2021-03-02

[EU]査察報告

ドイツ―水産物

Germany 2020-6917―Fishery products

12/02/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4336

2020年3月2~13日にドイツで実施した水産物の公的管理評価。ドイツの機関には法の求める全ての要素を含む水産物の生産販売に関する公的管理システムがある。ドイツでは管理システムの実行は独立市および独立市以外の都市の機関独自の責任である。連邦州の省庁は行政規定で連邦法を均一に実施することを目指しているが、システムが連邦州によって異なるため大きな課題がある。企業訪問により一部の企業で衛生状態に深刻な欠陥があることが示され、査察チームは国や連邦州全体で水産物の食品安全の管理執行手段が統一されていないと結論した。

 

[EU]農場から食卓まで:我々のフードシステムを改善するための弾力的戦略

Farm to Fork: a resilient strategy to improve our food systems

01/03/2021

https://ec.europa.eu/newsroom/sante/item-detail.cfm

開始から約1年の欧州グリーンディールの一部をなす農場から食卓まで戦略は、我々の食品の生産、輸送、消費のありかたを革新する。コロナウイルスパンデミックの最中にClaire Bury副本部長がこの戦略の目指すところを説明する。

・COVID-19パンデミックの経済影響の中で、農場から食卓まで戦略は欧州委員会と加盟国にとって重要な優先課題であり続けるのか?

・農場から食卓まで戦略では農薬リスクと使用を相当減らすことを含む。どうやって達成する?

・最近発表された食品事業者行動規範は市民に利益があるか?

・農場から食卓まではEUの動物の福祉強化に貢献するか?

・食品表示は消費者にとって重要である。農場から食卓まではより健康的ライフスタイルを促すために表示を推奨する?

(農薬のところ、妄想を語っているだけ。「農家の収益を減らさない安全な代用物」、が無いから農家が怒っているのに。ルイセンコとチュチェ農法の歴史にオーガニックが連なる)

 

[EFSA]意見等

遺伝子組換えBacillus licheniformis NZYM‐KE株由来食品酵素α-アミラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme α‐amylase from the genetically modified Bacillus licheniformis strain NZYM‐KE

EFSA Journal 2021;19(3):6433  1 March 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6433

食品酵素α-アミラーゼ(4-α-d-グルカン グルカノヒドロラーゼ EC 3.2.1.1)はNovozymes A/S社が遺伝子組換えBacillus licheniformis NZYM‐KE株で生産した。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品酵素にこの生産生物の生きた細胞やそのDNAはない。このα-アミラーゼはグルコースシロップや他の澱粉加水分解物の生産の澱粉加工や、蒸留アルコール生産での使用を意図している。この食品酵素の残留物量はグルコースシロップの生産中に適用される精製段階や蒸留で除去されるため、食事暴露は算出されなかった。遺伝毒性試験は安全上の懸念を示さなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を最大用量1,100 mg TOS/kg 体重 (bw)/日と同定した。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、1件のマッチが見つかった。パネルは、意図した使用条件で、食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、そのような可能性は低いと考えた。提出されたデータに基づき、パネルは、この食品酵素は意図した使用条件で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

[ODS]スクープ―2021年冬

The Scoop - Winter 2021

https://ods.od.nih.gov/News/The_Scoop_-_Winter_2021.aspx

ヨウ素―意識しない可能性のある必須栄養素

十分とっていますか?

ヨウ素は甲状腺ホルモンを作るために身体が必要とするミネラルである。これらのホルモンは、食べ物をエネルギーに変えるプロセス、代謝をコントロールする。

私達の身体は脳と骨の発達のためにもヨウ素を必要とするため、乳児や妊婦は十分なヨウ素をとる必要がある。だが、どのくらい?どの食品にヨウ素が含まれている?私達はこれらの質問やその他よくある質問に答える。

Q.必要なヨウ素の量は?

A.必要なヨウ素の量は主に年齢による。例えば、ほとんどの成人は1日に150マイクログラム(mcg)のヨウ素が必要だが、妊婦や授乳中の女性はもっと必要である。乳児や子供は年齢により1日に90–150 mcg必要である。私たちのヨウ素ファクトシートには、人々が毎日必要とするヨウ素の量を記載した便利なチャートリストがある。

Q.どの食品にヨウ素が含まれている?

A.ヨウ素は主に魚や他の海産物、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)、ヨウ素添加塩に存在する。例えば、3オンスの焼いたタラ1食分には約160 mcg、1カップのギリシャヨーグルトには約115 mcgのヨウ素が含まれている。海草や卵にもヨウ素は多く含まれている。

ヨウ素は食品に添加されていなければ、食品表示に記載する必要はない。そのため、製品に天然にヨウ素が含まれているかどうか、また、その場合の量を知るのに食品表示を頼れない。私たちのヨウ素ファクトシートに多くの食品中のヨウ素の量を記載している。

Q.私は妊婦でビーガン食に従っています。ヨウ素は主に動物製品に含まれているので、どうしたら十分とることが出来ますか?

A.妊娠中の女性は一日にヨウ素220 mcgが必要である。ほとんどの果物、野菜、他の植物性食品にはごく少量のヨウ素しか含まれていない(たいてい1食あたり約7 mcg未満)。そのため、ビーガン食に従っていたり、乳製品、海藻、海産物、卵を少ししか、または全く食べない場合は、十分なヨウ要素を取ることが出来ないかもしれない。また、ヨウ素添加塩を使わない場合、ヨウ素摂取量が少ない可能性がある。

ヨウ素摂取量が少なすぎると、赤ちゃんの発育に影響を与える可能性がある。このため、米国甲状腺学会は妊娠中や授乳中の女性には150 mcgのヨウ素を含む食品サプリメントを推奨している。多くの標準的なマルチビタミン/ミネラルサプリメントはヨウ素を含んでいるが、約半分の妊娠前サプリメントにしかヨウ素が含まれていない。あなたに適したものを決めるために主治医と話すこと。

私たちのヨウ素のファクトシートには妊娠中や幼少期の間のヨウ素の重要性についてのより多くの情報がある。

Q.全ての塩にヨウ素が含まれている?海塩はどうですか?

A.「ヨウ素添加」と表示に記載されている塩にしかヨウ素は含まれていない。シーソルト、コーシャソルト、ヒマラヤの塩、フルール・ド・セルなどの特殊な塩には、たいていヨウ素はほとんど含まれない、またはまったく含まれない。比較すると、ティースプーン1/4のヨウ素添加塩には約75 mcgのヨウ素が含まれるが、同量のヨウ素無添加シーソルトには1 mcg未満しか含まれていない。

その塩がヨウ素添加されている、またはヨウ素を提供している(たいてい「ヨウ化物」と記載されている)かどうか知るために製品表示をチェックしよう。だが、その塩が暖かく湿気の多い場所で保管されると、塩の中のヨウ素は時間とともに減少することを覚えておくこと。このため、ヨウ素添加塩は冷暗所においておき、新年の始まりなどに、時々新しい容器を購入すること。

缶入りスープなどの加工済食品がヨウ素添加塩で作られることはめったになく、それらの食品に塩が含まれていても、その塩はおそらくヨウ素を供給しない。製造業者がヨウ素添加塩を使用する場合、その塩は食品表示の成分表にヨウ素添加と記載される。

少なすぎたり多すぎたりした場合に生じる健康問題など、ヨウ素についての詳細情報は私たちのファクトシートを参照し、具体的な助言を得るために主治医と話すこと。

 

[RIVM] RIVMはNutri-Score表示の実施に関し欧州全域で協力する

RIVM collaborates at European level on the implemention of the Nutri-Score label

Publication date 02/18/2021

https://www.rivm.nl/en/news/rivm-collaborates-at-european-level-on-implemention-of-nutri-score-label

オランダ、ベルギー、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、スペイン及びスイスは栄養表示のNutriScoreを促進する協力をしている。この協力は運営委員会及び科学委員会の中で行われる。オランダの代表としてRIVM国立公衆衛生環境研究所が運営委員会及び科学委員会に参加する

Nutri-Scoreとは何か?

Nutri-Scoreはフランス国立公衆衛生研究所である Sante Publique Franceにより作成された5色で色分けされた等級に基づく栄養表示である。この表示は消費者に食品の一般的な栄養価に関する情報を提供する。Nutri-Scoreは消費者がオランダ保健審議会の食事ガイダンスに加え、より健康的な食品選択をすることに役立つことを目的とする。食品選択表示は製品を改良するための生産者にとってのやる気にもなるだろう。以前、健康・福祉・スポーツ省副大臣のPaul BlokhuisはNutri-Scoreがオランダにとって新たな食品選択表示になるだろうと語った。

運営委員会及び科学委員会

運営委員会は食品包装上のNutri-Score表示の実施を調整する。参加7カ国の様々な代表者が運営委員会のメンバーである。科学委員会は表示を食事のガイドラインと一致させるべきか、どう一致させるかを調査する。運営委員会及び科学委員会は2月12日にキックオフミーティングを行った。

 

[RIVM]コロナウイルス対策方針は軋轢を生んでいるが今のところコンプライアンスはまだ高い

Policy on coronavirus measures causes friction, but compliance is still high for now

03/01/2021

https://www.rivm.nl/en/news/policy-on-coronavirus-measures-causes-friction-but-compliance-is-still-high-for-now

夜間外出禁止や自宅から働くこと、人混みを避けるなどのオランダで行われているコロナウイルス対策への順守率はまだ高い。しかし訪問者に関する規則への支持は、2人から1人に減らしたために急降下した。これには社会的心理的福祉が低下し続けていることが伴っている。この調査結果はパンデミックによる負担のより公平な分布と一連の対応の必要性を示す。RIVMと地方自治体公衆衛生サービス(GGDs)の行っている行動研究

夜間外出禁止を守っている人は92%と多いが、それが役に立っていると感じている人は42%と低い。1日あたり訪問者を一人に制限する規則については減ったとは言え81%が守っているものの支持率は56%と高くなく、役に立つと感じる人も48%と少ない

若い世代のメンタルヘルスの悪化が目立つ。

 

参考

カフェのオーナー、セックスワーカー、市場の売店所有者がロックダウンへの抗議を計画

Cafe owners, sex workers and market stall holders plan lockdown protests

February 25, 2021

https://www.dutchnews.nl/news/2021/02/cafe-owners-sex-workers-and-market-stall-holders-plan-lockdown-protests/

オランダ政府にコロナウイルス規則の緩和を要求する

 

[FDA] FDAは両親や保護者に乳児に手作り乳児用ミルクを作ったり与えたりしないよう助言

FDA Advises Parents and Caregivers to Not Make or Feed Homemade Infant Formula to Infants

February 24, 2021

https://www.fda.gov/food/alerts-advisories-safety-information/fda-advises-parents-and-caregivers-not-make-or-feed-homemade-infant-formula-infants

対象者

・レシピを使用し、自分で手作りした乳児用ミルクを作る乳児の両親や保護者

製品

・家庭で手作りした乳児用ミルク

目的

FDAは両親や保護者に乳児に手作り乳児用ミルクを作ったり与えたりしないよう助言している。手作りの乳児用ミルクを飲んだ乳児の両親や保護者は、医療従事者に連絡し、地方保健局に症状を報告すべきである。

問題の要点と全体像

乳児用ミルクは乳児にとっての唯一の栄養源であり、FDAにより厳しく規制されている。FDAは乳児用ミルクに特定の栄養素の基準を定め、そのミルクが最低限のあるいはそれ以上のこれらの栄養素を含まないあるいは指定した範囲基準内でない場合、その乳児用ミルクは不良品である。手作りの乳児用ミルクのレシピはFDAの評価を受けておらず、乳児の成長に不可欠な栄養素が欠如する恐れがある。

FDAは最近、手作りした乳児用ミルクを与えられ、低カルシウム血症(低カルシウム)を患い入院した乳児の有害事象報告を受けている。

FDAは一般に商業的に入手できる液体や粉末状で販売される乳児用ミルクを規制するが、通常、手作りのミルクのレシピを規制しない。

FDAは深刻な健康及び安全上の懸念のため、両親や保護者が乳児用ミルクを家庭で手作りすることを推奨しない。家庭で手作りした乳児用ミルクに起こりうる問題は、汚染と重要な栄養素の欠如やその量の不十分さなどがある。これらの問題は非常に深刻で、深刻な栄養不均衡から食品由来の疾病という影響まであり、どちらも命に関わることがある。これらの深刻な健康懸念のため、FDAは両親や保護者に乳児用ミルクを手作りしたり、乳児に与えたりしないよう強く助言する。

FDAの対策

FDAは両親や保護者に乳児用ミルクを手作りしたり与えたりしないよう引き続き警告する。

消費者への推奨

手作りした乳児用ミルクを飲んだ乳児のいる両親や保護者は、医療従事者に連絡し、症状を報告し、診察を受けるべきである。

苦情あるいは副作用(疾病あるいは深刻なアレルギー反応)を報告するには以下の方法がある。

・問題について人と直接話したいならば、FDA消費者苦情コーディネーターに電話連絡する。

・オンラインで電子MedWatchフォームに記入する。

・FDAに郵送できる書面のMedWatchフォームに記入する。

追加の消費者及び業界向けサポートは、www.fda.gov/fcicで閲覧できる。

追加情報

乳児用ミルクに関して消費者からよくある質問(https://www.fda.gov/food/people-risk-foodborne-illness/questions-answers-consumers-concerning-infant-formula

 

[ANSES] フランスニュートリビジランス計画の新しいオンライン報告ウェブサイト 

A new online reporting website for the French nutrivigilance scheme

News of 11/02/2021

https://www.anses.fr/en/content/new-online-reporting-website-french-nutrivigilance-scheme

フランスニュートリビジランス計画は食品サプリメントを含めた特定の食品の摂取に関連する有害事象の報告を収集する。医療従事者、製造業者あるいは販売業者及び個人は、現在新たなウェブサイト上でより迅速に容易にこれらの有害事象を報告する事ができる。このサイトに報告を提出することで、これらの製品の知識と消費者の安全性を向上させることに役立っている。

ニュートリビジランスは消費者の安全性の向上に専念する計画である

2009年以降ANSESの支援で、フランスニュートリビジランス計画は、食品サプリメント、ビタミン、ミネラルで強化された食品や飲料あるいはハーブ抽出物、新規食品と成分及び特定の集団(代謝異常や栄養不足等を患う幼児や患者)向けの食品を目的とした製品といった特定の食品の摂取に関連する有害事象の可能性を迅速に確認することで消費者の安全性の向上を目指す。

このために、ANSESは医療従事者(医者、薬剤師等)及び製造業者あるいは販売業者から提出されたオンラインの報告書を信頼する。個人でも有害事象を申告することができる;しかし、代理で医療従事者から報告書を提出してもらうことを助言する。

報告書を容易にするために使用者によりわかりやすい新たなサイト

電子申請サイトの新たなわかりやすいインターフェースにより、摂取された製品あるいは観察された有害事象に関する正確な情報入力をより迅速に容易にする。十分な情報を含む報告はその後、有害事象の重症性と因果関係として知られる製品の摂取とその有害事象の発生の関連の可能性を評価する医師団により分析される。

公的機関に警告し製造業者や消費者に知らせるために報告データを使用する

強い因果関係と深刻な重症性の場合には、ANSESは公的機関に警告し、製品の調査、表示変更、規則改定あるいは市場からの製品回収のような措置をとる。ANSESは2009年以降強い因果関係と深刻な重症性の12の症例を公表した。

報告された有害事象、報告件数及びその因果関係に応じ、ANSESは関連省庁にとって科学的な選択肢と適切な管理対策につながるリスク評価を行う。これらは医療従事者、消費者及び製造業者への推奨を伴う。この科学的選択肢と推奨はニュートリビジランス部門のウェブサイトに公表される。

ANSESはニュートリビジランスにより監視される様々な製品に関する15の意見を公表している。特に食品サプリメント中の特定の物質(スピルリナ、ルチン、ゼアキサンチン、シネフェリン、紅麹、グルコサミン及びコンドロイチン、メラトニン等)、アスリートや妊娠中の女性向けの食品サプリメント、いわゆるエネルギードリンク及び1歳未満の乳児の食事である母乳以外の飲料やその代替製品の摂取に関連するリスクである。

医療従事者、製造業者及び個人はこのニュートリビジランス計画に有害事象を報告することで、製品と消費者の安全性を向上させることに貢献している!

食品サプリメントの摂取に関する重要事項:

医療従事者:診察する際、患者が食品サプリメントを服用しているか尋ねることを考慮すること

個人:食品サプリメントは無害の製品ではない。

食品サプリメントの摂取に関する助言はANSENの情報シート(https://www.anses.fr/fr/system/files/infographiecomplementsalimentaires.pdf

を参照すること。

 

[FSA] 食品リスクに関する消費者意識

Consumer perception of food risk

3 February 2021

https://www.food.gov.uk/research/research-projects/consumer-perception-of-food-risk

調査では以下17食品リスクに関して消費者のリスク認識を測定した:

・ノロウイルス

・リステリア・モノサイトゲネス(リステリア菌)

・大腸菌(E. coli)O157

・カンピロバクター

・食品アレルゲン

・一般的な食中毒

・食物不耐性

・食品中化学物質

・マイコトキシン

・魚に含まれる水銀

・セリアック病

・農薬

・アクリルアミド

・TSE(伝達性海綿状脳症)

・変異型クロイツフェルト-ヤコブ病(TSE)

・毒性のあるきのこ/ベリー

・サルモネラ

・食品中の放射線

 

要約

主な結果

知識と熟知度

知識レベルは様々であるが、参加者は個人の食品安全知識と行為に概して高いレベルの自信を持っていて、食品リスクを判断するのに「常識」と直感を重視することで裏付けられる。

8つのリスク(カンピロバクター、大腸菌(E. coli)、アクリルアミド、農薬、食品アレルギー、セリアック病、変異型クロイツフェルト-ヤコブ病及び放射能)の理解について尋ねると、知識は個人で差があるが、いくつかのリスク(アレルゲン、農薬、大腸菌(E. coli))がより広く知られていたが、他はあまり馴染みがなかった(放射能やカンピロバクター)。

懸念と受容性

懸念と受容性の高さは必ずしも一致せず、集団の中や違う集団で差異が観察された。しかし、全体として、大腸菌(E. coli)やアレルゲンのようなリスクに対してより懸念が高く、放射能やアクリルアミドのようなリスクは低い傾向があった。リスクを積極的に受け入れるあるいはリスクに耐えることは懸念に関連した:リスクの懸念が高いほど、人はそれを受け入れたがらなかった。

懸念が高いリスク:大腸菌(E. coli)は、特に脆弱集団に対する影響の可能性の観点から、深刻な影響があるという知識、また最近の深刻な症例のメディア報道により懸念が高かった。同様に、食品アレルゲンは影響の重症性や影響を受ける人の数のため、懸念であった。カンピロバクターを食中毒や鶏肉と関連付けた参加者もこのリスクをより高い懸念事項の1つとした。

懸念が中程度のリスク:参加者にとって中程度の懸念のリスクは、農薬、セリアック病及び変異型クロイツフェルト-ヤコブ病であった。農薬は化学物質との関連で参加者にとって比較的懸念事項であったが、実際の影響や遅延影響概念の知識がないと懸念は緩和された。セリアック病はその病気の人を知っていて、そのためその影響をより知っている参加者においては懸念事項であった。変異型クロイツフェルト-ヤコブ病―比較的よく知られ、深刻に考えられているが―現在の脅威を引き起こすものではないとみなされたので、かつて考えられたような主要なリスクとしてみなされなかった。 

懸念が低いリスク:アクリルアミドを認識している人は、エビデンスが欠如していると考えられることを理由に、リスクを軽視する傾向があった。放射能に関しては、ほとんどの参加者が放射能と食品を関連づけず、それゆえ、その影響の懸念は低かった。

懸念と受容性の駆動要因

参加者の8つのリスクに対する懸念と積極的な受け入れの度合いは7つの主要な要因により引き起こされた:

・影響/結果の重症性:深刻な/大きな懸念により、参加者のそれらの積極的な受け入れは低下した。参加者は大腸菌(E. coli)とカンピロバクターが人生を変える健康影響の可能性があり、死に至る例もあるということを実際に理解しているため、特に懸念があった。

・リスクの熟知度:なじみ深いほど、例えば地域のメディアの話題、個人体験及び友達や家族の体験から、リスクをより「現実的」とを感じるほど、懸念は増す傾向があった。

・リスクの知識:熟知度に関連する知識のレベルは通常参加者の懸念を大きくした。このように大腸菌(E. coli)やアレルゲンのような参加者の知識/認識のレベルが高いリスクは、放射能のように聞いたことないものより、より大きな懸念となる傾向があった。

・過去の経験:食品リスクの影響への暴露や個人の経験は懸念を大きくし、すべての集団で受容性が低下した。これは特に参加者が深刻な影響を経験した食中毒の場合に特に強かった。

・リスクを管理できると思うレベル:全体として、特にリスクが「見えない」場合、リスクを個人が制御するのは難しいと感じ、参加者の懸念はより大きくなった。一方、参加者はリスクが政府(農薬の例)あるいは他の誰かの責任(参加者自身がアレルギー患者でない場合)により管理されると感じた場合、懸念は小さくなった。

・リスクを現在のものと感じるかあるいは昔のものと感じるか:「狂牛病」のような過去に注目された食品の脅威は一般に「解決済み」と軽視された;さらに現在の、新興のあるいは継続中と感じられるリスクは参加者にとってより深刻なものとなる傾向があった。

・影響の即時性:即座に感じる(例、食中毒)影響に関連するリスクは最大の懸念となる傾向があった。農薬や放射能のような、時間をかけ、蓄積として見られる影響のリスクは懸念が小さい傾向があった。

全体として、参加者はリスクを評価する場合、個人の経験、管理の感じ方及び熟知度に影響される可能性が最も高かった。

情報に基づく認識:カンピロバクター、食品アレルゲン及びアクリルアミド

リスクについて詳細情報をレビューする場合、参加者は「新しく」また驚きのある情報(例、カンピロバクターを含む鶏肉の比率が高いこと)やリスクに関連した影響の重症性に特に注意を向けた。参加者は予測される曝露マージン(MOE)の参照のような複雑な統計には興味があまりなかった。例えばアクリルアミドのように、数多くのリスク源がリストに示されると詳細な情報に圧倒されたようだ。

結論

懸念の駆動要因は参加者のコミュニケーションの必要性を映し出す傾向がある。

最終的に、食品リスクに関わる行動は主に「常識」と直感で決定され、参加者は行動する時に迅速なしばしば潜在意識で判断をした。コミュニケーションは、結果が深刻で、直感的で、「現実的」あるいは地域的である場合、;さらに、情報が明確で記憶しやすい行動と並行して示される場合、消費者の潜在意識に影響しがちである。言い換えれば、個人がリスクを身近に感じるほど、意識変化と究極的には行動変容への情報の影響が大きい。

 

(個人的に重要ポイント)

この研究は Slovic (1987) のリスク認識理論をもとに計画された。結果は全体としてはSlovicの知見に反し、消費者のリスク認識はより詳しく知っているもののほうが懸念が高かった。またナチュラルと人工では人工の方がより懸念が大きいというSlovic の知見にも反していた。

 

[NSW] リコール

Bright Brewery Pineapple Dream Nitro Milkshake Ale 355ml

1 Mar 2021

https://www.foodauthority.nsw.gov.au/news/recalls/bright-brewery-pineapple-dream-nitro-milkshake-ale-355ml

アルコール含有量が分量を超え、二次的発酵のため缶が破裂する恐れがあり、回収措置。

 

[FSA] 家庭食品のファクト確認

Home food fact checker

18 February 2021

https://www.food.gov.uk/safety-hygiene/home-food-fact-checker

家庭の食品安全に関し、よくある質問とその回答の更新。

 

[FSA] 食品犯罪

Food crime

26 February 2021

https://www.food.gov.uk/safety-hygiene/food-crime

食品犯罪に関する情報の更新。

 

[FSA] 欧州連合と食品に関する消費者の見解

Consumers' views on EU and food

1 March 2021

https://www.food.gov.uk/research/research-projects/consumers-views-on-eu-and-food

欧州連合と食品問題に関する消費者の考えの消費者インサイト研究を2016年秋から実施している。1月の報告掲載

 

[CDC]CDCのもと喫煙者からのTipsキャンペーンが新しい広告とともに戻ってきた

CDC’s Tips From Former Smokers® Campaign Returns With New Ads

Monday, March 1, 2021

https://www.cdc.gov/media/releases/2021/p0226-former-smokers-tips.html

アメリカの最初の連邦タバコ教育キャンペーンは10周年

 

Tips From Former Smokers ®

https://www.cdc.gov/tobacco/campaign/tips/index.html

(かなり事例が増えた)

 

論文

-食事ガイドラインに関連する温室効果ガス排出は国により違う

Greenhouse gas emissions associated with dietary guidelines vary between countries

1-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/bc-gge022521.php

Nutrition Journal.ドイツ、インド、オランダ、オマーン、タイ、ウルグアイ、米国の食事ガイドラインに関連する温室効果ガス排出を比較。

(ガイドラインでは蛋白源に特定の動物を薦めてはいないのを消費量で計算している)

 

-教育、代替医療への関心がデマを信じることに関連

Education, interest in alternative medicine associated with believing misinformation

1-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/apa-eii022521.php

米国心理学会の雑誌Health Psychologyに発表された研究によると、フェイスブックやツイッターの不正確な医学情報投稿を信じる傾向が多いのは、教育レベルあるいはヘルスリテラシーが低く、代替医療を好むあるいは医療システムに不信を抱いている傾向のある人。

米国の40-80才の1020人を対象にした調査

(これだと原因なのか結果なのかわからない)

 

-COVID-19パンデミックの最初の数ヶ月のアルコールとタバコの販売が増加

Alcohol and tobacco sales climb during early months of COVID-19 pandemic

1-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/uosc-aat022821.php

Annals of Internal Medicineに発表された研究によると、アメリカの2020年4-6月のアルコール販売は34%、タバコは13%それぞれ2019年より増えた。全ての人口動態集団で増加。アルコールについてはビールやワインよりアルコール濃度の高いハードリキュールがより増加している。

 

-子どもの良性骨腫瘍はよくある-歴史的X線が新たな知見に役立つ

Benign bone tumors are common in kids -- historical X-rays lend new insights

1-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/wkh-bbt030121.php

1926年から1942年の間にクリーブランドの子どもたちが毎年レントゲン写真を撮影したデータから、健康な子どもたちの約20%に良性骨腫瘍がある可能性が示された。ぎょっとするかもしれないが、症状の無い非骨化性線維腫やその他のよくある良性腫瘍は害は無く、時間が経つとなくなる可能性がある。The Journal of Bone & Joint Surgery.

 

-より暑く、より乾燥、CRISPR:気候変動のために編集

Hotter, drier, CRISPR: editing for climate change

1-MAR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/uoq-hdc030121.php

将来の気候変動から世界の食糧供給を守るにはゲノム編集技術が重要な役割を果たすだろう。Theoretical and Applied Geneticsに発表されたレビュー。

(オーストラリアはGMも積極的に採用していたから)

 

その他

-SMC UK

出生時体重、成人のインスリン様成長因子-1 (IGF-1)および2型糖尿病を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at birthweight, circulating levels of insulin-like growth factor-1 (IGF-1) in adulthood and type 2 diabetes

MARCH 1, 2021

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-birthweight-circulating-levels-of-insulin-like-growth-factor-1-igf-1-in-adulthood-and-type-2-diabetes/

BMJ Open Diabetes Research & Careに発表された研究

Bristol大学新生児医学名誉教授Andrew Whitelaw教授

「出生時体重が2.5kg以上は成人になってからの糖尿病リスクと強く関連する」というプレスリリースは誤解を招くものである。世界中で一貫して過去20-30年の間に出生時体重2.5kg以下はその後の虚血性心疾患や2型糖尿病リスク増加に関連するという根拠がある。この研究は自己申告の出生時体重に依存し、早産と子宮内での成長阻害の区別をしていない。また低出生時体重が2型糖尿病予防になる根拠を示していない。この研究は新しい情報を提供しない

King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授

プレスリリースの見出しは混乱させるようなもので、事実とは違う。正常な出生時体重は2.5-4kgの範囲で3.5kgである。低出生時体重は周産期死亡率が高いことと関連し、成人の健康にも影響がある

 

-SMC NZ

若年成人とリスクをいとわないこと-専門家Q&A

Young adults and risk-taking – Expert Q&A

Published: 02 March 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/03/02/young-adults-and-risk-taking-expert-qa/

最近発表されたCOVID-19の市中感染例の中に、感染性がある可能性のある時期にいくつかの場所を訪問した一人の若年成人が含まれる

昨日、問題の人物が授業に参加していたManukau技術研究所は、人々にこのニュースへの反応に思いやりを求めた

(生徒会長がその21才の女子学生に対してハラスメントではなく同情を、とお願いした。学生のお母さんが陽性だった模様)

SMCは専門家に年齢の影響を尋ねた

Massey大学臨床心理学上級講師Kirsty Ross博士

最近のレベル変更はニュージーランド人にとって新たな苦悩とフラストレーションで、生活と経済などで現実的なコストになっていることを承知している。結婚式やキャンプが中止になったり葬儀やお別れができなくなったりしている。こうした損失が最近ますますストレスとなっている。一年前を思い出すとここまでの道のりは遠かった。そしてその遠いマラソンに勝ってゴールしたと思ったのにまた厳しいレースに戻された。危機の時に警戒を維持するほうが簡単で、安心した後で警戒を強めるのは難しい。COVIDに燃え尽きたのは理解できる、もううんざりだ。それが誰かの間違った選択のせいだと知ったら、怒りとイライラが生じるのは理解できる。でも非難されている人の一人はまだ脳が成長途上の若者である。我々の前頭葉は20代半ばになるまで完全には発達しない。我々は失敗から学ぶ。若者には家族や友人や先輩などの支援が必要である。政府の若者向けのわかりやすいメッセージも重要である。

(一部のみ。規則に従わないのは前頭葉が未発達だからってわりとひどいことを言っているような?それが心理学?)

参考

Jacinda Ardern首相はニュージーランド人に対し規則を守らない人に声を掛けてまもらせることを強く求める

PM Jacinda Ardern urges New Zealanders to call out rule-breakers

1 March 2021

https://www.rnz.co.nz/news/national/437403/pm-jacinda-ardern-urges-new-zealanders-to-call-out-rule-breakers

家族や同僚が規則を守らなかったら守らせるべき。全員が規則を守るように。

規則違反は許容できないBreaches 'not tolerable'