted by RiskMonger on September 4, 2019

https://risk-monger.com/2019/09/04/iarc-4-4-iarcs-ruthless-mercenaries/

ある団体が腐敗を意識したとき、その団体のまともな部分が罪を隠そうとしたり嘘で擁護しようとしたりする。IARCはそれをやった-組織や規制機関やメディアや科学者などの批判者に対して攻撃した。脅威とみなすものへの冷酷さは率直に言ってこれまで見たことがない。この章ではIARCが「敵」(合意しない科学者)に対してどんないじめ方をしたかについていくつかの例を紹介する。どんな科学団体や科学者でも理論や文書への議論に参加することは歓迎されるべきである、堅牢な科学は疑問や疑義に耐えたものなので。それなのにIARCは科学者への感情的攻撃で対応した。そのような敵意と傲慢なやりかたから、IARCは尊敬される科学機関としてはふるまっていないと結論する。倫理や研究レベルの低さとは別次元で、IARCの存在が疑問である。つまりIARCは腐敗している

ミッション:EFSAを止めろ

(グリホサートの件でEFSAからも何度も公文が出ているがここではメールも紹介)

傭兵

Chris Portier(あちこちでIARC擁護)

Tarone戦略

NCIの数理統計学者で最近退職したRobert Tarone博士がIARCモノグラフの重大な欠陥を指摘したところIARCのスタッフがTarone博士の研究所へのモンサントの料金支払いを利益相反に疑問があると主張し結果的に批判の発表を止めさせた。そしてIARCお抱えジャーナリストがTarone博士の評判を落とすための報道を行った

恐ろしいInfante (アンファンテリブルにかけてある)

IARC Good Old Boy の典型的な例であるPeter InfanteRamazzini財団のフェローである。IARCに疑問を提示するものは誰であろうと企業の手先だと主張する。Infanteはモンサントが世界を買収したという陰謀論を繰り返す

ロイターへ:あなたは「フェイクニュース

IARCの非科学的行動を暴露した記事を書いたロイターのジャーナリストKate Kellandへの敵意(これはIARC公式にも掲載されている)。Kate Kelland2017年にIARCの暴露記事でForeign Press Association Media Awardを受賞しているがその対価として個人攻撃を受け続けている

 

 

-肉食、魚食、菜食と心疾患と脳卒中リスクの研究への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to study on meat-eating, fish-eating and vegetarian diets and risk of heart disease and stroke

September 4, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-on-meat-eating-fish-eating-and-vegetarian-diets-and-risk-of-heart-disease-and-stroke/

The BMJに発表された研究が、菜食や魚食が肉食より心疾患リスクが低いが、菜食は脳卒中リスクが高いと報告した

King’s College London (KCL)栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授

これは中年英国人男女の質の高い観察研究で、菜食主義者や完全菜食主義者の虚血性心疾患が肉食者より少ないのはBMIが小さいことから予想できる。しかし菜食のほうが血圧が低い傾向があるのに脳卒中リスクが高いのは予想外だった。極東での観察研究ではコレステロール濃度が非常に低いと、特に高血圧の場合に出血性脳卒中が多いことを発見している。しかしこの研究ではコレステロール濃度はそこまで低くはないのでそれが理由とは考えにくい。重要なのは高血圧をみつけて治療することだろう。標準的でない食事法を選択する人達は血圧を下げる薬を使用する可能性が低いことが理由かもしれない。

Cambridge大学MRC生物統計ユニットグループリーダーStephen Burgess博士

栄養疫学研究は、人々が何を食べたのかを測定するのが困難なので難しいことで悪名高い。栄養疫学の観察研究としてはこれは質が高いものである。それでもこれは観察研究であって、今肉食の人が菜食だったらどうだったのかはわからない。

観察された違いは小さいものの、菜食が全て健康上良いわけではないかもしれない。心血管系の健康のために菜食を考えるなら他の食事やライフスタイル変更と一緒に検討すべきである。単独では肉を食べないことの利益はあまりないだろう。

 

-ラットのアルコール依存に鍼、への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to acupuncture for alcohol dependence in rats

September 4, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-acupuncture-for-alcohol-dependence-in-rats/

Science Advancesに発表された研究が、鍼がアルコール依存ラットの依存症状を減らしたと報告する

Exeter大学補完医学名誉教授Edzard Ernst教授

この研究を臨床に参考にすることには注意するように。

動物実験は必ずしもヒトにあてはまらない。この研究は盲検ではなく結果に影響があるかもしれない。韓国の研究で、アジアからの鍼の研究はほぼ100%ポジティブである。

信頼できる根拠を総合的にみると鍼がアルコールの離脱症状に有効だとは示唆されない

 

-メモ

水源に生息する魚類から有機フッ素化合物PFOS 710倍 汚染源は泡消化剤の可能性 京大准教授ら比謝川を調査(沖縄)

(琉球新報、201995日)

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-983756.html

「消化剤」は消火剤のまちがい

 

魚類15資料のPFOS平均値は1グラム当たり64ナノグラムで、環境省15年調査の中央値である同0・09ナノグラムを大きく上回った。報告書は比謝川の河川魚類は「高度に汚染されている」と分析している。

体内のPFOS値を分析したのはソードテール(49~102ナノグラム)、パールダニオ(43~111ナノグラム)、グッピー(35~48ナノグラム)、テラピア(22~100ナノグラム)

 

これと比べるといいよ

Ecological screening assessment report on perfluorooctane sulfonate, salts and precursors: appendix 2

PFOS Concentrations in Selected Wildlife in North America and Circumpolar Regions, 1982-2005

https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/canadian-environmental-protection-act-registry/publications/ecological-screening-report-sulfonate/appendix-2.html

わざと低い値と比べて○○倍ってやるの、良くないよ